今回は、アドリブソロの演奏スタイルについて考えていきます。また、多くのスタンダード曲を残している作曲家の代表曲と特徴を説明し、映画音楽やミュージカルについても取り上げます。
1. コード進行の捉え方
まず最初に、アドリブソロを取るときのコード進行の捉え方を、演奏スタイルと関連させて説明します。
(1) コード進行の整理、細分化、簡略化
・コード進行の整理
コード進行は、転調やコードの機能の動きなどのハーモニーの大きな流れから、2〜8小節程度の長さのコードパターンとして整理して考えると、理解しやすくなります。
例えば、"I Got Rhythm" のAセクションは、2小節のコードパターン4つから構成されていると考えることができます。
おおまかなコード進行の流れが同じであれば、リハモナイズされてできた別のコードパターンに置き換えても問題ありません。別のコードパターンに置き換えた例を示します。
コードバリエーション1
コードバリエーション2
コードバリエーション3
コードバリエーション4
アドリブでソロを取る際にも、コード進行をおおまかに意識したほうが、スムーズな流れを持ったメロディーを作ることができ、フレージングの自由度が増します。バックとコード進行が多少異なっていても、大きな流れが同じであれば、不自然な感じは与えません。
次のフレーズをもとに、別のコードパターンを想定したフレーズを作ってみます。
コードバリエーション1
コードバリエーション2
コードバリエーション3
コードバリエーション4
・コード進行の細分化、簡略化
コード変化が一定の頻度となるようにすると、ハーモニーにリズムを持たせることができます。ハーモニックリズムを変更するためには、コード進行の細分化や簡略化をしてコード変化の頻度を変えます。また、ハーモニックリズムを変えた結果、コードパターンがまとめられたり分解されたりすることもあります。
リズムチェンジのAセクションのコード進行を細分化や簡略化することによって、それぞれの演奏スタイルに適したコード進行にしてみます。
単純化したコード進行
ビバップ風のコード進行
モード風のコード進行
ブルース風のコード進行
同様に、コード進行の捉え方によって、ソロのスタイルも変わってきます。