カテゴリー[SF]


2013年02月11日

ハイペリオン(上・下) ○

色々と忙しかったりなんだりで金曜日に更新するのをすっかり忘れてしまってた。

去年の年末にSF小説「ハイペリオン(上下巻)」をようやく読み終わった。

ハイペリオン〈上〉 (ハヤカワ文庫SF)


涼宮ハルヒで長門有希(いわゆる宇宙人)が「ユニーク」って言って熱心に読んでいたのがコレ。
それで気になってたのと、2005年度版の「SFが読みたい!」の過去の受賞作で1995年で後編と合わせた2部作が、続編が2000年の海外作品の大賞を取っていたのもあり、これは古くても読んでおいた方がいい作品だろうなあ、と。

思って多分2008年ぐらいに買ってから寝かしておいたのを、2年ぐらい前の某所への出張の際に読み始めたんだよね。
で、この第一章が本当に酷い。プロローグは訳が分からないし、その後は何か宗教臭しまくりの秘境体験日記風が続いて、正直結構キツい。
なもんでそのまま40Pぐらいしか読まずに更に2年ほど寝かしていた訳だw

で、PSPでタクティクスオウガやるのにも飽きてきた頃、久々に積ん読を消化するかという気になり(<主な原因は”新世界より”を読まねばならん、というのの前フリ)、頑張って読み進めたら、その後30Pも読み進めない内にメチャクチャ面白くなり始めた
高校時代に指輪物語の2巻の冒頭で2年間寝かした事とか思い出すが、ホント勘弁して欲しいわこういうの。

その後2ヶ月ぐらいはかかったかと思うが、それぞれ大体450P程度の上下巻をようやく読了。

俺の感想をひと言でいうと「何じゃコリャ!!!!?」だね。
訳者のあとがきも分かりやすくて素晴らしかった。

本当に色んなストーリーやテーマ、パクリが7人の主人公に散りばめられていて、多分きみまろ風に言うと

  「まるで歴代海外SF作品の宝石箱やわ~~」

って感じだね。

正直表紙のイラストの印象は中身を上手く表していないように思う(それと俺が買ったときの帯「強い物語 ハヤカワ文庫の100冊」っていうのは相当に合ってない)。
もし版を変える機会があるならば、主人公7人を日本風の萌え&アニメキャラ風に表現する事を全力でオススメしたい。
内容はかなりイメージしやすいんじゃないか。

それと詩人ジョン・キーツのハイペリオン、ハイペリオンの没落という叙情詩をもし知っている人が居たら、絶対にこの小説は読むべきかと。
いやはや、ダン・シモンズ本当に頭がおかしいです。<知ってる人からしたら15年遅いと言われるでしょうが

トットと後編「ハイペリオンの没落(上下)」も買ってきました。

あれ、何かコレって当初の「”新世界より”を読む」っていう目標から著しく逸脱してね?

| コメント (2) | 2013年02月11日(月)

コメント

M ( 2013/02/13 08:20)

エンディミオンの覚醒までちゃんと読んでね

パピコン ( 2013/02/14 01:29)

>M
どうもです。
まあ頑張って読むとは思うけれど果たして何年後に
なるのやら…。

2013年02月01日

天狼新星:花田智 ☆

天狼新星 SIRIUS: Hypernova (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)

珍しく後輩Dのきむぴよ氏が「SF読んだった。スゲー面白ス」とか書いていたので興味を持って、マジハードカバーで1680円とかいつ以来だよ!?(<多分、ブレインヴァレー以来) と思いながらも書店店頭で取り寄せをしてまで買ってみました。

近未来のとあるネットワークインフラ会社が世界中で使用されている”ソリトン光通信”なるものに謎のノイズが含まれるのだがそれの原因及び取り除く方法が分からない、という場面から話が始まる。

これが太陽系から最も近い恒星のシリウスが超新星爆発を起こして、その影響を受けて地球があっという間に壊滅してしまうという未来とのリンクになるのではないか、というとんでもなく壮大な話に繋がっていく様が圧巻。
正に圧巻としか言いようが無い。

途中から「そういう話だったのか!」という部分に繋がった辺りから、一気に読ませてしまう勢いがとにかく凄かった。
ハーミットの部分が若干冗長かなあという感じはしたけれど、まあこれは演劇の一場面という事を考えるとアリな部分かと。

最初はこれの一部分が演劇で上演された(この劇団で)のかな、と思っていたんだが、まさかこの1冊分が2時間の演劇に詰まってるだなんて…。
再演があったら是非観たいもんです。
(DVDも販売はしているようですが)

これが10年以上も前に初演されていた(09年頃?に再演されたらしい)というのは相当に凄い。
その後この話にしろ作者の花田さんにしろそんなには有名にはなっていないのが、惜しいというか世の中って別に本当に面白いものが売れる訳じゃないんだよなあというのが改めて理解できたり。
(まあ面白いと思えるのにかなりの努力が必要なものではありますが。そもそもSFだし)
ただ再演の後にハヤカワからこうやってハードカバーでSF小説として刊行されたのは、なかなかハヤカワの編集の方も良い仕事をしているなと。

演劇の方も七つの大罪シリーズが終わったらSF演劇に戻ると書かれているので期待したいですね。

| コメント (4) | 2013年02月01日(金)

コメント

にうら ( 2013/02/ 2 16:17)

そいや先輩、機龍警察、読みました?
おもしろいですよ。
パトレイバーとボトムズと何かを足したようなパワードスーツな警察モノです。
ちゃんとSFやってます。
近未来(というか数年後)の日本です。

パピコン ( 2013/02/ 3 01:02)

>にうら
ハヤカワ文庫JAですか。
知らなかったですわ。
パッと見面白そうな感じはするね。
ふわふわの泉を買うときに一緒に買って積んでおきまふ。

きむ ( 2013/02/ 5 17:43)

クライマックスすごいですよね。
なんて詩的な情景なんだと。
理系ならではのロマン。

花田さんの専門は細菌らしいんで、
いつかそっちでも一本作ってもらいたいなぁ。

パピコン ( 2013/02/ 6 00:53)

>きむ兄
詩的か。確かに絵をイメージするとそうなるねえ。

でも理系&SF好きは、人の全情報や意識がデジタル(光の信号)に
変換されてっていうのもスペクタクルでシビれたね。

細菌か。
それこそ瀬名秀明のパラサイト・イヴを超えるヤツを是非期待してしまいますな~~

2013年01月25日

南極点のピアピア動画 ☆


野尻 抱介:南極点のピアピア動画 (ハヤカワ文庫JA)


タイトルと絵で本当に損をしている気がするんだよね。
野尻先生の新作だから本屋で見つけてノータイムで買ったけれど、そうでなかったら買って読んだかどうかは割と微妙。

ピアピア動画=ニコニコ動画。
小隅レイ=初音ミク。
としてファンの人には是非読んで欲しい。ニコ動やミクが持つパワーがこんな事になったら、という想像を掻き立ててくれる事は間違いないだろう。
ちなみに小隅 レイ(黎)っていうのは数年前にお亡くなりになったSF翻訳家さんの大御所の方です。

自分の場合はどちらも特にファンという訳では無かったのだが(翻訳家の小隅 黎はファンですが)、野尻SFファンとして十分に楽しませてもらいました。

1章の印象があんまり良くなかった。
短編集「沈黙のフライバイ」にあった”大風呂敷と蜘蛛の糸”の焼き直しじゃないか? という感じで、ちょっと面白味にかけるなあと。
今の世の中の延長で様々な事がトントン拍子に進んでいき、それが宇宙旅行にまで繋がっていくテンポの良さは素晴らしい。

2章を読み終わった辺りで(若干ご都合主義的ではあるものの)これは何だか凄い事になってきそうだぞ、と思い始めて一気に3章、そして書き下ろしの最終4章へ。
この展開は圧巻そのもの。

やっぱり野尻先生が描くファーストコンタクトものは一味違うと再認識させられた。
最初の印象とは全く違って、今までの野尻作品中のベスト3ぐらいに入るかと。


読んだSF小説の感想が溜まりまくっていたもので、年末から頑張って書き溜めていた。
他に適当なネタも無いので、週一ぐらいで更新して行きます。

| 2013年01月25日(金)

2012年08月22日

ヒッグス粒子発見か

水曜日は誰得俺得エントリーなのでコレ。
(誰が得なのか、俺以外の誰が得なのかエントリー)

まだちゃんと読んでないので自分メモ代わり。
シュタゲだと陰謀論の黒幕扱いのCERNですがw やはり最新の加速器を持っているだけはあって着実に凄い研究成果を出していますな。

この感じだと俺が生きている間に統一場理論の完成&ノーベル賞授与&宇宙の謎解明に一歩前進、は見れそうかな?

ヒッグス粒子発見か CERNが新粒子観測を発表 - ITmedia ニュース

宇宙の暗黒解明へ一歩 ヒッグス粒子「発見」 - MSN産経ニュース

【科学】ヒッグス粒子「発見」 新時代拓いた加速器 宇宙誕生解明へ期待+(1/3ページ) - MSN産経ニュース

ニュース - 科学&宇宙 - ヒッグス粒子発見、その意味と今後 - ナショナルジオグラフィック 公式日本語サイト

朝日新聞デジタル:ヒッグス粒子「発見」、年内確定へ 万物の質量の起源 - 科学

ちなみにこの素粒子の事が正しく分からないと、重力及び質量というものがどうやってこの宇宙で成り立っているのか、という事が正しく説明できないのです。
つまり今の地球人の科学力では「重力/質量って何?」という疑問に正確な答えが”まだ”出せないという状況なんですね~。

| 2012年08月22日(水)

2011年07月28日

小松左京先生亡くなる

公式ページ

世代が少しずれているんで、PC6601付属で有名になったADVゲーム「コロニーオデッセイ」の監修がこの人だった事と、興行的内容的に超酷評されていたSF映画「さよならジュピター」の原作者とプロデューサーだった(プロデューサーだったのは最近Wikiで知ったのだが)事と、トップをねらえ!の最終話のサブタイトル「果てしなき流れの果に」が小松左京の小説(代表作らしい)の題名だったという事ぐらいしか知らなかったのですが。

Wikiで書かれている内容を読むと、SFに対してとてつもない愛情と労力をかけた人だったんだなという事が改めてよく分かる。

SF好きの癖に不勉強であることを恥じつつ、ご冥福をお祈りいたします。

| 2011年07月28日(木)

2007年06月29日

「ふわふわの泉」絶版すか

久々の本のカテゴリーだけど感想じゃなくてスンマセン。

太陽の簒奪者大絶賛してから、その後重点的に野尻 抱介作品を順に読み進めていた。

クレギオンシリーズ、ピニェルの振り子、沈黙のフライバイ、そして最近富士見ファンタジアで復刊されたロケットガールと、どれももう申し分の無いほどの高レベルかつワクワクさせられる内容ばかりですっかり信者と化していた訳です(感想書くのもすっかりサボってるが)。
で、あとはファミ通文庫の「ふわふわの泉」を読めば出版されている野尻作品は全て読んだことになるな、と探してみたら Amazonのマーケットプレイスでは2,000円とか付いてるし! ヤフオクに至っては古本の癖に3,000円とかしてやがるし!!

トットとどこかで復刊して下さい。マジで。

| 2007年06月29日(金)

2007年04月28日

星を継ぐもの ◎

ジェイムズ・P・ホーガン 創元SF文庫

今となっては古典と呼ばれる部類に入るものだろうが、Zガンダム劇場版のサブタイトルに使われていたり、他でもいくつかの作品でこのフレーズが使わており、影響力の強さをうかがわせる一冊。

エネルギー問題を解決し、月までを探索し尽くした段階にまで到達した人類。とある月面基地で見つかったひとつのホモサピエンスの遺体が現代の地球人のもので無い事が分かり、そこから世界の研究者達が人類のルーツにまで迫る大激論と研究の限りを繰り広げていく。 ひとつの謎が解けるたびにまた新たな謎が生まれていく展開は圧巻でぐいぐいと引き込まれる。
後半ネタが分ってしまうと「何で気が付かないんだ~!?」っていう突っ込みをしてしまうけれどそこはご愛嬌。
これを中高生の時代に読んでいたら目指すものがまた変わっていたかもしれないと思うね。太陽の簒奪者と同じく、SFや小説を読み始めるに当たってははまさにうってつけの一冊。

全体的には時代を感じさせるような部分はかなり少ない小説だと思うけど、研究者達が学会みたいに講堂みたいな広い意部屋に集まって話をしているような場面でタバコを吸いまくっているという描写がやたらと多く、そこだけはかなり印象的だった。

完全なる余談だけれど、最初にこのエントリーに手をつけてから1年半が経ってようやくちゃんと書き上げて公開状態になった。その間小説の感想が1件も追加されて無いんだよな…。
うーん本は読んでいるんだけれどサボりすぎだ。

| 2007年04月28日(土)

2005年11月22日

宇宙消失 ◎

グレッグ イーガン 創元SF文庫

エラく大層なタイトルだが宇宙モノSFでは無い。ある日突然に地球から太陽系外の宇宙が全く見えなくなるという現象、「バブルの発生」から33年が経過した2068年の未来世界で繰り広げられる、壮大かつ荒唐無稽な陰謀ものアクションSF。
前半部分は未来世界社会の説明を交えつつ主人公のニックがある事件に巻き込まれていく。ここは刊行が1992年のせいか少し古さが感じられてだるい。しかし中盤でニックがとある実験に巻き込まれてからの展開が途方も無い話で、思わず「そんなバカな!」と思ってしまいそうになる。が、これを受け入れられれば相当に面白く最後まで読みきれる。
自分の場合は割と否定的な捉え方で読み進んでいったのだが、不思議と読んでいく間に徐々に納得させられてしまったような感じで、これはなかなかの妙だった。収縮させられたのか!?
脳の働きを自在にコントロールするナノマシン、モッドの存在がストーリー的にも要素としても比重が大きいのだが、これの描写がやたらと細かくて多いのが俺には少しくどかった。
ともあれ相当に面白い正統派現代SF。読んで損は無いでしょう。

量子論に関する知識が無くても、巻末の解説にネタバレもちゃんと考慮された詳しい説明があるので安心。

ちなみに今週のエウレカセブンで唐突に登場したグレッグ・イーガン博士は、この作者の人がモデルだと思われる。
実物はどんな体格の人かは知らんけど。

| 2005年11月22日(火)

2005年10月30日

世界の中心で愛を叫んだけもの △

ハヤカワ文庫 ハーラン・エリスン

表題作を含む短編15本から成る短編集。まず最初に目次が無く作者の世迷い言のような前書きから始まるのでエラク面食う。
ちなみに超売れた小説「世界の中心で愛を叫ぶ」のタイトルは、エヴァのTV版最終話のサブタイトル「世界の中心でアイを叫んだケモノ」に感化されて(というかモロにパクッた)編集がつけたもの、とどこかで紹介されていた。無論エヴァのサブタイトルはSF小説であるこの本から取ったもの。庵野監督がSFからネタを持ってくるのはよくやる手段で、トップをねらえ!の最終話「果てしなき流れの果てに…」は小松左京の小説だったりする。

表題作のあらすじ:
我々の世界とは別のどこかにクロスホエンと呼ばれる天国がある。そこは天国なので犯罪のような行為は一切存在しない。存在しないというか、犯罪的な行為があった場合、その犯罪の原因である悪心とでもいうような根源の物質を人間から抽出し、天国以外の別の世界に排出してしまうという行為を行っていた。我々の世界の理不尽な戦争やら犯罪行為はこれによって引き起こされてる、と。
この行為に心を痛めた排出装置の製作者は、自分自身を装置にかけて外の世界に排出する事を希望し、叶えられて彼は命を落とす。そして天国以外の世界は彼によって、ほんの少しだけ悪い行為が軽減された事があったみたいですよ、というような話。
収録作の中でも特にこれは分かりづらい部類に入る。

全体的に暴力をモチーフとした話や、古典っぽい適当だったりどこかで聞いたような設定に基づいた話が多い。しかもそれらの設定がキチンと消化されないまま書かれている感じで、どうにも中途半端な印象が強い。
古い人とはいえこの作者がそこまで有名だったり賞を取っていたりするのがどうにも理解できないのだが、あとがきにもあるようにどうもこの人の言動がネタとして面白く、作者のキャラの方がひとり歩きしているみたいだ(SF大会で初対面のアシモフに対して「なってねえよ!」と言い放った、とか今なら間違いなく2ちゃんで良くも悪くも祭りになりそうな人)。
ただ短編の中には、クリストファー・プリーストの「魔法」の元ネタに恐らく(多分、間違いなく)なったであろうと思われるような話などもあり、そもそものアイディア自体はいい物もあったのかな。
まあ何においてもアイディア”だけ”じゃ全くダメなんですが。

| 2005年10月30日(日)