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(2) ボイシングの手順

 アッパーストラクチャトライアドでは、上部のトライアドが独立して聞こえるようにするため、次の原則でボイシングします。

・上部のトライアドは基本のコードのコードトーンまたはテンションノートで、少なくとも1つはテンションを含んだものとする。
・下部はベーシックサウンドまたは、それに5thを付加したものとする。
・上部のトライアドの最低音とベーシックサウンドの最高音の間の音程は短3度以上。




 また、上部のトライアドは、なるべく同じ楽器か同系統の楽器を用いることにより一体感のあるサウンドのなるようにします。例として、ビッグバンドでは、上部をトランペット、下部をトロンボーンとする、管楽器の入ったコンボでは、上部を管楽器、下部をリズムセクションで担当する等の方法がとられます。

 ただし、すべての音をアッパーストラクチャトライアドとしてボイシングできるわけではありませんので、例外的なボイシングを用いるときがあります。実際のボイシングの手順としては、次のようになります。

・メロディー音をコードトーンとするメジャートライアド、マイナートライアドのうち、全てが基本のコードのテンションまたはコードトーンで1つ以上テンションを含むのものがあれば、アッパーストラクチャトライアドとしてボイシングします。

・上に該当するものがない場合は、次のいずれかを選択します。これらは、厳密に言うとアッパーストラクチャトライアドではありませんが、似た響きであるため用いられます。1 や 2 に比べて 3 は、より現代的なサウンドになります。

 1. メロディー音をコードトーンとするメジャートライアド、マイナートライアドのうち、全ての音が基本のコードのコードトーンであるもの。
 2. メロディー音をコードトーンとするメジャートライアド、マイナートライアド、ディミニッシュトライアド、オーギュメントトライアドのうち、全ての音がアベイラブルノートスケールの構成音であるもの(トライアドの種類を自由とし、アボイドノートの使用を可とする)。
 3. メロディー音をコードトーンとするメジャートライアド、マイナートライアドであれば可とし、他の音と基本のコードとの関係は自由とする。前後のトライアドとの関係に注意して、平行移動するものや各音の流れがスムーズになるものを選びます。

 次に、例を示します。

 1.




 2.




 3.




 これらの中には、アプローチノートの処理として、クロマチックアプローチやスケールワイズアプローチに相当する方法を使ったと考えられる場合もあります。

 クロマチックアプローチ




 スケールワイズアプローチ




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