第三新東京市英雄伝説 第三話


   

昭和89年
平成26年

   

 第三新東京市と第二新東京市を結ぶ二つの回廊、富士回廊と大阪回廊。大阪はセカンドインパクト以前から商業都市として栄え、復興後も商業都市として復活した。第三新東京市からは美少女グッズを輸出し、第二新東京市にはアニメグッズを輸出した。今、帝国同盟問わず、一番売れ筋の商品はプラグギャル関連である。

 おたくアイテムを失うことを恐れた、同盟と帝国は大阪を通って敵国に進行することをせず、すべて富士回廊を利用した。実質的に大阪は中立地帯となっていた。

   

大阪

「はあ、はあ、はあ・・・ああ、遅刻遅刻ぅ、むしゃむしゃ、せっかくお呼ばれしたのに、むしゃむしゃ、遅刻したらかなりやばいって感じだよねー」

 口にパンをくわえたまま、帝国軍服を着た少女が走っていた。

「ママ、あのお姉ちゃんパン食べながらしゃべって走ってるよ」

 子供が指をさして笑っている。

子供がみちゃいけません

 あわてて子供の目をふさぐ。

 彼女が走っていく先には大阪商工会ビルがあった。

   

大阪商工会ビル

 商業都市大阪において、一番偉い人物は横山ノックではない。このビルの最上階にある会長室の椅子に座る人物がそうである。

 大阪商工会々長アドリアン・トウジは、壁掛けの時計を一瞥した。

「おそいがな、高等弁務官どのは・・・」

 約束の時間が過ぎ、暇潰しのこっくりさんに飽きてきた頃に。

 とんとんとん

 扉のたたく音が聞こえた。

「なんや」

「帝国高等弁務官レイムシャムシャ伯がまいられましたん」

「ほな、とうしてやー」

「はいな」

 扉が開かれ、レイムシャムシャ伯が通された。

 そして、トウジとレイムシャムシャ伯はお互いを見て固まってしまった。

(この女なんでパンくわえとるや?)

(こいつなんで黒いジャージを着てるの? むしゃむしゃ)

 商工会の会長と聞けば立派なスーツを着込んでいるものと相場は決まっているのだが、トウジは黒のジャージを来ていた。どこに行くのにもこの格好のため、彼は大阪の黒狐と呼ばれていた。

   

富士山要塞

 シンジ皇子はカヲルと共に富士山要塞に到着した。

「カヲル君・・・なんとか死なずにこれたみたいだね・・・」

 杖をつき、ふらふらになりながらも、シンジは声をしぼりだした。遠足以外で山に登ったことがないシンジが、いきなり冬の富士山に挑戦したのである。たどりついたのは奇跡としか言い様がない。小田急ロマンスカーに富士山頂上という駅はなかったのだ。

「で、うわさの皇子様はどれ? ・・・・ふーん、冴えないわね」

 惣流ラングレーは一目見、いつわざる感想を述べた。

「カヲル君、なんかみんなこっち見てるよ」

「ふふふ、僕とシンジ君の仲をうらやましがっているのさ」

 二人は手をつないでいた。

 がたがたがたがた

 惣流ラングレーはビクッとして音の原因である隣の副官フレデリカ・グリーンヒカリを見た。

「・・・本物よ・・いきた生のやおいがやってきたのよ・・・(はあと)」

 ヒカリは体を震わし、ピンク色の怪しいオーラを発していた。

   

富士山要塞会議室

「それで、あんたたち帝国の状況はどうなってるのよ」

 惣流ラングレーは、シンジ皇子とカヲルに質問した。

「えっと、今年の大根は去年より20円もやす・・・・ぎゃあ」

 ばしゅっ!

 惣流ラングレーのミドルキックがシンジに決まった。

「あんた馬鹿ぁ?! だれが帝国の台所事情なんか知りたがるのよ。だいたい皇子様がなんでそんなこと知ってんのよ」

 あわてて、シンジに駆け寄るカヲル。

「あああ、だいじょうぶかいシンジ君。ひどいことするな惣流君は。帝国の状況については僕が答えるよ。帝国は内戦を終えたばかりで、軍事力は疲弊し主だった名将たちもほとんど死んでしまったんだ」

 ニヤリ

「チャーンス、やっぱりこの時期を逃すわけにはいかないわね」

 そう言うと、惣流ラングレーは会議室から出ていった。

「あたたた、噂にたがわない人だね、惣流ラングレー提督は。それにしてもカヲル君、この前の内戦はみんな投降しちゃって、誰も死んでなかったじゃないの」

「ふふふ、彼女はこの情報から帝国に侵入するつもりだよ。敵の戦力を過小評価してね。ふん、シンジ君をいじめるやつは痛い目にあえばいいんだ」

「・・・カヲル君」

   

大阪商工会ビル

 人知れず、偽大阪弁と偽コギャル語が戦われていた。

「そいで、JA自由同盟が帝国に対する全面的な軍事攻勢をたくらんどるわけですわ」

 アドリアン・トウジはやっと本題に切り込んだ。

「むしゃむしゃ、くそげきまじ(ふーん、それほんとうですか)」

 まだ、レイムシャムシャ伯はパンを食べていた。

「ほんまやて、それも3000万を超える兵力でっせー」

「おいといてちょべりばにゅーすせいびしんかんせんまいはうすきんこんかんこん、むしゃむしゃ(それは、憂慮すべき事態ですね、早速本国に知らせなくては)」

 あわてて、レイムシャムシャ伯は大阪商工会ビルを後にした。

「ふん、帝国も同盟ももっと傷つきあってもらわんとな。わいらはただの守銭奴とはちゃいまっせ。大阪の真の目的が果たされるまで、せいぜいきばってや」

 トウジはひとりごちた。

「しかし、この会話べたべたやな、ホワイトキックや」

   

第三新東京市綾波元帥府

「閣下、勅命です。侵攻してくるであろうJA自由同盟を称する辺境の叛徒どもを撃てとのことです」

「そう」

 綾波伯レイは静かにうなずいた。

「計画の準備は?」

「後は、実行命令を出すだけです」

 不精髭面の男は答えた。

「それと・・・・」

 めずらしく、レイは言いよどんだ。

「・・・シンジ皇子の行方は?」

「諜報部が全力をあげて捜索しておりますが、いまだ・・・」

「そう、捜索は継続して」

「わかりました、失礼します」

 不精髭面の男オーベルカジは部屋をでた。

帝国印の東北人形も、シンジ皇子の前では恋する乙女というわけですか、元帥閣下」

 オーベルカジはにやりと笑った。

   

富士回廊帝国領側

 総司令官には惣流ラングレー中将が就任、

「多少は、帝国のことしってるんでしょう」

 という惣流ラングレーのお言葉から、総参謀長に碇シンジ二等兵(一応、皇子であることはふせられている)、実戦部隊として第三、四、五、七、八、九、十、十二艦隊および旧第十三艦隊(現要塞駐留艦隊)、総動員数三○二二万七四○○名という同盟結成以来最大の総動員数であった。

 同盟軍が帝国領内に侵攻したが、一向に帝国軍は現れず次々と村や町を解放していった。

「いや、ホントにちょろいわね。解放した村や町にはあたしのグッズを配って、天才救世主惣流ラングレーの名を不動のものとするのよ」

 惣流ラングレーは上機嫌だった。しかしシンジ皇子は逆に不安になっていった。

「そんな馬鹿な、帝国軍がでてこないなんて・・・帝国軍の司令官はあの綾波のはずだろ、ということは・・・」

   

解放されたとある村

 村人が集まり、同盟の兵士が次々と惣流ラングレーグッズを配っていた。

「さあさあ、坊っちゃんも嬢ちゃんもよっといで、惣流ラングレーのアイテムだよ。CDにフィギュアになんでもござれだ」

 村人のひとりが兵士の所によってきた。

「あの、わしらはこんなものもらってもしょうがないんじゃが、それよりも食べるものがなくての、村の蓄えはみんなブラウンシュバイク公アスカ様の名で徴発されてしまったんじゃ」 それを聞いた同盟兵士は隣の兵士と相談した。

「食うもんなんて、あったけか」

「うーん、そうだ、あれがあったじゃないか」

 兵士はずた袋から、ディフォルメされた惣流ラングレーの人形を取り出し村人に渡した。

「はい、惣流ラングレーふりかけ。ふりかけばっかり食べないでちゃんとおかずも食えよな、はっはっはっ」

「・・・・・そ・の・おかずがないんじゃー!! ぼけぇー」

「かけるご飯もなんいじゃー!!」

 わー

 村人は暴動を起こした。その他の場所でも似たようなことが起こっていた。

   

同盟軍総旗艦ジェットアローン

「ぬわんですって、あたしじゃおかずになんないんですって!!」

 惣流ラングレーはシンジ向かってどなりちらした。

「・・・惣流、そんな言い方したら誤解が生まれるだろ。とにかく食料がないみたいだから今は軍の食料を解放して、必要な分を本国から輸送してもらおうよ」

「しょうがないわね」

 シンジ皇子は早速その手続きに入った。

「あれ、そういえばカヲル君、最近見ないなー」

   

同盟輸送艦隊旗艦アンビリカルケーブル

 ゲンドウ・スコット提督の率いる輸送船団が富士山要塞を発進した。ゲンドウ提督はどうせ輸送船団なんかねらう奴はいないだろうという小心な理由からその提督になっていた。今回もいつものつもりで発進して、のんびりと自室で四次元チェスを楽しんでいた。

 どんどんどん

 扉の叩く音が聞こえた。扉が開き副官のニコルスキー・冬月中佐が入ってきた。

「なんだ、前線でなにかあったのか、冬月」

「・・・窓の外を見てみろ。ここが前線だ」

 輸送船団は帝国軍に囲まれていた。

「そんな馬鹿な、俺のシナリオにはこんなのないぞ」

「・・そんなの、知るか・・」

 ひゅるるるる、どかん !!

「ぐわー」

 ゲンドウ・スコット提督は、砲弾の直撃を受けて死んだ。

   

帝国軍総旗艦エヴァンゲリオン

「ミュサト提督から連絡、輸送船団を全滅させたそうです」

 オーベルカジは綾波伯レイとその配下の提督たちに報告した。ちなみにミュサト提督というのは、内乱のときのミサト上級大将のことで、彼女は罰として一字拝領し「ゆ」の字をいただき、そんなへっぽこな名前になったのだ。のちに彼女は次々と失敗を重ね「て」、「つ」、「ぺ」、「き」の字を自分の名前につけなければならなくなった。

「ミッターマコト、ロンゲシゲル、ビックリヒカリ、ケンプケ、メックリツコー、キールン、トッジ、数学の先生、かねてからの計画にしたがい、総力をもって反乱軍を撃ちなさい」

 綾波伯レイは提督たちに命じた。レイは前線に赴こうとする提督たちを引き留め、従卒に命じジョッキを各提督に渡した。ジョッキの中には青汁がなみなみとつがれていた。

「勝利はすでに確定しているわ。このうえはその勝利をより完全なものにしなければならない。碇司令・・・じゃない皇帝陛下に逆らう叛乱軍の身の程しらずどもを女子供アリ一匹とて生かして帰してはだめ。卿らの上に大神Cthulhuの恩寵あらんことを。プロージット!」

「プロージット!」

 提督たちはいやいやながら青汁を飲み干し、うっぷんを晴らすためジョッキを床にたたきつけた。

   

同盟軍第十艦隊旗艦プログナイフ

「来るぞ」

 敵影を発見した後、ゲンドウ・ウランフ提督は戦闘準備を命じた。飢えた兵士と飢えていない兵士の戦い、そして同盟軍の戦線がのびてしまっている状況を考えると・・・。ケンドウ・ウランフは身震いをした。

 しばらくすると、好きなだけ戦力の集中ができる帝国側が有利になってきた。

「閣下、もはや戦闘を続行するのは不可能です。逃亡か幸福を選ぶしかありません」

「なんだ、その幸福というのは」

あやしい薬をきめて、なにもかも忘れて幸福になるのです」

 ゲントウ・ウランフが副官を射殺しようととた時、

 ひゅるるるる、どかん

「ぐわー」

 ゲンドウ・ウランフ提督は、艦橋に砲弾が当たり火災になり焼け死んだ。

   

同盟軍第十二艦隊旗艦LCL

 ひゅるるるる、どかん

「ぐわー」

 ゲンドウ・ボロディン提督は、トイレに入っている最中砲弾が命中し水が吹き出し溺れ死んだ。

   

同盟軍総旗艦ジェットアローン

「だめです!! 第八、九、十、十二艦隊からの連絡がありません。その他の艦隊も戦闘に入りいずれも不利な状況だそうです」

 フレデリカ・グリーンヒカリは蒼白な顔で惣流ラングレーに報告した。

「・・そんな・・くっ! なにやってるのよ!! まじめに戦いなさいよ」

 惣流ラングレーは自分に言い聞かせるように強く言った。

「みんなまじめだよ。ただ戦線を拡大しすぎて、各個撃破されやすい状況だからしかたないよ」

 シンジ皇子が冷静な分析をした。

「あたしが悪いって言うの!!」

「そんなこと言ってないよ。もうこれ以上は限界だよ。致命的な状況になる前に撤退させよう」

「何言ってるのよ馬鹿シンジ!! このあたしが逃げるなんてできるわけないでしょう。戦力分散が悪いなら、集めればいいのよ。全軍に通達、阿武隈川に集結せよ」

 シンジはいさめようかと思ったが、惣流ラングレーの目が赤かったのに気づき、やめた。

   

阿武隈川

 川を挟んで同盟軍と帝国軍は対峙し、戦闘を開始した。同盟軍は兵力を集めることができたが、初戦に負けまた集結するために撤退中攻撃を受け、だいぶその力を落としていた。方や帝国軍は士気が高く兵力でも上であった。同盟軍は押され気味であったがなんとか戦っていた。

「よくやっていますね、どちらも」

 オーベルカジは綾波伯レイに話しかけた。

「そうね、ところでミュサト提督はまだこないの」

「まだです。・・・ご心配ですか?」

「心配」

 身もふたもないなこりゃ、オーベルカジは苦笑いをした。

「ちょーち、遅れてるわね」

 そのころ全軍の三割を率いてミュサトは、同盟軍に気づかれないように阿武隈川を大きく迂回していたのだ。だが同盟軍も馬鹿ではなく自軍の後背には4000万匹の猫を浮遊させていた。かわいい猫ちゃんは引けないだろうという人間心理を利用した恐ろしい兵器だ。

「ありゃま、これはちょっち人道上の問題ありよね・・・・指向性マタタビを散布して」

 帝国軍はこのような危機を予想し、指向性マタタビの開発に成功していたのだ。

 にゃー

 猫はマタタビのにおいのする方へ行ってしまった。

「さてと、危機は去ったわ。全艦隊突撃! 最大戦速よ!!」

 そして、同盟軍は前後に挟撃される格好になった。勝敗は決した。

   

同盟総旗艦ジェットアローン

「・・負けた・・・このあたしが・・・・」

 惣流ラングレーは床にへたりこんだ。シンジ皇子はすぐに駆けつけたくなったが、ぐっとがまんして敗残処理を的確に指示した。

「本艦隊は現状で攻撃を続け、他の艦隊から優先に富士山要塞に撤退させる。その後本艦隊も撤退する。詳細はまかせるね」

「わかりました」

 フレデリカ・グリーンヒカリはうなずいた。シンジは惣流ラングレーに所にいこうと思ったが既にいなかったので、駆け足で艦橋からでていった。

「やおいもいいけど、こういうシチュエーションも悪くないわね」

 ヒカリはのほほんとしていた、地獄の敗残処理のためノイローゼになるとも知らずに。

   

惣流ラングレーの部屋

 シンジ皇子はドアをノックした。返事はなかった。

「惣流、いるんでしょ。入るよ」

 部屋の中は電気が消えていて暗かったが、惣流ラングレーがベットの上でひざを抱えているのがわかった。

「あのさ、惣流、あんまり・・・」

「あたしさ、いままで負けたことがなかったんだ」

 シンジの発言をさえぎって惣流ラングレーはしゃべりだした。

「・・・・・」

「子供の頃から喧嘩が強くって、それで地下プロレスに勧誘されてね、ずっと連勝を続けてたんだ。でも、勝ち続けると賭にならなくなるって言われて八百長をしろって言われたの。勝つことが正しいって信じてたあたしは、そこを飛び出した。そして軍隊に入ったんだ。軍隊なら負けろなんて言われないと思ったから・・・でも、もうだめ。あたし負けちゃたもんね」

「・・・僕はからっきし喧嘩に弱くてね、ある日、負けて帰ったんだ。それで泣いていると、幼馴染みの女の子が怒るんだ。泣いてうじうじしてるから負けなのよ。そんな暇があったら復讐の仕方でも考えなさいよって。だから僕は覆面をしてバットを持って夜陰に紛れて後ろから襲いかかったんだ。足腰が立たなくなるまでね」

「・・覆面して顔隠してたんじゃ、勝ったことになんないじゃないの・・・」

「あっ、確かにそうだね、ははは。それに、負けたことがない人って本当は強くないんじゃないかな。負けてくやしい思いをしたことがなければだめだと思うんだ」

「あたし、強くなれるのかな?」

「うん、きっとなれるよ」

「うっ、うっ、わーん」

 惣流ラングレーはシンジに抱きついて、泣き出した。シンジは黙って受け止めていた。

   

第三新東京市NERV帝国宮殿ターミナルドグマ

 NERV帝国皇帝ゲンドウ一世は、よくたべるスイミーを持って水槽の中にえさをまいていた。水槽の中には裸の美少女たちが泳いでいた。

「まだ、こんなことしていたんですか、皇帝陛下」

 ゲンドウ一世は驚いた様子もなく、振り返った。

「カヲルか」

「お久しぶりですね、お父さま」

 カヲルは水槽の中の少女達を凝視した。一人と目が合ったとき、全員が笑った。

「ふん、どれもこれもできそこないばかりだ。もうあきらめた方がよろしいのではないのですか」

「この娘たちを育てているのは、生み出した私なりの罪滅ぼしだ。計画の方は問題ない」

「シンジ君とレイのことですね」

「そうだ」

 カヲルはゲンドウ一世の方へ近づいていった。

「インセストの極みとは、お考えにならないのですか」

「親殺しよりはましではないのか」

「その落ち着きようでは、覚悟をきめていたようですね。自分の生み出した者に殺されることにより罪から解放されるとお考えですか」

「・・・・・・」

 ゲンドウ一世は、返事をしなかった。

   

帝国総旗艦エヴァンゲリオン

 皇帝崩御!

 戦勝に酔っていた帝国軍はいっきに酔いがさめてしまった。

 ちょうどそのころ艦橋では誰も望まない青汁パーティーが開かれていた。その報告を聞いた綾波伯レイは持っていたジョッキを床に落とした。

「・・・・皇帝陛下・・・・お父さま・・・」

 艦橋はざわめいていたため、誰もレイの独り言を聞いた者はいなかった。

   

大阪商工会ビル

 アドリアン・トウジは窓の無い真っ暗な部屋にたたずんでいた。

「わて、でんがな。お答えくださいな」

「わてとは、どのわてだ」

 灰色のフードを被った男が現れた。ホログラフだ。

「大阪商工会々長アドリアン・トウジでんがな。かんと・・いやグランドビショップ猊下には御機嫌うるわしくあられましょうか」

「機嫌の良い理由はあるまい・・・愚民どもはいまだアニメにうつつを抜かしておる。幼年期が終わるまで、我が心は晴れぬ・・・・日本では20年にも渡って大人がアニメを見るようになってしまった」

 原因はあんたでしゃろに、トウジは心の中で舌を出した。

「しかし、そのような暗黒の時代は終わりだ。おたくが蔑まれる時代がもうすぐやってくる」

「そんなすぐにでしゃろか」

「疑うか、商工会々長・・・・われらはそのために大阪を再建したのだ。よもやぬかりはあるまい?」

「ぼちぼちでんがな」

 トウジは言ってから、セリフ間違えたかなーと後悔した。

「アドリアン・トウジ」

「は・・・?!」

「裏切るなよ」

「な、なにをおしゃいますねん。道頓堀から助けていただいた御恩を忘れるわけないでしゃろ」

「ならよい。その殊勝さが、汝自身を守るであろう」

 ホログラフが消えた。トウジはふぅと息を吐き、会長室に戻った。椅子に座り両肘を机の上にのせ口の前で組んだ。

「さて、誰が勝ち残るやろな。帝国か、同盟か、三鷹か・・・・それとも・・」

「僕とシンジ君さ」

 トウジは慌てて回りを見渡したが、会長室にはトウジ以外だれもいなかった。

   

・・・・第三新東京市の歴史が、また1ページ・・・・   

   


作者コメント

 あーあ、やっちゃった、先の展開も考えずに暴走させて、収拾つくんだろうか。あっ皆様、読んでいただきありがとうございます。どうか感想をください。皆様のご意見はかなり参考にさせてもらっています。さてアスカ様に見つかる前に、洋館に逃げ込まなくては。モンスター召喚して罠しかけて、待ってますんで。それじゃ。


青柳さんへの感想はこ・ち・ら♪   

青柳さんの人気連載「インターネット講座」はこ・ち・ら♪   

そんでもって使徒圏はここです〜♪


管理人(ではない人々)のコメント

アスカ「青柳・・・・・殺す!

シンジ「ちょちょちょっとアスカ!! その手に持ったマサカリはなんだよ!!」

アスカ「決まってるじゃない! 洋館に踏み込んであの腐った脳味噌をコイツでたたき落として・・・・」

シンジ「あの洋館はやめといたほうがいいと思うよ・・・・あそこは「魔窟」って呼ばれてるらしいし・・・・この間見に行ったトウジがす巻きにされて道頓堀に浮かんでいたっていうよ・・・・」

アスカ「しかし・・・・・ここまでアタシをコケにしてくれた報いは・・・・あ、そうだ・・・・ごそごそ」

シンジ「ごそごそ・・・・ってアスカ!! なにN2爆雷なんか取り出してんの!!」

アスカ「諸悪の根源をコイツで焼き払ってやるのよ!!」

シンジ「そこまでしなくても・・・・だって、アスカだってかわいいところ見せてるし・・・・」

アスカ「う゛・・・・あ、あれは気の迷いよ気の迷い!! なんだってアタシがシンジなんかに抱きつかなきゃいけないのよ!! もじもじ

ヒカリ「まんざらでもなかったくせに、アスカったら」

アスカ「ヒ、ヒカリっ!!!!!!!!!!」


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