「約束のキーホルダー」

CHAPTER 06


Another Mother






 ・

 ・・

 ・・・

 ・・・・・・・・

 

 ・・・・・

 ・・・

 ・・・わたし・・・?

  「・・・ここ、どこ・・・?」

 ・・・暖かい?

 感覚が、おかしい・・・

  「・・・なに、これ?・・・」

 ・・・この感じは・・・

  「碇くん・・・?」

 どうして?

 誰も、いないの?

  「・・・誰・・・?」

 ・・・誰かいるの?

   ・・・葛城さん・・・

 ・・・・・・わたし?

 赤木博士・・・?

 アスカ・・・

 みんな・・・学校のみんな・・・?

 碇、司令・・・?

 エヴァ・・・初号機?

 使徒・・・



 前にも、同じものを見た気がする・・・。


 碇司令・・・少し震えてる?

 葛城さん・・・

 アスカ・・・また怒ってる・・・わたしを?

 碇くん、料理してる・・・朝食の準備・・・

 相田君・・・カメラ持ってる・・・わたし、撮ってもらった・・・


 これは・・・!!ここ一ヶ月で、わたしが見た事!?


 引っ越しの時、碇くんにウォークマンをもらって・・・!

 お見舞いで、病院に行って・・・!

 アスカと、碇くんの話をして・・・!

 デパートで、買い物・・・!

 アスカと一緒に選んだみっつのキーホルダー・・・!

 みんな・・・!みんなっ・・・!!


  「・・・。わたし、死んだの───!?」





 ・・・・・・

 そう、──────死んだ、のね・・・。


 じゃあ、ここは、どこ・・・?天国・・・?


 ・・・・・・これは?

 ・・・この感じ、なに・・・?

  「・・・・・・あなた、誰・・・?」

 なんだか、懐かしいような・・・

 安心する感じ・・・

 碇くん、じゃない・・・

 わたしに似ている感じ・・・


 「あなた・・・だれ・・・?」





                             『レイ───はじめまして、かしら?───』

 「あなた、誰?・・・どうしてわたしと同じ感じがするの・・・?」

                             『私は、碇 ユイ───10年前、[EVA]と融合してしまった人格。』

 「あなたが・・・碇司令が助けようとしていたひと・・・?」

                             『・・・。そう、10年前から、あの人は全てを捨てて・・・全てを利用して、
                               私を助けようとしていたわ。その途中、あなたが生まれた・・・。』

 「わたし?──────途中?・・・」< BR>
                             『・・・あら、知らなかったの?・・・・・・。』

 「わたしは・・・。クローンで、しかも他のひとにはない力を持っている、それが、ひどく特別な理由で・・・。
   それくらいしか、わたしは知らない・・・。」

                             『・・・・・・。あの人、なんにも話していないのね。もう・・・。』

 「・・・・・・。」

                             『あなたは、ね、レイ・・・。私のクローンなのよ。』

 「あなたのクローン?」

                             『10年前に行われた私のサルベージ計画は、失敗したわ。
                               ・・・私の魂の一部を削り出しただけだったの。それが、あなた。』

 「わたしは・・・元々はあなただったの?」

                             『・・・そう、ね。それから、あなたの力。それは、──────使徒の力。』

 「それは、知ってる。わたしはATフィールドを張れる・・・いえ、張れたわ。」

                             『それは・・・。私を救出する時、使徒───第二使徒リリスの力を使おうとしたのよ。
                               それは暴走し、私を救出する事はできなかった。しかも・・・リリスは、私の魂のかけらと
                                 融合してしまって・・・。出てきたのは、私の分身。私の一部であり、もう一人の私。』

 「・・・。でも、わたしはあなたではないわ。」

                             『・・・。そう言える?』

 「ええ。」

                             『本当に?』

 「───わたしには、わたしの名前がある。その名前で呼んでくれるひとがいる。・・・だから、わたしはあなたじゃない。」

                             『そう・・・。そうかもしれないわね、───レイ。』

 「どうして、わたしにそんなことを聞くの?」

                             『知りたかったの。あなたが、シンジのおかげでどれくらい強くなれたか・・・。
                               ただ、それだけよ。』

 「碇くん・・・。」

                             『私は、あなたが本当に一人の人間になれたと思ってる。だから・・・。』

 「・・・だから?」

                             『あなたは、ここから帰って。・・・シンジの所に。』

 「帰る!? ・・・そんな・・・でも、わたしは、もう死んでいるのに、どうやって、?」

                             『あなたの身体は分解しているわ。逆に言えば、分解しているだけという事なの。
                               だから、私がそれを再構成する。シンジに一度した事と同じね。』

 「そんな、簡単に?」

                             『まぁ、言うほど簡単ではないけれどね。不可能ではないのよ。
                               リリスとエヴァの再生能力も利用できるしね。』

 「! リリスは・・・。わたしの中からまだ消えたわけじゃない。リリスも一緒に再生させるの?」

                             『いいえ。リリスは、あなたからは切り離すわ。人を縛るような存在なんて、いらないもの。』

 「切り離せるのね・・・。あ・・・それじゃ、切り離したリリスは・・・まさか・・・。」

                             『気付いてしまったわね。・・・そのまま放っておくわけにはいかないわ。地下の本体と
                               共鳴・融合してしまうかもしれないものね。だから。エヴァ共々、消し去るわ。』

 「でも、エヴァも、という事は、あなたが消えるという事・・・!」

                             『そうよ。・・・これが私の役目。あなたたちが、精神崩壊を起こすほどの苦しみを
                               負わせてしまった私の罰。そう思えば、苦にはならないわ。』

 「でも!・・・碇くんが、きっと悲しむ・・・わたしだって、ひとが消える、なんて・・・!」

                             『・・・消えなくても、私は帰れないのよ。・・・それとも、あなたが戻る事を諦める?
                               あなたが私に還らなくては、私は帰れないのよ・・・。』

 「それは・・・・・・・・・でも・・・。」

                             『私には、消えて欲しくない?』

 「・・・うん。」

                             『・・・それなら、あなたが決めなくてはならないわ。
                               ・・・シンジの元に帰るか、私と一つになり、あなたは永遠に消えるか・・・。』

 「碇くん・・・でも、・・・。・・・・・・。」

                             『一つだけ言わせてもらえば・・・。あの人は、なぜ一ヶ月前、あなたに
                               エヴァの中に入るように言わなかったんだと思う?』

 「それは・・・。それでわたしが助かるか、わからなかったから?」

                             『違うわ。・・・あの人は、私を助けたかった。そのために、全てを利用していたんだもの。
                               でも・・・。あなたを、失えなかったのよ。あなたには消えてほしくなかった・・・。
                                 最後の最後まで、生きていて欲しかったのよ・・・。』

 「・・・い・・・碇、司令・・・」

                             『私もよ、レイ・・・。あなたの気持ちも、充分わかっているつもりだけど・・・。
                               こんな事言ってはいけないとは、思うけれどね・・・。』

 「わ・・・わたし・・・は・・・」

                             『戻りたい?』

 「わたし は、・・・ 戻りたい・・・。戻りたいの・・・。」

                             『帰りたい?』

 「帰りたい・・・みんなに・・・みんなの所に、帰りたい・・・!」

                             『・・・・・・。』

 「わたし、みんなに会いたい・・・!みんなの声を聞きたい、みんなを見たい・・・!」

                             『・・・レイ・・・。』

 「碇くんに会いたい、笑いかけて欲しい・・・わたしがいるのを感じて欲しい・・・!」

                             『・・・・・・。』

 「わたし、帰りたい・・・ 一ヶ月の記憶だけじゃ、足りない・・・!
   もっと、生きていたい・・・・・・!!
    わたしだって──────わたしだって、幸せになりたい・・・!!」

                             『わかったわ、レイ・・・。だからもう、苦しまないで・・・。
                               ・・・。あなたを、この閉じた世界から、出してあげるわ。 ・・・ね。』

 「──────ごめんなさい・・・わたし・・・! ごめんなさい・・・!」

                             『レイ・・・大丈夫だから・・・。ね・・・。』

 「・・・え・・・。ええ・・・。」

                             『さあ、もうそろそろ行きなさい・・・。あなたを待っている人たちが、いるはずでしょう?』

 「う・・・うん・・・。きっと、待ってくれてる・・・。わたしは、そう、信じたいから・・・。
    わたしは、ここから・・・。」

                             『・・・さようなら、レイ・・・。』

 「・・・。 あ・・・りが・・・とう・・・。」





 「ごめんなさい、・・・ほんとうに、ありがとう・・・」



 「ありがとう・・・」



 ・・・・・・



 ・・・・・



 ・・・・



 ・・・



 ・・



 ・












                                     さようなら・・・・・・レイ・・・



                                     わたしの、かわいい娘・・・























CHAPTER 06 Ended.


巻末特別収録「楽園で交わした約束」


『守らなければならない。』
悩んだ末、彼が出した結論は、それだった。
『これだけは、破れない。』
覚悟は、していた。こうなってしまう事を。
『今は、こうしなくてはならない。』
そして、例によって、時間はない。
『今は、これをするだけだ。』

そして、彼は立ち上がった。




キャリバーン(以下、作者)「どぉも、毎度毎度おじゃまします。」
 アスカ「もぅ、どうでもいいんだけど・・・。一見マジメそーなこの↑前書きは、なに?」
作者「特に意味はありません。」
 アスカ「なら書かないでよ・・・。せっかく、ウチの管理人が雰囲気壊さないように気を付けてるんだから。」
作者「そぉっすね。さて、約束守らないと私の生命健康が危うくなりそうだから。シンジくん?いるね?」
  シンジ「はぁ、来ましたけど・・・。何で呼ばれたんでしょう、僕。」
作者「すまん、私のかわりに生け贄になってくれ(爆)。じゃぁっ!」(と、作者 退場)

  シンジ「え?生け贄?・・・。アスカ、一体何の事?・・・って、あぅ・・・。」
 アスカ「シンジぃ・・・。」(甘い声)
  シンジ「!!!ぁぁあぁっぁぁ、アスカ、抱きつかれると、あの、あぁあぁぁぁ、ちょ、ちょっと・・・。」
 アスカ「いいでしょ、・・・このところ、全然二人っきりになれなかったんだもん・・・。ね?」
  シンジ「あぁぁ・・・ア、アスカ、顔を近づけるの反則ぅ・・・う・・・。」
 アスカ「シンジ・・・シンジ・・・」
  シンジ「あぁぁ!アスカ、キ、キスは・・・あぁぁ、」
 アスカ「シンジ・・・んっ」
  シンジ「!〜〜〜〜〜〜!!!」
 アスカ「・・・ふぅ。」

作者「はい、そこまで!!」
 アスカ「っきゃぁぁぁぁぁ!アンタ、な、何で!」
  シンジ「・・・・・・。」(呆然)
   レイ「あぁ、碇くん、碇くん!」
作者「そんなに騒がないでください(苦笑)。あぁ、みなさん、ソースも見てください(爆)。
    綾波さん、次回はシンジくんと二人っきりだから。(笑)」
 アスカ「な、な、何のハナシよぉ!あ、アンタたちどっから・・・!しかもおばさま まで・・・!」
ユイ「ただ単に、裏の方にいただけ。アスカちゃん、結構 大胆な事するのね・・・。ふふ。」
   レイ「碇くん・・・アスカの世界に行っちゃってる・・・(泣)。」
  シンジ「・・・は・・・ふ・・・。」
作者「さて、こんなもので充分だろうから、今日は私は失礼させてもらいます。
    ユイさん、出演、及びゲスト出演ありがとうございました。」
ユイ「もう少し出してくれると嬉しいんだけれどね?」
作者「すんません、たぶん無理っす(汗)。」
ユイ「・・・あら、随分長くなってるわ。もうそろそろ・・・。」
作者「はい。では、また今度!!」


 アスカ「はぁ・・・、まぁ、キスはできたから、いいかな・・・。」



キャリバーンさんへの感想はこ・ち・ら♪   


出張コメントfrom分譲住宅

作者 「はい、毎度おなじみ出張コメントでございます」

アスカ「(すっと手を出して)・・・・出張手当ちょーだい

作者 「・・・・・・・・・・・・・・・・・汗」

アスカ「なにすっとぼけて「Serenade」なんか読んでるのよ!!」

カヲル「やあやあ、遅れてゴメン」

アスカ「なにやってたのよ・・・・って!!」

ユイ 「こんばんわ、アスカちゃん」

アスカ「お、おばさま!」

カヲル「上から引っ張ってきたんだよ」

作者 「さて、今回のお話はレイとユイさんの二人の話でしたが」

ユイ 「あの子がワタシの娘かどうかの解釈については、みなさんいろいろあるでしょうね」

カヲル「まあね」

ユイ 「でも、血の繋がりとかそういうものがなくても、私にとってやっぱりあの子は娘なんですよ。アスカちゃんが娘に思えるのと同じようにね」

アスカ「おばさま・・・・」

作者 「なるほど〜」

ユイ 「作者さんはどうお考えで?」

作者 「そ、それは・・・・あっはっはっは(^^;

アスカ「さては、考えてなかったわね」

作者 「ぎくうっ!!」

カヲル「むださ、この作者、最近脳味噌腐ってるからね」

ユイ 「あら、そうなんですか」

アスカ「おばさま、巻き添え食って腐らないうちに、あっちでお茶でもどうです?」

ユイ 「あら、いいわね。カヲルさんもぜひどうぞ」

カヲル「それじゃ、お言葉に甘えて」

作者 「・・・・・あの〜・・・・汗」


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