The Shangri-Las
Paradise
(Red Bird-10-068)

一応、この盤がオリジナルといえるのでしょうかね。






Gogi Grant
Paradise
(Pete-708)

フィレス・レーベルに似ていると思うのは気のせいかしら。





Ronnie Spector
Paradise
(Waner-Spector-0409)

この盤では、ニルソン、スペクターの共作になっておりますが、なんだろうね。中身はノーマル・ヴァージョンです。



Reference Library

取り上げた曲の試聴は、リファレンス・ライブラリーで。

July 16, 2003

Strangeness In Paradise

 夏らしい魅力的な一曲、ニルソン作曲の「パラダイス」を取り上げてみました。
 スペクターは1965年の10月にロネッツに歌わせたものの、なぜかオクラ入りにしてしまったこの「パラダイス」ですが、1976年の英国でリリースされた「レア・マスターズ」にて世間にお披露目した佳曲であります。波の音と海鳥の鳴き声のSE(効果音)も相まって、まるで映画音楽のような映像的な作品に仕上がっておりまして、10年も眠らせていたのは「百叩きの刑」に相当するとも申せましょう。ところで、スペクターがボツにすると、きまってレッド・バード・レーベルが取り上げるようでして、1965年にシャングリラスがリリースしておりました。しかし、聴き比べれば、ロネッツ版のほうが優っておることはいうまでもありません。曲のクレジットは、ニルソンだけの時もあり、アブコ盤のロネッツの場合は、スペクター、ペリー・ボトキン、ギル・ガーフィールドの名前が連なっております。他人事ですが、印税の分配は盤によって違うのでしょうか。

 さて、スペクター・プロデュースの「パラダイス」に「潮騒大盛りヴァージョン」が存在していることは、あまり知られておりません。ま、そもそもスペクターそのものがあまり知られていないので、何を語っても重箱の隅を楊枝でほじくるようなものでありますが。で、「潮騒大盛りヴァージョン」ですが、本来なら1989年11月に日の目を見るはずだったのでございます。そうなのです。アルファー・ムーンからリリースの予定だった「スペクター・ボックス」に収録されたものだったのです。曲そのものは、とくにテイクが違うわけではなく、ただSEを多めにミックスしている、という代物で、奇妙といえば奇妙な存在でありますな。

 もひとつ、奇妙な1枚がございました。イージー・リスニング系の女性歌手ゴギ・グラントのシングルです。


Gogi Grant
Her Very Best
(Varese Sarabande)


 ゴギ・グラントは1956年、「風来坊の唄」でもって、エルヴィスの「ハートブレイク・ホテル」を1位の座から引きずり下ろしたことで記憶にとどめる程度の歌手ですが、なかなかの美人で実力派であります。が、ジャズ・シンガーといいきれないあたりが、食指を伸ばすにははばかれる点であります。ということで、わたくしも彼女の歌は「風来坊の唄」以外は知らないのでございましたm(_ _)m
 そんな彼女が、どういう経緯なのか、 「パラダイス」をカヴァーしていたのですねぇ。しかも、スペクター一家であるペリー・ボトキン・ジュニアのプロデュースであります。さかのぼれば、ゴギのデビューに先立って作られたデモ・テープはゴールド・スターでの録音だったといいますから、縁は異なもの、でありました。
 彼女は、ややテンポを落として、大人の歌としてしっとりと歌い上げ、夜のムードを醸し出しております。とはいえ、サウンドはベースが強調され、ロック的といいましょうか、で、そのわりにはドラムスが引っ込んでいるという不思議なミックスであります。引っ込んでいながらも、派手なドラミングはハル・ブレインでしょう(たぶん(^^;)。
 好みもあるでしょうが、シングルとしては、やや魅力に欠ける作品であることは否めません。それはそれとして、このシングルがいつのリリースかわからないのであります。
 で、ハリー・ニルソンのファン・ページによりますと、この「パラダイス」は、

ハリーの最初に録音された歌のうちの1曲であり、
ハリー自身は、1971年になってようやく録音したが、リリースはされなかった

とあります。
 そして奇妙なことには、「パラダイス」を歌ったアーティストとして

Bette Midler
Ronettes
Shangri-Las
Shonen Knife

の4組が記載されているのみで、ゴギは無視されてゴギゲンナナメです。それだけマイナーな存在なのでしょう。マイナーにもかかわらず、ステレオによるシングル盤であるのがちょっとした驚きでした。おそらく70年以降のリリースではないかと思いますけどぉ…













Phil Spector
Well I Mean
(Hill & Range 78rpm Acetate Demo)

Reference Library

August 10, 2003

フィル“エルヴィス”スペクター!

 8月16日は、エルヴィス・プレスリーの命日だそうであります。来年は二十七回忌にあたるようですから、月日のたつのは、なんと早いことか、でございました。享年42という話ですから、知らないうちにわたくしは追い越してしまいましたよ。
 さて、いまから10年前ほど前に米国でエルヴィス・プレスリーの記念切手が発行されました。日本でも、ちょっと割高だったけど手に入れたと、おっしゃるかたも多いかと思います。わたくしは、米国の中古盤ディーラーのひとつがカタログを送るさい、気を利かせてくれたようで、現物をただで手に入れることができました。ちょっとスタンプで汚れていますが。

 なんでも米国では、この記念切手が発行された時、この切手を貼って存在しない住所に手紙を出す行為がはやったそうです。エルヴィスの歌にもある「Return To Sender(送り主に返送)」のスタンプが押されて返送されてくる手紙を記念にしようというわけなのですが、郵便屋さんもさぞや大変でしたでしょう。

 ちなみに「Return To Sender」のスタンプは、こんなんです。日本からでも、しっかり返送されてきました。ちょっと嬉しい発見でしたが、じつは喜ぶべきことではなく、送金してもレコードが届かないので、問い合わせをしたら、このざまだったのでありました(T_T)。お〜い、Bob Curtis! 何処に隠れているんだ〜?というわけで、この宛名の人物、Bob Curtisは、食わせ者のようでして、ほかにも被害に遭ったという話を聞いております。ま、10年以上の昔の話ですが、一応、お気をつけあそばせ。
 じつは何を隠そう、Bob Curtisから買おうとしたレコードとは、スペクターがドク・ポーマスと組んでエルヴィスのために書いた「Well I Mean」のデモ盤だったのです。まあ、なんという皮肉かしら、でありますね。
 
 フィル・スペクターは、歌唱力がイマイチ、と思われがちですが、ところがどっこい、 彼が歌っているこの「Well I Mean」のデモ盤では、なかなか芸達者な一面を見せておりまして、一聴してエルヴィスのために作った曲だということがわかります。改めて、エルヴィス本人に歌って欲しかったと思うのは、スペクター本人だけではなく、全世界のロック・ファンの偽らざる気持ちではないでしょうか。ちょっと、オーバーだな(^^;。
 ま、とにかく結果として、このデモ盤がエルヴィスの耳に届かなかったのか、はたまたスペクターの想いが届かなかったのか、まことに「心のとどかぬラヴ・レター」となってしまった未発表曲でございました。













Robin Ward
Wonderful Summer
(Dot 16530)

アレンジは名手ペリー・ボトキン・ジュニア。ロビン・ウォードについては、こちらのサイトへ。

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唐突ですが、↑は、わたくしが制作したWinamp用のシンプルで可読性を重視したスキンです。MacOSモドキですが、あなたのWindowsにも似合うはず!
ダウンロードはこちら

September 07, 2003

今年はワンダフル・サマー?

 フランスでは異常熱波により3,000人を越す死者を出したとか、イギリスでは観測史上最高気温を更新するわ、はたまたポルトガルでは熱波による大規模な山火事で死者まで出すわ、反対に日本では冷夏で海の家は閑古鳥、作物の不作を心配するわというありさまで、とてもワンダフルとはいえないことしの夏でございます。ということで、まずはロビン・ウォードの「ワンダフル・サマー」のシングル・ヴァージョンをお聴きください。

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 おそらく、ステレオ・ヴァージョンで慣れ親しんだかたには、しょっぱなから「あれ?」と思ったことでございましょう。ことしの日本の夏みたいに、何かが足らないと感じたはずでございます。
 出だしの♪ I want to thank you for giving me the most wonderful summer のすぐ後にかぶるオブリガート的な裏メロによる♪ Wonderful summer というコーラスがないのですね。コレクター的にいえば、シングルがオリジナル・ヴァージョンと考えるわけでありまして、何かが足らないと感じつつも、こちらをオリジナルといたすわけでございます。しかし、一度でもステレオ・ヴァージョンを聴いてしまった耳には、このオリジナル・モノ・ヴァージョンは、何度聴いても、どうも間の抜けた感じで違和感を覚えずにはいられません。みなさんはいかがでしょうか?
 そもそも、この冒頭のコーラスはシングル・ミックスの時にカットされたのか、あるいはステレオ・ミックスの時に

ちょい怪しげな25曲入りのベスト盤。内15曲は日本盤CD『ワンダフル・サマー』と同じ。残りはウィンク・マーティンデイル、デイル・ウォードとのデュエット曲だが、期待しないほうがよい。
改めて付け加えられたのか、などという考察をあれこれ考 えるのもオツなものかもしれません。わたくし的には、どっちでもいいやー、と投げやりでありますが。
 さて、この曲はもともとデモ用にジャッキー・ウォードがティーネイジャー風に演じて録音したもので、そのデキがあまりにもよいので、そのままシングル盤としてリリースしてしまったという話を聞いております。レーベルには、ジャッキーの4歳になる娘の名前ロビンをとってロビン・ウォードとクレジットされたのでございますが、当時の男子たちは、まさか子持ちのオカン(といっても、22歳という若さですが)の歌声とは露知らず、せっせとファンレターをレコード会社に書き送った、というエピソードも残っております。ファンレターをしたためた男子が、その時その事実を知ったなら、とてもワンダフルとは思えないことであることは想像に難くありません。しかしながら、たしかに可憐な少女の歌声でありまして、わたくしはいまだに騙され続けたい思いであり、まさに永遠にワンダフル・サマーといえるのでありました。
 そういう男子の夢を壊さないため、ジャッキー・ウォード本人がチャーミングであるにもかかわらず、「十代のお顔ではない」という理由なのか、アルバム・ジャケットには顔写真がひとつもないという、苦渋のデザインが施されたのでありました。どうせ、ウソをついているんだから、適当な女の子のポートレート、あるいは、せめて裏面に若き日のジャッキーのスナップ写真でも載っけておいてもよかったとのではないか、との思いもいたしますが。ま、ひとことでいえば良心の呵責というよりは、単なる手抜きですな、ライナー・ノートもないし。しかも、イラストもしょぼい。いまとなれば、味わいすら感ずるイラストではございすが(≧∇≦)ノ彡
 てなことで、録音は伝説のゴールド・スター・スタジオ、当然、演奏はレッキング・クルーでバチッと決めており、スペクター・サウンドの香りのする、ガール・ポップスの名曲であります。
 しかしなんですね、この波音と海鳥の鳴き声って、ひょっとしたらロネッツの「パラダイス」に使いまわししたヤツかしらね。











しかし、このデザインは、いったい何だろうねぇ。

TOSHIBA-EMI / BEATLES

October 18, 2003

彼らって、裸もすごいんです

 スペクター・シンパの側から聞いた『LET IT BE...NAKED』というテーマで拙文を寄せるため、先日、シンコー・ミュージックのかたと共に東芝EMIでの試聴会に参加してまいりました。

 しょせんはリマスタリングで音質向上をはかったレベルのものだろうと、たかをくくっておりましたが、これがあにはからんや、すばらしいアルバムであります。エコーを抑えたタイトでソリッドなサウンドに生まれ変わり、しかも破綻のない演奏には、迂闊にも感動してしもうたよ。これじゃぁ、スペクターの出る幕なしではないか。それどころか、ますます、スペクターの厚化粧に対する非難の声が大きくなってしまうではないか。これじゃ、高飛びのひとつでもしたくなるというものでしょうぞ(≧∇≦)ノ彡。

 いやいや、ちょっと待てよ、でゴザイマスですよ。これは、スペクターが手を加えた部分をはぎ取ったというレベルの話では断じてないのですね。こんな完ぺきなテイクが存在していれば、わざわざ飛行機嫌いのスペクター様をお呼びするまでもなく、グリン・ジョンズがとうの昔にきっちり仕上げていたはずでありましょう。
 これは憶測ですが、傷やシミを厚化粧で誤魔化したのがスペクターならば、今回の『...Naked』は、きれいなパーツをかき集め、移植整形手術を施し理想的な顔に仕上げたのではないかと。まったく破綻を感じさせない演奏は、テープの切り張りくらいしかできなかった70年代と違い、今日の進化したデジタル技術が可能にした賜物のような気がします。また、会話やカウントなどは取り除かれていて、曲ごとにきっちりレコーディングしたような錯覚さえ覚えます。この辺は好みでしょうが、会話があったほうがドキュメンタリーとしての臨場感があり、『レット・イット・ビー』らしいですけどね。むしろ、『...Naked』は『レット・イット・ビー』とはまったく異なるアルバムと考えるべきでしょう。
 ちなみに、ピアノとベースだけのシンプルなバラードだったはずの「ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード」ですが、ちょっとドラムスがうるさく、わたくしにはスペクター版ほどではないにせよ、派手に聞こえました。

 いずれ、コアなビートルズ・マニアが「Get Back Session」の、どのテイクを使用したのか等の分析を始めるでしょう。が、テンポもキーも自由に変えられ、特定の音を消し去ることさえできる今では、わたくしは無駄骨に終わると思います。でも期待してます(^.^)。

 整形美人の是非はともかく、これは買いでございます。ちょっと、複雑な思いではありますが…





November 22, 2003

起訴とは奇想天外

 と、スペクターがのたまったかどうか存知上げませんが、マイケル・ジャクソンの逮捕のニュースの影に隠れるように、とうとう「殺人」の罪で起訴されちゃいました(T_T)。
 ところで、いままでスペクターは1940年生まれだといわれてきましたが、告訴状で「1939年12月26日生まれ」という真実が明らかになりました。いやはや(≧∇≦)ノ彡。

 ■殺人罪のフィル・スペクター容疑者、法廷で無罪主張(ロイター)

 ■大物音楽プロデューサー、女優殺害で起訴

 ■殺人の罪で起訴されるフィル・スペクター(英文)


 「我々は、世界で最も法に順守し信望のあつい者の中から選りすぐり、科学的な専門家チームを構成した」と、スペクターの弁護士で、かつてO.J.シンプソンの弁護団のひとりでもあったシャピロ氏は語ったようであります。
 「このぞっとする人的事件において、我々チームの発見に基づくならば、どんな陪審でも、フィル・スペクターは無罪であると結論するだろう」
 おお、頼もしいぞ、シャピロ殿(≧∇≦)ノ彡。

 さて。
 11月19日放送予定のテレビ朝日系列「ビートたけしの!こんなはずでは!!」で、「フィル・スペクターとビートルズ」を取り上げます。再現ドラマで、スペクターを演じたタレントさんは、レコードや雑誌を通じてか、よくご存知だったそうで、「私が演じるのか」と喜んでいたとか。
 請うご期待!!まだ見てないけど(≧∇≦)ノ彡


September 27, 2003

ロス警察、フィル・スペクターを殺人と断定

 掲示板(message wall)のほうにも書きましたが、ロス警察は、フィル・スペクターが2月3日の自宅において女優のラナ・クラークスンを銃撃したとの結論に達し、検察は「第二級殺人罪または故殺罪を適用するかもしれない」と起訴内容を決定している、と発表しました。
 ビートルズのアルバム『Let It Be』に、フィル・スペクターの名前が消える日も近づいてまいりました。どーでもいいけど、一応、悲しいねぇ、といってみる今日このごろ(≧∇≦)ノ彡


ロサンゼルス警察、フィル・スペクターの女優銃撃を断定


●過去に取り上げた記事はこちら(見なくてもいいけど(^^;)








竹内まりや
Longtime Favorites
(MOON WPCL-10045)









飯田圭織
オパラディノメ
〜恋に身をゆだねて〜

(Zetima EPCE2019)





















ササキカツトシ & エミー・ジャクソン
CRY ヨコハマ
(CANYON 5A0428)

キワモノといえば、これもかなり逝ってマス。なんてたって、いきなり廃盤と書かれております。さらに、¥700にバッテンが付けられ、廃盤特価(?)500円にて販売。
カラオケ・デュエット向きのブラスロック・アナクロ歌謡。
作詞:秋山道夫/作曲:ササキカツトシ/編曲:東京評判ぼおいず with クニ河内 1984年リリース

December 01, 2003, 2003

Short-time Favorites

 売れ行きは絶好調とのご様子の竹内まりやの新作ですが、なるほど、オジさんゴコロをくすぐる選曲が憎いスねぇ。とはいえ、アルバム・タイトルとは裏腹に、長年のお気に入りになることはないでしょう。つまるところ、オリジナルに優るものなし、なのでありますな。オリジナルを知らない世代には、今のビート感を取り入れつつも原曲のイメージを損なわない編曲は、それなりにアピールするかもしれませんが、古い人間にはナ〜ンか中途半端な感じでございました。
 いっそのこと、レニー・クラヴィッツのエンジニアをしていたヘンリー・ハーシュよろしく、ビンテージ機材を使って徹底的にビンテージ・サウンドを作り上げれば、アナクロ的な面白さが逆に現代にアピールするのではないか、と。ま、シロート考えでございますが。

 しかしねぇ、それにつけても、「悲しきあしおと(FOOTSTEPS)」のアレンジは、いかがなものか、であります。
 山下氏はオリジナル・アレンジにある女性コーラスの「パッパ、パラパパッパ」がひどくお嫌いだとかで、「ディオン&ベルモンツのようなドゥー・ワップ仕立て」にしたと述べておられます。どう料理されるのか、ちょっぴり期待していたのですが、しっかり、「パッパ、パラパパッパ」のメロディがシンセで「ピッピ、ピリピピッピ」と鳴っていて、その軽薄な音色に唖然といたしました。これが現代的な味付けというのならば、まだ「古色蒼然」のほうが、個人的にはうれしいのですよ。女性コーラスの「パッパ、パラパパッパ」がキモだと感じているオールディズ・ファンは、多いと思います。しかし、それに優る何かを期待したわたくしが悪うございました、という感想です。山下氏の多重録音によるバックのコーラスについては、ベルモンツを気取ったつもりかどうかはわかりませんが、ま、多くを語りますまい(≧∇≦)ノ彡。

 竹内まりやのボーカルですが、アンドレア・キャロルの「なみだの16才」にはキュートさを、コニー・フランシスの「ボーイハント」には泣き節を入れてほしかったと思いますが、ソツの無いというか、そっけないボーカルは、やや面白みに欠けるように感じます。そういえば昔からそっけなかったですねぇ(≧∇≦)ノ彡。

 それよりも、「モー娘。」のリーダーである飯田圭織のソロ・アルバムのほうが意外性という点で、はるかに面白いといえましょう。ペチューラ・クラークの「ダウンタウン」をフランス語で 、ナナ・ムスクリの「オサヴリオ」をギリシャ語で歌っちゃったりくれちゃったりするんですから。選曲も、意外性に富んでおり、タイトルだけでわかるスタンダードから、え?なんだっけ、どこか聞いたことあるようなメロディだなぁ、とおぼろげな記憶をまさぐるようなものまで幅が広いのです。ま、ギリシャの歌などは、わたくしには馴染み薄いですが。


飯田圭織

オサヴリオ
〜愛は待ってくれない〜

(Zetima EPCE-2015)

バックは、打ち込みというかアレンジャーの前野知常のひとり楽団。といっても、大人っぽい雰囲気は漂っています。(曲によっては、コーラス、ストリングスが加わります)


 てなところで、飯田圭織の最新作『パラディノメ〜恋に身をゆだねて〜 』では、奇遇にも「砂に消えた涙」、「夢見る想い」を取り上げておりまして、わたくし的には、彼女のちょい危なげなボーカルが愛おしく思えます。また、打ち込みもあるものの、奇をてらわないアレンジは、あくまでもオーソドックスで好感が持てます。前作と違いお金ができたのか、ホーン、ストリングス、ガット・ギター、ブズーキ、アコーディオン等を使うべきところには使ってくれているといった塩梅で、全体をアコースティックなサウンドにうまくまとめてあるため、ラウンジ的な聴き方もできるでしょう。セルジュ・ゲンスブールの手による「マリン・ブルーの瞳」では、メタル系ギタリスト横関敦(よく知らない(^^;)のギター・ソロが入るのですが、意外にもしっとりと馴染んでおります。ということで、損はない買い物といえます。

 最後に付け加えておきますが、わたくしは、竹内まりやのファンです。その証拠に、こんなシングルを持っていたりするんです。KINYAの「涙のデイト」。竹内まりやの作詞作曲によるアナクロ歌謡の逸品です。プロデュースがなんとアン・ルイス(そういえば、赤坂に「LOVE」というディスコもプロデュースしてましたが、何年くらいやっていたのでしょうか?リバイバル・ブームなだけに惜しいね)という、キワモノだからゆえ、かなりマジで作られております。そして、ジャケットもしっかりアナクロしていて、ほほ笑ま


KINYA
涙のデイト
(POLYSTAR 7P-53)

「笑っていいとも」の元「よめきんトリオ」といっても、どれくらいのかたが覚えていることやら。そういえば渡辺めぐみはどうしたのでしょうか?

しいかぎりでございます。まぁ、それにしても、竹内まりやは、アナクロ歌謡を作らせたら天下一品だと、わたくしは思っています。岡田由希子の「恋はじめまして」も、実にステキな作品でした。
♪ママの選ぶドレスは似合わない年頃よ♪ 最初の四小節でノックアウトです。ま、しかし、こういう絵に描いたような思春期の少女の歌を歌える歌手が、時代的に存在し得ないのが寂しく思うのはわたくしだけではありますまい。広末涼子の「MajiでKoiする5秒前」も、曲としてはよいのだけれども、やはり時代的にはカマトトどころか、小学校低学年レベルの女の子の歌になってしまったのが残念でありました。その意味では、キンヤの「涙のデイト」は、時代を越えるB級昭和歌謡ポップス的センスの光るキワモノ・レコードとして、今でも存在感のある歌といえましょう。なんと、この曲は95年にモト冬樹&エド山ロの兄弟ユニット、東京ドンバーズによってカヴァーされておりました!新宿二丁目界隈で歌い継がれるべき佳曲であります。
 最近のテレビを見ていて感じるのですが、この手の歌の需要は結構ありそうだと思うんですがね。わたくしとしては、カヴァーは余興に留めて、ぜひこちら方面で精進して欲しいと願ってやみません。

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THE WALL OF HOUND
このサイト名の由来は、もちろんフィル・スペクターが創造したWALL OF SOUNDの語呂合わせです。 HOUNDには、マニアという意味もあるようですが、特に深い意図はありません。また、ぼくは吠えたりもしません。このサイトでは、そのフィル・スペクターの再認識と知名度の向上を第2の目的としたものです。(文責: 大嶽好徳)
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で、第1の目的はといいますと、ぼくの本業であるイラストを紹介することです。
プロフィール代わりに、どうぞご覧になってください。
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Links2/27/2001 更新
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