第三新東京のやさしい掟

第4話


  

翌日。出勤してきた加持のオフィスに丸山三尉がファイルを持ってやってきた。

「加持一佐。あまり楽しくない事が判明しました」

「何だ?」

「伊吹一尉の”恋人”が自分のバックが、本部諜報局特務1課だと言う事を自供しました」

「何か使ったか?」

「自白剤を。」

「深層催眠の可能性はどうだ」

「いかなるチェックでもシロでした」

「そうか・・・・伊吹一尉はどうした?」

「釈放しました、ただ釈放の前に後催眠をかけたので、彼女には電車の先頭がひどく魅力的に写るはずです」

「分かった、退出してよろしい」

丸山はファイルを置いて退出していった。

本部諜報局特務だと? 一体なぜ奴等が支部を標的にしたんだ?

 

伊吹マヤは普段と同じ通勤電車をホームで待っていた。ホームを通過する列車が高速で通り抜けようとしたとき、マヤの身体は無意識のうちに線路に飛び込んでいた。

ぎらぎらと光る列車のヘッドライトが彼女の見た最後の光景だった。その直後列車の鋼鉄の車体が彼女の身体をひき潰した。

 

「先日お話しした、伊吹二尉の件で新たな事実が判明しました」

鳥海のオフィスで加持はこれまでの経過報告をしていた。

「どうやら今回の情報流出には本部諜報局の特務が関係していると思われます。しかも、特務の手口から考えると今回捉えたおともだちと恋人は囮。と見て間違いないでしょう」

鳥海は眼鏡を押し上げると、平静な声で言った。

「まだ終ってはいない。これからが本番という訳か?」

「はい。そういう事です。」

「何か必要なものは?」

「穂高一尉をお約束どおり貸していただきたい」

「わかった。加持一佐の毒牙の犠牲者を増やすのは忍びないがな」

 

加持は、自分のオフィスに戻ると日向からもらった書類を読み始めた。読み進んでいくうちに、加持の顔色が変わっていった。

「ATフィールド、A10神経接続、擬似発生装置、軍事利用、事故、脳障害、廃棄処分そして返還・・・・・・何てこった」

加持は電話を取って内線番号を押すと、穂高を呼び出した。

「ああ。加持だが。資料部と諜報部資料課にかけあって2004年から今年までの全ての支部、及び本部で行われた実験の資料を持ってきてくれ。ああ。今日中に頼む」

電話を置くと、部屋を出て日向の個室に向かった。

 

穂高は、資料室の管理の三尉とさっきから延々とやりあっていた。

「ですから資料の閲覧は許可できても貸し出しまでは許可できません」

穂高よりも4才ほど若い三尉はさっきと同じ事を言った。

「だから諜報部第四課からの直接要請で、部長の許可も取ってあるんだって」

「如何なる理由があっても・・・・て、第四課って加持一佐の課ですか?」

突然の話の振り方に、穂高はかなり同様しながら答えた

「え?ええ・そうだけど・・・・」

若い三尉は顔を真っ赤にしてうつむきながら消え入りそうな声で言った。

「それじゃあ・・・特別に・・・許可します・・・一佐によろしく言っといて・・・下さい」

あまりの豹変ぶりに呆れを通り超して呆然としていた穂高は「ありがとう」と言うと資料室に入って行った。そして芝居がかった口調で一言うめいた。

「ああ。誇るべきかな我が防諜体制」

資料室から大量のディスクを運び出した穂高はようやく加持のオフィスにたどり着いた。

穂高は今更ながら自分の浅はかさを思いしらされた。”全ての実験”とは、機体連動試験も入ればMAGIの定期検診も入る。合計すると10000回以上の実験が行われたのだ。その全ての内容の概略を収めたディスクだけで相当の数に登っていた。

加持の部屋のドアの前に辿り着くと、ノックをしようとしたが、両手が塞がっていてノックできない。と、その時誰かが彼女を後ろから抱きしめた。加持だ・・・・・

「どうしてそんな黒ぶちの伊達眼鏡をつけてるんだい?美人がだいなしじゃあないか?」

加持の言葉に穂高はおもいっきり動揺しながらいい返した。

「お・奥さんに言いつけますよ」

昔、ほぼ同じ事を言って余計事態を悪化させたネルフ職員がいた。今回は助け船はいない。唯一の助け船といっていいミサトは今、娘と一緒に酔いつぶれて寝ていた。どうも風邪で早退したミサキ(娘の名前)にミサトが作った玉子酒が原因であるらしい。完全に出来上がっていたミサトが日本酒と泡盛を間違えたのが主な原因であるようだ。ミサトの方もミネラルヲーターとウォッカを間違えて一気したのが原因の様だ。

死なないだけでもこの親子の怪物性が見て取れる。

閑話休題

「眼鏡外した方が美人なのに」

と言うと加持は人差し指で穂高のあごをなぞった。

「止めて下さいこんな時に」

「じゃあこんな時以外はいいのかい?」

哀れ穂高はほぼ完全に加持の術中に落ちていた。南無三。

ちなみにその晩加持は”会議”で帰りが夜の三時だったとか・・・・・・惜しむらくは、ミサトにバレた事だろう。そのよ加持の家では妻に四の字がためを、娘にキャメルクラッチをされている加持の絶叫が聞こえたとか・・・・・・・・・

 

続く

 

作者あとがき

何も申すまい。いや。なぎさちゃん・・・・いや!なんでもござらん!忘れてくれい!!

しかし、ほとんど話が進んでない。12文書(ネタ帳)を無くしたのがきつい。

いや、なんというか雪風。問題無い。人類巨悪計画。2%も進んでいない。

 

 


 ゲンドウ教入信希望者及び12式臼砲さんへの感想はこ・ち・ら♪   


管理人(以外)のコメント

伊吹 「ひ、ひどい・・・・しくしくしく」

リツコ「マヤ、なにを泣いているの?」

伊吹 「私が男の人でない「恋人」と熱い夜を過ごしているとかいう根拠のない噂をたてたあげく、最後は電車に轢かれて死んでしまうなんて・・・あんまりです、事実をねじ曲げた悪意ある内容に、断固抗議します!!」

リツコ「あなた、まだ甘いわよ」

伊吹 「え、どうしてですか、先輩?」

アスカ「そうよ! この巨悪の作品の中でスプラッタで死ぬアタシや!」

リツコ「そもそも登場すらしない私に比べれば」

アスカ「あんたなんかまだましな方! それくらいがまんなさい!!」

伊吹 「先輩、アスカ・・・・」

リツコ「なに、電車に轢かれるなんて、慣れてしまえば簡単簡単。ほら、ちょっと練習してみなさいよ」

伊吹 「せせせ先輩、練習って一体なんですか!! そもそも轢かれるのに慣れるなんてそんな事できますか! 轢かれちゃったら、し、死ぬんですよ!」

リツコ「気にしない気にしない、うふふふふふふふふふっ」

伊吹 「先輩・・・・監禁生活で、おかしくなってる・・・・(大汗)」


続きを読む
前に戻る
ゲンドウ教黄昏支部へ