a yoxnox presents

JACK NITZSCHE
THE ARRANGER AS SUPERMAN

 フィル・スペクターの右腕として
ウォール・オブ・サウンドの創造に大きく貢献した
作編曲家ジャック・ニーチェは2000年8月25日、
気管支感染の再発がもとでロスにある
クイーン・オブ・エンジェルス病院で
逝去されました。享年63。
ご冥福をお祈りします。

Sorry Japanese Only




LONELY SURFER
(Reprise R9-6101)1963


DANCE TO THE HITS
OF THE BEATLES
(Reprise RS-6115)1963


CHOPIN '66
(Reprise R-6200)1966


ST. GILES
CRIPPLEGATE

(Reprise MS2092)1972

THREE PIECE SUITE: THE REPRISE RECORDINGS 1971-1974
(RHM2 7787)
レビュウはこちら

 ジャック・ニーチェは、ロック/ポップス・シーンにおいて、特異であり、そしてひときわ高い知名度を持つアレンジャーでした。この知名度とユニークな作風をもたらしたのは、いうまでもなくフィル・スペクターの存在が大きく、ニーチェの才能を開花させる触媒として大きく働いていました。同時にスペクターにとっても、彼の存在なしでは「ウォール・オブ・サウンド」を創ることが困難であったはずでしょう。スペクター作品のほとんどを手懸けたエンジニアのラリー・レヴィンは、「ジャックは、フィルの鉛筆みたいなものだった」と語っていました。

 ジャック・ニーチェは、ドイツ移民の子として、1937年4月22日ミシガン州シカゴに生まれました。本名は、アルフレッド・バーナード(Bernard)・ニーチェ。5歳のころからピアノを始め、高校を出るまでクラシックをやっていました。また、高校時代にはクラリネットやテナー・サックスを習い始め、学校のバンドに入ったり、ミシガンの小さなクラブで演奏したりもしたそうです。
 ハリウッドにあるウェストレイク音楽学校へ進学するためにカリフォルニアに出て来ましたが、ロックン・ロールの魅力に負け、学業はそっちのけで曲を書いたり、レコード会社を訪ね歩いたりしました。またロックに夢中になる前は、ディジー・ガレスピー、リー・コニッツ、スタン・ケントンなどのジャズをよく聴いていたといいます。ニーチェ自身は正式な音楽教育を受けなかった、と語っていますが、こうした幅広い嗜好が独自のアレンジを産む礎になったのでしょう。
 やがて、スペシャルティ・レコードのA&Rマンだったソニー・ボノと出会い、譜面起しの仕事を手始めにレコード・ビジネスの世界に入りました。アレンジャーとしての最初の仕事は、ケリィ・リンの「Summer Days」のストリングス・アレンジでした。次に手掛けたプレストン・イップスの「Bongo Bongo Bongo」は、ニーチェにとって最初のチャート・イン・シングルとなりましたが、ボンゴが鳴り響くだけの取り立てておもしろい作品ではありません。

 スペクターとはクリスタルズの「He's A Rebel」の時に初めて会ったと、ニーチェ自身は語っていますが、ニューヨークのホワイト・グループ、デュケインズのメンバーだったエディ・ブライアンによれば、それ以前の1961年、ニューヨークのスペクターのオフィスで彼らのデビュー・シングルのために譜面起しを手伝っていたということです。
 ソニー・ボノと共作した「Neadles And Pins」は、スペクター・サウンドのアレンジでジャッキー・デシャノンが歌い、1963年にそこそこの成功を収めました。しばらくして、イギリスのサーチャーズがカバーすると世界的なヒットとなりました。
 初のソロ・シングル「The Lonely Surfer」は、サーフ・インストの定番として数えられ、その6弦ベース、カスタネット、ベルが創りだすサウンドは、彼のスタイルのひとつとなりました。そのサウンドの集大成といえるのが『CHOPIN '66』です。ショパンのピアノ曲に題材を求めたセルフ・プロデュースによる、このイージー・リスニング・アルバムは、もっと評価されていい作品といえます。

 1972年には、ストラヴィンスキーのリズムとアイヴズの不協和音を合せ持ったネオ・クラシック作品『ST. GILES CRIPPLEGATE』を発表しています。これは、デイヴィッド・ミーシャム指揮、ロンドン交響楽団の演奏によるもので、ニーチェのルーツが窺える興味深いアルバムでした。録音は、アルバム・タイトルにもなっているロンドンにあるセント・ギルス教会で行われました。
 70年代に入ると、スペクターとの別れと入れ替わるように押し寄せたフォーク・ロック、ソフト・ロックの波にもうまく乗り切りながら、仕事の中心を映画へと移していきます。そのきっかけともいえるのが、ミック・ジャガーとの縁で担当した70年に公開された『PERFORMANCE』です。新しい映像感覚に見事にマッチさせたスコアを提供しました。70〜95年にかけて30本以上の映画音楽に携わり、『愛と青春の旅立ち』の主題歌はアカデミー賞に輝いたことは、よく知られるところでしょう。

 また興味深いところでは、井上陽水の1974年のアルバム『二色の独楽』にもアレンジを提供しています。
SOUNDTRACKS



ONE FLEW OVER THE CUCKOO'S NEST
(Fantasy F-9500)

1. Prelude #15 in D Flat,
Op. 28 (Raindrop)
2. Funeral Procession
3.Revolutionaty Etude
4. Fantasie Impromptu
5. Prelude #6 In D, Op. 28
1. Etude In E
2.Prelude #1 In C, Op. 28
3.Funeral Mrch
4.Prelude #4 In G
5.Prelude #3 In G, Op. 28

 

英国人マーティン・ロバーツ氏が運営するジャック・ニーチェに関する充実したサイトです。

9 8 7 6 5 4 3 2 1 0

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THE WALL OF HOUND
このサイト名の由来は、もちろんフィル・スペクターが創造したWALL OF SOUNDの語呂合わせです。 HOUNDには、マニアという意味もあるようですが、特に深い意図はありません。また、ぼくは吠えたりもしません。このサイトでは、そのフィル・スペクターの再認識と知名度の向上を第2の目的としたものです。(文責: 大嶽好徳)
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で、第1の目的はといいますと、ぼくの本業であるイラストを紹介することです。
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Links2/27/2001 更新
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