アスカ達は想像を絶するものを見ていた。 「な、何なのこれは!?」 その目前に繰り広げられているものは膨大な量の情報だった。 「これは・・・・」 レイが手にとって読み始める。 「『2015年、全世界は滅びに際した。』」 「なによそれ、聞いたことのない話ね。」 アスカが横から口を出す。しかしレイがそれも意に介さず読み続ける。 「『世界は破滅と絶望に包まれた。しかし・・・・ただ一人の少年の力により 救われた。その少年こそかの伝説のセカンドチルドレン・・・・碇シンジであ る』・・・・碇シンジぃ!?」 アスカとレイが顔を見合わせる。 「これってどういうこと?シンジが過去の伝説の人なんて・・・・」 アスカが顔をしかめて言う。 「そうね、続きを読めばわかるかも。」 レイが答える。しかし・・・・ドギュゥーン
銃声に驚き振り向くアスカとレイ。しかし・・・・ドギュゥーン ドギュゥーン
ふたたび鳴り響く銃声。そして倒れる二人・・・・
あたりは血の海に染まり、みるみるうちに血の気が引いていく二人。 そしてやがて・・・・鼓動が止まった。 あとには火薬と血の臭い、そして二人の血塗れの姿のみ残っていた・・・・ * アボリオンがカヲルの横に来る。 「いいのですか、もしこのことがシンジ殿に知られたら・・・・」 カヲルが妖しく笑って答える。 「いいんだよ、シンジ君に知られたとしても。むしろその方が・・・・いや今 のは聞かなかったことにしてくれ。いいね。」 アボリオンはかすかに頷き、承知の意を表す。 「もしもこのことがシンジ君に知られても問題ないさ、なぜなら・・・・いや これはまだ口にすべきことではないね。わかった、引き続き任務に就いてくれ。」 カヲルはふたたび妖しく微笑むと、それきり口を開かなかった。 アボリオンは、腑に落ちぬ顔をしつつも闇の中へ消えていった。 「・・・・彼が覚醒すれば、これほど好都合なこともないしね。」 * しかしシンジは既に知ってしまっていた。アスカとレイのその無惨な姿を、 脱走した直後に見てしまったのだ。体は怒りに震え、全身からすさまじい波動 が発せられていた。髪は逆立ち、やがてその額からは不思議な光が放たれ始め た。その空間は、アスカとレイの体を除き異様な音を発し始めていた。周囲の 壁は明らかにシンジを中心に歪み始め、メキメキと異音を発している。その喉 からは声にならぬ絶叫がほどぱしり、瞬時に世界中の時が狂った。木っ端みじ んに音を建てて砕け散るシンジの心。そしてカヲルが駆けつけたときにはシン ジは強烈な光に包まれていた。 「おお、おお!!今まさに覚醒が始まろうとしている!!素晴らしい、これ が、これが伝説の力!!これが伝説の『神児』!!・・・・まさかこれほどの ものとは、想像を遥かに絶している!」 アボリオンがすぐに駆けつけ、カヲルに退くよう進言した。しかしそれをも 受け付けずカヲルはその強烈な光に見入っていた。光は・・・・光は相変わら ずそのすさまじいばかりの勢いをさらに増していった。 「素晴らしい、素晴らしい!!」 カヲルはうわごとのようにつぶやき続け、アボリオンに無理矢理引きずられ ていった。しかし、それも既に遅く、光がいっそう強まった瞬間にカヲルとア ボリオンの『時』は止まっていた・・・・ * (アスカが死んだ!?) シンジの意識はそのアスカの無惨な血塗れの姿を見て飛んだ。 (アスカが・・・・死んだ・・・・) (アスカを殺したのは・・・・誰だ!!!!)(殺してやる、殺してやる、コロシテヤ ル!!!!)
瞬時にシンジの体からすさまじい力ガほどぱしり、シンジの意識が完全にか わった。 (・・・・コ・ロ・ス・・・・) その顔は見る間に豹変した。先ほどまでの少しさえない少年のイメージは消 え失せ、すさまじい怒りと自信に満ち溢れてきていた。 (アスカを殺したのは、カヲルか!?) シンジは・・・・神児はその手の内に見事な剣を呼び出し、カヲルの時を止 めてつかつかと歩み寄った。 「・・・・死ねっ!!」 シンジは剣を一閃させた。それと同時にカヲルの体は寸断された。神児はそ の死体に唾を吐きかけ、汚らわしそうに蹴りとばした。そして急いでアスカの もとへ駆けつけた。しかしあまりにも時が経ちすぎていて、アスカの体はたとえ 伝説の蘇生の秘術を行っても甦りそうにはない。ギリリと歯ぎしりをし、二三 の呪文をつぶやきアスカの体の血と傷を拭った。 「アスカの居ない世界か・・・こんな世界になんの意味がある?なにもない、 虚無と同じだ。」 いっそ世界ごとアスカの元へはせ参じようかとも神児は思った。しかしそれ さえもできずに神児はただカヲルの死体をずたずたに切り裂くしか感情を爆発 させることができなかった。 (アスカを殺した、それは万死に値するな。蘇生の呪文が効くギリギリの範囲 までなぶり続けて甦らし、延々となぶり続けてもまだ飽きたらない!!) 神児はそうやっていても無駄なのを知りつつも、カヲルの死骸をただ延々と なぶり続けていた。 (アスカ、アスカ、アスカ、アスカ、アスカ、アスカ、アスカ・・・・・) 神児は愛するものの死により完全に滅びへの意志しかなかった。 (アスカのいないせかいなんて・・・・アスカのいないせかいなんて・・) やがて神児の体から超新星爆発が超狭範囲で起きたようなエネルギーのほど ぱしりがあった。 宇宙は無に帰した・・・・ アスカ 愛していたのに・・・・
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管理人(その他)のコメント
アスカ「まぁたアタシが死んでるじゃないの、むきいいいいいっ!!!!!!(怒)」
カヲル「今度は僕も無惨に・・・し、しかもシンジ君に殺されるとは・・・・(汗)」
アスカ「アンタが死ぬのは当然としても、なに、アタシが死ななきゃいけない理由なんて何かあるって言うの!!」
カヲル「シンジ君の覚醒を引き起こすためのきっかけとして、君が必要だったんだよ。しかし・・・・まあ、あそこまで行くとは・・・・」
アスカ「行くとは、何?」
カヲル「シンジ君の愛の深さの結果なのか・・・・君に対する・・・・うみゅみゅみゅみゅ・・・・」
アスカ「な、な、なななななにいってんのあんたは!!」
カヲル「これはシンジ君が誤った道を歩む証拠だな・・・・」
アスカ「はあ?」
カヲル「シンジ君が悲しむべきは僕を殺したことであって、君が死んだらお祝いをするくらいの気分を持ってもらわなければ・・・・」
べきっ!!
アスカ「誰が人が死んでお祝いよ!!!!!」