「いよいよあのコンピューターも完成ね、調子はどう?」

「あの子たちならもう既に九割方仕上がっているわ。ただ、どうやってこれか

ら意識を封じ込めるかね、これは人類初の試みよ。」

「失敗しなきゃいいけど・・・近頃テロリストも出没しているみたいだし、警

備の方もしっかりさせなきゃね!」

 そう言い放つと、満足したかのようにミサトはブラブラとどこかへいってし

まった。そしてリツコはプログラミングを一時中断し、目の前にある物体をし

げしげと眺める。それは・・・・それは意思表示すらしてみせはしないが、確

かに人間の体が三つあった。

(神々に逆らい、また私達は過ちを繰り返そうとしているのかしら・・)

 そしてため息をつき、再び手を動かし始めた。

「いっそテロリスト共に何もかも狂わされてしまえばいいのに・・・」

 なんとはなしにつぶやくリツコ、彼女は生きることに疲れていた・・・


第二十話 運命の歯車2


「カスパーの肉体はもう仕上がったわ、バルタザールももうできるから・・・

そうね、メルキオールをどうにかして完成急がせて、遅れてるわよ。」 

 あわただしく動く技術者達、モニターに映る数字と格闘をしているプログラ

マー。リツコはリツコで人類史上初の『生命体コンピューター』の基礎理論を

焼きなおし、実用化できるように組み立て直すのでめまぐるしく両手はキー

ボードを叩いていた。

「ほら、12番のプログラマー、今バグを見逃したわよ。」

 しかしリツコはネルフ帝国きってのプログラマーであり科学者でもある、指

を動かすスピードをまったく緩めずにプログラマー達のモニターや技術者達の

仕事をしっかりと監視している。

「まったくこの忙しいときにユイ様は一体何をしていらっしゃるのか・・・・

せめて東方の三賢者の一人である母さんが帰ってきてくれればこの理論も今頃

は完成しているのに・・・」

 ついつい愚痴をこぼすリツコ、彼女の母親で東方の三賢者と称された惑星ゲ

ヒルン東部群島から現れた三人の天才の一人である赤木ナオコ博士は三年前か

ら行方不明になったのだ。もう一人の天才にして皇紀たる碇ユイも三ヶ月前か

ら消息を知らされない。いかな天才といえどもリツコは数々の理論を打ち出し

た三人にはかなわないと感じていて、それで今のような愚痴をこぼしたのだ。

「困り者ね、この素材達を造り上げるのにも何年かかったか・・・」

 水晶隔壁一つを隔てて見える三体の体は一つ一つ紹介するならば・・まずカ

スパー、二十歳ほどの青年で淡いブルーのかかった長髪の落ちついた雰囲気の

感じられる体だ。そしてバルタザール、足下まで届くような見事なブロンド

でこれまた二十歳ほどの女性だ。最後にメルキオール、この体だけはまだ髪の

色や瞳の色などが真っ白なままだ、男女の性別すらできていない。歳の頃もま

だ十歳ほどだろうか、他の二体に較べると何まわりも小さい。

「この三体に膨大な知識を詰め込む、なんてできるのかしら。」

 生命体コンピューターを作るにはまず素材となる体を作るのにもっとも適し

た遺伝子形態を過去何兆という人から選り抜き、さらにそこからクローン技術

の応用でもっとも良い状態、年頃まで持ってゆく。そこでさらに現存するコン

ピューターから古今東西のあらゆる知識を圧縮し、脳へと送り込み生命を吹き

込めば後はIQ1000ほどの生きたコンピューターが生まれるわけである。

 理論上からは敵対せず、仲間として行動するはずだが下手をすれば一人で東

方の三賢者にも対抗できるようになっているので敵にまわったときはハッキン

グを受け惑星ゲヒルンごと消されることも有り得る。三体にすることによりそ

れぞれの意見が分かれたときにも多数決で決めるようにと考えられたのだが、

生命体コンピューターなので調子が悪い日などもでてきてしまい失敗なども犯

す様になってしまっている。しかも生きているので移動には楽だが生命の保存

という面においては非常に危うい。万が一を考えて魔法の知識も詰め込まれる

予定だが、魔法にしたところでミサイルなどを防げても事前に処置していなけ

ればならず、不効率だ。

 以前ミサトがリツコに聞いたことがあった。

「ねえ、もしこのコンピューターが完成したら何に使うの?やっぱり戦争な

の?」

「当たり前でしょ、でなければ国がこんなに予算を割いてくれるはずが無い

じゃない。」

「なら・・この子たちに自由意志というものは存在しないの?」

 そういわれたリツコははっとしたが、その場は

「戦争が終わってからそれは考えるべきね。」

などとお茶を濁してごまかした。しかし今考えるならば理論など打ち立てても

所詮はIQ200程度の考えたもの、IQ1000の三体がどうして自分より

劣っているものに従おうか。結論としてはそれは裏切り、謀反などの要素にな

るものを省きかわりに人に対する善人の接し方を打ち込むこととなったが三体

とも生きているのである、何時どこで何を知識として取り込むかまったく予測

がつかない。もしそうなったときはどうしようもないということをリツコは感

じていて、時折そうならないことを神に祈ったりもするのだった。

「ホメオスタシスとトランジスタシスか・・・・・神様はこの上何を期待し

ているのかしらね。」

 と、その時警報が鳴り響く。


ヴーン ヴーン ヴーン


「テロリストです、第三ブロックから侵入してきました!!・・早い!一体ど

うすればこんなに高速で移動できるんだ!!」

「エネルギー供給が絶たれました!駄目です、モニターも次々に死んでいきま

す!!」

 次々と施設が破壊され、なすすべもなくただ報告のみしか行えないオペレー

ター達。遂にしびれをきらして席を立ち、武器を手に取る。

「赤木博士!我々に第一級戦闘配置の指令を!」

「このままではあの素体もやられてしまいます!博士は我々がくい止めている

間に完成を急いでください!」

 そうこうしている内にも爆音は轟き、衝撃波が叩きつける。決断を迫られる

リツコ。

「・・・わかったわ、第一級戦闘配置、総員武器を取れ!」

 そしていうが早いかメインコンピューターのデータを一気に三体に移行させ

る書き込みをおこなう。駆け出して迎え討ちにいくオペレーター達、連続で爆

発の衝撃波が襲い次々と施設が破壊されていく。

「リツコ!手伝うわよ!」

 地下からユイと共に現れ、ミサトがマジックサイレンを発動させるミサト。

「これでしばらくすれば帝国軍が来るはず・・・あとはやられない内にそいつ

の完成いそいじゃって!」

「魔法の知識の方は私が並行して送り込みます、赤木博士はデータの転送を急

いでください!」

 ユイはその魔導師のローブをひるがえし、一気に水晶障壁を通り抜けて三体

のところへと向かった。 

 事態は今、急展開をみせていた・・・・


あとがき:04 ?「初めまして、????です」 ?「同じく??????だ」 ?「二人共と同じ、??????だよっ!」 ?「次回はようやく私達の番、全英知を持ってあなた方読者をお迎えいたしま しょう」 ?「アタシ達三人の正体、もうバレバレかな?」 ?「どんどん増やされるオリキャラ、はたして作者は覚えきれるのか」 ?「そして事態はどのように動くのか」 ?・?・?「「「お楽しみに!!」」」
次回予告
急速に加速される運命の歯車、そして遂に動き出すMAGI。はた して世界はどう変動するのか?  次回第二十一話「運命の歯車3」、この次もお楽しみにっ!

火野竜馬さんへの感想はこ・ち・ら♪   

火野竜馬さんのぺえじはこ・ち・ら♪   


カヲル「ねえねえ、今回は僕の出番、ないんだけど」

アスカ「あたしもよ」

リツコ「ふっ、これでこの作品の主役がだれなのか、ようやく分かったようね。実の主役は、私なのよ」

カヲル「・・・・泡沫主役(ぼそっ)

アスカ「所詮一回だけの主役よね」

ミサト「ちょっと出番が多かったからっていい気になって・・・・」

???「婆さんは用済み・・・・」

リツコ「ちょっと・・・・今、関係ないことを言ったのは誰!!


前の話へ
続きを読む
館入り口へ