第三新東京のやさしい掟


   

加持リョウジ一佐は特務機関ネルフ防諜部4課長を務めているが、その実態は島流しと言って差し支えのないものである。と言うよりは2015年の頃のネルフ主要メンバーは、皆島流しにされたといっても差し支えの無い状況となっている。その原因は2016年にネルフを組織改革の波が襲い3人の適格者はドイツに移転された本部の隔離施設に監禁され続けている。葛城ミサトはネルフを退職、彼女にとって使徒を殲滅した以上ネルフに留まる必要を感じなかったのであろう。ちなみに彼女は加持との間に1児をもうけ、今は子育てに苦戦している、「使徒を倒すよりキツイ」とは彼女の弁である。

赤木リツコは事情聴取と言う理由で本部へと連行されて行った。彼女が釈放されたと言う報告は、彼の元には届いてない。

冬月コウゾウは定年で退職、今は隠居中らしい。

伊吹マヤ。彼女は日本支部技術課長となっているが、予算がほとんど出ていない為飼い殺し状態である。

日向マコトは日本支部作戦主任になったが、何も仕事を与えられていない。

青葉シゲルも似たような物だ。

「ま、他から見れば俺は幸せなほうか・・・」

加持の第4課とは言うなれば防諜部の窓際でスタッフは彼一人と言う有り様である。

   

そもそもの原因は碇ゲンドウの後任として司令になったオスカー・フォン・ギースラーの行った一連の組織改革、特務機関ネルフを世界中から選りすぐったエリート集団とし、人類を明るい未来へと導く為の組織にしようとした。それには大きな邪魔がいる、人類の半分を死へと追いやったセカンドインパクト、その原因を作ったのもネルフの前進である調査機関ゲヒルンであった。オスカーは先ずネルフの古参の幹部を閑職へとおいやった。

そこまで加持が考えていた時、デスクの内線電話が鳴り出した。

「加持ですが」

「私だが、すぐオフィスまで来てくれ」

防諜部長の鳥海タカオ将補だ、新生ネルフの数少ない日本人、そして日本支部諜報局のナンバー2と目されている人物だ。

「わかりました、今いきます」

電話を置くと、濃緑色の幹部用制服を着用し、自分のオフィスを出た。

通路を歩いていくと、何人かのスタッフとすれ違うが、皆彼を避けていく。新生ネルフの人間は旧ネルフの人間と関わりたがら無い。

まあそうだろう、彼らには輝ける未来と出世の道がある、しかし俺達旧ネルフの人間にあるのは暗い過去だけだからな。

そんな事を考えている内に鳥海将補のオフィスに着いた。

ノックをして扉を開ける、中には秘書らしい女性二尉がいた。眼鏡をかけた長髪の、理知的な目をした美人だ、恐らく年は30前後だろう。

「4課の加持だが、部長は中に?」

奥にある扉を指差して彼が問うと「はい、そうです」とだけ答えた。

鳥海タカオ将補は55才になる、家族は妻と娘がいたが、娘を自動車事故で、妻を病気で失っている。仕事に対する評価は最良。人望もある。間違いなく日本支部長になると目されている。

「今何か仕事をしていたかね?」

「第V類丙種情報の確認をしてましたが・・」

「Vの丙?一体何の情報かね」

「使徒は宇宙人の手先じゃ無かったのか、という某国のUFO研究家の論文です」

「・・・・・君にやって欲しい仕事がある、Tの超甲だ」

「何ですか?」

「エヴァとダミーに関する情報漏洩だ」

「分かりました、やります。しかし一人では」

「分かっている、補佐を一人つける」

と言うと鳥海は受話器を取り一言二言話していた、すると後ろのドアが開いて先程の女性幹部が入ってきた。

「穂高エリ二尉です。ドイツでは奥様にお世話になっていました」

そう言うと彼女が右手を差し出してきた。

「加持リョウジ一佐だ、よろしく頼む・・・」

そう言うと彼女のてを握った、顔にはまじめそうな表情を浮かべていたが、内心飛び跳ねん限りであった。加持リョウジのびょーきは直ってなかった・・・・・・・・・・

   

第二話へ続く   

   

後書き

これは2015年より8年後の話です。

ってオイまた加持が主役かよ!多分シンジ、アスカ、レイが登場せず、しかも加持が主役のSSなんて滅多にないような・・・・

このSSのタイトル元ネタおよび一部の台詞は佐藤大輔著「東京のやさしい掟」よりの引用です。

後は完全オリジナルのアスカ補完物も考えてありんす。

ではでは皆さん次までさようなら


 ゲンドウ教入信希望者及び12式臼砲さんへの感想はこ・ち・ら♪   


管理人(ではない人)のコメント

どんがらがっしゃああああん!!

加持 「ま、まてミサト! は、話せば分かる!!」

ミサト「問答無用!! ぬあにが内心飛び跳ねんばかりよ!! アタシやかわいい子供がいながら他の女に手えだすなんて、あんたはいっぺん死んで反省しなさい!!」

加持 「だからそれはだなって・・・・お、おい! ポジトロンライフルぶっそうなもの、どっから持ってきたんだ! あ、危ないから銃口をこっちに向けるな!!」

ミサト「元ネルフ作戦部長に不可能なことはなし!! さあ、覚悟なさい!!」

加持 「どっしぇええええええええ!!」


・・・・・ぶちっ・・・・この回線は盗聴されている可能性があるため、切断させていただきました。お客様のご協力を感謝します。ツーッ、ツーッ、ツーッ・・・・


作者のコメント

 というわけで、12式臼砲さんの3本目の作品、「第3新東京のやさしい掟」お送りします。佐藤大輔の作品って面白くていいんですけど、いささか難解なんですよね。こっちのほうはありがたいことに語彙解説なしでも読めるんですごくいいです。手間が省けて(笑)。あ、上の夫婦喧嘩はあまり気にしないで下さいね。ちょっとギャグ入ってるのは、本日更新の5本の小説中、カヲル君がでているのが「戦艦アスカ様の最後」中編と、踊りマンボウさんの「すちゃエヴァ(陰)」だけなもので・・・・。たまにはいいかな、と思って書いてみました。

 それでは12式臼砲さんへみなさん感想を送りましょう! 今ならもれなくゲンドウ教入信案内が返ってくると思いますよ(爆)。
   


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