春のうららかな陽差しの中−−−−

少年は机に向い、頬杖をつきながら面倒そうにペンを動かしている。
少女はベットに寝そべって、おもしろくもなさそうに雑誌を眺めている。
長期休暇のたびに繰り返されてきた光景だった。

「宿題は自分でやるモノよ!」

そんな少女の信念の為、少年は彼女の監視下でただ黙々と問題に対する。
言葉を交わすコトもなく、ただ時間が過ぎていく。

ふと、つけっぱなしだったテレビに視線をやった少年は、
不思議そうに首を捻る。

「ね、アスカ・・・・」
「ん〜? なぁにぃ〜?」

少年の言葉に顔を向けるでもなく、少女は気怠げに返事を返すだけだった。
そんな少女の態度を、さも当然のように受け流し、少年は言葉を続ける。

「この投手・・・・どっかで見たコト、ない?」
「知らないわよ、そんなの」

テレビには甲子園のマウンドとそこで投球練習を行う背番号13番が映っている。
しかし、少女は画面を覗くコトもせず、そっけなく答える。

「それより、早くやっちゃいなさい。
 そいつが終わんないと、何処にも遊びに行けないじゃない。
 ・・・・まぁったく、もうすぐ中2になるってェのに、
 相変わらず、だらしないんだからぁ〜」
「・・・・別にボクは頼んでないのにィ・・・・。
 アスカが勝手に世話焼いてるだけじゃないかァ〜」
「なぁ〜〜んでェすってェ〜〜!!」

結局いつもの他愛もないケンカが始まり、
少年も少女も画面に浮かんだテロップなど気にもしなかった・・・・





Welcome
第20話
ヤングマン






「・・・・と言うワケでェ、朝のHRはおっしまぁ〜い」

ミサトは、教師とはとても思えない軽いセリフで話を終えると、
いつものようにさっさと教室を後にする。

ガラガラガラ・・・・ピシャ

ドアの閉まる音が消える間もなく、
2年A組の教室は蜂の巣をつついたような喧騒に包まれる。
授業が始まるまでのわずかな時間を満喫しようと、
ほとんどの生徒は無駄話に花を咲かせる。

中には今さらながらの悪あがきで、
必死に友人のノートを写しているような者もいる。
感心なことにシンジを初めとする面々に、
女性陣とカヲルは当然として、そのような不届き者はいない。

例えば、トウジ。
彼の場合、何かと世話を焼いてくれるヒカリの存在が大きい。
何しろ、つきっきりで完璧な家庭教師を演じてくれる。
昨日もそうだった。
夕飯の支度をしなくて良かろうモノなら、
そのまま鈴原宅で一夜を明かしたのではないだろうか?
という程の熱の入れようだった。

シンジの場合。
コレまた、世話を焼いてくれる女の子がいる。それも3人。
(さらに男子に約1名ほど希望者が存在するが・・・・)
彼女等の誠意に応えるため、自らの生命を守るため、
1学期以来、彼は努力の人となっている。

・・・・いったい何から生命を守るのか?
彼女等のファンからか?
はたまた・・・・
そういった野暮は思考から除外してしまう技術を、彼は体得している。


ケンスケの場合は、少々異なる。
彼が宿題をこなし、完璧な予習を行うのはある1教科だけに限られている。


それは1学期のある日のコトだった。

彼は3日間学校をサボった。
なにしろ太平洋艦隊所属の新鋭空母『ドロス』が初めて佐世保にやって来るのだ。
その情報に接したケンスケの反応は、まさに夜の街灯に群がる羽虫の如し。
ふらふらと考える間もなく、いつに増した重装備に身を固めると、
長崎行きの切符を片手に、列車に飛び乗っていた。

至福の時を噛み締めた彼だったが、街に帰れば現実が待っていた。
翌日、早速職員室に呼び出された。
とは言え、ミサトもメンドくさそうに、テキトーな正論を並べるだけだった。

内心、

(アタシもよくやったモンなぁ〜)

これではまともなお説教になろうはずもない。
ただ、彼女は学年主任の方井先生の顔色を伺っているだけのコトだった。

この辺りはケンスケも心得たもので、

(まぁ、これ位だったら予想の範囲だ)
(それより、早いところデータの整理しなきゃ・・・・)

などと、心ここにあらず、今日の予定をぼんやり考えていた。

10分程で開放されたケンスケだったが、
教室へ向かう途中で、マヤに呼び止められた。

(しまったなぁ〜。マヤ先生の授業までサボっちゃったんだ)
(悪い印象残しちゃったんだろうなぁ〜)
(このボクとしたコトがぁ〜!! なんたる迂闊!!)

彼女の前で演じ続けてきた優等生の仮面が剥がれ落ちてしまったコトを悔やんだ。
一方で、一体何だろうと訝っている彼に7.4mm厚のプリントの束が渡された。
そこには細かなフォント(7Ptくらいか?)で、びっしり!と埋め尽くされた文字。
イヤぁ〜ン!な予感に、思わず顔に縦線を描き込んでいると、

「それ、明日までネ」

そう言って、ニッコリ微笑みかけられたのだった。

どう考えても夏休みの宿題、それも全教科より多いプリントの束。
それ以来、相田ケンスケはマヤの授業に関してだけは本気で優等生だった。





閑話休題−−−−

そう、今日の1時限は伊吹マヤの授業である。
決して無駄口を叩けない50分間を前に、今のうちとばかり、
皆心からおしゃべりを楽しんでいるのだった。
それはクラス委員長のヒカリですら、例外でなかった。


ガラガラガラ・・・・

え?!

まだ、充分時間はあったはずだが、皆反射的に自分の席に素早く戻る。
一斉に教室内に緊張が走る。


「・・・・ど、どうしたの? アンタ達」

それは、担任であるミサトが初めて見る光景であった。

「なんや、ミサトせんせか」
「あぁ〜、おっどろいたぁ」
「脅かさないでよネ、先生」
「そうよネェ。マヤ先生って、時間正確だもんネ」
「そうそう。ミサト先生とは大違いネ」
「あはははは・・・・」

すっかり好き勝手を言われているが、これも不断の努力の為せるワザであろう。
その辺りに自覚があるらしいミサトは、苦笑いを浮かべる他になかった。
少々こめかみ辺りがヒクヒクとひきつってはいるが。

「それで、何ですか? 先生」

ようやく返ってきた一般的なリアクションに、ミサトも用件を思い出した。

「あ、そうそう。ゴメン、忘れてたわ。
 放課後、来週の球技大会のメンバー決めるから、希望の種目考えといてネ」

それだけ言うと、ミサトはざわめきを増した教室を後にした。
と思ったら、ひょいと顔だけ覗かせて付け加える。

「それから、・・・・やるからには勝たなきゃダメよ」

そのセリフにピンときたアスカがカマをかける。

「それで・・・・いくら賭けたの?」
「モチ、今月の生活費全部!!・・・・あわわ。
 と、とにかくヨッロシクねぇ〜」

うっかり正直に応えたミサトは、慌てて教室から逃げ出した。

「まったく、あれでよく教師やってるわよねェ〜」
「いいじゃない。勝ったら何か奢って貰えばいいんだモノ」
「ま、それもそっか」
「ちょっと違う・・・・」
「しっかし、すっかり忘れとったでェ〜」
「新学期の大切なイベントだモンな。腕が鳴るゥ」
「って、ケンスケの場合カメラの、だよね?」
「そりゃあ、そうさ。知性派のボクに何を期待してるんだ?」
「それって、オタクの間違いじゃないのかい?」
「なんだとォ〜、渚ァ!」

委員長としての業が身に滲みているヒカリが慌てて話題を変える。

「あ、で、みんな。何にするの?」
「その前に状況が見えないんだけど、アタシ達」

それは話題についていけないマナとレイだった。

「あぁ。そう言えば、アンタ達って転校生だったんだっけ」
「何よ。アスカ、その言い方」
「だぁってェ〜。アンタ達って、10年前からココにいます!
 って感じで全然違和感ないんだモン」
「アタシ達が図々しいって、言いたいの?」
「マナ、複数形にしないでくれる」
「あ〜、1人だけ棚に上がる気?」
「アナタと一緒に括られたくはないわネ、確かに」
「ひっどぉ〜い。信じられる? シンジ君」

と、マナはシンジの腕にすがりつく。

「え?」
「何やってんのよ? マナ」

アスカはレイと暗黙のコンビネーションでマナをシンジから引っぺがしにかかる。
と、今度はその拍子を装いつつ、レイがシンジに抱きついた。

「ちょ、ちょっと。レイ」
「ありがと、シンちゃん。アスカったら、ほぉ〜んと馬鹿力なんだから」
「レ〜〜イ〜〜ィ!!」

そんな不穏な雰囲気にすかさずヒカリが割って入る。
ヒカリの気苦労は、1年前に比べて確実に120%増だろう。

(アスカと碇君の間を取り持つだけでも、大変だったんだけどなぁ〜)

そんなコトを考えつつ、マナとレイに向かって強引に話題を戻す。

「あ、あのネ、この学校、新学期ごとに球技大会があるの。
 種目は、バレーボールに、バスケに、ソフト。
 クラスの親睦を図る意味から、男女混合なの」
「「男女混合?」」

ヒカリの最後のセリフに2人の瞳が鋭く光る。
ぴりぴりと肌を刺すような雰囲気に気付くこともなく、
トウジはのんびりと自分の希望を口にする。

「ワシは、バスケで決まりや」
「ボクは・・・・バレーかな?」
「ふぅ・・・・、君と一緒なのか」
「何だよ、渚。そのタメ息は」
「別に気にしないでいいよ、深い意味はないから」
「ちょっと、やめてよ。2人とも」

一方、女の子達の間でも、ああだ、こうだと盛り上がっていた。

「ヒカリは決まったようなモノね」
「エ? ど、どうして」
「(真っ赤になってるクセに)・・・・だって、バスケでしょ?」
「う、うん・・・・」
「そう言うアスカは?」
「ん? アタシは・・・・。そうね、ヒカリに付き合ったげる」
「ホント? アスカ」
「いい親友でしょう?」
「うん!」
「アタシはバレーで決まり!」
「じゃあ、バラバラね。アタシ、ソフト」

と、すると−−−−!!

油断なく視線を交わす3人。
その交点では激しく火花が散っている。
緊迫した空気が漂い、沈黙が辺りを包む。

その中でまず、口火を切ったのは、レイだった。

「シンちゃん、アタシとバレーやろ」
「エと・・・・。ボク、うまくないよ」
「だぁいじょうぶい!・・・・って、すっごく古いわネ。
 アタシ教えるの上手だから。手取り足取り、ね?」
「ダメダメ。シンジは、この、ア・タ・シ・と!
 バスケやるんだから。これは決定事項よ! いい? シンジ」
「アスカったら、自分勝手ェ〜」
「レイ、アンタに言われたくないわ」
「ね、シンジ君。・・・・アタシとソフトやろうよ」
「あぁら、おあいにく。シンジは野球とかソフト、苦手なの」
「アスカには聞いてないわよ」
「シンジ君、ボクと・・・・」
「「「却下!!」」」
「なんで、レイまで・・・・。ボクはバレーなんだよ」
「う、・・・・それでも、アンタの発言権は認めないわ」
「酷いなぁ。そう思わないかい? シンジ君」
「え?」
「こんな自分勝手な人たちは無視して、ボクと(ズガッ!!)・・・・」

凄まじくも緊迫した世界にヒカリですら、介入の糸口を見い出せない。
それは最早2年A組において恒例となっている光景である。
まぁ当人達にその気は無いのだろうが、それでもこうあからさまに見せつけられては、
殊に男子の、うらめしそうな、殺意のこもった視線が、
シンジに向けて投げつけられているのも極く当然なコトだろう。
しかし、当のシンジはというと、それどころでないのか、
はたまた、父親譲りの鈍感さのせいか、全く気付いていない。
そして知らず知らずの内に、クラスの男どもの神経を逆撫でしまくっている。
この点に関して、この父子の間で遺伝子は全く手抜きをせずに働きまくったらしい。
いい加減、男子どもの心の堤防が決壊するのは時間の問題となっていた。

そんな険悪な雰囲気など、どこ吹く風。
3人の話は当のシンジを抜きにどんどん進んでいく。

「それじゃ、ジャンケンで決めましょ。公平に」と、アスカ。
「反対! アタシ弱いモン。カード、もち、ポーカー!!で決めよ」と、レイ。
「でも、レイってイカサマうまいからなぁ」と、マナ。
「しょうがない、クジにしましょ。あみだクジ」
「そうね。それでいいわ」
「それじゃあ」

「「「あっみだ、くっじぃ〜、あっみだぁ、くっじぃ〜」」」

この日、運命は霧島マナ嬢に微笑んだ。





「話は聞いた」

放課後、そんなセリフと共に唐突に現れたのは、
霧島ムサシ、マナの兄である。

「え? 何?」
「それじゃ、行こうか」

当惑するシンジなど気にも止めず、有無を言わせず連行する。

「ちょっと! 待ちなさいよ!」
「何の権利があって、シンちゃん連れて行くのよ!」

これらのセリフは言わずと知れたアスカとレイだ。
2人の剣幕に、ムサシはうんざりとした表情を浮かべる。
それから、無造作に口調でこう宣った。

「別に俺の権利じゃないさ。コイツの義務だ!」
「「「は!?」」」

ムサシの言葉に目をパチクリさせるシンジ、レイ、アスカ。
それでも当事者だけにシンジはおずおずと質問した。

「あのォ・・・・、義務って?」
「球技大会、マナと同じソフトボールなんだってな?」

(いったいどこから聞きつけたのかしら?)とアスカ。

(一度本気でクリーニングしなきゃ、かしら)とレイ。

ちなみにココでいう”クリーニング”とは、
室内に仕掛けられた盗聴機を捜し出して撤去するコトである。

シンジも不思議そうな顔をしながら、それでも頷くしかなかった。

「う、うん・・・・」
「だからだ。と言う訳で行くぞ!」
「何を言ってるのか、分からないよ!」
「マナと同じグランドに立つんだろう?
 だったらせめてマナの足を引っ張らない程度には、
 上達して貰わないとな」
「そ、そんなァ・・・・」
「何か文句があるのか?」
「え〜と・・・・」

情けないと思いつつ、シンジは助けを求めるように女の子達を振り返る。
すると、それまで沈黙を守っていたマナが冷静に指摘する。

「でも、大会は来週なのよ。あんまり時間ないわ」
「わかってるさ、マナ」

それまでとはまるで違った、柔らかな笑みでムサシはマナに応える。

普段からこの笑顔を絶やさなければ、言い寄る女の子がいっぱいだろうなァ。
もっとも、そうなれば、喜ぶよりも迷惑がるんだろうなァ。
そんな考えが、ふとシンジの頭をよぎる。

「それでもやらないよりは、ずっとマシだ。
 守備くらいなら、何とかカッコウつけられるだろう。
 それとも、コイツが無様にエラーする姿、見たいか?」

ムサシの言葉にマナはぷるぷると首を振る。
これにはアスカとレイも無条件で賛成だ。

「頑張って、シンジ君」

胸の辺りで両手を組み、祈るようにマナが言う。
逃げ道を塞がれたシンジは、心の中で自分の不幸を嘆くしかなかった。

「ところで」

突然口を挟んだのは、いつものコトだが、カヲルだった。

「何だ?」
「特訓って言うけど、コーチの腕はどうなんだい?」
「あれ? 言ってなかったけ? お兄ちゃん、野球部よ」

「「「「え〜〜?!」」」」

「なんだ、その疑わしそうな目は」
「前の学校じゃ、センバツ出場してるんだから」

ちょっと自慢気なマナ。
マナの表情にムサシも満足気に胸をそらす。

「「「「エーーーー!!」」」」

「大げさな。補欠だよ」
「でも、ちょっと投げたじゃない」
「監督のはからいさ。夏に向けての経験に、ってさ」

コトもなげに言うムサシ。
それでもシンジ達の視線には、コレまでと別のモノが混じっていた。
やはり21世紀になっても、「甲子園」は特別だった。

「と言う訳で、今日から早速始めるぞ!!」

(そ、そんな・・・・一方的な・・・・)

と思っていても、口にしたところで無駄であるコトを熟知しているシンジは、
ごく近未来の惨劇を予感して身を震わせるだけだった。





「それじゃあ、覚悟はいいな?」
「は、はい・・・・」

しかめつらしい口調でも何処か楽しそうなムサシとは対称的に、
シンジは全く元気がない。

「そ、そのォ・・お手柔らかに」
「バッカやろォ! そんな心掛けで上達出来ると思うか?!」
「ご、ゴメン」
「まぁ、いい。始めるぞ!」
「う、うん」

青冷めながら走り出すシンジにムサシが声をかける。

「おい、何処に行くんだ?」
「え? ボ、ボク、ライトなんだけど」
「まず打球に慣れる必要がある。もう少し、近寄れ」
「で、でも・・・・」
「いいから! 早く!」
「は、はい」
「よォ〜し、それじゃあ構えて。・・・・もっと腰を落として。
 うん、そんなモンだ。じゃあ、行くぞ。打球に喰らいついていけよ!」

ゴクリ・・・・

後ずさろうとする自分、目を閉ざそうとする自分に叱咤を繰り返す。

(逃げちゃダメだ! 逃げちゃダメだ! 逃げちゃダメだ!)

そんなシンジの内心などお構いなしに、
ムサシは左手でひょいとボールを上げると、

「っせい!!」

ガキ・・・・

(逃げちゃダメだ! 逃げちゃダメだ! 逃げちゃ・・・・アレ?)

鈍い金属音。
シンジめがけて襲いかかる、・・・・ぼてぼてのゴロ。

(????????)

日頃の鬱憤を込めたムサシの打球が身体に突き刺さる。
そんな光景を想像していたシンジは、顔中にクエスチョン・マークを浮かべている。
それでもゆっくり近づくボールをグローブに収める。
その頃には、打球はほとんど止まりかけていた。

(????????)

ぼーっとグローブの中のボールを眺めていると、ムサシの怒声が飛んでくる。

「バッカやろー!!」
「え? え?」
「バウンドに合わせて、前に突っ込め!」
「え? でも、なんで・・・・こんなゆるい・・・・」
「打球に慣れるのが第一だと言っただろうが!
 これから徐々に上げていくから、怖がるなよ!?」
「う、うん!」

こうして、ムサシの『体力が続く限りノック』第1日目が始まった。


ガキッ!

「反応が遅い! 今のは追いつけるハズだ!」
「は、はい!」

カキーン!

「もっと突っ込め! それに腰が高い!」
「は、はい!」

ッキーン!

「よし! その調子だ! ・・・・が、返球が遅い!」
「は、はい!」


そんな2人の様子を校庭の桜の陰から見守っていたマナが、
そっと呟いた。

「シンジ君・・・・」

「『ヒュウマ・・・・』の間違いじゃない? それ」
「マナったら、すっかり『アキコねえちゃん』しちゃってるぅ」

ちょっと雰囲気に浸っていたマナは、頬を膨らませて振り返った。

「何よ、突然。それに何? 『ヒュウマ』とか『アキコねえちゃん』って」
「いいの、いいの。分かんなかったら。気にしないで」
「アタシ達だって、心配なのよ。様子を見に来る位、いいじゃない」

マジマジと2人の顔を覗き込むマナ。

「心配って、シンジ君のコト? それともお兄ちゃんが無茶しないかって・・・・」
「ん、・・ま、両方」
「だって、これまでのコト考えれば、ねェ」
「いい機会だって言って、ねェ」
「お兄ちゃん、そんな悪い人じゃないよ」
「でも、アンタだってちょっとは心配したでしょ?」
「・・・・まぁ、少し」
「しっかし、意外だったわねェ〜。
 ムサシの奴、あぁんな真面目にコーチしてる」
「うん、それにシンちゃんも一生懸命頑張ってる」
「お兄ちゃん、野球に関しては真剣なの」
「ふ〜ん。じゃあ、安心したところで、アタシ達は帰りますか」
「そうね。さ、マナも」
「え? でも・・・・」
「こんなトコから覗いてたって、何の役にもたたないよ」
「う、うん。それは・・・・そうなんだけど」
「じゃ、帰ろ」
「う、うん」


こうして3つの影が校庭から消えた頃。
ムサシはニヤリと頬を歪めた。

(ふ、ふ、ふ。マナも、アスカも、レイも)
(全員帰ったようだな)

「よし、それじゃあ・・・・」
「終わり?」

期待に満ちた瞳で尋ねるシンジ。
普段身体を動かしていないだけに、既にふらふらだ。
しかし、ムサシの体力は未だ底が見えていない。

「バカやろう! これからが本番だ!」
「えぇ〜!? そ、そんなぁ」
「見ろ、まだ陽は高い! ボールが見える限り続けるからな!」
「そんなぁ〜!!」

それから3日間−−−−
初秋の夕陽が校舎をオレンジ色に染め上げる中、
いつまでも、いつまでも、金属バットの打球音が、
第三新東京市第壱学園のグラウンドに響き続けたのだった。





大会当日。
空は抜けるように青かった。
今だ夏の残滓を感じられる日中とは違い、とてもさわやかな朝だった。

「んん〜、いい天気!」

朝の空気を胸一杯に吸い込みながら、心地よさそうに伸びをするマナ。
ふとその胸元に目が止まり、シンジはドキリと鼓動を高鳴らせ、
慌てて視線を辺りに彷徨わせる。

「シンジ君、試合までキャッチボールしよ」
「そ、そうだネ」

恨みがましそうな3対の視線を気にしながらも、
シンジはマナの言葉に頷いていた。

「じゃ、行こ。あっちが空いてる」
「う、うん」

マナは嬉しそうにシンジの手を取って、
軽やかな足取りで目標に向かって歩き出した。

そのあまりにも無邪気な表情にアスカとレイは、
ひとつタメ息をつくと、

(今日の所は譲ってあげるわ。でも、次は・・・・)

そう心に誓い、諦めて自分の試合会場に向かった。
ちなみにレイは右手に未だ未練を残しまくっているカヲルのエリ首を掴むと、
有無を言わせず、ずるずると引き摺っていたのだった。


シュッ
パシッ!

シュッ
パシッ!

シュッ
パシッ!

シュッ
パシッ!

「う、うまいんだね。マナ」

その言葉通り、マナのキャッチボールは凄く様になっている。
しっかりボールを目で追い、グラブのポケットでキャッチする。
そして、いわゆる女の子投げなどではなく、
野球入門書に乗せたいようなキレイなフォームでの送球。

コントロールは完璧。
球威もなかなか。

実際、シンジは捕球するだけで必死だった。

シュッ
パシッ!

「ふふ、それはネ」

笑いを漏らしながら、マナは話し始めた。

「ご幼少のみぎりから、ずぅっと付き合わされてたんだから」
「・・・・って、ムサシに?」
「そ。お兄ちゃんたら、女の子相手でも、まぁ〜ったく手加減しないんだから」

当時を思い出したのか、ちょっと唇を尖らせる。

「あの頃は、もう、ケガしたくなかったら、 上手になるしかない!!
 って、結構悲壮な覚悟の毎日だったんだぁ」

口ではそういっていても、どこか懐かしそうに遠い目をするマナ。

(・・・・それでムサシの、あの!特訓にも黙ってたのかな?)

なんとなく納得がいった気がするシンジだった。


「あ、いっけなぁい。時間だ、シンジ君」

腕時計をのぞきこんでマナが叫んだ。

「え? もう、そんな時間?」

時計を持っていないシンジはマナの時計を覗き込む。
それは何気ない動作だった。
思い掛けなくシンジの顔を間近で見つめるコトになったマナは、
とっくん、と胸が高鳴った。
頬に熱が広がっていくのを感じ、慌ててシンジの右手を取ると、
黙ったまま会場に向かって走り出した。
マナの唐突な行動にシンジは驚きながらも、
柔らかなマナの手を優しく握り返した。





「アレ? まだ前の試合、終わってないんだ」
「ほ、ホントだ。あせって損しちゃった」

自分の行動を思い返すと急に気恥ずかしさを覚えたマナは、
シンジと視線を合わせられなかった。
あっちこっち彷徨わせたあげくスコアボードに目を向けると、
試合は最終回に入っていた。

「ま、まあ、準備運動としては良かったんじゃない?」
「そ、そだね」

ふと2人、顔を見合わせて笑いを漏らす。
ほのぼのとしたいい雰囲気に、マナはすっかりご機嫌だった。
いつもならここら辺りで乱入してくるレイもアスカも、今頃試合中だ。
久しぶり、いや、再会してからは初めてかもしれない、2人っきり。
マナの頬は自然と綻んでしまう。

「よ、お二人さん」
「あ、加持さ・・先生」
「仲がいいね。でも、一応正規の時間なんだから、少しは遠慮してくれよ」
「そ、そんな・・つもりは・・・・」

真っ赤になるシンジ。
即座に否定するシンジにマナはちょっと頬を膨らませる。
それにシンジは全く気付いていない。

「で、他のメンバーはどうなんだい?」
「みんな、今頃試合中です」
「調子はどうだった?」
「? 別に普段と変わりなかったと思いますけど。
 ・・・・どうしてです?」
「いや、2Aは優勝候補だからね。その動向は気になるモノさ」

シンジの問いに加持は慌てず騒がす、うやむやに誤魔化す。
が、そんな努力を台無しにしてしまう声が後ろから投げ掛けられた。

「で、アンタは本命にしたの? それとも穴?」
「そりゃあ、当然一攫千金を狙うさ! ・・・・って、なんだい、葛城」

いつの間にやって来たのか、ミサトがニヤニヤ笑っている。

「ざぁ〜んねんだったわね。夢はあくまで夢。
 今回は私がいただくわ。お生憎ね」
「おいおい、子供達の前でその話題はタブーだろ?」

やれやれ、仕方がない。
そんな表情に苦笑をプラスした顔の加持。

「葛城せんせ〜! そろそろ第3レース、じゃない、バスケの2回戦。
 始まりますよ〜! 先輩ももう行っちゃいましたよ」
「分かってるって。すぐ行くわ、マヤ。じゃ、アンタ達も頑張ってネ」

最後だけは担任らしいセリフを残すと、ミサトは小走りに体育館に急ぐ。
加持は微苦笑を浮かべると、シンジ達の手を振り、
飄々とした様子でミサトの後を追いかけるのだった。
呆然としていたマナが、やはり呆然としたままのシンジに呟いた。

「やっぱり今日の試合・・・・先生達が賭けてるってホントだったんだ・・・・」
「・・・・マヤさ、先生も・・・・なのかな?」

シンジの問いに答えられる者などいようはずもなかった。





「お〜い、碇」

ぼ〜っとグランドを眺めていたシンジは、クラスの男子の声に振り返った。

「何?」




「今日正木の奴、休んでるんだ。おまえ、替わりにサードな」
「え〜っ!! 聞いてないよ!!」
「今言った。じゃ、頼むぞ」
「そ、そんなぁ〜」

なんとも情けない声で嘆くシンジに、マナはなだめるように、諭すように、
語り掛けた。

「大丈夫よ、シンジ君。あんなに練習したんだモノ」
「で、でも・・・・」
「大丈夫、自信を持って。
 キミはやる気にさえなれば、何だって出来るんだから」
「マナ・・・・」
「Win!」
「う・・ん。そ、そろそろ時間だ。行こう、マナ」
「うん」

マナはシンジの顔に明るさが戻ったコトに、
そして、取り戻すコトが出来た自分に満足の笑みを浮かべた。


「ね。ど、どう、なってる?」

息せき切ったアスカの声にレイは振り返った。
試合が終わると、ここまで全力疾走してきたのだろう。
自分もそうだったから、レイにはよく分かる。
前屈みになり、膝に両手を当てて上半身を支え、
心肺機能をフル稼働させているアスカは苦しそうに、問いを重ねる。

「ね、どうなのよ? シンジ、ドジってない?」

(再会した頃に比べると、少しは素直になったかしら?)

そんな感慨にふけりながら、レイはくすくすと笑いを漏らすだけだった。
いい加減キレかけたアスカに答えたのは、レイの向こうにいたカヲルだった。

「大活躍だよ、シンジ君。3打数2安打、4打点。
 エラーなし。だけじゃなくって、ダブルプレー2つ」
「うっそぉ〜〜!!」

思いも寄らなかった数字にアスカはつい大声で叫んでしまった。

「オレのコーチがよかったからな」

いつの間にやって来たのか、ムサシが立っていた。
そして、言わなくてもいいセリフを付け加える。

「マナが投げてるんだ。無様な試合したら、再起不能だったさ」

ここまであからさまだと、もう感心するしかない。
実際これまで、何人の犠牲者が出たコトだろうか?
アスカもレイも、この点だけはマナに心から同情している。
もっとも、楽しそうにシンジとプレーしているマナの笑顔が目に留まると、
そんな想いも簡単に吹っ飛んでしまったが。

結局試合は一方的だった。

「17−1で2Aの勝ち、礼」

わぁ〜!!

勝利を宣告されると、クラスメートから歓声が上がった。
アスカとレイも、カヲルもシンジに駆け寄る。
ふいにマナがシンジの右手を高々と上げた。

「MVPィ〜!!」




「シンちゃん、シンちゃん」
「シンジ君」

耳に馴染んだ声が聞こえてくる。

「そんな・・・・MVPだなんて、大袈裟だよ・・」
「何寝ぼけてんの?! ばかシンジ!」

さらによく馴染んだ声が、実力行使を伴って耳に入る。

「ちょっと、アスカ。やめてよ」
「シンちゃん、ケガしてんのよ」
「なぁ〜にがケガよ。脳震とう、起こしただけじゃない」
「だけって、・・・・さっきまで泣きそうな顔してたクセに」
「なななな、なによ、文句ある?」
「ん〜ん、べぇ〜つにィ〜」
「何よ、その顔」
「少しは素直になったら?」
「マナ。それって、ぜぇ〜〜っ対!無理よ。忘れちゃった?
 アスカって、子供の頃だって・・・・」
「あ〜、そうだったわね。成長してないのネ」
「なぁ〜んですってェ〜」
「わぁ、おぉ〜こった、怒ったァ〜」
「アハハ」

あまりの騒々しさにシンジの意識は急速に覚醒を開始した。


まぶたを開くと、見知った天井だった。

「あれ? 保健室・・・・」
「あ、シンちゃん、気が付いた?」
「よかったぁ〜」
「だから、言ったじゃない。コイツ、意外と丈夫だって」
「あれぇ〜、知らせを聞いて真っ青になってたのって、誰だっけぇ?」
「な! あああぁあ、わ、悪かったわね。アタシよ」
「あ、ちょっと素直になったァ」
「あぁああ、あんただって! シンジにすがりついててクセに!」
「アラ、アタシはいつだって素直よ」
「アタシもネ」
「ふ、フン! 何さ、恥知らずが2人!」
「へっへェ〜、そいつは聞き捨てならないわねェ〜」
「ホントのコトじゃない!」
「何よォ〜」
「何さァ〜」

いよいよ険悪になりかけた雰囲気に、
あっけに取られていたシンジもようやく口を挟んだ。

「え、えっとォ〜。ぼ、ボク、どうしたんだろ?」
「「「え?」」」

その一言で不穏な空気は一掃され、不思議そうな瞳が6つ、
シンジに注がれる。

「あ、アンタ・・・・、憶えてないの?」
「えとォ〜」

実際、シンジは現状を全く把握できていなかった。
その様子にマナが心配そうに口を開いた。

「シンジ君、ボールぶつけられたのよ?」
「え? いつ?」

3人は顔を見合わせると、大きなタメ息をついた。
それから、現場に居合わせたマナが状況を語った。

それによると、クラスメートの呼びかけに振り向いたところ、
男子10数名が一斉にソフトや硬球、軟球、バレーにバスケ、
サッカーボールと、あらゆるボールが投げつけられた。
いっそ砲丸投げの鉄球が混じっていないのが不思議なくらいだった。

先日来シンジ達がイチャイチャしてるところ
(そんなんじゃなぁ〜い! by シンジ)を見せつけられ、
ついに男子どもはキレてしまったのだ。
それでも奇跡的な反射神経を発揮し、そのほとんどを避けたのだったが、
グラブと一緒に足元に置いていたソフトボールを踏んでしまい、
ひっくり返って後頭部を強打したのだった。

「まったく、やっかんでシンジに八つ当たりするなんて、さいッテェ〜」
「そんなんだからモテないってのが、わかってないのよねェ〜」
「でも、安心してネ。シンジ君」
「アタシ達が、しィ〜〜っかり! 落とし前つけといたから」
「もう、シンちゃんに手出しする奴、絶対ないから」

にっこり微笑む3人の美少女を前にシンジの背中に戦慄が走った。

(いったい、どんな落とし前・・だったんだろう?)

それ以上真相究明しようなど、シンジは頭の片隅にも浮かべない。
ちなみに翌日、2年A組の欠席者は、実に男子の半数に上ったと言う。


「あ、それで、試合は?」
「勝ったよ」

あっさりとマナが答える。

「まぁったく、この娘ったら。
 男子も混じったチーム相手に全試合、完投完封なのよ!?」
「シンジ君にアタシの華麗な投球フォーム、見せたかったなァ」
「単に力が有り余ってるだけなんじゃない?」
「あぁ、言ったわねェ〜!
 そう言うレイは、男の子2,3人負傷退場させちゃったんじゃない!」
「な、だって、アレくらいのスパイク・・・・」
「これから殺人アタッカー・レイって呼んであげましょうか?」
「何よ、アスカも似たようなモンじゃない」
「えぇ〜。何よ、それェ?!」
「だって、そうじゃない」

再びの喧噪に、シンジはそっとタメ息をつくと、
今度は、ぼォ〜っとその様子を眺め続けた。

(はぁ〜、それじゃあ、試合やったってのは全部夢だったんだ)
(やっぱり、現実ってそんなにうまくいくモンじゃないんだなァ〜)

夕陽の差し込む保健室は、いつまでもにぎやかなだった。





[to be continued]





[to be continued]




みきさんへの感想はこ・ち・ら♪   


月刊オヤジニスト

ゲンドウ「かーっ! 我が息子ながらなんと情けない! たかがボールの一つや二つ、さっくりかわせないでなんとする!」

冬月  「一つや二つか・・・・? ついでに言っておくが、さっくりかわしてるじゃないか。ボールには当たってないぞ。

ゲンドウ「うぐ・・・・重箱の隅をつつくようにうじうじと・・・・ヂジイはこれだから困る・・・」

冬月  「ダレがヂジイじゃ!」

ゲンドウ「私も昔は天才ゆえのねたみから妨害を受けたが」

冬月  「をい。だれが天才だ?

ゲンドウ「そんな妨害はねのけて、ぐうの音も言わせないほどばっちり活躍できるというのに・・・・まったくシンジのやつめ・・・・ふがいない・・・・」

冬月  「じぃぃぃぃぃぃぃぃ」

ゲンドウ「・・・・なんだ、その疑いに満ちたまなざしは

冬月  「いやな。ちょっと気になってな」

ゲンドウ「なにがだ」

冬月  「おまえが本当にそういう活躍をしていたのかどうか、はなはだ怪しげだったのでな。ちょっと調べさせてもらった」

ゲンドウ「うぐ」

冬月  「おや、なんだねその「うぐ」というのは。何か心にやましいことでもあるのかね?(にやり)」

ゲンドウ「こ、このヂジイ・・・・」

冬月  「私の調査によると、だ。高校時代の君は同じように体育祭でユイ君とヒナ君の引っ張りだこにあい、そのいちゃいちゃぶりを妬んだ男子生徒によって下は雑巾汁から上は下剤まで、ありとあらゆる刺激物を水や弁当に一服盛られ、競技時間中のほとんどを保健室とトイレの間の往復で過ごしたというではないか。しかもそのほとんどがあからさまに怪しいにも関わらず、自ら進んで食べていたという・・・・」

ゲンドウ「な、どこでそれを!」

冬月  「ふっ。私の手は予想以上に長いのだよ」

ゲンドウ「侮りがたし、ヂジイ!」

冬月  「だーっ! ヂジイヂジイ言うな!」

ゲンドウ「仕方ないではないか! 親切にくれるというものを断るのは私の信条に反する!」

冬月  「・・・・その信条というのは、『タダより安いものはない』・・・・というやつか・・・・?」

ゲンドウ「ぬぉ、そこまで調べたのか!」

冬月  「・・・・わかりやすいやつだ・・・・」

ゲンドウ「と、とにかく、だ!」

ユイ  「あらあなた、ちょうど良かったわ」

ゲンドウ「ユ、ユイ?(どきどき)」

ユイ  「あら、何をあわてているんですの? 何も今回はやましいことがないって言うのに」

冬月  「パブロフの犬・・・・(ぽそ)」

ユイ  「あら、冬月先生。なにかおっしゃいまして?(にっこり)」

冬月  「あいいいいやいやいやいや何も(ぶんぶん)」

ユイ  「あら、そうですか(にこり)」

ゲンドウ「(こ、こ、このクゾヂジイ・・・・)」

ユイ  「それはそうと、あなた。今日はシンちゃんも大変だったからご馳走つくるんですけど、あなたも一緒に・・・・」

ヒナ  「ゲンちゃぁぁぁぁぁ〜ん!!」

ゲンドウ「うどわぁあああああっヒヒヒヒヒナ!」

ヒナ  「ねえねえねえねえ聞いたわよ聞いたわようちのマナが頑張って完投完封大勝利! シンちゃんと一緒にらぶらぶに頑張ったそうじゃないのよかったわね〜だきっ」

ゲンドウ「だからどうしてそう話を曲解するしかもそこで何でおまえが私に抱きつく必要があるというのだ!」

ヒナ  「今日これからうちで祝勝会やるんだけど、ゲンちゃんもいっしょにおいでってさそってるんじゃないのだき〜」

ゲンドウ「だからだきつくなというにええいはなせはなせというに!」

ヒナ  「まあまあそういわずにさ〜だきだきだきだき」

ゲンドウ「こらこらこらこら!」

ユイ  「一緒に・・・・って言おうと思ったんですけど、どうやらあなたの分は必要なさそうね」

ゲンドウ「はうぅぅ! ユイ! 聞いてくれ!」

ユイ  「ま、楽しんできてらしてください(にっこり)」

ゲンドウ「ゆいいいいいいい!」

ユイ  「さーって、二人分になったから、奮発しましょ」

ゲンドウ「しくしくしくしくしく〜」

ヒナ  「あら〜許可も出たことですし、行きましょうよ〜はぁと」

ゲンドウ「(行けるか、行けるものか! ここで行ってしまったら最後、今後私の食卓は永遠に消えてしまう! それだけは避けねば!)」

冬月  「ふぅ、哀れな事よ」

ゲンドウ「ということで、冬月先生。後を頼みます(しゅたっ)」

冬月  「ってこら儂に押しつけるな!」

ヒナ  「えーっ こんなヂジイいらないわよ〜待ってよゲンちゃん〜」

冬月  「だから私をヂジイと呼ぶなぁぁぁぁ!」


続きを読む
前に戻る
上のぺえじへ