新機動新世紀 EVANGELION W



第5話:輪舞の夜:ロンドの夜

赤木ナオコ、AIシステムの権威、火器管制、機体の姿勢制御、シンクロ制御、それぞれに特化された3機のAIの討議によって状況に応じて最適な機体制御を可能にするMAGIーSYSTEMの理論を提唱した偉大な科学者。
そして、現NERV副司令。
それが彼女の肩書きだった
「赤木副司令、六分儀司令のシャトル到着します。」
「そう、警戒は怠らないで。ここは任せるわ。」
そう言い残して海上に待機していた空母の艦橋からナオコは退出した。

甲板に出たときにはすでにゲンドウの乗ったシャトルは着艦体勢に入っていた。
「オペレーション、バベル。まあゼーレの壊滅という目的は達成できたわね。」
そう一人ナオコは呟いていた。

シャトルからはいつものようにまったくの無表情なままのゲンドウがタラップから降りてきた。
「赤木君、首尾はどうかね。」
「ご存知でしょうに。ミサイルは打ち落とされましたわ。おそらくあなたの息子さんの手によってね。」
「・・・・・・・・・・・」
「さすがは司令のお子さんですね。」
「・・・・・何のことかね赤木君。私には家族はいない。」
「・・・・・そうですか失礼しました。」
「議会の方は?」
「80%・・・といっても生き残った議員のですが。」
「そうか、それだけ賛成が在れば十分だ。」
「はい、新型宇宙用MSも試作機がロールアウトしました。」
「そうか、ならいい。ここは任せる。」
そう言い残すとゲンドウは艦内へ入っていった。
そんな姿を目で追いながらナオコは聞こえないように呟いていた。
「・・・・なにも、必要以外のことは何も語らないのですね・・・・・・・」
そんなナオコの元にブリッジの当直先任士官の呼ぶ声が届いたのはその直後だった。

「いったいなんなの?」
「はい、副司令。輸送機が2機こちらに向かってきますが応答がありません。パーソナルコードは間違いなく我が軍の物です。」
「所属は?」
「はい、アデレード基地となっていますが、それが何か?」
「ばかもの!!、味方ならすぐに連絡を取ってくる。敵に決まっているだろう!非常警報発令!至急MS全機発進体勢に入れ。」
「司令にはなんと?」
「必要ないわ。シャムシエルから発進準備でき次第だしなさい!!」

次々と発艦していく空戦用MSシャムシエル。
それを確認する2機の輸送機のパイロット。
「ちっ、さすがに警戒厳重てわけね、まあこの天才たる私の出迎えには少なすぎるわね。」
「敵機の発艦を確認。これより迎撃作戦に入る。」

そしてもう一人その音を聞きながら笑みを浮かべる男がいた。
「久しぶりにお前が遊ぶにふさわしい奴が来たかもしれんな。」
その問に答えるかのように光るモノアイ。
「くくく、嬉しいか。」

「ペアによる波状攻撃だ、気を引き締めてかかれ。」
「了解」
すばやく輸送機を囲み波状攻撃を仕掛けるNERVのシャムシエル。
只の輸送機がそれに耐えられるはずもなくたちまち火を吹いて一機は姿勢を崩し空母の甲板めがけて突っ込んでいった。その隙にもう一機の輸送機は近くにいた護衛艦に体当たりをした。
「ふん、たわいもない・・・・・なにいぃぃ。」
NERVの隊長機は輸送機の墜落した残骸の中から2機のMSが現れるのを見つけた。
「コロニーのMSは化け物か!!」
しかし、さすがは精鋭のMS部隊であるNERVのパイロットたちはすぐに立ち直り残骸の中から現れた2機のEVA、惣流・アスカ・ラングレーの乗るエヴァンゲリオン・バンガード・ティーゲルと綾波レイの乗るエヴァンゲリオン・エクスキュージョンに襲いかかった。
「あんた達凡人の腕じゃあいくらやっても無駄なのよ!!」
アスカの痛烈な台詞と共に繰り出されるビームグレイブになぎ倒されるNERV側MS。
「数をそろえて戦いに挑む。戦術の基本だわ。しかし、基本ができれば必ずしも勝てるとは限らない・・・・・・」
レイの駆るエクスキュージョンから繰り出される銃弾の前に次々と打ち倒されていくMS。
そんな味方のふがいなさにしびれを切らしたナオコはついに生き残った機体による一点集中攻撃を命じ、EVAを海中に落とし水中用MSガギエルで勝負に出ることにした。
「海にたたき落としなさい!!それぐらい出来るでしょ!!」
その言葉を聞くと生き残ったシャムシエルを指揮していた隊長は忌々しそうに吐き捨てた。
「ふん、女狐はよく鳴くわ。」
しかし、軍人らしく任務には忠実だった。
空母の上で敵を打ち落としていたレイが『それ』に気がついたのは目前だった。
「さすがに体当たりでは踏みとどまれまい!!」
「・・・・・・良い判断だわ。」
そのまま、甲板上からもつれて海中に落ちるEVAとNERV隊長機。
その様子を見て、周りの護衛艦を攻撃しながら空母に近ずいていたアスカは空母にそこまでする必要が有る人間が乗っていることに気がついた。
「ひげ眼鏡の居場所はあらかた判ったわ、あんたはせいぜい海の中で遊んでなさい、けりはこのあたしがつけてあげるわ。」
一方海中にたたき落とされたレイの乗るエクスキュージョンは体当たりをしてきたシャムシエルを海中で何とか引き剥すとすぐにでも海上に戻ろうとしたがいきなり背後から魚雷攻撃を受けた。
振り向いたそこには海中用MSガギエルの大群が待ちかまえていた。
「水中戦ではアームブレード以外は威力が落ちる・・・・・長期戦ね・・・・・・・」

アスカの駆るバンガード・ティーゲルはその名にふさわしく、護衛艦を飛び移りながら確実に空母へ迫っていた。
「ち、早く司令に連絡して脱出させて、準備の出来てるサキエル全機甲板に集結、司令の後退までの時間を稼ぎなさい!!」
ブリッジでナオコは荒れていた。
完璧と思われていた「オペレーション・バベル」
EVAによってアデレードを狙ったミサイルを破壊されただけでなく、司令官自身が危険にさらされるという失態を演じてしまったのだ。
間違いなく司令からの信用は失墜するだろう。
そのことが余計彼女をいらだたせていた。
そんな、ナオコの都合などおかまない無しにアスカはEVAを甲板上に飛び乗らせた。
待ちかまえていた十数機のサキエルがバンガード・ティーゲルに対して銃弾を浴びせる。
しかし、それに怯むことなくアスカは銃弾をATフィールドで弾きビームグレイブを振るいサキエルを薙倒す。
防衛隊のふがいなさに思わず自らがMSで出ようとするナオコ。
しかし、それを止める者がいた。
「落ちつきたまえ赤木副司令、ここは私一人で十分だ。(ニヤリ)」
「ろ、六分儀司令。どうしてMSに?」
「私専用のMSもたまには使ってやらんとな。(ニヤリ)では出るぞ、リフトアップ!」
「り、了解」
その頃すでに甲板上には戦闘能力を有したMSは存在していなかった。
「ちょっと手こずったかな。まあ、あとはあのヒゲ眼鏡を引きずり出してやれば終わりね。」
そう言ってアスカが甲板を突き破ろうとすると空母の後部エレベータがせり上がってきた。
そしてそこには赤黒色とでも言うべきカラーリングのMSは立っていた。
そしてその機体のスピーカーからアスカが探していた男の声がした。
「・・・・ふっ、歓迎するよ。久しぶりにこの私とウロボロスの戦うにふさわしい獲物が自分から出てきてくれるとはね。」
「勝手に言ってなさい!!どうせその戯言は今日でいい納めなんだから。」
「ほう、女か。それならぜひ生かしておいて使い道を考えるかな(ニヤリ)」
「ふざけんじゃないわよ!!」
その言葉と共にアスカは一気にEVAを最大戦速へと加速した。
そのまま距離をつめ、ビームグレイブを振り下ろした。
しかし、その時にはウロボロスと名乗ったMSは視界にはいなかった。
「うそっ、」
次の瞬間右半身に衝撃を受けてアスカの乗るエヴァは弾き飛ばされた。
そこには相変わらず素手のままのゲンドウが乗るMSウロボロスがいた。
「ふっ、これで少しは格の違いという奴が判ったかね。」
「ざけんじゃざいわよ。私のエヴァは最強なのよ!」
「ふん、所詮コピーに過ぎない機体と自信過剰なだけが取り柄のパイロットか。」
「なんですってえええ」
アスカの怒りと共に左右両手の貫手「ティーゲル・クロー」が繰り出される。
それをかわすウロボロス。
「ほう、少しは出来るな、しかし、所詮コピーとオリジナルとでは差が歴然としている。」
「さっきからなに寝ぼけたこと言ってんのよ!私のEVAは完璧よ。」
「くくく、なにも知らんのだな。お前が乗るEVAはこの私が乗っているエヴァンゲリオン・ウロボロスから見れば出来の悪いコピーでしかないのだよ。」
「な、なんですって、今なんて言ったのよ。あんたが乗ってる機体もEVAだっていうの?」
「正しくはこの機体こそオリジナルEVANGELIONだ。」
「そんなの認めないわ!母さんがつくったこの私のEVAこそが正真証明のEVAよ。」
「ふっ、聞き分けのないガキだ、まあそれなりの使い道もあるだろうから殺しはしないがな。」
「くっ、なんめるんじゃないわよ」
ゲンドウはまったく武装に手をつけていなかった。
ただATフィールドを必要に応じて展開しているだけである。
アスカの自慢の攻撃はことごとくかわされるか、受け流されていた。
あせりの色が濃くなるアスカ。
むろんそれだけではなかった。
自らが最強だと信じていた、誇りにしていた物を蔑まれた怒りが自らの気持ちを奮い起こしゲンドウの乗るウロボロスに攻撃を仕掛けていく。
端から見ればアスカのワンサイドゲームのように映るだろう。
しかし現実はアスカはまったく有効打を出せないでいた。
ついにしびれを切らしたアスカが切り札とも言うべき「ティーゲル・ファング」のロックを解除する。
機体のリミッターも解除して最高の加速性能で一気に懐に入る。

「こんちしょおおおおおお!!!」



アスカの絶叫と共に超硬度のエヴァンゲリオニュウムで作られた槍が火薬カートリッジとリニアカタパルトによって加速され、すさまじい勢いで打ち出された。
前回の「ナイフエッジ」葛城ミサトとの対戦時はかわせるだけの時間と距離を与えてしまったが今回は完璧に肉薄した状態から繰り出したのだ。
アスカの顔には自身にあふれた笑みが浮かんでいた。
が、次の瞬間その笑みは凍り付いた。
「そんな、どうして・・・・・・・」
何とか絞り出すように口にしたことがそれだけだった事からもアスカの受けたショックの大きさが見て取れた。
アスカがまさに『必殺』の切り札として繰り出した「ティーゲルクロー」は確かにウロボロスを捕らえていた。
しかし、間違いなくコックピットに向けて打ち出した筈の槍が刺さっていたのはウロボロスのシールドだった。
「ふっ、それが切り札だとすると底が見えてしなったな。」
「そんな、ありえない・・・・・・・・・」
その2機のMSの様子を見ていた赤木ナオコも絶句していた。
EVAにも搭載されているMAGI−SYSTEMは間違いなく現時点での最高の動きを行うことが出来るはずだった。
しかし、ゲンドウの乗るウロボロスはまるで未来予測していたかのようにかわしたのだ。
「ついに芸も種切れか。」
ゲンドウの嘲笑に対してもなにも言え無いアスカ。
アスカのバンガードティーゲルは片膝だちの状態でゲンドウの乗るウロボロスのビームサーベルを突きつけられていた。
「さっさと出ろ。さもなくば・・・・・・殺す。」
ゲンドウに圧倒され手も足もでないアスカ。
そんな様子に一息着いたナオコがMP(憲兵隊)に指示を出そうとしたその時、船底から突き上げるような衝撃が襲った。
ブリッジにいた者も手近な物にたたきつけられた。
もちろん、甲板上の2機のMSもバランスを失った。
その瞬間、アスカはとっさにすべてのバーニアとスラスター、アポジモータを全開にして後ろに跳んだ。
それを見たウロボロスに乗るゲンドウはビームサーベルで後ろに跳んだバンガードティーゲルに切りかかるがあと一歩と言うところでかわされる。
そのまま、アスカはEVAを海中に飛び込ませた。
EVAの海中に落ちる音がした頃やっとナオコは立ち上がり状況を確認しようとしていた。
「報告!!」
「はい、海中でEVA04と交戦中のガギエルが放った魚雷が流れ弾として本艦の艦底に命中したようです。」
「被害状況は?」
「六分儀司令は無事です。しかし、本艦はかなりの損傷をおっています。」
「そう・・・・海中にいるガギエルの生き残りは?」
「あと、15機前後だと思われます。」
「全機投入してEVAに止めをさしなさい!!」
「赤木君、その必要はない。」
「司令?これを逃せば次は・・・」
「かまわん、放っておけ。すぐには襲ってこれん。おそらく敵もそれを見越して退却するだろう。我々も準備は万全とは言えない、深追いは避けろ。」
「わかりました。」
指示を出し終わるとゲンドウは通信機を切り一人笑った。
「いつでも狩れる・・・・あの程度ならな。シンジおまえはどうだ?」

一方海中では偶然にであるがアスカの脱出を手助けしたレイの乗るEVA・エクスキュージョンが群がるガギエルにアームブレイドを突き立てていた。
そこへ一緒にやってきたEVAが落ちてきた。
レイは短く端的に聞く。
「やったの?」
しかし、答えることなく沈んで行くEVA02。
その様子から判ったのかレイはそれ以上なにも聞こうとはしなかった。
沈み行くEVAの中でアスカは一言も発せずに震えていた。
その震えは『怒り』それとも『恐怖』か・・・・・
その答えを知るのはアスカ本人のみだった。

その頃、アデレートを脱出したシンジ、トウジ、そして成り行きでカヲルまでも加持の乗るMS輸送船にかくまわれていた。
「えらい目におうたなあシンジ、でも何でこいつがおるんや?」
「こいつとは失礼だね、君の態度は好意に値しないよ、どういうことかって、礼儀知らずだってことさ。」
「なんやとお!!」
「やめたまえ、トウジ君。ここでいがみ合っても何の解決にもならない、そうだろう、シンジ君。」
「そうですね。加持さんの言うとおりです。」
「君のその聡明さ好意に値するよ。自己紹介した方がいいな、僕の名は渚カヲル。エヴァンゲリオン・デザートストームのパイロットだよ、よろしく碇シンジ君、鈴原トウジ君。」
「どうして、僕らの名を?」
「君達はコロニーのレジスタンスの中では結構有名人だよ。少しは気を付けたほうがいいよ。」
「しかし、渚君はこれから・・・」
「シンジ君、カヲルと呼んでくれないかい。」
「・・・カヲル君はこれからどうする気なんだい。」
「別に予定はないよ。まあ、しばらくはNERVの連中が目を光らせているからここにお世話になれるとありがたいね。」
「・・・・・まあ、2機も3機も大して変わりがない。渚君だったな、まあ好きにするといい。」
「どうも、お世話になります、加持リョウジさん。」
「やれやれ、俺のことまで調べてあるのか・・・・・」
「ええ、一通り。あなたの浮気歴まで。」
「そ、それは勘弁してくれないかね(^^;;」
「それよりもこの船はどこに向かっているんですか?」
「まあ一応、日本に向かっている。補給の関係もあるしね。」
「そうですか、それならちょうどいいな。」
「どういうこっちゃ、シンジ?」
「通っていた学校のデータを消去しとかないと足がつくかも知れない。」
「そうかあ、そういやそうやったなあ。」
「それに・・・・・」
「それに、ってなんだいシンジ君?」
「いやなんでもないよカヲル君・・・・・・・・」

その頃マナも日本へと向かっていた。
「シンジ・・・もう会えないのかな・・・・・いえ、きっともう一度会えるような気がする。シゲル!、至急彼のことを調べなさい。」
「俺がっすっかあ?」
「そうよ。何か不満でもある?(鬼気)」
「いえ、ございません(号泣)」
「そう、なら早く行きなさい。・・・・・シンジ、また会えるよね。私の王子様・・・・」
「(けっ、偽善者)」

どげっしぃぃぃぃぃいい



「こ、心の声に対してまで反応するなんて・・・・・・がくっ」
「はあ、しんじい・・・・・・」

ぞっくうぅぅぅぅぅ


「どうしたんやシンジ?」
「いや、なんか急に日本に帰るの止めたくなってきた・・・・・」
「???」

「赤木副司令。例の小娘が日本へ向かいました。」
「そう、私も日本へ向かうわよ。」
「しかし、何故あんな小娘にそこまでするのですか?父親無き今我らの障害になるとは思えません。」
「・・・・あの小娘を生かしておけば我らの計画に間違いなく支障をきたす。確実に排除するのよ。」

その頃、葛城ミサト以下2名はミサイルを発射した士官に対して発砲した件で営倉の中だった。
「なんで、こうなるのよおーー。エビチュぐらい差し入れなさいよ、リツコーー」
独房のいたるところにところかまわずロッカーすら粉砕する蹴りを入れるミサト。
「先輩、ここは狭くて汚くて男臭くて、この世の地獄のような所です・・・・・・」
うつろな目で何か見えない物と会話をしているマヤ。
「葛城さん、アルコールが切れたからって暴れないででください。マヤちゃん、すぐ出られるから意識をしっかり持って。向こうの世界に行っちゃダメだよ。」
両隣の悲劇的な状況ゆえ看守に同情されながら事態の収拾にけなげにも努めるマコト。
「「日向くーん、なんとかしてよおーー」」
「・・・・・・はあっ、胃が痛い。この二人に挟まれるように独房入りなんて、ついてない。早く解放してくれえぇぇ(涙)」
「無様ね。」
そんな3人3様の反応を見て赤木リツコ上級特佐が発した言葉はそれだけだったという。

一方、シンジ達は日本につくなり行動を開始した。
「それじゃ、僕は証拠を隠滅するために学校へ向かうよ。」
「さよか、ほな儂も用があるから、別行動や。」
「奇遇だね、僕も用があるんで君達とは別行動だね。」
「それじゃ、またあとで。」
それぞれのEVAに乗り目的地に向かうシンジ達だった。

そのころ、マナも学校へと向かっていた。
「お嬢様、お父さまがお亡くなりになられたばかりだと言うのにどうして学校へ出向かれるのですか。」
「もうすぐ学園祭です。お父さまの死を悲しんでばかりはいられませんわ。それにどうしても会って話をしなければならない人がいるのです。」
「そうですか、どうぞ無理をなさらないでください。」
「ええ、シゲルさっさと車を回しなさい。それじゃ、あとは任せるわね。」
「かしこまりましたお嬢様。」

「霧島様よ。」
「お父さまがコロニーのテロリストに殺されたんですって。」
「おかわいそうに・・・・・」
そんな会話がなされる中、マナは学園祭の会場へと入っていった。
「シンジ君を、碇君を見かけませんでしたか?」
「ああ、彼なら今荷物をまとめてるそうですわ。」
「なぜ?」
「転校なさるそうですけど・・・・」
「!!」

「碇シンジに関するデータ・・・・・デリート、これでよし。あとは荷物を・・・」
「シンジ・・・・」
「!!、霧島さん・・・・・」
「また、戦いに向かうのね・・・・」
「何のことだい?僕には何のことだか・・・」
「碇シンジ16歳、・・・実際生きていればね。」
「・・・・・・」
「母親は工学博士として有名な碇ユイ、父親は碇ゲンドウ、今は旧姓に戻って六分儀ゲンドウと名乗っているわね。」
「どうしてそれを!!」
「あなたは本当なら2001年に起きたセカンドインパクトと呼ばれるコロニーでの大規模暴動の中で死亡したことになってるわ。シゲルに調べさせてわかったの。一体あなたは誰なの?」
「僕は、僕は紛れもなく死んだことになっている碇シンジ本人だ。」
「何故あなたは生きているの?コロニーの人たちに殺されたんじゃ・・・」
「違う!!僕らを襲ったのはNERVの連中だ。コロニーの人たちはむしろ助けてくれたんだ。」
「どういう事よ。それに何でお父さままでが巻き込まれなければならなかったの?」
「・・・君のお父上、霧島外務次官はコロニーとの平和共存を望んでいた。それがNERVの連中にとっては目障りだったのさ。僕や母さんが狙われたのも同じ理由さ。平和共存を訴える科学者達の大量虐殺、これ以上の武力介入の理由は無いだろう?事実セカンドインパクトが引き金となって国連のコロニー弾圧が始まったのだから・・・」
「そ、そんな・・・・」
「それが真実だ。」
「それじゃあどうして、あなたはこんな戦いに?」
「血縁を自分で断ち切るためさ。この戦いを終わらせる義務が僕にはある。」
「私は知りすぎてしまったわね・・・・」
「・・・・ああ。」
「私を殺すの?」
「・・・・・・」
「まあいいわ、せっかくの学園祭ですもの、せめてそれを楽しんでいって・・・」
「霧島さん?」
「ほら、一緒に行こう。」
そう言うなりマナはシンジの腕を取って歩きだした。
外では人気声優『井上ナルミ』のコンサートが始まろうとしていた。


起承転結。何かの段取りにおいて、その言葉と縁を切ることは難しい。
井上ナルミもこのコンサートの前に随分と悩まされた。
ナルミのように、知名度の高いヒット曲を数多く持たない人間がステージに上がる場合、選曲は慎重に行われなければならない。
とはいえ、結局の所、切り札たる”オーバーロード”をどこに持ってくるかという話なのだが。
必殺技をそう簡単に出してしまうと後が辛い。
かといって出し惜しみして”つかみ”に失敗しては、後から何をやっても取り返しがつかない。
ナルミは、学校側の関係者と協議し、息切れを承知で”オーバーロード”を初っ端に繰り出すことにしたのだった。
「こういうの、ホントは好きじゃないんですけどね」
段取りが決まったときのナルミの溜め息まじりの言葉は、知らぬうちにアイドル扱いされてしまう自分を嘆いたかのようだったという。

空気を盛り上げようとするあまり、発する台詞のことごとくが上滑りになっている実行委員会の学生がナルミの名前をコールする。

それを見ながら自然と笑いがこぼれるシンジとマナ。
シンジの腕をとり仲良く並んでいるマナの姿からは何の不審な物も感じられなかった。

勇ましく、それでいてどこか悲壮美を感じさせる”オーバーロード”のイントロがかかり、井上ナルミが内心の気合いと共にステージの袖から出てきた。
普段からサマーセーターとロングスカートで膝頭すら見せない、肌の露出度の低さにこだわりがあるナルミの今日の衣装は白いブラウスにデニム地のロングスカート、腰に薄い黄色のカーディガンを巻いておりつばの広い、大きな帽子をかぶっていた。
そんなナルミの姿を見て客である学生達の反応はシンジ達も含めてまあまあだった。
一体、声優・井上ナルミをこの中の何人が知っているのだろうかとナルミ自身は内心思っていたが気持ちを奮い立たせて歌いはじめた。

”――思いがけないときに、貴方の恋が欲しくなる
 最初から諦めてる そのつもりだったのに”

ふとみると、最前列の一角に、見慣れた顔がいくつか見えた。
いわゆる”追っかけ”である。ライブや学園祭がある度にやってくる連中だ。
むろん、このなかにNERVの軍服を着たまま望遠レンズ付きのカメラを構えている相田ケンスケがいたことは言うまでもないだろう。

”――察することも 感じることも
 今は全然 出来ないけど”

ご苦労様です。情感を込めて唄うナルミの脳裏に、おもわずそんな言葉が頭に浮かぶ。
その一方であまり直視しないようにしている。

”――波を蹴って 駆け上がって 進み続ける
 リスクなんて考えない 勝算なんて要らない”

コンサートが盛り上がりを見せる中、一人の知り合いをシンジは発見する。
「トウジ?」
いつものジャージの上に『井上ナルミ、命』とデカデカと書かれたハッピを着込み鉢巻にも『ナルミ LOVE』と書かれているいつの時代の格好か聞きたくなるような姿だった。
呼ばれたことを無視して逃げ出そうとするが必殺のマナの鉄拳が炸裂する。
吹っ飛ばされたトウジが宙に舞いその落下点には哀れなロンゲの運転手、青葉シゲルがいたが誰も気に止めなかったという・・・・
そんな目に会いながらも必死にしらを切ろうとするトウジ。
「しらん、わしゃあ鈴原トウジちゅう奴じゃないで。」
「「・・・・・・誰も鈴原とは呼んでないよ」」
シンジとマナの息のあった突っ込みに撃破されるトウジ。
「でもトウジどうしてこんな所に?」
「た、たまたま近くに用事があってなあ、まあついでに見ていこうかなあとか思って・・・」
しかし、その台詞は白々しく、トウジの目もおもいっきり泳いでいた・・・・・・
「なあんだ、そうなんだ。」
「・・・・シンジ、そんなに簡単に納得しないでよ。そんなのこのエセ関西人の戯言に決まってんじゃない、しかも自分に銃を向けた人間に対してよくそんなになごやかに対応できるのね。でも、そんな優しいシンジが好き(はあと)」
「マ、マナは知らなかったかもしれないけどあれはお互いに誤解だってわかったんだよ。(汗)」
「ふーーん。」
「そや、シンジこそこんな所で『でえと』とは隅におけまへんなあ。」
「いやあん、やっぱりそうみえるう、マナ恥ずかしい。」
一人妄想の世界にひた走るマナを無視して会話を続けるシンジとトウジ。
「ここが僕が通ってる学校なだけなんだけど・・・・・・」
うまく話題をそらし何故ここにいるのかをごまかせたかののように見えたトウジだったが次のシンジの何気ない一言がトウジの『硬派』のプライドをピンチに追い込んだ。
「たまたま来たわりには準備が行き届いてるね。」
シンジにはこの一言にまったく悪意は無かったがトウジを再度ピンチに追い込んだ事には変わりがなかった。
「そ、それはやな、関西なにわコロニーではこれぐらいの準備はいつもしとるんが当たり前なんや。それに妹が熱烈なナルミさんのファンやから、いつか話の種として聞かせてやろうかなあと思って・・・・・」
「・・・・・・嘘つき。」
「なんやとこのアマあ。」
「やるって言うのこのエセ関西人。おまけにアイドルおたくのくせに。」
シンジのことも、井上ナルミのコンサートのことも忘れてヒートアップする二人。
おろおろしているシンジの耳が聞いたことのある声を捕らえた。
「歌はいいねえ、特に井上ナルミの歌は人類の生み出した文化の極みだよ。どういうことかって?今、僕にとって至福の時だってことさ。そう思わないかいシンジ君。」
それを聞いたシンジとトウジが肩を落とし、マナは顔を引きつらせながら聞いた。
「シンジ。これも、知り合いなわけ・・・・」
「・・・・・・・・まあ、一応。」
「そう・・・・・・・」
シンジの返事が出るまでのタイムラグに何かを感じ取ったのかそれ以上は何も聞かないマナだった。
「やあ、君達も僕と同じだね。」
「「いえ(いや)違うと思うけど・・・・・・」」
見事なユニゾンで答えるシンジとマナ。
「そうか・・・・それはとても残念だよ。でも鈴原トウジ、君は僕と同じだね。どう言うことかって。熱狂的なナルミストだってことさ・・・・」
「わ、わしは・・・・・・」
「違うのかい?じゃあこの場ではっきりしたらどうだい?君は井上ナルミを否定できるのかい?」
「で、できん儂にとって井上ナルミ様は神にも等しいんや。」
「そうかい、君とは仲良く出来そうだよ・・・・・・」
そのまま、がっちり握手でもしそうな二人を無視してシンジとマナはコンサートに意識を戻した。

そんなシンジ達の様子など気にも止めず熱唱するナルミ。
ナルミが声優を志し、その夢を達成したのは、アニメで子供達に夢を与えたいからだった。いくら熱狂的な”ナルミスト”であっても、中年のヲタクは願い下げだった。
勿論、心優しいナルミは間違ってもそんなことを口にしたりはしないが。

”――だからOVERLOAD 貴方への思い
 そうよOVERLOAD 止められない
 ただ心強く 生き抜くだけ”

撮影禁止の警告も虚しく、遠慮なく浴びせられるフラッシュの中、ナルミは無事、”オーバーロード”を歌い上げた。
津波のような歓声が沸く。
むろんトウジも先頭きって歓声をあげる。
顔を引きつらせながらそれを見るシンジ。
「これのどこが『ついでに来た』なのよ。」冷静な突っ込みをするマナ。
至福の表情のカヲル。
みなそれぞれ楽しんで(?)いた。

一方ナルミにとってもその歓声は本業である声優の仕事に差し障る歌手活動に疑問符を抱き始めているナルミでも、少なからず気分が良いものだった。
しかし、マナにとってはこのままこの二人を生かしておけばシンジとのふたりっきりの時間を邪魔されると感じていたのか、すばやくステージに見とれるトウジとカヲルに背後からハイキックを決める。
「ごめんなさい、私とシンジの幸せのために犠牲になって。・・・・はあぁぁぁぁぁぁぁ必殺必中、流派霧島流古武術、双龍閃!!」
きれいに決まったハイキック2連発は一瞬にして二人の人間を地面に沈めていた。
その手の団体から勧誘がきそうなぐらいに見事な技の切れだった。
その姿を見たらシンジは実の母親の自己中心的な行動を思い出して恐怖し、何故マナに逆らえないかを理解できただろうがステージに見とれていたので気がつかなかった。
あわれな二人はそのまま人混みの下敷きにされてしまいあっという間に見えなくなってしまった。

崩れ落ちたあわれな二人の熱狂的なファンには気がつかず歌い終わったナルミは挨拶に入った。
「みなさんこんにちわ、井上ナルミです!」
一曲歌い終えると、流石に息が上がり気味になる。
ナルミは荒い息をプロ意識で押し込めて大きく元気良く挨拶する。

残念ながらそれに熱狂的に答えてくれるであろうファンの二人の少年はシンジが一瞬よそ見をした隙に繰り出されたマナのハイキックによって意識を奪われていた。
「あれ、トウジとカヲル君は?」
「あの二人ならもっと近くで見たいって言って姿を消したわよ。」
「ふーん。」

続いて、トーク(?)に移行する。
声優の場合、真っ先にやらされるお約束がある。
今までに演じたキャラクターの声を実演させられるのだ。
実際に客の目の前でキャラクターの声を出す、というのはナルミに限らず、好きこのむ声優は多くない(無論、例外もある)。
アニメ関連のイベントで、客が恐らく間違いなく自分の事を知っている場合ならまだ救いようがある。
が、こういう場所で、やってみせて、どの程度反応があるかは余り期待できない。
知名度の問題だからだ。
むろんマナとシンジも残念ながらあまりその手の話しに詳しくないので居心地が悪かったが感涙にむせながらビデオを回している相田ケンスケがいることは言うまでもなかった。
それでも、恐らくはアニメに詳しい司会者が勢い込んで列挙するキャラの声を、ナルミは頼まれるままに次々と出してみせる。

 ”風色のリルト”のリルト。
 ”ストライクゾーン2015”の山本寺優子。
 ”飛龍輝光伝”のティア=ラーンバーグ。
 ”I'm mermaid?”の沢木めい。
 ”真珠湾奪還作戦”の植田由香。
 ”To Heart”の神岸あかり。

それぞれに特徴ある声ながら、ベテラン声優のようにとても同一人物とは思えない、というほどに違いがあるわけではない。
ごく一部で大盛り上がり、といった感じで、ナルミはとてもばつの悪い思いをした。
一番喜んでいるのが、目の前の司会者だというのが、余計に彼女をうんざりさせていた。
ここまでくるとさすがにシンジとマナも居心地が悪くなりステージをあとにした。
「まあ、彼女の歌は好きだけど、これはちょっとね。」
「そうだね。」
「それじゃあ・・・・・・シンジ、次はあれやろう。」
マナが指さす先にはカラオケ大会が行われていた。
すばやく飛び入り参加の手続きを済ませるとマナはステージに上った。
シンジは逃げだそうとしたが何故か動けなかった・・・・・・
逃げればもっと恐ろしい目に会う。
そんな脅迫観念が実の母親のスパルタ教育によって染み着いており似たような女性には逆らえないばかりか、無意識の内に自らを犠牲にしてでも助けてしまう習性が出来てしまっていたのをシンジが知るよしもなかった。
そしてマナがステージに上った。
「2年の学園のヒロイン、霧島マナさんです。歌う曲は今、人気急上昇の恋愛学園アニメーション『To Heart』のオープニングテーマ曲、『Bran New Heart』それじゃあ、霧島さんよろしく!!」
司会者のアナウンスと共にどよめきが走る。
そんな様子を気にも止めずマナはシンジを見据えて歌い出す。

”Brand New Heart 今ここから始まる
 ムネの中の 鼓動が 聞こえる”

 胸を押さえて切ない目でシンジを見つめるマナ。

  ”Come To Heart 可能性を信じて
 君におくる テレパシー”

 ここでマナはシンジをはっきりと指さした。

 ”それなりの 悩みも 抱いて 迷いも消えなくて
 この惑星のうえで なにか 求め探し続けて……
 耳を澄ませば 教えてくれたね
   痛みも 悲しみも すべてなくしてくれる
 Oh キセキ”

 完璧な振り付けで歌うマナ
 しかし、その視線ははっきりとシンジを捕らえていた。
 何かを訴えかけるようなその視線を。

”Brand New Heart 蒼い惑星にうまれて
   夢のような 世界が広がる
 Far Away 澄んだ空の向こうの
 君に届け! テレパシー”

すべて歌い終わるとマナは少し恥ずかしそうに笑ってシンジに手を振って見せた。
そして、そのままステージを飛び降りてシンジの手を取ると走って逃げ出した。
もちろんそんなシンジには男どもの罵声が浴びせかけられた。
しばらく走ってベンチに座り込む二人。
「はあ、はあ、シンジ。ちゃんと聞いてくれた?」
「うん、でもあの曲・・・・」
「私の気持ち、届いた?」
「え、!?」
「へへへ、晴れた日はよく届くから。」
「?????」
「ま、わかんないならそれでいいんだけどね。」
照れたような笑みを見せるマナ。
そんなマナにドキリとさせられるシンジ。
「さ、次は何か食べにいこうよ」
「あ、ああ。」
そのまま、屋台めぐりを続ける二人。
そのまま時間は過ぎ日は沈み闇に覆われる頃、二人は最後のイベント、舞踏会に出ていた。
見事な踊りを見せ周囲を圧倒する二人。
「シンジ、何故あなたがあの時、私を殺すと言ったか今はわかるわ。」
「・・・・・・・」
「でももう恐くないわ、だってあなたはそんなことが出来る人じゃないもの。」
「・・・・・・・そうとは限らない。」
「いえ、間違い無いわ。あなたは弱者のために戦っている。決して好き好んで戦っているわけじゃない。そんな人がそう簡単に人を殺せるわけはないわ。」
「・・・・だけど、正義の前には多少の犠牲を厭わないと言ったら?」
「そんな事が言えるならお父さんの最後を看取ったとき涙なんて流さないでしょう?だからかな、あなたに心が引かれるのは。あなたのそんな優しさが好きなのかな。」
「・・・・・・・・」
「ねえ、お願い。最後にお父さんはなんて言ったの?」
「君に、君に生きて幸せになって欲しい。って・・・・・」
「そう・・・・・・・」
そのまま無言で踊る二人。
何人も触れることのできない空間がそこにあった。
しかし、そんな中でもシンジの兵士として鍛え上げられた感覚は身の危険を感じ取っていた。
「シンジ?」
「・・・この音は・・・NERVの戦術MS輸送機か!!」
マナをおいて会場の外に走り出すシンジ。
あとを追おうとするが追いつけないことがわかるとマナはバルコニーへ走りでた。
その時点でマナの目にも光る物が見えていた。
「あれは?」

「赤木副司令、目的地に着きましたが・・・・・」
「なんだ?」
「ここは民間施設です。しかも学校施設でこんな行動は問題があるのでは・・・・」
「言いたいことはそれだけか。それなら他の奴を使うだけよ。」
「・・・・わかりました。MS出るぞ!」

光点が近づいてくるとそれが次第に輸送機の姿をしていることがマナにも見て取れた。
そして輸送機の後方からMSが降下しているのも見えた。
「どうしてこんな所に軍のMS部隊が?」

「全機降下完了。」
「よし、シャムシエルは上空制圧、サキエルは一列横隊で進軍。目標、霧島マナを抹殺しろ。いかなる犠牲を払ってもかまわん。」
「・・・・・・・・了解。行くぞ。」

隊列を組み進軍する3機のサキエル。
上空にはシャムシエルが3機。
MS2個小隊規模の部隊だった。
「隊長?」
「なんだ、作戦行動中だぞ!」
「俺達のやってることは・・・」
「だまれ!!ごちゃごちゃ言うな。上層部の命令だ。これはコロニー側テロリストの仕業として処理される。わかったら任務に集中しろ。」

すでに学校内は軍のMS部隊が降下したのを見てパニックとなっていた。
そんな様子に注意を払うこともなく地上部隊は校舎を半包囲した形に布陣しようとした。
しかし、1機のサキエルが校舎の裏手の森に踏み込んだとたん何かに足をすくわれた。
「な、なんだ!」
パイロットは慌てて機体を立て直そうとしたが次の瞬間メインカメラを『何か』に踏みつぶされていた。
異変に気づいた他のMSのパイロットが見た物はMSを踏み壊し立ち上がろうとする見たことのないMSだった。
「え、エヴァンゲリオンか!!」
「な、なんでこんな所に?」
「うろたえるな!丁度いいわ、こいつにすべての罪をかぶってもらうわよ。」
「しかし、赤木副司令、奴に勝てるとは・・・・」
「死にたくなければ勝つ事ね。逃げても軍法会議で死刑よ。」
「・・・・・・了解。」
乱暴に通信を切る隊長機。
「よし、女狐のリクエストに答えてやれ。」
「「「「了解」」」」

「うおーー、僕はなんてついてるんだ!こんな戦闘を生で見られるなんてえーーー」
自分の身の危険をすっかり忘れてビデオ撮影に集中していた相田ケンスケが流れ弾の爆風で宙を舞ったのは次の瞬間だった。
その落下点にチャンスとばかりに主人を置き去りにして逃げだそうとした青葉シゲルがまたしてもいたことは彼の運の無さを物語っていた。
それでも二人とも死んで無いのはさすがと言うべきだろう・・・・・・・・

いきなりの事態にパニックになりかけたNERVのパイロット達だったが隊長の激により立ち直りすばやく反撃に出た。
地上に展開しているサキエルが弾幕を張る。
流れ弾が校舎をかすめるのを見たシンジはEVAを一気に懐に飛び込ませた。
慌ててビームサーベルを抜こうとするサキエルの一機を体当たりで弾き飛ばす。
次の瞬間そのサキエルは背後からまっぷたつにされていた。
「トウジ!それにカヲル君」
そこにはトウジの乗るエヴァンゲリオン・シャドウナイトとカヲルの駆るエヴァンゲリオン・デザートストームがいた。
「こいつらなんちゅう事してくれるんや。」
「まったくだね、好意に値しないよ。」
「・・・・・二人とも」
「これから、ナルミ様のコンサート、夜間の部が始まるっちゅうのに。」
「芸術に対して理解が無いというのは困ったものだね。」
「そ、そういうことなの(汗)」
「ま、こんな所でどんぱち始めよるとはええ根性しとるやないけ。」
「まったくだね、市民を守らなくて何のための軍隊だろうね。」

「ま、まだいたなんて・・・・・・」
「副司令。どうしますか?一機でも勝ち目がないのに3機もいたんじゃあとても・・・」
「・・・・一番近い基地に連絡して全機出させなさい!!、こうなっては総力戦よ!」
『まちたまえ、赤木君。』
「ろ、六分儀司令。」
『霧島の娘には手を出すなと言ったはずだが、聞いてなかったのかね』
「し、しかし、」
『そちらに援軍を出した。葛城君の謹慎処分をといて向かわせた。彼女には『EVAから霧島マナを保護』するように命令を出した。君はすぐに撤退したまえ、処分は追って知らせる。』
「・・・・・・わかりました。」
通信を切りいつものように手を机の上で組み一人呟くゲンドウ
「・・・・・ばあさんはそろそろ用済みだ、ロンギヌスの槍さえ稼働すればダミーシステムに関してはリツコ君の方が優秀だからな・・・・・・・」

「しっかし、急に営倉から出れたと思えばすぐに出撃とはねえ、しかも相手があのEVAときたんじゃあ、ちいとばかし人使いが荒すぎるんじゃないの?」
出撃前に平然とエビチュをあおっているミサト。
「ああ、きれいな空気、清潔な部屋、これこそ人間の暮らすところだわ。」
向こうの世界に行かずにすんだマヤ。
「ああ、薬がこんなにありがたい物だったなんて・・・・・」
歓喜の涙を流しながら胃腸薬を飲むマコト。
三者三様の反応をしながらもしっかり目的地には向かっているミサト達だった。

ザシュッッッ


最後のMSシンジ達によって切り伏せられた頃ミサト達を乗せた輸送機は戦闘区域に入った。
「全機、目標は霧島外務次官のお嬢さん、霧島マナだ。速やかに確保せよ。さーって、行きますか。今回はリミッターも外してあるから完璧よ。」
「葛城さん、気を付けてくださいよ。」

一方、ナオコの放った先発隊を倒したシンジ達は、
「やれやれ、やっとこさ終わったかのう。」
「しかし、どうしてここがわかったんだろう?」
「・・・・・・・・」
「シンジ、どないしたんや?」
「・・・・・・三時の方角、敵輸送機発見!」
「ちい、時間を稼がれてしもうたか。」
「これ以上ここで戦えば関係ない人たちも巻き込んでしまう、どうするシンジ君。」
「・・・・・・しんがりを僕がするからトウジとカヲル君は先に撤退してくれ。」
「なんやて、おまんをおいて逃げろっちゅううんかい!」
「僕のEVAは可変機構でこの三機の中ではもっとも移動能力が高い、だから問題ないさ。」
「せやかて・・・・」
「・・・・・それじゃあ、あとで会おうシンジ君。」
「渚、お前なに考えてのや!!」
「ここで、戦っても意味はない、それにシンジ君の判断は正しい。」
「・・・・・そうやな、移動力の低い儂等は撤退に時間がかかるか・・・・すまん、シンジ死ぬんやないで。」
「・・・・・任務了解。」
すばやくホバーシステムで加速して撤退を始めるカヲルのEVA05。
ステルスシステムをフルに稼働させ姿を消すトウジのEVA02。
その様子を見たミサトは一機残ったEVA01に自分を割り当て、残りの2機でマナを保護することにした。
「テロリストからVIPを保護するんだから気合いを入れなさいよ!!」
「「了解!」」

その頃マナはまだ校内に残っていた。
「あのMSはアデレードで見たMS・・・・じゃあ、シンジが乗ってるの?」
一方、EVAの中でもシンジがマナの姿を捕らえていた。
「マナ・・・・・・・」
次の瞬間、援軍のシャムシエルが放ったパレットガンの弾が校舎に命中し瓦礫がマナの上に落ちてきた。

「し、しんじいいいいーーー」


さしものマナも恐怖のあまり動けないかと思いきや、すばやく側にいたシゲルを盾にしようとした。

「ぎ、偽善者やろおおーーーー」


涙を流しながら絶叫してしまうシゲル。
しかし瓦礫はマナまで届か無かった。
シンジのEVAがシールドとATフィールドを利用して瓦礫を弾き飛ばしたのだった。
安堵の余り白目を向いて気を失うシゲル。
同じようにEVAの中のシンジも驚いていた。
「どうして、こんな事をしたんだ。ここで彼女が死んでいれば丁度良かったかも知れないのに・・・・・・」
そんな中、マナは一人感激していた
「シンジ、助けてくれたの?やっぱり私の王子様?」

そんなEVAを見てミサトは驚愕した。
「あの子を、霧島マナをかばったの。でもどうして?」
しかし、任務はEVAから霧島マナを保護すること。
ミサトはマナからシンジのEVAを引き離す作戦に出た。
「さあて、前は不覚を取ったけど今度はそうはいかないわよ。」
シンジもマナがいては戦いにくいのですばやく離れた。
「あのマーク・・・・ビールを持ったイワトビペンギン!『ナイフエッジ』葛城ミサトか!!」
すばやくビームサーベルで切りかかるミサトの乗るアダム。
それを同じくビームサーベルで切り替えすシンジの駆るEVA。
「あんた達みたいなのがいるから罪もない市民が犠牲になるのよ!!」
接触回線で言葉をたたきつけるミサト。
「この戦いはNERVから仕掛けてきた物だ!こちらは戦いなど望んではいない。」
切り替えすシンジ。
「そう言いながら、お父さんを、加持を・・・・・あたしから奪ったじゃない!!」
気合いと共に切りかかるミサト。
それを真正面から受けとめるシンジ。
2機のMSが全力でつばぜり合いを始める。
「だいたい、セカンドインパクトを裏から引き起こしてコロニーを占拠した癖に!!」
「なんですって!!」
「それに加持さんは生きているんだ!」
「!!!!」
シンジのEVAがパワーで押し切ってミサトのアダムを弾き飛ばすがすばやくミサトは体勢を立て直し追い打ちは出来ない。
「・・・・・・加持が生きてるって・・・・・本当なの?」
「・・・信じられないだろうが加持さんは今、コロニーのレジスタンス活動に参加している。」
「うそよ!!殺されかけた相手に味方するバカがどこにいるというの!!」
怒りに任せて最大出力で切りかかるミサト。
「あなたが知ってることが必ずしも真実とは言えない!!」
背中のミノフスキードライブを動かしてバックステップで一気に後退するシンジ。

一進一退の攻防を繰り広げているシンジ達を後目に残りのMSはターゲット霧島マナを探していた。
そんな2機のシャムシエルの動きにシンジも不信感を抱いていた。
「・・・・何かを探しているのか?」
しかし、考え込む暇もなくミサトの繰り出す攻撃に対しているので手一杯だった。

「シンジ、・・・・」
そんな戦いを見つめているマナを突如突風が襲った。
「な、なんなのよー」
次の瞬間マナはMSのマニュピレータに手に持っていたシゲルともども捕まっていた。
「なにすんのよ、はなしなさいよーー!!」
「・・・・・葛城特佐、一応目標を確保しましたが・・・・・・」
「よっしゃあ、先に引き上げなさい。私はこいつを押さえとくわ。」
「了解、ご武運を。」
飛び去ろうとする2機のシャムシエルを見つけるシンジ。
「何故引き上げるんだ?・・・・・・あれは、マナ!!」
シンジはシャムシエルにつかまれているマナを見つけた。
「貴様ら!また関係のない人を巻き添えにする気か!!」
怒りに捕らわれたままミサトのアダムに襲いかかるシンジ。
「私たちの目的は彼女の保護よ。人ぎぎの悪いこと言わないで欲しいわね。」
「そう言いながら僕と母さんを殺そうとした癖にしらばっくれるな!!」
「!?」
今まで受け身的な戦いをしていたシンジだったがマナまでが巻き込まれたことに激情してすさまじい攻撃を仕掛ける。
ミサトすら防戦一方になってしまう。
「・・・・・答えなさい。あなたは何を知っているというの?」
「NERVにとって都合の悪い真実だ!!」
「どういうこと、加持が生きてるだの、殺され掛かっただのどういうことよ。」
「・・・・・言っても誰も信じない、だから僕は戦ってるんだ!」
そんな会話をしている間に2機のシャムシエルは戦闘区域から離脱していった。
「そんなことはな・・・・」
ピーッ
「ちっ、なによこの大事なときに。」
『ミサト、撤退よ。目的は達したのだからこれ以上はいいわ。』
「でもリツコこいつは・・・」
『即時帰還しなさい』
「・・・・・・・了解。」
ミサトは隠し持ったいた閃光弾をばらまくと一気に後退した。
シンジも閃光弾によって視界を奪われたため追撃はしなかった。
「・・・・マナを何故さらったんだ?ゲンドウ、何を考えている・・・・・」

「ミサトさん、ご苦労さんでした・・・・どうしたんですか、うかない顔して?」
「日向君、あの子は?」
「ああ、ひどく興奮していたので麻酔を使いました・・・・象用の・・・・・」
「・・・・いったい何なのあの子は?」
「さあ、司令じきじきの命令と来るとよっぽどの重要人物なんじゃ無いかと・・・」
(あの子が鍵を握っていそうね。加持が生きてる・・・まさかね。でも、何かをNERVの上層部はかくしてる。あのEVAのパイロットの言葉どうりならね・・・・)

すべての鍵を握るかと思われる人物はその頃夢の中だった。
「むにゃ、むにゃ・・・・・しんじい(はあと)」
「・・・・・もういや、何で俺まで巻き込まれんだよ・・・・(号泣)」
その傍らで自らの不幸に涙するロンゲの運転手、青葉シゲル。
「日向君、調べて欲しいことがあるんだけど・・・・」
自ら真実を求めて動き出したミサト。
「くそっ、マナを、巻き込んでしまった・・・・・・・」
自分を責めるシンジ。

この日はまさに人生の舞踏会場のようだった。

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次回予告:マナをさらったゲンドウ。マナに隠された秘密とは?
     そして真実を求めマナに接触を試みるミサト。
     NERVの新型MSイロウルの輸送作戦の妨害に挑むEVAパイロット達
     そして、そこで起こったことは・・・・・・・
     第六話「血縁」
     次回は私がサービスするかもね(By ミサト)
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《作者の部屋》
カヲル「歌はいいねえ、人間が生み出した文化の極みだよ。中でもやっぱり井上ナルミの歌は・・・」

ざしゅっっっっ



アスカ「ふん、このあたしの歌はどうだっていいっていうの?」
カヲル「コメントを求める前に『まさかり』じゃあどうしようもないと思うんだけど・・・」
アスカ「じゃあ、言ってみなさいよあたしの歌と、ナルミの歌どっちがいいって言うの?」
カヲル「そりゃあ、君が最低だろうね。山岸さんよりも下だろうし・・・」

ざしゅっっっっ



アスカ「ふん、まあ、歌のことはいいとしてもここの作者は何処行ったのよ、私はあの外道退治に来たのよ。」
カヲル「ああそれならそこに書き置きがあるよ。」
作者『真実は君と共にある・・・・なーんてね。就職活動が忙しいからあとは任せるよ、コロニーにでも行ってみようかなあー』
アスカ「・・・・逃げたわね作者。あんたを・・・・・殺すわ。」
カヲル「いつも以上に鬼気迫ってるけどどうしたんだい?」
アスカ「このあたしがよ、あの「アル中」ミサトに対しては引き分け、ヒゲ外道親父に対しては完敗・・・・こんな嘘を書き立てることに飽きたらずなんとここの作者は友人の【BLEAD】をけしかけてなんと彼のHPに『反LAS』を旗印にした地下組織を作ってその副長におさまってんのよ。こんな腐れ外道には天に変わって私が裁いてくれるわ!!」
カヲル「それは君の真実の姿を伝えるとはいえ度胸があるね、好意に値するよ。」
アスカ「・・・・・・・あんたも同罪ね。」
カヲル「えっ!?」

どげっしぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ

《ここからは放送倫理規定にかかるため放送禁止になります、ご了承ください》



作者「いやあ、まじで就職探しで困ってるんですけど今回もすごくかわいいお客様が来てくれてるんでお呼びしましょう、たくさんの作品の中で大活躍、歌も上手な『井上ナルミ』嬢です。(ぱちぱち)」
井上ナルミ(以下ナルミ)「初めまして井上ナルミです。」
作者「まさに、日本女性の鏡、現代の大和撫子、こんな良い子が何で私が書いてるキャラには何故いないんだろう(涙)」
ナルミ「・・・・オーバーな言い方ですね、こっちが恥ずかしくなっちゃいます。」
作者「でもすごいですね、私が知ってるだけで三作品にレギュラー出演じゃないですか。」
ナルミ「そうですね。」
作者「しかも、お父さまの島津義家さんからいただいた資料も細かく決められててすごいですねえ、感心しちゃいますよ。」
ナルミ「まあ、これも仕事のうちですから(笑)。”作者の人”も、どうでもいいところに凝るタチですしね」
作者「しかも、あなたの出演シーンはお父さまの書き下ろしに私が加筆させてもらった物なんですよ、おかげで随分助かりましてよ。『学園祭のシーンに出したい』とご連絡したらわざわざそのシーンを細かく書いてくださって本当に感謝してますよ、お父さまにもくれぐれもよろしくお伝えください。」
ナルミ「わかりました。」
作者「しかし、まあご近所とはいえわざわざ出演してくださってありがとうございます。実は私のお気に入りオリキャラBEST2なんですよ、あなたが」
ナルミ「それは、どうもありがとうございます。」
作者「これからもがんばってくださいね、応援してますよ。」
ナルミ「はい、がんばります」

ピーピーピー!


ナルミ「?・・・・・すいません、次の仕事が入っちゃったみたいなんで失礼します。」
作者「ああ、どうもお忙しいのに引き留めてすみません。お仕事がんばってください。」
(井上ナルミ嬢退場)
作者「さてと、そろそろ就職活動に戻るかな。」

どげっしぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ


作者「ぐっ、何奴?・・・・き、霧島マナどうして?今回は何の不満もないはずだ!」
マナ「何いってんのよ。せっかくの良い雰囲気をぶち壊してくれた上に私をヒゲオヤジにさらわせるなんてなに考えてんのよ!!」
作者「そ、それは・・・数々の困難を乗り越えてシンジ君と結ばれてこそ真のヒロインだと思ってあえてそういう事をしたわけでして・・・・・」
マナ「そう、それならさっさと続きを書きなさい!そして私とシンジの愛の記録を完成させるのよ。」
作者「そ、そんなあ。私の就職はどうなるんですか?」
マナ「あんたの人権はシゲル並よ。」
作者「それってもう人として扱われてないんじゃ・・・・・・・」
マナ「ずべこべ言わずにさっさと書けえーーー!!」

どげっっしぃぃぃぃ



マナ「ちっ、わたしの鉄拳をかわして逃げるとはやるわね・・・・・」
作者「ふう、地下トンネルを掘っといてよかった、このまましばらくBLEADの所の地下にでも隠れとくか・・・・」

【ご連絡】
『うちのオリキャラを出してもいいよ』というあたたかいメール待ってます。
もちろん『あのオリキャラを出演させろ』といったリクエストもお待ちしております。
その際にはそのオリキャラについて詳しい情報も同時にお寄せいただけると助かります。

それから、作中に登場している『井上ナルミ』嬢は島津義家さまの許可を受けてお借りしてきたキャラですので著作権は島津義家さんにあることをここに明記しておきます。
なお、『オーバーロード』の作詞、及びナルミ嬢出演のシーンは島津義家さんの書いてくださった物に不詳、わたくし京極堂テイシュウが加筆させていただいた形となっております。
それから作中に出てきたもう一つの曲『Bran New Herat』はゲームソフト会社「リーフ」様の作品『To Herat』のテーマ曲ですのでその点ご理解ください。

                         By 京極堂テイシュウ
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京極堂テイシュウさんへの感想はこ・ち・ら♪   




管理人(その他)のコメント

シゲル「もう俺は怒ったぞ!」

マコト「おいおい、どうしたんだいったい?」

シゲル「今日という今日は言わせてもらうぞ! なんでおれがあんなにひどい目に遭わなくちゃならないんだ! おまえは葛城三佐の下でオペレーターやってりゃいいだけなのに、おれは殴られる蹴られる盾にされる・・・・人間以下の扱いだぞ!」

マコト「まあまあ、おまえは知らないかもしれないが、こっちはこっちでたいへんなんだから」

シゲル「じゃあ代われ。代わってやるから、おまえこっちやれ

マコト「・・・・いや、遠慮しておく 汗」

シゲル「やっぱりこっちのほうがつらいんじゃねーか!!(号泣)」

マコト「ま、まあ、運が悪かったと思って・・・・」

シゲル「これは運のせいじゃない! 絶対に絶対に、責任は・・・・」

マナ 「だれにあるのかしら?(にっこり)」

シゲル「げぇっ!」

マナ 「どしたの? 何か言いたいことがあるんでしたら、はっきり言った方が身体にいいわよ?」

マコト「言ってしまった方が体に悪いような気もするが・・・・ぼそっ」

マナ 「まあ、言わないのでしたら私にも考えはありますけど・・・・」

シゲル「うぐ・・・・」

数時間後

カヲル「ふんふんふん〜今日もコメントコメント〜」

マコト「・・・・・・」

カヲル「おや、どうしたんだい・・・・ん? なんだいこれは?」

マコト「・・・・・・」

カヲル「なんか、『かつて人だったようなモノ』に見えるんだが・・・・」

マコト「あ、あははは、そ、そそうかな・・・」

カヲル「気のせいか、胸の名札に「青葉シゲル」なんてかいてあったりもするんだけど・・・・」

マコト「お、おれはなにも知らないぞ! このシゲルとマナが関わっているなんて、決して知らないからな!」

カヲル「そうか・・・・また彼女か・・・・ここは、ひとつ知らないふりをしていた方が賢明だな・・・・」

マコト「そうだ、そうだ、おれは知らない。ここで彼女がなにをしたかなんて・・・ぶつぶつ」

カヲル「さて、今日はさっさと逃げるか」

シゲル「うぐぐぐ・・・おれって・・・・号泣」




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