「南小学校出身、相田ケンスケです。
 趣味はカメラとサバイバル・ゲームかな。
 ひとつお手柔らかに」

「鈴原トウジです。南小学校でした。
 好き嫌いのう何でも食べれるんが自慢です。
 みなさん、よろしゅうに」

「初めまして、誠和小学校から来ました洞木ヒカリです。
 よろしくお願いします」

真新しい制服に身を包み、1人ずつ自己紹介していく。
皆いく分緊張した面持ちだ。
それぞれ簡単ながらも、それなりに個性のある挨拶だった。
知っている顔は、ほんのわずかしかない。

これからうまくやっていけるんだろうか?

そんな心配をしていると、
昔からずっと耳に馴染んでいる声が聞こえてきた。

「惣流アスカです!」

え? もう、アスカの番?
じゃあ、次ボクだ。なんて言おう!?
エと、エと・・・・





Welcome
第17話
生徒諸君!





「それでさ、シンちゃん」
「何? レイ」
「あのネ、あのネ」
「ちょっと、レイ! 何やってんのよ!?」
「へっへーん。・・・・羨ましい?」
「な!」
「あ、アス・・カ、・・・・く、苦・・しい」
「エ? あ、キャー! シンジ、シンジ!?」
「大丈夫? シンジ君」
「う、うん。平気だよ、マナ」

朝。
始業前の2−Aの教室は、いつものように喧噪に包まれていた。
シンジを真ん中にアスカとレイ、そして昨日から加わったマナ。
彼らの周りは一層けたたましい。
楽しそうにしゃべり、ふざけ、じゃれ合う。

そんな彼らを少し離れた所から眺める目があった。
ヒカリは大きなタメ息をつくとポツリと呟いた。

「・・・・いいなぁ」
「何がや?」

独り言に思い掛けない返事が返ってきたので、
ヒカリは文字通り椅子から飛び上がって驚いた。

「す、鈴原・・・・君」
「な、なんや? 何そんな驚いとんねん」
「う、ううん。なんでもないの」
「なら、ええんやけど・・・・。心配事でもあるんか?」
「そ、そんなコト・・ないよ。・・・・ありがと、心配してくれて」
「え、いや、その・・・・お、ケンスケ。おはようさん」

思い掛けないヒカリの反応にトウジは戸惑ってしまい、
ギクシャクと音を立てながら、わざとらしくその場を離れる。

「・・・・ばか」

そう呟いたヒカリの言葉は、誰の耳にも届かなかった。





「さぁ〜て、お待ちかねのクラス役員の改選、始めるわよ」

嬉しそうなミサトの台詞に、
2年A組の空気はさわさわと揺らめいた。

「自薦、他薦。どっちでもいいから、ふさわしい人選んでね」

そんな珍しく教師らしいお言葉を並べると、
ミサトは教室の隅の方へと引っ込んでしまった。

ざわざわざわ

教室は一気にざわめきを増した。
そんな中で、ヒカリはそっとタメ息をついた。

(どうせ、またアタシなんだから・・・・)

ヒカリがそう考えるのも無理はなかった。
なにしろ小学校入学以来、連綿と学級委員、クラス委員長を
任され、いや、押しつけられてきたのだから。


ヒカリ自身、積極的にやりたいワケではなかった。
いや、できれば選ばれたくなかった。
委員長など、体のいい雑用係というのは、今も昔も変わりはない。

これが公立校だったら、受験時の内申に有利!
というメリットもあろうが、ここは中高一貫だからそれもない。
全くもって、いいトコなし。
損なだけの役回りである。

とはいえ、結局誰かがやらなければならないのだし、
それが自分になっても仕方がない、そう思ってしまうヒカリだった。

ほどなくして、

「洞木さんがいいと思いまぁす」

という声が上がる。


(あ〜ぁ、またかぁ)

すっかり諦念の域に達した心境で、ヒカリは心に呟いた。
しかし、思いも掛けない声がそれに続いた。

「あ! アタシ、やってみたい!」

(エ?)

驚いて振り返ると、軽く手を挙げたままの霧島マナの姿があった。

おお!

教室が大きくどよめいた。

「ちょっと、マナ。アンタ正気?
 なぁんでそんなメンドいポスト、やりたがるの?」
「ん〜? すっごいメリットあるんだけど」
「エ〜!? メリット? 何、何? それって」
「ヒ・ミ・ツ! いくらレイでも教えられないよ」
「けちィ〜!!」
「何とでも言って」

それから、アスカとレイは交互に鋭く問い詰めたが、
マナは無邪気そうに微笑むばかりで、見事にトボケて見せる。

「はい、静かに!」

パン、パン、と手を叩きながら、ミサトは教卓の前に戻った。

「他にはいない? じゃあ、投票始めるわよ」

そう言って、投票用紙を配り始める。

(それでも・・・・結局アタシなんでしょ!?)

ヒカリはもう一度タメ息をついた。


2年A組32名による投票結果が、ミサトから発表された。

「霧島さん17票、洞木さん16票」

ワザとらしくミサトはそこで間を空けた。

ざわざわざわ

これまでにないざわめきが教室に広がった。
それから、ピーンと張り詰めた空気と静寂が訪れる。
それでもミサトは、いつもの楽しそうな口調のままだ。

「それじゃあ、2学期のクラス委員は霧島さんに決定〜!
 よろしくお願いネ、霧島さん」
「はい!」

ミサトに負けず劣らず嬉しそうな返事をマナが返した。


ヒカリは目の前が真っ暗になった気がした。
別に委員長になりたかったワケではない。
いや、辞退したい位だった。
それは本当。
でも・・・・、なんで?
なぜ、こんなにショックなの?
アタシ・・・・

頭の中をいろいろな思考の断片が駆け巡っている。
でも考えがまとまらない。
マナの司会で続けられるホームルームの間中、
ヒカリは青ざめた顔で、呆然と視線を彷徨わせていたのだった。





クラス役員の改選も(表面上は)滞りなく終わり、
本日の全日程は終了した。
にも係わらず、あらぬ方向を見やるヒカリに、
笑顔をひきつらせながらアスカは声を掛けてみた。

「あの、ヒカリ? 大丈夫?」
「・・・・あ、アスカ。何?」
「そ、その・・・・よ、良かったじゃない。
 ヒカリ言ってたよネ?
 もう委員長なんかやりたくないって」
「そうネ・・・・」

レイも出来るだけ朗らかに話し掛けた。

「あ、クラス委員の仕事から解放されるんだし、
 今日から鈴原君と一緒に帰るようにしたら?」
「そうネ・・・・」

マナは心からすまなそうな表情で謝罪した。

「ごめんネ、洞木さん。アタシ、どうしてもやってみたくて・・・・」
「そうネ・・・・」

しかし、ヒカリは虚ろな返事をただ機械的に返すだけだった。
そんな様子を見かねたケンスケとシンジに押される格好で、
トウジはヒカリの前に立った。

「い、委員長・・・・」
「もう・・・・委員長じゃない・・・・」
「あ、そ、そうやったな」

ヒカリの反応に怯みながらもトウジは続けた。

「その・・・・きょ、今日一緒に帰らんか? 良かったらやけど。
 あ、そんで、どっか寄って行かんか? おごったるわ、ワシ」
「なんで?」
「その、いつも弁当食わせてもろとるから・・・・その礼や」
「ホント?」

トウジの台詞に、ヒカリの表情がパァーと明るくなる。
その様子にトウジはホッとした。

「ほ、ホンマや。だから、元気出しぃや、委員長」
「・・・・委員長じゃない」
「あ、や、す、スマン。ずぅっと、そう呼んどったさかい、つい」

せっかく晴れかけたヒカリの顔が再び曇ってしまい、
トウジはすっかり慌ててしまった。
しかし、フォローしようにも何と言えばいいのか、
全く思い付かず、虚しく口を開閉させるだけだった。
見かねて、ケンスケが口を挟む。

「トウジ、いい機会だから、洞木さんの呼び方変えろよ」
「ちゅうても・・・・。なんちゅうたら、ええんや?」

そこでトウジは頭を抱えてしまった。
きっちり5分は考え込んだ後、ポンと手を叩いて、
ヒカリの方に向き直った。

ヒカリの鼓動が早鐘を打つ。
緊張した面持ちのヒカリに対して、トウジは晴れやかに言った。

「どや? 『元・委員長』ちゅうんは?」

ヒカリの顔色に変化が表れる前に、
周囲からものすごい罵声の嵐がトウジを襲った。

「アンタばかァ!? なぁにが『元』よ?
 政治家じゃあるまいし、何考えてんの?
 信じらんない!」
「トウジ・・・・いくらなんでも、それはないよ」
「鈴原君、デリカシーって言葉知らないの?」
「そりゃあんまりだよ、トウジ」
「それじゃ、ヒカリちゃんがかわいそうよ」
「女性に対する思いやりに欠けるネ。その言葉は」

一斉に浴びせられた非難にたじろぎつつも、
トウジは不満そうな顔をした。

「な、なんや? おのれら。よってたかって、そないまで言わんでも。
 ほな、どないせェっちゅうんじゃ!?」

トウジが喚くと、皆一斉にタメ息をついた。
それから一同を代表してケンスケがその質問に答える。

「簡単だろう? 名前で呼べばいいんだよ」
「そ、そりゃあ・・・・そうや」
「解ったら、即実行!」

ケンスケのダメ押しに、うっと言葉に詰まるトウジ。
6対の視線は凄まじい圧力だった。
トウジはギクシャクと、ヒカリの方へ改めて振り向いた。

とくん!

思わずヒカリの鼓動が跳ね上がった。





その時、アスカが想い出したように付け加えた。

「あ、言っとくけど、名字はダメよ。
 ちゃんと名前で呼んだけなさい」
「な!? なんでや?」

慌てまくるトウジにレイがクスクス笑いながら補足する。

「仮にもお弁当作って貰ったり、
 ペアルックで花火見に行ったりする仲じゃない。
 親愛の情を込めて、『ヒカリ』って呼んであげなさいよ」

これにはヒカリも真っ赤になってしまう。

「エ〜〜!? 鈴原君と洞木さんって、そういう仲だったの?
 知らなかったぁ〜〜」

と、これは霧島マナ嬢。
ワザとらしい程驚いて、それでも興味津々といった様子で、
ヒカリにアレコレ問い質し始める。

「ネ、ネ。いつからなの? どうやって?
 手くらいはつないでるわよネ。
 キスは? した? それとも、もっと・・・・きゃ〜〜」
「そ! そんな。そんなんじゃ・・・・
 アタシ達別に・・・・」

すっかり完熟トマトと化してしまったかの様なヒカリは、
俯いたままモゴモゴと応える。

「な、何言うとんのや、霧島」

まさに爆発寸前、といった感じのトウジをカヲルがなだめる。

「まぁまぁ。幸せ者がからかわれるのは世の常だよ」
「何や、その幸せモンちゅうんは!?」
「トウジ、話を戻そうよ」

控えめながら笑いを含んだ声でシンジが口を挟む。

「?」
「だから・・・・、早く呼んであげなよ。洞木さんの名前」
「う・・・・」

(こ、これが・・四面楚歌っちゅうやつか?)

トウジは国語の時間に習った故事成語を実感した。
一方、ヒカリは頬を朱に染め上げたまま、
それでも期待に胸を膨らませていた。

いつも思っていた。
今朝も思った。
アスカが羨ましい・・・・
綾波さんが羨ましい・・・・
霧島さんが羨ましい・・・・


優等生だろうが年頃の女の子、
恋する夢見がちな乙女に違いない。
好きな男の子に自分の名前を呼んで欲しい。
鈴原トウジに『ヒカリ』と呼んで貰いたい。
ずっと胸にしまっていた願望が、
思いも掛けない展開で実現しようとしている。

先程から百面相を繰り広げているトウジに期待を込めた視線を送る。
そんなヒカリのまなざしに気付いたトウジは、ようやく決心した。
ごくり、と大きな音を立てて唾を飲み込む。
1つ咳払いをして・・・・しばし静寂が訪れる。

「あ、あ、・・・・その、委い、・・・・ヒカリ・・さん・・・・」
「・・・・はい」

一瞬の間を置いて、歓声が上がった。

「おめでとう、ヒカリ」
「よかったネ、ヒカリちゃん」
「おめでとう、洞木さん」

女の子達が口々にヒカリを祝福する。

「よく言った! トウジ」
「それでこそ男だよ」
「幸せの極みだネ」

ケンスケたちは、冷やかし半分にトウジを誉めそやす。
居たたまれなくてって、トウジは乱暴な口調で話題を逸らした。

「も、もう、ええやないか! それより、は、はよ帰ろ!
 お、遅うなってまう」

そんなトウジに意外にもシンジが追い打ちを掛ける。

「せっかくだから、2人っきりで帰りなよ」
「し、シンジ・・・・」

絶句するトウジを横目に、

「安心してネ、ヒカリ。邪魔はしないわ」
「そ、馬に蹴られたくないモンね」
「アスカ・・・・、綾波さんも・・・・」

そして、ケンスケがトドメを刺した。

「それでは、幸せ者2人の前途を祝して・・・・
 バンザ〜イ! バンザ〜イ! バンザ〜イ!」

2人は揃って目が眩みそうな気がした。
トウジは自分のカバンをワシ掴みにすると、ヒカリに声を掛けた。

「こ、こんなヤツらほっといて、帰るで。
 委い・・・・、ヒカリ・・さん」
「・・・・はい」

ヒカリは素直に従い、自分のカバンを手に取ると、
その後に続いて教室を後にした。





「ちょっと、からかいすぎたかしら?」
「大丈夫よ、レイ。渚君も言ってたじゃない。
 幸せな人がからかわれるのは宿命なんだから」

心配そうなレイに、楽しそうに笑いながらマナが言った。
その台詞にケンスケは、

(それじゃあ、君らはからかわれ続ける運命なんだ)

と、心の中で突っ込んだ。
口にしなかったのは、経験による学習の結果だった。
咳払いをしてから、ケンスケはみんなに向き直って言った。

「と、とにかく当初の目的は達成された。
 みんなの協力、感謝する」
「アンタもたまには、いいコト思いつくじゃない」
「ナツミちゃんでしょ? 発案は」
「結構楽しかったネ」
「大丈夫かな? あの2人」
「平気よ、シンジ君。あの調子なら」

ガラッ

ドアの開く音に振り返ると、ミサトが立っていた。
そして開口一番、

「どう? うまくいった?」

楽しそうにケンスケに尋ねる。

「シナリオ通り! 問題ありません!」

グッと親指を立て、誇らし気にケンスケが応えた。


そう。
今日の一件は全てケンスケ及びナツミ発案によるモノだった。
シンジ達を羨ましそうに見ているヒカリ。
そんなヒカリの思いに気付きもしないトウジ。
なかなか進展がない2人にナツミが業を煮やして書いたシナリオだった。
その上で、ミサトを含めた2−A全員(当然ながらヒカリとトウジは除外)、
を巻き込んでの大芝居が実行されたのだ。
そして、それは大成功の内に幕を閉じたようだ。





「ところで、霧島君」

ふと思いついたようにカヲルが尋ねた。

「ホームルームで言ってたのは本当かい?」
「?」
「クラス委員のメリット」
「ああ、アレ?」

そこでチラッとシンジに視線を向けると、マナは嬉しそうに応えた。

「だって、手伝ってくれるわよネ、シンジ君」
「エ? あ、う、ウン・・・・」
「公務でシンジ君と2人っきり・・・・。役得でしょ?」

うっとりとした表情のマナにアスカが噛みついた。

「あ、アンタ、そんなコト考えてたの?」
「ずるぅ〜い! マナ」
「しまったぁ! ボクとしたコトが、その点に気付かなかったぁ!」

3人の反応にマナは勝ち誇った表情で宣言する。

「さ、邪魔者は散って!
 アタシとシンジ君は、これからフ・タ・リ・で、お仕事なんだから」
「な、何言ってんのよ!?仕事なんてないじゃない!!」
「シンちゃんはアタシと帰るの!」
「シンジ君、ボクと一緒にかえ・・・・」
「「「却下!!」」」

閑散とした教室にいつもの喧噪が戻った。
そんな状況をミサトは無責任にも楽しそうに眺めている。

「はぁ〜、平和だネェ〜」

ケンスケは独りゴチた。





翌朝。
教室に入って来たミサトが(打ち合わせ通りに)言い出した。

「いや〜、ゴメン、ゴメン。
 昨日の投票、アレ、無効ね」

事情を知らないヒカリとトウジが不思議そうな顔をする。

「実は昨日、有効投票数より1票多かったのよネ。
 誰? イタズラしたの?
 ま、たいしたコトじゃないからいいけど・・・・
 仕方ない、もう1度投票やり直しネ」

その結果は・・・・あえて記す必要があるだろうか?

(何? コレ? 昨日の今日で、どうして?)

そんなヒカリの戸惑いも知らぬ気に、
やはり楽しそうにミサトが続ける。

「アラ〜、昨日と全然違うわネ。
 ま、いっか。霧島さん、いい?」
「アタシは構いませんけど」
「じゃ、悪いけど洞木さん、お願いネ」


こうして、元のサヤに収まった。


・・・・全て。


「あんな、委員長」
「何? 鈴原」

以前と変わらぬ2人の様子にケンスケは長いタメ息をついた。

「あ〜あ、あの苦労は何だったんだろう」
「いいじゃない、ケンスケ。
 以前に比べたら、随分自然になってるよ」
「まぁ、それはそうだけどさ」
「2人とも、特に洞木さん、幸せそうじゃない?」
「うん、まぁ」
「なら、それでいいじゃない」

楽しそうにシンジはそう断言すると、
優しい眼差しで2人を見つめるのだった。


[to be continued]




みきさんへの感想はこ・ち・ら♪   


今日は平穏だった人のコメント

ゲンドウ「うむ、平和とは良い物だ」

冬月  「のっけからなんだ、碇よ」

ゲンドウ「落ち着いて生活ができる日々というのは実に良い物だ、と言っただけのことだよ」

冬月  「おまえの辞書に平和などという文字があるとは、ついぞ知らなかったぞ」

ゲンドウ「ふっ 青春時代とは良い物だ」

冬月  「碇・・・・何かやばい物でも食ったか?」

ゲンドウ「冬月、何を言うか。私はこの話を見ていてそう思っただけのことだ」

冬月  「クラス委員か。さしずめおまえはクラスのつまはじき物としてさんざんっぱら風紀委員につきまとわれた口だろう」

ゲンドウ「おまえの場合は不良学生を更生させようと無駄な努力をする風紀委員だな」

冬月  「む・・・・」

ゲンドウ「まあいい。じつに、平和とは良い物だ。ユイにいぢめられない生活とはすばらしい」

冬月  「(ほとんどが自業自得だろうに・・・・)今日は彼女は?」

ゲンドウ「さあ。朝早くにどこかに出かけていったが」

冬月  「ほう・・・・・う゛・・・・

ゲンドウ「どうした、冬月」

冬月  「・・・・いや、なんでもない」

ゲンドウ「こんな五月晴れの日に、なに脂汗を浮かべているのだ」

冬月  「・・・・いや、ちょっとな」

ゲンドウ「そうか。まあいい。いやぁ、ユイがいないとこうも羽を伸ばせるとは。平和とは良い物だ」

冬月  「(・・・・言えない・・・・そこの電柱の影からユイくんがメモを取りながらこっちをのぞいているなどと、言えない・・・・汗)」


続きを読む
前に戻る
上のぺえじへ