2. 機能和声とモード
モード以前のジャズは、機能和声をもとに作られていました。
機能和声とは、調性を持つ音楽において、トニック、ドミナント、サブドミナントという役割(機能)を中心にハーモニーを考えていく方法です。機能和声の考え方をうまく適用できるスケールとして、Major Scale とMinor Scale が多くの曲で使用されてきました。
ジャズにおいては、ドミナントモーションを中心とした機能的なコード進行と、それに基づくアドリブラインとして洗練されていき、ビバップというスタイルになりました。ビバップにおけるアドリブは、頻繁な転調を含むコード進行において、コード進行を忠実に表現するフレージングをおこなう技術、という形で急速に発展しましたが、一方、マンネリ化も見られました。
先進的なミュージシャンがビバップを極めたあと着目したのが、モードです。モードも、調性を持つ音楽であることに変わりはありませんが、トニック、ドミナント、サブドミナントという役割(機能)を中心に考えるのではなく、曲の基本となるスケール(モード)の構成音を自由に使用することを基本としています。機能和声に基づく曲では、ドミナントモーションに代表されるように、コード進行にダイナミックな動きがありますが、モードの曲は、そのような動きがない静的な世界である、と言えます。
モード曲においては、コード進行をコードネームの形で明示せず、スケール名で示すことがあります。この場合、曲の中心となる音と、構成音は決まっているのですが、その中でどの音を使用するかについては、自由ということを表しています。