世界で一番強い絆で結ばれているであろうシンジとアスカ、その二人の数奇

な縁は遥かなる過去まで遡り端を発する。世界がまだ人類の移動してきたばか

りの頃にもこの二人は出会っている。さらに遡れば伝説の史実、サードインパ

クト時にも二人は出会い、そして悲しい別れを経ていた。その別れは人類の敵

は所詮人類、人同士の争いにより起きたものだった。人類、それは実は十八番

目の使徒。様々な使徒との戦いは別の可能性を突き詰めた別の形の人類との拒

絶しかできなかった出会いなのだ。アスカは使徒により一時精神を汚染され、

あまつさえ点滴を受けるレベルにまで行っていた。シンジも十七番目の使徒を

殺したことにより、自分の殻に閉じこもってしまった。壮絶な使徒との戦い

は、しかし所詮は未来に始まる最終戦争のプレリュードでしかなかった。人と

人との争いの中、真実を見出したアスカは復活し、シンジもそれに応じるかの

如くすさまじい力を発揮した。結果、十八番目の使徒である人類を完全な単体

の生物にする人類補完計画は失敗し、別なる補完がその後何者かによって成さ

れた。

 それから数万年後、人類という群衆生命体は究極の補完を成したものとして

新宇宙に君臨する。その補完は、人類という群衆生命体である利点プラス他の

使徒の持つ数々の能力を持ち合わせるという究極の、超群集生命体『天使』と

なることだった。

 様々な力はやがて魔法として継承され、全人類に行き届いた。

 今こそ、今こそ遥かなる過去からの天使と悪魔のハルマゲドンを終結させる

ときだ。

 そしてそのためにはある人物達の力が必要だった。


第十二話 遥かなる過去 


「・・・貴様らの思うとおりにはならないさ。」              
         
                                                                       


「どうかな?お前らがあがいたところで変わるのは死ぬ日ぐらいのものだ、完

全には変えられんだろう。」
                                    
           

「確かにな、しかし十分に不確定未来変動率はあがる。」          
                                    
 

「そして人の隠された力は放たれる。」                  
                             


「だがそこまで奴等が達するかな?」                   
                            


「それは人類の決める道、おれたちは介入はしないさ。」          
                                    
 


「そうか、ならばここで朽ちればいい。」                 
                              


「あいにくと俺等はこれでも力を極限まで押さえている、おしゃべりは終わり

だ。」                                 
              

「ほざくなぁ!!」                           
                                    
                                    
                                    
      




「馬鹿な奴だ、まあこれが当たり前の結果か・・」             
                                  


「はたして人類は人たりうるのか、どこまで達するかな?」         
                                    
  


「まあここなら俺達で十分だな、よほどのことがない限り。」        
                                    
   


「もしもふたり逢えたことに意味があるなら、私はそう自由を知るためのバイ

ブル・・・か。」 
                                                                                                                            
                                    
         

「真の神の子たりうるかな。」                      
                         


「なくした明日を取り戻し、女神たりうるかな。」             
                                  


「真実を手に入れ、人類の先駆けたりうるかな。」             
                                  


「玲瓏かつ広大な戦の子たりうるかな。」                 
                             


「多くを手に入れ、剣たりうるかな。」                  
                              


「闇の中の大いなる自然の光たりうるかな。」               
                                


「そして彼らの美しき心の故郷たりうるか。」               
                                


「汚れを払い、彼らを戒める非情の血の戒律たりうるか。」         
                                    
  


「彼らの隠れた力たりうるか。」                     
                          


「彼らを正しき真実の道を示す、新しき息吹たりうるか。」         
                                    
  


「彼らに茨の道を歩ませるものたりえていられるか。」           
                                    


「そして人は夢に目覚めることが出来るのか。」              
                                 


「全ては彼らが決めることだ、カオスとなるもよし。」           
                                    


「覚醒するもよし、か。」                        
                       


「まあ俺達は直接関われないんだ、あの人の命令で。」           
                        


「はたして真実をつかむことが出来るかな?」         
                                    
       

「影で俺達は馬鹿処理か・・・」                     
                          


「こういったところでは必ず俺達がでるな。」               
                                


「こんなことしてられるのも今のところまだ平和だからさ。」        
                                    
   


「戦士の休息、か・・・・」                       
                     


「すぐに戦になるさ、休めるだけ休もうぜ。」               
                                
                 *

「ところでさ、これからどうすればいいと思う?アスカ。」

 シンジが尋ねる。

「シンジも見つけたし、早いとこアタシの弟でも見つけだしておきたいわ

ね。」

「カゲル君か、どんなに逞しく成長してるんだろう・・・・」

 シンジが昔のカゲルを思い出す。その姿は、まだ歳こそ幼いものの素晴らし

くバランスの取れたしっかりとした体格の、姉に似ず謙虚な少年だった。

「まあ、カゲルならおおかた戦場から抜け出して国に戻っているかもしれない

わね。しかたない、不本意だけれど帝国に戻るわよ。」

 そう、この三人は帝国を飛び出してきたから当然戻るともう二度と自由な行

動はとれなくなる。しかし、飛び出していった理由自体シンジとレイの政略結

婚に三人とも納得しなかったから、そして今二人ははっきりとその理由を言え

る。従って最終的には戻ってももう問題はないということになる。

   バタンッ!! 

 扉が突然開く。

「そうはいかないよ、僕らにとってシンジ君は大事な鍵なんだから・・・・」

 そこから聞こえてきた声と姿は紛れもなくカヲルだった。

「たとえアスカ君を殺してでも、手に入れなければならない。」

 ピクッと少しアスカの肩が震える。そのアスカを後ろにかばいながらシンジ

が言う。

「そんなことをしてみろ、いくらカヲル君だろうと命はないぞ!」

 全身からすさまじいオーラを発し、それをカヲルにたたきつける。おもわず

一歩退くカヲル、しかしひきはしない。

「シンジ君、君にはそれはできないよ。」

 カヲルが一歩踏み出す、そして妖しく微笑む。

「なぜならそれは、過去に繰り返した過ちだからさ。」

「?」

 シンジがその言葉に疑問を示す。

「過去?どういうつもりだか知らないけれど、今の僕にならカヲル君だって殺

せるさ。それに言っておくけれども今後アスカに指一本でも触れてみろ、首が

飛ぶよ。」

 その言葉に対し、さらに一歩踏み込んでカヲルが答える。

「わかったさ、君の怒りに触れるような馬鹿なマネはしない。けれど

も・・・・」

 そしてさらに一歩踏み込んで言葉を綴る。

「そうか、君たちはまだ覚醒していないのだね。過去の記憶も甦らないなん

て、どうりでおかしいと思った。」

 そして手をシンジの肩に掛け、すうっと近づいて耳元でささやく。

「うらやましいね、そのひたむきな愛が。」

 そして離れて言葉を繰り出す。

「わかった、これから君たちに過去の記録をみてもらうよ。」

 そう言うと、カヲルは優雅な足どりで部屋をでていった。

「きたまえ、真実を見せてあげるよ。」




火野竜馬さんへの感想はこ・ち・ら♪   


管理人(その他)のコメント

アスカ「アタシはシンジの側にいてもいいのね」

シンジ「アスカ、当たり前だろ。僕は君をぜったに離さないって、言ったじゃないか」

アスカ「シンジ・・・」

シンジ「アスカ・・・」

カヲル「はいはいはい、練習はそこまで」

シンジ「・・・・あのさあ。どうしてこういう台詞の練習をするわけ?」

カヲル「暇つぶし(しれっ)」

シンジ「・・・・・カヲル君。なんか、性格変わってない?

カヲル「それはシンジ君、君の気のせいだよ」

アスカ「・・・・(どうせなら最後までやればいいのに・・・・)」

カヲル「アスカ君、君が今なにを考えたか、当てて見せようか」

アスカ「な、な、なによっ!!(汗)」

カヲル「君は今・・・・ぐああっ」

 ばきゃっ!!

アスカ「余計なことを喋るんじゃないわよ!!」


第11話へ
第13話へ
館入り口へ