「荷を降ろすぞーっ!!」   

(荷物?こんなところになんで今更・・・・)

「急げよ、なんでも急ぎの品らしいからな。」

(急ぎの品?何かしら)

「塩漬けの魚がか?」

(なんだ、食べ物か)

「さあな、とにかく俺達は注文通りにすればいい。」

(トウジからかな?・・まさか、ね)

「後はこの屋敷におくだけか・・・・ん?この屋敷は」

「ああ、あのまだ若いのに将軍になった奴のだろ、今はもう死んでいないが

な。」

(やっぱりトウジ、死んじゃったんだ・・・・約束したのに)

「じゃあ今は誰もいないのか?」

「いや、確か一人将軍の帰りを待つ女の子がいるとか・・」

(私の事よね、きっと)

「まあそんなことはどうでもいい、ここに荷を降ろして終わりだ。」

  ドサッ

「いくぞ。次の荷は、と・・・・」

  ブウゥゥゥンッ 

  ガゴッ 荷のふたが取れる。

「ぷはーっ、やっと到着かいな!!ワシはもう塩漬けの魚なんかくわへん

でぇ!」

 中から魚の血と塩でベトベトのトウジがでてきて愚痴をこぼす。

(えっ、今の声って?ひょっとして・・・・)

「我慢我慢、でやっとここまできたもんな。でも戦場では喰えるものは喰える

ときに喰っておくのが基本だぜ、よく将軍になれたな。」

 これも同じく血と塩でベトベトのケンスケがでてくる。

「せやけどまず第一にすることはまともなメシやな、ワシの屋敷に材料ぐらい

はあるやろ。」

(この中に来るの?やっぱり・・・・) 

 トウジは足早に屋敷の中へはいる。

「やっぱりだれもおらへんみたいやなあ・・・・ヒカリもどっか行きよったん

やろか。」

(やっぱり、この声、この口調・・・・!!)

 トウジが扉を開けた瞬間!!

「のわっ!!」

「きゃっ!!」

 トウジと中から開けようとしていた女の子がぶつかり、同時に声を上げる。

「あいってててて、誰やぁ!?」

「・・・・トウジ・・・・」

「ひ、ヒカリか!?」 

 いきなりの再会に面食らったトウジは素っ頓狂な声を上げてしまった。

「おやおや、感動の再会か。俺はまた後で来ることにしよう・・・・」

 そそくさと退散するケンスケ。

「・・・・心配かけてスマンかった、ヒカリ。」

「・・いいのよ、あなたさえ無事なら。」

 二人はぎゅっと抱きしめ合った、もう逢えぬと思っていた人同士との感動の

再会に、もう二度と離すまいと・・・・

第十四話 到着

「と、とにかくその服着替えないと、臭いがひどいわよ。」

「ああ、スマンスマン。敵国からの帰還やからこうでもせな帰ってこれんかっ

たんや。」 

 自分のひどい有り様をみてあわてて離れるトウジ。

「・・と、とにかく、おかえりなさい。」

「ああ、ただいま。ずっとこの屋敷を一人で手入れしてくれたんか?スマン

かったな。」

「それよりシャワーでも浴びてきなさいよ、私のことはいいから。」

「せやけどヒカリにもついてもうたで、先にはいっとくれや。」

「私よりもトウジの方がひどいわよ、だから・・・・」

「いいんや、ワシは男やからな。ヒカリが先にはいるべきや、な?」

「・・じゃ、じゃあ先に入ってくるから、待っててね。」

 トトトっと小走りにシャワールームへ駆けていくヒカリ。そしてそれを、あ

あ、帰ってきたんだなというなつかしみをこめた目で見送るトウジ。

「・・・・感動の再会後急で申し訳ないが、本部とのホットラインは?」

 ケンスケがようやく戻ってきた。

「ああ、それやったらたぶんワシの部屋のがまだ生きてると思うで。ワシの部

屋はその扉をでて右手にいって、二番目のところや。パスワードは『根性』や

、間違えんといてな。」

「オーケー、すぐに本部と連絡とってお前の生存を知らせなきゃな。」

 そういうとケンスケは扉の向こうへ行ってしまった。

「・・・・まさか生きて帰れるとはなぁ、おもわんかった。」

 そうつぶやくトウジの脳裏には、背中から深紅の翼をはやしていた残酷な天

使の姿が浮かんできた。あの圧倒的な力量、はたしてあんなものにやられてな

ぜ自分が生きているのかいまだに不思議だった。

(あのときワシは、確か粒子砲みたいなのに巻き込まれて・・・・それからど

ないしたんやろ?全然記憶がないわ、ぶっとんどる)

 あのときの情景は喰らう直前の、愛機ゾルントゥースを上に跳ね上げたシー

ンまでしか残っていない。直撃だったのかかすっただけなのか、それすらもわ

からない。

(あん時は喰らった思うたら意識が真っ白になって・・・・気がついたらケン

スケの家におった)

 確かに異常だ、あの殺戮の権化がなぜトウジを生かしておいたのか・・・・

(ワシだけ生かしたなんちゅうのはもっと割にあわんしなあ)

 そう、トウジだけを生かしておく理由もないのだ。かといって掴まえて人質

にもしなかった。

(とにかくワシは、ヒカリのメシ喰ってケンスケに本部連絡させといて、後は

もうしらん・・・・)

 トウジは疲れのあまりソファーにぶったおれ、そのまますやすや眠ってし

まった。その後、シャワーを浴び終えてでてきたヒカリがあわてて揺り起こ

し、結局起きなかったのでしかたなく全身を拭いてやったのだった・・・・

                 *

「まっ、待つんだシオリ!!」

 必死に押し止めるキリカ、しかしそれを意にも介さずズズイと転移装置の間

へ進むシオリ。

「私だってそんな今から婚礼を挙げにいくなんていっていないでしょう、ただ

ご挨拶にいくだけです。」

(その挨拶が恐ろしいのだ)

内心ビクビクしながら結局止めきれなかったキリカ、シオリはとうとう出発し

てしまった。

「しかたない・・・・おい、シュウ!!」

 息子を呼び出す。

「なんですか、父上。」

「実は他でもないシオリのことなんだが・・・・」

「僕に追えとおっしゃるのでしょう、まったくいつも僕はこんな役回りばかり

だ。このあいだ姉様が突然家でしたときにも僕、レイ姉様がNERV帝国へいっ

たときも付き添いで僕、独立の時の宣言会場にも僕を連れていったじゃないで

すか。まだ僕は十二なんですよ、父上。」

「すまんなあ、ワシが不甲斐ないばかりに・・・・というわけだ、済まないが

いってくれ。お前なら一度行ったこともあるし、シオリの奴も説得できるだろ

う、頼んだぞ。」

 渋々承知の位の証である頷きを見せる。

 この少年こそがゼーレ王国王位第一継承者にして変わり者の姉二人の弟、綾

波シュウである。弱冠十二歳だが父親よりもしっかりしていてしばしば重要な

役をまかされるせいかはやくもなかなか落ちついた感じの指導者にふさわしい

人格者になっている。

「わかったよ、僕が行けばいいんでしょう。・・ったく、僕一人まともな分一

気に色々役が回ってきて大変だよ。」

ぼやきつつも急ぎ足で姉を追うため転移装置の間へ行く。

「やれやれ、勘弁してよね。」



火野竜馬さんへの感想はこ・ち・ら♪   


管理人(以外)のコメント

宅急便「すいませーん、ネルフの人・・・じゃなく、鈴原さん、います〜?」

トウジ「なんや、ワイに用か?」

宅急便「渚カヲル様からのお届け物です〜」

トウジ「せっかくいいんちょーのうまいめしくうとるときに・・・・で、中身は何や?」

宅急便「さあ、わたしはこれをお届けするようにいいつかっただけで・・・・」

トウジ「そうか、ま、ごくろーさん。・・・・っと、さて、なんかなぁ・・・・」

 ごそごそごそ

トウジ「げっ!! こ、この期に及んで渚の奴、塩漬け魚なんかおくってきおって!!」

ケンスケ「どうした、トウジ?」

トウジ「・・・・これ見てみ」

ケンスケ「げっ!! し、塩漬け魚・・・・」

トウジ「このネタで話題引っ張ったからなぁ・・・・仕方ないか・・・・しかし、もう見たくないわ・・・・」


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