穂高との握手を済ましたた加持は再び鳥海の方を向いた。
「で、エヴァとダミーについての情報漏洩とは何処からの情報ですか」
加持の問いに鳥海は書類の束を取り出し机の上に置いた。
「この書類は?」
「本部諜報局より送られてきた情報漏洩の報告書だ、眼を通しておきたまえ」
「分かりました、報告は貴方にすればいいのですね?」
「ああ、私に直接頼む。必要とあらば2課と3課にも話をつけてやる」
「わかりました。ところで穂高二尉は?」
「この仕事の間は君の直属だ、好きなことに使いたまえ。ああ、好きなことといってもマスコミに叩かれそうな行為はよしてくれ」
「そんなに信用ありませんか」
「何せ防諜4課の加持一佐の手にかかっていない女子職員は殆ど皆無だからな」
「私だって選びますよ」
「まあいい、退出してよろしい」
鳥海が言うと加持は穂高に一言「用があったら連絡する」といって退出した。
「穂高二尉、加持一佐についてどう思う?」
「かなりの難物ですね」
「ああ、なにせ一時期旧監査部のエージェントと政府内務省のスパイ、委員会の”鈴”を兼任していた男だからな」
「それで私の任務は何でしょうか」
「奴に対する鈴として動いてくれ」
「わかりました」
と言い残して穂高も退出した。
これで加持が俺の期待どおりの方向に調査を進めれば、このネルフを大きく揺さ振る事実が出てくるだろう。そうすれば上層部は大混乱に見回れる、そこに取り付く隙ができるわけだ、あの加持がシナリオどおりに動いたら・・・・
ここで鳥海はいくつかミスを犯していた、加持の能力を甘くみていたのである。それに鳥海はきづいてなかった、この歴史上で全てシナリオどおりに進んだことは皆無だと言うことを、あの碇ゲンドウのシナリオも思いどおりにはいかなかったのだから。
ネルフ日本支部技術部を加持が訪れたのは、鳥海の所に行った翌日の事である。
「や、忙しい所すまないね」
「かまいません、どうせ仕事は無いんですから」
技術部長伊吹マヤは自嘲的な笑みを浮かべて加持に答えた。
「やれやれ、こんな優秀なスタッフがいるのに仕事を寄越さないとはね」
加持がマヤにスタッフについて聞こうとした時別の所から声をかけられた。
「加持さん、ちょっと話が」
そこには作戦部長日向マコトが真剣な顔をして立っていた。
「話というのは何だい?」
日向の私室に案内された加持は出された緑茶をすすりながら日向に話しかけた。
「実は・・・本部からここにアスカが”返還”されるそうです」
「それはまた・・・・で、一体その情報何処から?」
「それは教えられませんよ」
「”ちいさなおうち”かい?それとも”ラングレー”かな、君のバイト先は」
「”業界”に個人的な関わりを持ってるだけですよ、あなたと同じで」
「いつからだ、関わりを持ちはじめたのは」
「新しい司令が着任してからですよ」
「なるほど、ほかに用事は?」
「この書類を読んでみて下さい、今の司令と”プリンツ・アルブレヒト通り”の同業者の子孫の関係が書いてありますよ、最近のドイツ人はねえ・・・」
「見返りは?」
「もう少しここにいなければならないんで」
「わかった」
ふん、情報漏洩は本当のようだな。しかし・・・何のために私にこんな書類を渡したんだ?
「ああ、加持さん、マヤちゃんには最近連絡の無い”女性実業家”がいるそうですよ」
全く人類を救う特務機関が聞いてあきれる、これじゃあザルのように情報が漏れてくだけじゃないか。しかし、人類とは進歩しないんだな、最古といってもいい諜報手段が今でも最も有効な手段だとはな。
その夜、伊吹マヤは帰宅中自分の部屋の電気が着いているのを見て、歩調を速めた。
滅多に会えない”恋人”が部屋にいる合図だからだ、ここで言う”恋人”とは男ではない。
そう、彼女は俗に言う”蜜の罠”に掛かっていたのだった。
もう今晩の”恋人”とのことしか見えていない彼女はきづいてなかった、彼女の100メートルほど後ろを黒いコートの男が付いて来ているのを。そして彼女の部屋の隣に引っ越して来た人間がいるのを。ちなみにマヤの住んでいるアパートの防音性は高いとは言えない。
なんというか、これから話が危険な方向にすすみます。はたして16才にどこまで書けるか!!
ゲンドウ教入信希望者及び12式臼砲さんへの感想はこ・ち・ら♪
管理人(その他)のコメント
カヲル「ふう、この作品は伏線が多いから、なかなか考えさせられるものがあるね」
シンジ「うーん。僕にはよく分からないんだ。いろいろと謎があって」
アスカ「アンタバカァ? これはそう言う話なのよ」
シンジ「・・・・ねえ、アスカ。この「密の罠」って・・・・何?」
アスカ「う゛・・・・そ、それは・・・・」
シンジ「マヤさんの恋人が男じゃないって・・・・どういうこと?」
アスカ「う゛うっ、そ、それをアタシに言わせる気なの!!」
カヲル「シンジ君、密の罠って言うのはね、スパイが情報提供者と恋人のようにつきあって、愛情を盾に情報の提供をさせるって言う方法さ。「ワタシのことを愛しているなら・・・・」ってやつだね。マヤさんの恋人が男じゃないってことはだね・・・・むぐぐぐぐっ」
アスカ「それ以上の発言は却下! ここは健全なぺえじなのよ! まったく、やはりコイツは青柳と並ぶ2大巨悪ね。こんな話の展開。18歳以下には読ませられないわ」
カヲル「作者は16歳だよ」
アスカ「いちいちよけいなツッコミをするんじゃないわよ!!」
シンジ「・・・・愛情を盾に・・・・それって、アスカみたいだね」
アスカ「はあ?」
シンジ「だって、「アタシのことがキライなんでしょ!」って泣く真似してよく僕にいろんな用事を・・・・」
どかぁばきっ!!
アスカ「国際スパイ小説を家庭規模レベルに落とすんじゃないわよ。バカシンジ!!」