「・・・・どーゆーつもりよ、こんなところに招き入れて。」 アスカがカヲルに聞く。なるほど、先ほど言ったことばに反して西洋風の広 間に案内されただけだ、どこにもいわれたようなものがあるとは思えない。 「おや?僕は今すぐに見せるとはいわなかったよ。」 なるほど、真実を見せるとはいったが今見せるとはいってはいなかった。 「アルミサエル。」 ぱちりと指をならすとそこには少々痩せ気味の、長身の執事風の男が立って いた。もう一度指をならすといつの間にやら会食の準備がなされていた。 「テーブルなんてなかったわよね・・このアルミサエルとかいう人の力?」 レイが尋ねる。それに微笑みながら頷くカヲル。 「アルミサエルはね、僕の執事兼秘書みたいなものさ。それだけじゃあない よ、一個師団程度軽く消し去る力の持ち主さ。特殊能力は光の槍と、物理的存 在の仕組みを組み替えることが出来る、ってところかな。」 「なるほど、空気を一瞬にしてこの人数に会わない無駄に豪華なテーブルと食 器、燭台などに組み替えたってワケ。前々から気になっていたのだけれ ど・・・・あなたの仲間やあなた、人間じゃあないわね?」 その問いかけに対して妖しい笑みだけで答えるカヲル。 「まあまあ、時はそう早く流れるわけではない、そのように急ぐこともない さ。ゆっくりと君たちと会食でもして話し合いたいと思ってね・・・・。昔か らよくいうじゃないか、腹が減っては戦が出来ぬ、ってね。」 そして優雅な足どりで反対側に移動し、椅子に座る。 「かけたまえ、料理を運ばせよう。」 第十三話 会食 「まあそう急くこともなし、一度君たち全員と揃って話しもしたかったし ね。」 カヲルはワインを一口飲むと燭台に火をつけた。 「例えば、ね・・この火はなぜ燃えていると思う?」 「火?」 シンジが思わず聞き返す。 「そう、この火、だよ。なぜ燃えていると思う?」 「科学云々の燃焼ではなく、存在定義ね。」 レイがいう。 「そうね、長くなるから簡単に省略するけど・・・・そもそも火、という言 葉、呼び方はいくらでもあるけれどその言葉の指し示す意味は一つでしょう、 いわゆる『真言』説ね。言葉の本質を捉える考え方で魔法の根本にもつながる 考え方だわ。それともうひとつ、どの物質でも燃えたい、と思っていてただ単 に温度の上昇というきっかけを与えるだけで、本当は化学現象など起きていな いのよ。ただ燃えたいという意志を手助けするだけ、ということね。いわゆる 存在そのものの『意志』説ね。そのほかにも色々あるけれどまあ挙げてみるの ならこの二つね。」 パチパチパチ カヲルが拍手する。 「お見事、さすがはゼーレ公国、いやゼーレ王国の王女だね。知らないと思う から説明させてもらうけれどもゼーレ公国は銀河帝国から独立したよ、理由は わからないけれどもね。君なら思い当たる節があるんじゃあないかい?」 「そうね、色々可能性があるけれどもまず第一に考えられる可能性として NERV帝国の進言、という可能性ね。もっとも可能性の高いことだわ。」 (うわぁ、凄いな綾波って) (随分と頭がいいらしいわね、まあアタシにはかなわないだろうけど) (そんなことはないよ、アスカでもちょっと危ないくらいじゃないの?) (何よ、失礼ね!!そーゆーアンタはどうなのよ) (僕はもう全然ついていけないよ、だからこうやってアスカに解説を求めてる んじゃないか) (まあざっと説明するなら魔法の根本でもある真言説と、存在の意志説をレイ はいったわけ。なぜそんな話をあいつがさせるのかはわからないけどこれから あいつが話すことに関係するんじゃないの?) アスカとシンジの念話にも気づかない様子で・・もっとも気にしていないだ けかも知れないが・・二人は話を続ける。 「ではさっきの論題に戻すよ、なぜ火は燃えているかということだった ね・・。答えは君のいってくれたとおり、その二つに相違ないよ。ではなぜこ んなことを聞いたのかというとね、人類の存在について話す必要があるんだ よ。」 「・・・・人類の存在定義、人はなぜ人か、ということね。」 「その通り、本当に君は賢いね。話していて楽しいよ。」 それからカヲルが指をぱちりとならすと、ずらりと海鮮パスタとサラダがワ インと共に出現する。 「オードブルだよ、食べたまえ。お腹も減ったころだろう。」 進めるそばからカヲルも二口三口口にする。それをみてシンジ達も同じく二 口三口口にした、レイは先ほどまで話していた精かワインの方をよく飲んでい た。 「・・・・で、人類の存在定義についてだがね、なぜ人には二性が存在するの かな?」 「・・・・そうね、難しい質問だわ。まあ簡潔にいうと進化するため、かしら ね。」 「そう、だがそれだけじゃあないんだ。わかるかな?」 「・・人の欠けた心を補い合うため、ではないわね。男と女はロジックではな いものね。あえていうのならば愛、かしらね。」 「ほう。」 カヲルはその言葉に目をすぼめる。 「愛、と一口にいっても様々よね、精神だけの愛から肉体愛まで多種多様だも のね。・・まあその中でとりわけ重きを私が置いているのは精神の愛ね、純粋 な想いは力になる、って知ってる?」 「まあ、そりゃあね。」 「なら話が早いわね、ある昔話があるわ、一つ話しましょう。・・・・昔々、 ある少年と少女がいました。その二人は固い絆で結ばれていて、たとえどんな ところにいても意識は繋がっていました。ある日のことです、少女が熊に襲わ れそうになったとき、少年はたまたま遠くにいました。勿論少女は助けを呼び ますが何せ随分遠いところにいるので駆けつけるのにも時間がかかります。そ こで少年はあることを念じるように少女に聞かせました。熊が逃げるように、 とのことです。勿論熊が逃げてくれと頼んで逃げるわけがありません、だけれ ども実際には熊は逃げ帰ってしまいました。さてなぜでしょう?」 「想いの力、だね。」 「そう、その通りよ。でもこれはかなり強力よ、命がけだったことを差し引い てもね。これが想いの相乗効果、異性同士の間でしか起こらない不思議な現象 よ。これが私からの答えね。」 「えらいねえ、記憶が覚醒していないのにもうそこまで到達していたなん て。」 「あなたに誉められても嬉しくないわ・・・・それより次の論題に移行しな い?」 「そうだね・・じゃあ次の質問、『使徒』って何?」 「使徒・・・・私達の別の進化の形、そして拒絶し合うことしかできなかった 仲間・・これ私の記憶じゃない!!誘導したわね!!」 にやりと笑うカヲル。 「その通り、本当に君は賢いねえ。」 (ねえアスカ、さっきっから二人とも何話してるんだかわからないけど?) (静かに!!後で解説してあげるから・・・・何か思い出しそうなのよね、あ とすこしで・・) (ちぇっ、僕だけ何もできないじゃないか。つまらない・・) (そう言わないで、ね?・・今シンジに説明してたらアタシもわかんなくなる くらい高度な話なのよ、悔しいけど) (わかったよ、後にするよ) またも置いてきぼりを食らうシンジ、決して知能が低いわけでなく会話の内 容が高いのだとシンジの名誉を思っていっておこう。 「そう、誘導したのさ。こうでもしないと君たちの記憶が覚醒しそうにないか らね。」 「いくら記憶を覚醒させるためとはいえ誘導は好ましくないわね、自分から気 付かせて欲しかったわ。」 「そんなことをしていたらメインディッシュまでたどり着きそうにもなかった のでね。」 「なるほど、まだ真実はこの後に用意されているってわけね。」 「その通り、いきなりメインディッシュに手を付けると・・」 「消化に悪いってわけね、オーケー。」 「じゃあそろそろ次のメニューだね、アルミサエル。」 ぱちりと指を鳴らすカヲル、たちまちオードブルが消えおいしそうな子鴨の テリーヌが現れた。 「さあ、次の論題に入ろうか。」
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管理人(その他)のコメント
冬月 「遅れに遅れた更新。支離滅裂なコメント。この計画は破綻したな、碇」
ゲンドウ「・・・・ああ」
冬月 「そもそもここの管理人と逃げた作者は、この事態あることを予想していたのか」
ゲンドウ「彼らにそこまで考えることなどできんよ」
カヲル 「・・・・何か呼びましたか?」
冬月 「今の事態、どう言い訳するつもりかね。恥をかかせおって。投稿してくれる作者たちに悪いとおもわんのかね」
カヲル 「全ては創造主の御手の内・・・・」
ゲンドウ「神は絶対ではないよ」
冬月 「しかも君が管理人で逃げた作者が創造主・・・・ううっ、これは、楽園の破滅も時間の問題だな・・・」
カヲル 「・・・・お二人とも、お食事でもどうです?」
ゲンドウ「食事?」
カヲル 「アルサミエル(ぱちん)」
冬月 「・・・・なかなかの芸当だな。いきなり卓上に食事が現れるとは」
カヲル 「えんりょせずどおぞ。ゆっくりたべてください」
ゲンドウ「・・・・ぱくぱくぱく・・・・」
冬月 「もぐもぐもぐ・・・・」
カヲル 「にやり・・・・」
冬月 「・・・・碇・・・・」
ゲンドウ「・・・・なんだ・・・・」
冬月 「この食事・・・・毒入りだな・・・・」
ゲンドウ「・・・・ああ・・・・ばたっ・・・・」
冬月 「ばたりっ・・・・」
カヲル 「・・・・にやにやにや・・・・ってああ、ボケがない・・・・(爆)」