第三新東京のやさしい掟

第3話


  

 深夜の防諜部第四課オフィスで加持は一人で書類の山に目を通していた。既に家には連絡を済ませて有る。ミサトはあまり良い返事をしなかったが彼女も元作戦部長である。そのあたりのことは分かっていた。

 加持が深夜のオフィスに一人で残っている理由は書類だけではない、日の出ている内に対内諜報を専門とする防諜2課に伊吹マヤの行動の監視を要請しておいた、そうしたら案の定午後4時30分ごろ伊吹マヤの部屋に不審な女性が合鍵を使って入ったという報告があり、その続報、マヤが何か機密に分類されるようなことを喋ったら報告をするように伝えて有る。それから加持は鳥海より渡された資料に目を通していた。

  

 資料の内容は要約すると本部技術局の職員のなかに世界各国の三文字名前の諜報組織の”おともだち”が多数発見されたため、本部諜報局が総力を上げて”おともだち”の狩り出しに精を挙げた結果が書かれていた。上は技術局局長代理から下は掃除当番まで。その中で最もひどかったのが技術局装備部5課(実体弾火器)で課員の半分が”おともだち”であることが判明していた。

  

 なるほど、米国陸軍のXM−9と統一ドイツ軍のレオパルト3に装備されたというレールガンはパレットガンの縮小コピーと言う訳か。しかも使徒が全て殲滅された今世界各国は半分が水浸しになったパイの奪い合いを始めたと言うからな、ネルフの独占している技術は欲しいだろう。しかし本部には”同業者”の上司達が欲しがっている情報は無い。全て日本支部が本部だった頃の技術部員の頭の中かセントラルドグマの格納所に仕舞われているからな。しかし本部諜報局から日本支部防諜部まで直接命令が来たのもわかる。もしATフィールドが発生可能な戦車、巡洋艦。ダミーシステムによって自動制御される航空機。S2機関によって無限の航続力を持つ潜水艦。いずれか1つが登場しただけで世界の軍事バランスは大きく崩れる。問題はそれについて知っている(この場合の知っているとは作れると同じ意味)人間がごく少数しかいないことだな。しかも全てについてこの世界で最もよく知っている殆ど唯一の人間はいまだ”尋問中”か。だから”同業者”達は彼女の、リっちゃんの助手をしていた人間、伊吹マヤ二尉に目を付けた訳だ。

  

 と考えていると机の上の電話が鳴り出した。

「加持だが」

「始まりました」

「何に関してだ」

「ダミーに関してです、どうしますか?」

「押さえろ、必ず生きたまま連れてこい。死体は情報を吐かないからな」

「了解」

 電話がきれる、加持は鳥海の部屋の内線番号を押した。鳥海が残って居るとは思わなかったが念のためである。

  

「私だ」

「加持です、早速一匹陸揚げです」

「早いな、何か要るか?」

「念の為、”おくちがすべりやすくなる”物を使います、後は報告書で」

「わかった」

  

 伊吹マヤの部屋の隣では10人程の黒服が装備の点検をしていた。その十人を指揮している丸山直之三尉も自分の持っているSIG−P226のマガジンに16発、薬室に一発があるのを確認すると、10人の部下に指で”突入”を合図した。

 丁度隣の部屋でマヤと彼女の”恋人”が行為に没頭し、周りに意識が向かなくなったとき音も無く部屋のドアが開き、11人の男が突入。マヤとその恋人をスタンガンで動けなくし、口に猿轡をはめた。自害ようの毒薬を嚥下させないためである、そのあと彼女らを毛布で包み、マンションの入り口に停めて有ったバンに運び込んだ。全ての作業の終了を確認すると丸山三尉は無線機で加持に”状況終了”を伝えた。

  

 状況終了を聞くと加持は丸山三尉にご苦労、二人を尋問しておけ、明日報告書を提出しろ。と指示を出すとコートを着て帰りじたくを始めた、時計を見ると11を指している。

  

 ふん、ぬるい風呂くらいなら入れそうだな。

  

続く・・・・    

  



作者の行う「第三新東京のやさしい掟」のやさしい解説

対内諜報:要するにスパイ狩り。(ううん、簡単に言うとだ)

おともだち:外部の諜報員のお友達になった人。

三文字名前:有名な所でCIA、KGB。その他もろもろ。

XM−9:作者の創作、米軍現行のM1”エイブラムス”の後継。

レオパルト3:統一ドイツ軍現行のレオパルト2改の後継。これも創作

おくちが・・・:俗に言う自白剤。

SIG−P226:一応諜報局正式拳銃。自衛隊はP220を使用。

  



後書き

マヤについては私が未成年だということで。はい。

次あたりアスカ登場かも、でも自分がアスカ書いて彼女良い所ないからなあ。高原様の所には殺されかねないSS投稿しちまったし。これぞ二大巨悪の本領発揮といったとこかな。

おや、宅急便?まさか・・・・・・・・・

がさごそ

なになに・・・”三式弾”!?

どごおおおおおおおん!!

ふふふ、このゲンドウ教黄昏支部。三式弾如きでは崩せんぞ!!。

注:三式弾・・・旧帝国海軍の開発した対空砲弾、25ミリ機関砲弾数百発が詰められている。食らったらふつう建物ごと死ぬ。


 ゲンドウ教入信希望者及び12式臼砲さんへの感想はこ・ち・ら♪   


管理人(その他)のコメント

アスカ「ちっ、ゲンドウ教の防御力を甘く見ていたわね」

シンジ「アスカ・・・・人を殺すのはよくないよ・・・・」

アスカ「うるさいわね!! アタシはあの巨悪男を殺さないと気がすまないの!! なによ、あのアタシが死んでる話は!! しかもヨリにもよってあのアホ使徒と会話ですってえええ!! むっきぃいいいいい!!」

カヲル「アホ使徒とは失礼な。もう少しスマートな呼び方はないのかい」

アスカ「じゃあ「アホ」だけね」

カヲル「語彙の知識が少ないんだね、君は」

アスカ「ぬあんですってええええええ!!」

 げしげしげし!!!

カヲル「むぎゅう・・・・」

アスカ「さあて、次は12式の番ね、三式弾で失敗したなら、今度はこの「エアゾール爆弾」で・・・・」

シンジ「ちょちょちょっと!! そんな物騒なもの!!」

カヲル「ふっ。エアゾール爆弾って言うのは、酸素を吸い取って爆発するものでね。直接建物に被害が及ばなくても、人間は窒息死してしまうというものなんだよ。別名「貧者の核爆弾」とも言われているね」

アスカ「なに解説してんのよ、このバカ!!」

カヲル「(びしっとアスカを指さし)・・・・貧者

アスカ「こ、こ、殺す!!」


続きを読む
前に戻る
ゲンドウ教黄昏支部へ