新世紀エヴァンゲリオン
「選ばれた1001番目の世界」
第三話<カヲルとシンジ、そして>


 ちょぉっとぉ、どうしてこんなホモ野郎と一つ屋根の下で泊 まらないといけないのよぉ。こんなファーストみたいないやな奴と。それに、こんな 奴が来たら、シンジが困るじゃない!
「これは、命令なのよね。ね? リツコぉ」
「そうよ。これは、命令よ」
「ちょっとぉ! まってよ! 命令ですってぇ」
 どぉして、そんな命令がでてんの?
「そんなびっくりすることないでしょぉ? パイロット同士のコミュケーションをは かるのは必要なことよぉ」
 ミサトぉ、こんな奴とコミュニケーションしろっていうのぉ?
「それに、人が多いほうが楽しいじゃない」
 ミサト、あんた、そんなお気楽極楽で生きていけると思ってるの? あたしなんて どんなつらい思いをしてエヴァのパイロットになったか・・・・。
「なんですってぇ? ミサト、あんた、なんかたくらんでない?」
 ドキッ!
「え? べ、べぇつにぃ」
「顔、にやけているわよ」
「そう?」
 ミサトはアスカの追求をかわしかねていたが、リツコが助け船をだした。
「アスカ、エヴァのパイロットとして命令に従わないの?」
「まったくもぉ!」
 アスカはものすごい目でリツコをにらんだが、リツコは動じる気配を見せなかった 。
 気持ちの整理をつけるためか、髪を揺らしてから、ミサトに向き直った。
「わかったわよ! カヲルでも何でも来て泊まれば?」
「ありがとう、アスカさん。シンジ君、今日は一晩中語り明かそうね」
「え、いや、そんな・・・・」
 こ、困るな・・・・、そんなこと言われても・・・・
「こら! そんなこと言うから、馬鹿シンジが困ってるじゃないの!」
「迷惑かい? シンジ君」
「え、いや、別にそんな訳じゃないけど・・・・」
「シンジ! 言いたいことがあるなら、困るなら、困るって、はっきり言いなさい! 」
「え? そんな・・・・」
「あんたねぇ、そういうグズグズ、グズグズしているから、女の子にもてないのよ!  いい加減成長しなさいよ」
 ちなみに、シンジはアスカが思っているほど、もてない少年ではない。繊細な顔立 ちと、エヴァのパイロットであることがうけて、結構もてる。ラブレターをもらった ことさえ、一回ではない。そのため、流石にアスカの言い草に頭にきたのか、むっと した顔をして、ぼそぼそと話し出した。
「一晩中って言うのは、ちょっと困るけど・・・・、でも・・・・、カヲル君とは友 達になったんだし、いろいろ話すのは大切なんじゃないかなぁって・・・・」
「うれしいよ。シンジ君」
 カヲルは、またシンジに抱き付こうとした。が、アスカがすばやくその間に割って 入った。
「そこまでよ」
「どうして、邪魔をするんだい? アスカさん」
「あんたには関係ないことよ」
 そう言って、二人はにらみ合った。火花が散るような気がして、シンジは気が気で はなかったが、ミサトがタイミング良く間に割って入った。
「はいはい、そこまで、帰ってからいくらでも、話はできるんだから・・・・。そう だ。とりあえず、夕食は豪華にしなくちゃね。カヲル君、何がいい?」
「何がいいって、ミサト、あんた、料理できないじゃないの」
 はぁ、まったく、三十にもなろうかって女が、これだもんね。これだから、加持君 に逃げられるのよ。
「失礼ね。それに、あたしが逃げたんです。加持に逃げられたわけじゃないわ」
「誰もそんなこと言ってないじゃない」
「あ、そうだっけ?」
「まったく・・・・」
 リツコはこめかみを抑えて、うつむいた。
 間が抜けてるところが多いくせに、こういうことに関しては鋭いんだから・・・・ 。これが、もうちょっとまじめな方向に向かったらねぇ・・・・。
 今さらどうしようもない様なことで悩んでいるリツコを無視して、ミサトは言った 。
「とりあえず、帰りましょ。途中でスーパーによってから」
 そして、子供達三人の背中を押して歩き出そうとした。
「あっ、ちょっと待って、ミサト。最後に一つだけ聞きたいことがあるの」
 だが、その背中にリツコが声をかけた。
「なぁに? リツコ」
「あなた、今から二時間前くらいに何か感じなかった?」
「へ? ちょ、ちょっとどう言うこと?」
「大事なことかもしれないことなの。答えて」
「うーん、そう言われても・・・・」
「たとえば、振動というか、揺れたのを感じたとか、そう言うのだけど・・・・」
「そう言われれば・・・・、あたしは揺れたように感じたけど、日向君たちは何もな かったって、言ったことがあったわねぇ。その時は、あたしが疲れていただけだと思 ったんだけど・・・・。でも、そんなものだったら、ネルフの計測機器に引っかかる んじゃないの? どうしてわざわざあたしに聞くの?」
「・・・・」
 だが、リツコはそれには答えなかった。そのかわり、
「アスカとシンジ君は?」
 と、聞いた。
「あたしは感じたけど? ハーモニクスの試験中に。それがどうかしたの?」
 アスカは左手にはめたブレスレットをさわりながら答えた。
「ぼ、僕は別に・・・・」
「そう・・・・、よくわかったわ。ありがとう」
 リツコはそれだけ言うと、背中を向けて自らの実験室の方に歩きだした。
「一体なんだったのかしら?」
 ミサトは怪訝な顔で呟いたが、
「さぁ?」
 と、アスカも肩をすくめただけだった。


 ミサトの運転で、少年少女の三人は家路についていた。ちなみに席は、助手席にア スカ、助手席の後ろにカヲル、運転席の後ろの席にシンジである。
 ミサトはミラーの角度を修正しながら、カヲルに聞いた。
「そう言えば、まだ、カヲル君の好きな料理聞いてなかったわね。なにがいい? リ クエスト何でも聞いちゃうわよ」
 給料日前だけど・・・・。
 ・・・・またか、ミサトさん。
 でも、この、カヲルって言う男の子、いいわぁ。なんか、中性って感じで、でも、 どことなく妖しさというか、妖艶さがあるのよねぇ。同じ中性と言っても、無垢な感 じのシンちゃんとは違った雰囲気。それで、それで、もし、もしも、ほんとにもしも よ、カヲル君がシンちゃんに迫って、カヲル×シンジ何てことになったら、シンちゃ んはカヲル君に汚されちゃうわけか・・・・。きゃぁぁぁああ! もぉ、さいこぉ!  美味しすぎるシチュエーションだわ。忘れかけていた血がさわぐぅ!
 ・・・・ぉぃぉぃ
 これは、今夜は眠れないかもね。何かあったら、リツコにもおしえてあげよ。
「・・・・トさん、ミサトさん・・・・」
「はっ、なに? カヲル君」
「ミサトさん、大丈夫ですか。心ここにあらずって感じですけど?」
 ・・・・あぶない、あぶない。あやうく、耽美な世界から帰ってこれなくなるとこ ろだった。
「だ、だいじょうぶよ。え、えぇっと、何?」
「あの僕、肉はダメなんです。」
「へぇ、綾波とおんなじなんだ・・・・」
 即座に会話に入ったのはシンジ。
「レイと同じって事は、シンちゃん、お願いできるぅ?」
「え、ええ、いいですけど・・・・」
 シンジは簡単に受け合ったが、アスカには不満があった。
 シンジぃ、あんたはどうして、そう、簡単になんでも、受け合うのよ? それに、 ミサトもミサトよ。どうして、レイと同じだったら、シンジが料理を作らなくちゃい けないのよ! 全然脈絡がないじゃない。そう、まったくないわ! 自分ができない なら、できないって正直に言いなさいよ! それに、ファーストと同じで、肉が食べ れないっていうのも気に入らない。もう! 文句つけてやる!
「ちょ・・・・」
 アスカは助手席から身を乗り出した。だが、
「え? ということは、シンジ君の手料理が食べれるっていうことかい?」
 その前にカヲルが先に話し出したので、アスカは口を出せなくなってしまった。
 やっぱり、このカヲルって奴、苦手だわ。
「そ、そういうことになるのかな?」
「ありがとう、うれしいよ。シンジ君。だったら、もう、シンジ君にすべてをまかせ るよ。僕はシンジ君の手料理だって事だけでもう十分だ」
 カヲル君て、なんか大げさだなぁ。シンジはそう思ったが、口には別の言葉をのせ て出した。
「え? でも・・・・どうして、僕の料理なんかで・・・・」
 そりゃ、ミサトさんは殺人シェフだし、アスカは生卵が割れるかどうか疑問だし・ ・・・、だから、食べるとしたら、僕が作るしかないわけだけど・・・・、でも・・ ・・、そりゃ、僕も料理が下手な方じゃないし、学校の家庭科でもクラスの女の子よ りも僕の方が上手いけど、でも、それも中学生としてであって、だから、そんなに上 手な方じゃないんじゃないかな? よくわからないけど・・・・。
「シンジ君だからさ」
「え?」
「上手い、下手じゃない。シンジ君が作ってくれるっていうことが大事なのさ」
「!」
 そ、そんな・・・・、でも、なんかうれしいな。なんでかな? でも、すごい責任 も感じちゃうな。
「シンジ、あんた、ホモぉ? 男の言ったことに赤くなるんじゃないわよ!」
 まったく、そんな態度をとったら、女の子がどう思うか全然わかってないんだから 。だから、シンジってもてないのよねぇ。本当にバカ!
「アスカ! ホモって言うことはないだろう?」
 シンジはさすがにむっとして、そう言った。だが、カヲルの次の言葉を聞いて硬直 してしまう。
「いいじゃないか。正直なことは悪い事じゃないよ」
「正直って・・・・何が・・・・」
 と、言ったのはシンジ。
「あんた・・・・たち・・・・」
 と、言って呆然としたのはアスカであった。
「さぁ、シンジ君・・・・」
 そう言って、カヲルはシンジににじり寄る。狭い車内であるが故に、シンジには逃 げ場がない。あっという間に車のドアに押しつけられてしまう。ミサトはミサトで耽 美な妄想世界が、現実にあらわれそうな気配に、目を輝かせている。当然、二人の間 を邪魔しようとはしない。アスカはというと、シンジが運転席の後ろに座っているた め、うまく邪魔ができない。
「僕と二人だけの・・・・」
 そう言って、カヲルはシンジのおとがいに手を伸ばした。シンジは完全に硬直して しまっている。アスカの願いは届かないのか?
                        <つづく>


次回予告
シンジとカヲルのやりとりに
苛立ちを抑えきれないアスカ
しかし、
シンジはアスカの苛立ちには気付かない
怒るアスカ、喜ぶカヲル、楽しむミサト
そこでアスカが下した決断とは?

次回
新世紀エヴァンゲリオン
「選ばれた1001番目の世界」
第四話<苛立ちのアスカ

みんなで読んでね(どうやって?)


秋良つかささんへの感想はこ・ち・ら♪   


管理人(以外)のコメント

ミサト「わくわくどきどき」

加持 「おい葛城」

ミサト「(びくっ!!)・・・・な、なんだ加持か。おどかさないでよねもう!」

加持 「・・・といわれてもなぁ・・・・なんだそのほっかむりと手に持ったビデオカメラは。どこをどう見てもあやしいぞ。痴女か?」

ミサト「だぁーれが痴女ですってええ!!」

加持 「じゃーどうしてそんなかっこでほいほいあるいてるんだ?」

ミサト「きまってんじゃなーい♪ シンジ君とカヲル君がどうなるかをこっそり・・・・いやいや、暖かく、のぞき見して・・・・いえいえ、見守って手あげようと思ってね♪」

加持 「・・・・やっぱり痴女じゃないか・・・・(汗)」


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