カヲルが再び指を打ち鳴らすと今度は澄んだ液体が現れた。

「済まないね、メインディッシュのはずだったんだけれどそうも悠長にしてい

られなくなったらしい。」

「だとすると、アタシ達の知らないうちに地上で何かあったのね?」

 カヲルの言葉にアスカが問う。

「それがどうもはっきりしなくてね、とにかく早く話を終わらせた方がいいと

いうことになったのさ。」

 それから一呼吸おいて言葉を続ける。

「まだ未確認だが、敵方のエースが復活したらしい。こちらの切り札はあるに

はあるんだがいまいち信頼がおけない、そこで君達におねがいがあるんだ。」

 そして先ほどの飲み物を口にしてからさらに続ける。

「僕等としてもそちら側の意向を尊重したいからね、これからの君達の行動に

関してもう何も口出しはしない。敵として立ちふさがるなら倒すだけ、味方に

なるなら迎え入れる、それともこの戦いを傍観するだけでもいい。つまりは中

立としての存在を認めるということさ。・・そのかわりと言っては何だけれど

も今しばらくだけ君達の力を貸して欲しいんだ。」

 するとしばらくの沈黙状態だったシンジが口を久々に開く。

「僕としてはかまわない、むしろ好都合だと思うよ。アスカや綾波は?」

 話を振られたアスカ、綾波は

「アタシとしても妥当な線と思うわ。むしろシンジのいうとおり好都合ね。」

「そうね、悪い条件ではないわ。・・・・だけれど一つ言っていい?」

 そして少しためらいがちに

「人間同士の争いに関してはどうするの?私達だけでうまく押さえきれるとも

思えないけど・・・・」

 その言葉を聞きカヲルがクスリと笑う。そしてしばらくしてから言葉を紡

ぐ。

「大丈夫、運命の歯車は全てうまく回っているよ。」


第十八話 会食参


「さっきの火野とショウ、って名乗っていた二人の次に現れた二人は僕も知っ

ている人なんだよ。二人は死海文書にも暗黒神話にも乗っているれっきとし

た人物で、かの有名な戦闘集団のある永世中立国のくろのすの騎士団長だ

よ。・・・・もっともあんな力があったなんて驚きだけれどね。」

「アンタだって瞬間長距離移動ができるじゃないの、過去のどんな大魔導師も

できなかったっていうのに。」

 アスカがつっこむ。

「人間の中で、の話だよ。僕は今もう人間とは違った構成で成り立ってしまっ

ているからああいった芸当も可能なのさ。あの二人は人間だし、第一次元の狭

間を移動するなんて僕等の中でも少数しかできない荒技さ、信じられない

ね。」

「じゃああの火野っていう人とショウっていう人は人間じゃないと、そういう

こと?」 

 シンジが尋ねる。

「まあシンジ君とアスカ君の二人合わせてならどんな芸当も可能だろうが・・

まあありていに言ってしまえばあの二人の言っていたとおりまさしく異世界か

ら来て歴史を変えているという事かな、人間じゃなくても不思議はない。」

 なるほど、確かに移動している座標に空間を開けたのもシンジのアスカへの

思いの力ゆえ、アスカのシンジへの思いのゆえ。この二人ならばいずれは時空

をも超えることができるだろう。

「あの二人はあまりにも力の次元が違いすぎる、敵方のスパイと思ってああ

いったマネをしたけれども今考えるとまさに関与しなかった方がよかったね。

おそらく一人一人がこの銀河、いやこの次元そのものよりもエネルギー総量が

大きい。」

 そしてカヲルは急に思い出したかのように話を変える。

「そうそう、君達の力を借りたいって言ったんだったね。じゃあこちらの方へ

来てよ。」

 カヲルはそういうとスタスタと奥の部屋へと進んでいった。

「あ、待ってよカヲル君!」

 急ぎ足で後を追う二人。そして二人が奥でみたモノは・・・・

                 *

「やれやれ、まさかこうまで俺達が酷使されるとは思わなかったな。」

「ああ、しかしあれだろ?何でもライジとか言う奴が今度この艦に配属される

とかいう話があるって・・・・」

 シャワールーム内でマコトとシゲルが会話している。内容は珍しく伊吹艦長

以外のことだ。

「俺達の乗っているヤツ、あれよりも戦績がいいんだとさ。」

「へぇ、ただの一兵卒が?」

 キュッ マコトがいち早くシャワールームからでて、シゲルを待つ。

「いつものトコで待ってるからなー、早くしろよ。」

「ああ。」

 しばらくの後にマコトがブラブラと歩いていたところ、ようやくシゲルが現

れた。その手には冷えた飲み物が握られていた。

「ほら、待たせたぶんおごるぜ。」

「ああ、ありがとうな。」

 しばらく黙々と飲む二人、そしてようやくマコトが口を開く。

「・・ゼウスで俺達、何艦隊潰したと思う?」

「・・さあな。十くらいか?」

「その倍だ。・・なのに、ライジとか言う奴は支給されたマシンで三十も沈め

たらしい。それも常に最前線のところでな。」

「つまり、そいつ一人の方が俺達二人よりも役立つ、ってことか。」

 急に壁を叩きつけるマコト。

「俺達が苦労して、俺達だけしか乗りこなせないゼウスであれだけ酷使されて

二十だぞ!?こんなに毎日色々なところへとばされ、ろくにこの三日間寝てい

ないのにたった二十だぞ!!たった一人が三十だ!?ふざけるな!!!」

 しばらく静寂と沈黙、それとマコトの荒い息使いだけが辺りに響いた。

「・・・・結局のところ、俺もお前もやろうと思えばできるのにやらないから

だろ。」

 シゲルがぼそりとつぶやくように言った。

「・・ああ、俺だってこのバンダナさえ取れば・・」

 と自らの頭に巻き付けられたバンダナに手をやる。

「おお、俺だってこのブレイカーを使いさえすれば・・」

 とシゲルも己の手首に存在する不思議なものをなでる。

「・・結局のところ、昇進して俺達も守りにはいっちまったからかな。」

「・・そうかもな、俺達も昔は、な・・・・」

 そう言いつつも、昔を回想する二人。

「また昔みたいに、メンバー全員集まって群狼気取りなんてもうできないだろ

うな・・・・」

「ああ、みんなどうしてるかな・・・・」

 ゴクリッ 一口、ぬるくなり始めた飲み物を飲み込むシゲル。
 
「ライジ、か。どんな奴なんだろうな・・・・」

「ああ。」

                 *

「・・もう二人とも、そのくらいにしてよ!!」

 相変わらずのネルフ帝国皇帝の間。しかし一向に収まる気配はない。

「・・君も大変だな、こんな姉上君達をお持ちになると。」

「ええ、もう毎日大変なんですよ・・ってあなたは!?」

 いつの間に入り込んでいたのか、シュウの横にはカゲルとアルスが立ってい

た。

「ああ、俺はアルスって言う、傭兵だ。一応味方かな?」

「・・たぶん、残酷な天使の二つ名が知られていると思いますよ、アルスさ

ん。」

「残酷な天使っ!?そうか、君が味方に付いてくれたのか・・・・ならば我が

帝国も勝利は目前だな。」

 ようやく自分の世界から戻ったゲンドウが叫び、それに連鎖的にシオリとカ

オリも正気に戻る。

「貴方がかの残酷な天使?それにしては随分ヤサ男ねえ。」

「そうよね、もう少し逞しくても・・・・」

 と、うさんくさげにアルスを眺める二人。

「あ、そういえばアスカ姉さんやシンジさんは?ゲンドウおじさん。」

「うむ、二人はだな、その・・・・・」

 話しづらそうなゲンドウ、まあさすがに政略結婚を押しつけたシンジと、さ

らにその政略結婚の相手であるレイと一緒に行方不明になったとは言えなかっ

た。

「あら、カゲル君じゃないの。アスカちゃんはね、実はシンジ殿とうちの妹の

レイと一緒にどこかへいってしまったのよ。」

 カゲルとアスカは以前両親につれられてゼーレ公国に行ったことがあったの

だ。そこで二ヶ月ほど滞在したので顔見知りなのだ。・・にしても、よく顔見

知りにそんな重大なことをさらりと言えたものだ。

 しかし言われた当のカゲルにはいたって驚きはみられない。

「驚かないな、カゲル。」

「ええ、まあ肉親だし姉さんのことはよく知っているつもりだから・・・・」

 と、いきなりアルスが思い出したように話し出す。

「ゲンドウ皇帝、ちょっとお話が・・・・」

「うむ。」

 久しぶりに緊迫感走る皇帝の間であった。


 あとがき:02 アルス「今回はタイラントとして処理された作者に代わりこの俺、アルス と・・」 ライジ「俺がおこなう。」 アルス「どうやらいまだ作者はアスカちゃんに拷問されているようだ、別に可 哀想ではないが・・・・」 ライジ「ああ、シオリとカオリについてか。」 アルス「ところで俺達、何を話せばいいと思う?」 ライジ「・・・・」 アルス「仕事料だけもらって帰るか?」 ライジ「そうだな。」 アルス「それではみなさん、お元気で。」 ライジ「作者のように休みボケしないようにな。」

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管理人(その他)のコメント

アスカ「作者・・・・ここの逃げた作者の事かしら、休みボケって」

カヲル「そうかも知れないね」

アスカ「まったく、この火野竜馬って人はきっちり作品書いているって言うのに」

カヲル「そうそう、逃げた作者から伝言を預かっているよ」

アスカ「なんて?」

カヲル「えーっと・・・・「おれも学生だったらぁ!!」・・・・だそうだ」

アスカ「また無理なことを望んで・・・・」

カヲル「簡単なことさ。仕事やめればいいんだから」

アスカ「・・・・あんた、作者が収入なくしたら、このぺえじ、間違いなく閉鎖よ」

カヲル「うぐっ・・・・そ、それは・・・・(^^;」


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