June 24,1998

vol.3






フィルとロニー、22年目の争い



 ダーリン・ラヴは、スペクターにとって最大の功労者とも呼ぶべきシンガーであったにもかかわらず、フィレス・レコードでは、ほとんどスポットライトを浴びることはなく、裏方に甘んじていた。しかし、昨年、ようやく、その努力が少し酬われた。法廷はスペクターにダーリン・ラヴに対する権利使用料で$263,000(およそ3,550万円)を払うように命じたのだ。
 しかし、災難はこれだけでは終わらなかった。今度はロネッツが、スペクターに噛みついたのである。

 ロネッツは、フィルの前妻であるロニー・スペクターの音頭取りによって、1,000万ドルの民事訴訟を提起した。 これは、1988年にさかのぼって争われるもので、契約不履行による 稼ぎ高の不足分と、さらに、要求のかなめはここにあるのだが、彼女らのオリジナル・レコーディングの所有権を明らかにするものだ。彼女らは、1964年以来10セントすら印税を受け取ってない、と言う。

 「レコードが、これらの年を通じて売れ続けたことを私たちは知っている」と、ロネッツの弁護士はニューヨーク・デイリィ・ニュースに語った。「数十年にわたりフィルは多くのお金を得たはずだ。」

 一方、フィル・スペクター陣営による反論は次の通り。
 ロニー・スペクターは、ロネッツのレコードに対するすべての権利を1976年の両者の離婚時に譲渡したと、かつての弁護士が語っていること。
 この時の合意は、世間の常識からいっても、将来におけるフィルへの賠償請求および民事訴訟の放棄を意味しているのは明らか。

 この民事訴訟は、裁判官の裁定によって楽曲から得る利益は時効を考慮し1981年までに制限された。
 ダーリン・ラヴの例もあり、それ相応の出費をスペクターは覚悟しないわけには行かないだろう。






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