時に西暦2017年、シンジにとって忘れられない年になろうとしていた。
 エレベーターが目的地まで到着する時間がこんなにも長かったのかとうんざりす
るぐら
い乗っているような気がする。
 観念してはいたが、逃げたい気持ちでいっぱいだった。

「逃げたいって考えているでしょ?」

 アスカはジト目をシンジに向けたままそう切り出した。

「えっ?いや・・・あの・・・」

 図星をつかれて吃ってしまうシンジ。
 やっぱりね、という顔を浮かべてアスカは続けた。

「アンタの考えていることぐらい分かるわよ。どうせ、マネージャーに添寝を頼ん
だんで
しょ?」
「う・・・・ゴメン・・・そのとおりです・・・」
「あのねぇ!やっぱり日本で・・・・まぁいいわ。部屋でゆっくり話ましょ?」
「うん・・・」

 そして、シンジの部屋の扉は開かれた。


「さてと・・・どうして電話してこなかったのかしら?めんどくさかったなんて理
由はな
しよ!」
「はい・・・アスカの考えているとおりです。つい近くにいる存在に頼ってしまう
僕が悪
いんです。電話しようと思ったけど・・・その、アスカに迷惑かけたくなかったし
・・・」
「迷惑?迷惑ですって?いつも迷惑かけまくっているくせに!今更なによ!」
「ご、ごめん・・・」
「もう良いわよ!今度からあたしもついていくんだから!!そう決めたんだから!
!」

 ビンタぐらい飛んでくると思ったが、それもなく。
 ほっと胸をなで下ろしたシンジにそう言うアスカ。

「え?アスカ。学校とかはどうするの?」
「学校はもう辞めてきちゃった!シンジだって結構儲かってきたしさ・・・」
「だめだよ!友達とかはどうするのさ!」
「ヒカリには説明してきたわ。シンジが心配することないんだから」
「でも・・・」
「ん?なんか文句でもあるわけ?ん?添寝?ん?」
「あ・・・いえ・・・なんにも」

 結局、アスカの尻に敷かれっぱなしのシンジであった。

「それなら良いのよ・・・ちょっとマネージャー呼んでくれる?シンジ」
「わかったよ・・・」

 そう言うとシンジは内線電話でレイを呼び出した。
 数分もしないうちにレイはシンジの部屋にくる。

「呼びましたか、シンジさ・・・」

 アスカの姿を見て一瞬凍り付くレイ。

「何のご用でしょうか・・・」
「いいから、ちょっとこっちにきなさいよ」
「はい・・・」

 有無言わさない迫力のあるアスカにいわれると逆らうことができないのはレイも
一緒で
ある。
 素直に従うとアスカの横にちょこんと腰を下ろした。

「シンジに手は出していないわよね?」
「ちょ、アスカ」
「シンジは黙ってて!ねぇ?シンジのことどう思ってるの?」
「シンジさんのことは好きですよ。好きじゃないとマネージャーやってられません
」

 さらりと言うレイ。
 アスカもまさかそういう答えが返ってくるとは思わなかったのか、口を開けてレ
イを見
ている。

「あ、でも。愛しているとか、恋人で居たいとかそんなんじゃないんです。ただ、
側に居
れればいいなって・・・」
「あんたそれで満足なの?」
「はい!だって、それ以上になるとアスカさんに・・・」
「アタシのことなんて関係ないわ!」
「え?でも・・・碇さんは・・・」
「シンジがどうしたのよ?」
「碇さんはアスカさんを愛していると思います。だって・・・そうとしか考えられ
ません」

 レイはアスカとシンジを交互に目をやると、

「それでは、私はこれで・・・碇さん、明日は演奏の日ですから早目に寝てくださ
いね」

 そういって部屋を出た。

「ア、アスカ?取り敢えず・・・ゴメン。やっぱりアスカがいないと何にも出来な
いよ、
だから、アスカ・・・??」

 アスカはレイが出ていった扉を見つめていた。

「シンジ・・・アンタはあの子のことどう思ってるの?」
「ど、どうって?」
「好きなのかって聞いてるのよ!どうなの?」
「もちろん好きさ・・・でも・・・」
「ライクってこと?」
「うん・・・・」
「・・・・あの子が言ってたことは本当なの?」
「アスカ・・・僕は、アスカのことライクな関係だって思ってない」
「じゃ・・・シンジ」
「愛してるよ、アスカ」
「シンジ!!」

 抱き付くアスカ。勢い余ってベッドに倒れこんでしまう。
 アスカの髪の毛がシンジを誘惑するように顔を撫でる。

「アスカ・・・アスカのにおいだ・・・」
「シンジ・・・・」

 二人の影がゆっくりと重なってベッドに沈んでいく。



 その頃、隣の部屋では。

「クスン・・・碇さん・・・」

 レイが泣いていた。

「でも、これでいいの・・・これでいいのよ・・・」

 なんとか自分を納得させようとするが、涙が後から後からあふれて止まる気配は
一向に
ない。
 アスカとシンジの間には私の入れそうなスペースはない。
 私は、アスカさんの代りでしかないのよ。
 そんな事が頭の中をグルグルと回りはじめて止まらなくなる。
 さらに涙の量が増えた。

「碇さん、碇さん、碇さん、碇さん・・・・」

 彼の名前を何度も何度もつぶやいた。
 枕が自分の涙で濡れていくのがわかる。
 レイはもう考えずに寝てしまおうと思った。しかし、そう簡単に眠れるものでは
ない。
 目をつぶってはシンジの顔が浮かんできて目を開ける。
 それを数十回繰り返した後、レイは眠ることを諦めて、シャワーを浴びることに
した。

「はぁ・・・碇さん・・今ごろどうしているのかしら・・・演奏会は朝からだから
もう寝
たのかな?」

 そんなレイの呟きが、シンジに届くわけがなく、そのままシャワーを浴びて朝を
迎える
レイであった。


 つづく

作者とチルドレン達のあとがき OHCHAN:やっと発表です。 アスカ:時間が経ったわりにはみじかいのね? OHCHAN:はい・・・すいません。 アスカ:あら、今日はやけに素直なのね・・・ OHCHAN:はぁ、そうでしょうか・・・ レ イ:OHCHANさん。こんにちわ。これは涙・・・泣いてるのはわたし? アスカ:いきなり現れたかと思ったらなに分け分からない事言ってるのよ! OHCHAN:ごめん、今日は頭の中が爆発気味なんだ・・・ レ イ:そう、わからない・・・先、いくから・・・ アスカ:えぇーい!!分け分からないじゃないの!! シンジ:はぁはぁ・・・ごめん、遅れちゃった。 アスカ:シンジ、何やってたのよ!?まったく! シンジ:ごめん、それで?どこまで話は進んでるわけ? アスカ:ぜんぜん進んでないわよ!作者は頭の中爆発してるし!レイは分け分から ないし! シンジ:そうか・・・これも、僕の世界。僕はここにいてもいいんだ! アスカ:へ?いやぁーー!!シンジまで分け分からなくなってる!もうなんとかし て!  その時、せむし男の影男が現れて、亜空間を勝手に作ってしまう。  アスカは逃げるように、亜空間に入っていった。  そのご、シンジとレイの姿が見えなかったのは言うまでもない。


OHCHANさんへの感想はこ・ち・ら   


管理人(その他)のコメント

レイ 「わたし、どうしていつも悲しい役なの?」

カヲル「ん? どうしたんだい?」

レイ 「どんなにわたしが碇君を望んでも、碇君はあの人の方しか向いてくれない。わたしの方を向いてくれない」

アスカ「おーっほっほっほっ! それはアタシが女性としての魅力をあんたより備えているってことよ!!」

カヲル「・・・・その悪女笑い、やめた方がいいと思うよ・・・・」

 どかあっ!!

アスカ「なにか、言ったかしら? 渚カヲル君?(にこっ)」

カヲル「な、な、なんでもないです・・・・(大汗)」

レイ 「あなたはそうやって碇君を縛り付けている・・・・ひどい女・・・・」

アスカ「だ、だれがひどいって言うのよ!」

レイ 「あなた(びしっ!!)」

アスカ「な、な、なっ!!」

レイ 「待っていて、碇君。わたしがいつか、あなたの歪まされている目を醒ましてあげるから・・・・」

アスカ「をいをい・・・汗」


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