2005年11月22日(火)
宇宙消失 ◎(SF, 小説, 本)
エラく大層なタイトルだが宇宙モノSFでは無い。ある日突然に地球から太陽系外の宇宙が全く見えなくなるという現象、「バブルの発生」から33年が経過した2068年の未来世界で繰り広げられる、壮大かつ荒唐無稽な陰謀ものアクションSF。
前半部分は未来世界社会の説明を交えつつ主人公のニックがある事件に巻き込まれていく。ここは刊行が1992年のせいか少し古さが感じられてだるい。しかし中盤でニックがとある実験に巻き込まれてからの展開が途方も無い話で、思わず「そんなバカな!」と思ってしまいそうになる。が、これを受け入れられれば相当に面白く最後まで読みきれる。
自分の場合は割と否定的な捉え方で読み進んでいったのだが、不思議と読んでいく間に徐々に納得させられてしまったような感じで、これはなかなかの妙だった。収縮させられたのか!?
脳の働きを自在にコントロールするナノマシン、モッドの存在がストーリー的にも要素としても比重が大きいのだが、これの描写がやたらと細かくて多いのが俺には少しくどかった。
ともあれ相当に面白い正統派現代SF。読んで損は無いでしょう。
量子論に関する知識が無くても、巻末の解説にネタバレもちゃんと考慮された詳しい説明があるので安心。