「なにっ!!カオリも行くのか!?」 「はい、そもそも私の部屋に飾ってあった写真を見てシオリも行ったのでしょ う、しかも私に断りもなく。」 そう、シオリとカオリは名前も似ていて非常に混同しがちだがあえて前回は 注釈はつけなかった。姉妹揃ってなんと迷惑なと思うだろうが何せカオリの方 は歳がいってる分まだ分別とかもあるが同じような思考パターンの三女シオリ は十二、ちなみにシュウの双子の姉でもある(つまり長男なのにシュウは末っ 子なわけだ、可哀想に)。唐突にシオリが行動したために密かに同じような計 画を立ててはいたが、服選びに時間のかかったせいで後れをとったのだ。 「しかも連れ戻すためにシュウがいったとか。あの子はまだシオリと同じ十二 歳、うまく言いくるめられて帰ってくるのがオチです。しかも肝心のシンジ殿 自体まだ実は帰国していないというではありませんか、それではむこうに若い 者がぞろぞろいったときにむこうの迷惑、私が一切合切とりまとめてきま す。」 もうおろおろとうろたえるばかりのキリカ。 (ああ、せめてまともな次女のレイさえいてくれれば) もはや変わり者というか熱しやすいというか無茶苦茶な娘二人を持って苦労の 絶えないキリカであった、さぞ心労だろうに。 「止めても無駄ですわ。事もあろうに姉である私の部屋に入ってシンジ殿の写 真を見、それだけならまだしも(作者にすら)有無をいわせず強引に行って しまったなんて最悪です!」 こちらもシオリと大して変わらず問答無用に転移室に行ってしまった。 「さあ、行き先はNERV帝国よ!」 第十五話 迷惑姉妹 ブウウンッ 機械音とともに転移が済む。 「さあ、先に来ているはずの二人を探すわよ。」 ずかずかと進むカオリ、何とも優美な足どりで警備の兵士達も思わず見とれ てしまっている(服の袖についている紋章で王家の者とはわかっている)。 「もし・・」 「はっ、はい!!」 聞かれて思わず飛び上がる兵士。 「私の妹と弟を見ませんでしたか?名は・・」 「はいいらっしゃいました、シオリ様とシュウ様ですね。」 迅速に答える兵士、ついでに言われもしないのに案内までし始める。 「こちらです、こちらの皇帝の間の方へ向かわれました。・・にしても姉妹三 人ともお美しいことで、素晴らしいですな。」 どうやらこの兵士はレイが来たときもこの場にいたようだ(そしておそらく 同じように皇帝の間へ案内したに違いない。)。 「いえいえ、なんでもこちらには私達女もかなわないようなお美しい方がい らっしゃるとか、遠く我が国までその噂は響きわたっております。」 「カヲル様のことですね、はい。そりゃあもうあのお方は何とも言えぬ中性的 な不思議な魅力をお持ちで・・・・でもカオリ様もそうそう言うものじゃあり ませんよ、やはり私達男共から見れば勝りこそすれ劣ってなんか決していませ ん。」 どうもこの男、よく口の回るようだ。 「で、今回はどう言ったご用件で?やはり行方不明の妹ぎみの件について三人 の姉弟揃って話し合いに来たので?」 「いえ、今日はまた別の用事がありまして・・・・」 「そうですかー。いやー私みたいな一兵卒に過ぎないものには到底関係のない お話ですな、一般人に生まれたこの身を恨みますよ。」 「いえ、これでもまた王族には王族の悩みがあるのです・・・・それよりあな たこそ一般人に生まれて自由に動けるじゃあありませんか、幸せですよ。それ に戦で大きな功績を残せば将軍にまで昇格できますよ、きっと。」 「さすがですね、私達にはわからないレベルの高い悩みなのでしょうな。・・ にしてもありがたいお言葉、その言葉を糧にこれから私はがんばります!!」 つくづく舌の回る男だ、よく疲れないものだ。 「さっ、こちらです。どうぞお入りください。」 ギギイッと重苦しい音を立てて開く扉。そのむこうには・・・・ 「・・・・ですから、ぜひとも私をシンジ殿の后に。」 「姉様、もうちょっと落ちついて話を・・すいません、姉上は少々興奮気味 なのです。」 ゲンドウとシオリ、それにシュウの三人だけの、しかしそれに反してとても 賑やかな皇帝の間があった。 「ちょっとシオリ、落ちつきなさい。みっともなくてとてもシンジ殿の后にな どなれたものではありませんわよ。」 入りばなに妹をいさめる。 「姉様!!」 「お姉様!!」 二人の声が重なる。 「お久しぶりです、ゲンドウ皇帝。」 「うむ、随分と久しぶりな事で。・・で、今日はまた何の用事がこの私にあっ てお訪ねに?」 さすがに少々口調が狂いつつも皇帝、しっかりと反応する。 「今日はそこの興奮した妹を取り押さえに来ましたの。そして私の申し上げた いことも妹と同じ、シンジ殿との結婚についてです。」 「む・・う(シンジの奴め、えらくもてよるな。幼なじみのアスカ君に一応現 在の婚約予定者レイ、それにこの二人の姉妹。うらやましい限りだな)。」 そんな結構馬鹿なことをゲンドウが考えている間にもシオリとカオリの口論 は始まっていた。 「ちょっと、シオリ!あなたは私の部屋に無断で入ってそれであの写真を見た のでしょう、だったら少しは姉たる私に対し譲歩しなさい!!」 「いやです、お姉様。ここで今譲歩したらお姉様がシンジ殿との婚約をこの場 で決めてしまいそうじゃあないですの。それはゆずれません。」 「あなたは妹で、しかもまだ十二でしょう。結婚は早いです。それより十七の 私がすべきです、さあこの場は退きなさい。」 「嫌です嫌です!!お姉様は十二っておっしゃいますけどレイお姉様だって十 四で婚約予定をお決めになったじゃありませんか、たかが二歳程度大した違い はありません!!」 「そう、たかが二歳というのならせめてその二歳を取ってからにしなさい。」 「そんなのずるいです、それに私は今シンジ殿と結婚したいのです、二年も待 てません!!」 「本当に結婚したいのなら二年は待てるわ、私とて二年後に結婚と言い渡され ても文句は言いません。」 延々と続く口論にうんざりしてシュウが仲裁にはいる。 「いい加減にしてください、姉様達!!こんな他国の、それも皇帝の間ですべ き行為ではないでしょう!?迷惑ですよ、ねえゲンドウ皇帝?」 しかしついつい自分の世界に入っていたゲンドウは、 「いや、私はこうしているのを眺めるのも悪くはないが・・」 などと言ってしまう。 「ああ、もう駄目だこりゃ。」 あきらめて隅の方へ言って終わるのを待つシュウ。しかし不幸にもこの口論は アルス達が来るまで延々と丸一日続いたのであった(政治とか大丈夫なのか? ゲンドウ)、南無三・・・・ * すすっと進み出るショウ。 「えー作者からの伝言を預かってこのたびはるばる異世界から舞い戻ってき た。何々・・・・『カオリとシオリを混同された方、どうもすいません。作者 の注意不足でキャラが勝手に暴走してしまいました。深くお詫びします。』・ ・・・・ってこれ、これを読みに来る人がいると仮定しての事じゃあないか、 そんな暇な人いるものか!!・・・・とにかく伝言終了、メールでも送って やってください(非難の声とかでもいいです)。」 スルリッとショウはまた異空間へ消えていった(ようするに補足ね、カオリ とシオリのことについて)・・・・ * 最近ご無沙汰の人、アルスとカゲルは・・・・ 「まだつかないんですか?アルスさん。」 「すまないなあ。どうも俺は方向音痴なもので、それもあるから魔法じゃなく 機械任せにしたかったんだが・・・・」 「もういいですよ、ここまで来て・・・・」 小惑星団の雨をかいくぐりながら惑星間移動を行うアルス達、不幸なカゲル に合掌・・・・
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管理人(その他)のコメント
カヲル「シンジ君、僕はちょっとでかけてくるよ」
シンジ「え、カヲル君、どこへ行くの?」
カヲル「いやね、ついさっき、ちょっとそこに異次元への穴をみつけたんでね」
シンジ「・・・・はあ?」
カヲル「ラミエル君に調べてもらったら、それは別の世界へ通じているそうなんだ。で、そこのもうひとりのカヲル君が大変なんで、ちょっと助けに、ね」
シンジ「・・・・よく分からないけど、大変、ってどういうこと?」
カヲル「いや、そこのもうひとりのシンジ君を、べつのアスカ君にうばわれそうで・・・・」
アスカ「わっけのわからんことをいいまくらないで!! この書き方、読者だけでなく作者自身も混乱してるわよ!!」
ばかっ!!
アスカ「そもそも別世界のことに干渉しないでよね! なに、異次元空間を通って助けに行く? まるであのドラえもんなみにご都合主義じゃないの」
カヲル「おやおや、エヴァンゲリオン小話を見る限り、君はドラえもんにかなり詳しいようじゃないか」
アスカ「うくっ・・・あ、あれはシンジとのつきあいで・・・・」
カヲル「映画に行ったのはシンジ君が目的? それともドラえもんを見ることが目的?」
アスカ「い、いちいちうるさいわね!!」