いざ、三木へ!


 車は三木を目指して疾走する。トンネルの中の暴走は同乗者全員の口が塞がったことで、 どれほどの激しさであったか想像が可能であると思う。
 早期に復活(というか、慣れだな)を果たしたのは、 下条 さんであった。真っ暗な中でも地図を放さない。かなり安心してられる。 さっき「神戸牛でもオージービーフでも味は解らないと思うから、値段的にかなり惹かれたんだけど」 なんてとんでもないことを言っていた人と同じ人物とは思えないほどの安心感だ。
 ずっと無言になってしまっていたちえぞうさんが口を開き始めるころ、車は三木付近に出てくる。 案内板の示す通りに道を進む。もしかしたら道はあっているかも知れないけれど、 人生の道は間違っているかも知れない、そんなささやきが脳内にひっそりこだましたが、 それもしばらく後にはかき消えてしまった。

 グリーンピア三木のゲートが見えてくる頃、車内は多少興奮に包まれる。 入り口のゲートで「神戸オフ会で予約していますが」と言うと、

「は?そのような名前の予約はありませんが・・・予約者名は?」

 予想外の反応である。ここでもまた「 MICK さんのうそつき・・・」と、誰かがぼそり呟かれてしまうのを 私は聞き逃さなかった。
 車はホテルのフロント方面に滑り込んでいく。以前来たことのある場所だけに、慣れたものである。 さっと車を止めて全員でフロントに行く。
 フロントに行ったはいいが、誰も出迎えがない。既に MICK さんらが到着しているはずなのに、なんと気の回らないことか。 なんてぼやいても仕方無いので、フロントに尋ねようとしたときに 下条 さんが

「なんか今日は柄の悪い人が居ますね。巻き込まれないと良いのですが・・・」

 といいはじめる。え?と思って私もその方面をみてみると、なんかビール缶とかをテーブルに並べて 下品な大声で哄笑する連中が居る。まったくもって何を考えているのか? 公共のマナーも心得ない連中め。
 しかしヤクザもんに注意して逆に絡まれるのが嫌な小心ボーイ飛騨は、こっそり見て見ぬ振りをする。 だってさ、あきらかにやばそうなオッサンがイロ(情婦)らしき女を侍らせて、 若頭やボディーガード、パシリのチンピラっぽいのを前にして賑やかにやってるんだもん。 わざと視線をあわさないように壁の方を見ながら、土産物屋の方に歩いていく。

「おいお前、ちょぉこっちこい!」

 デカイ声が響く。一瞬静まるロビー。ちらっとみてみると、こっちをみている。というか指さしてる。 だが明らかにその指は私の前にいる 下条 さんを指さしていた。内心ほっとしたのはナイショである。
 かなりブルーになっている 下条 さんは、それでも気丈にもヤクザのほうに近寄っていった。

「お前、 下条 やろ?」

 !? もしかしてアンタもヤクザもんやったんか!?
 向かい合う二人の怪しい男。かたや唐獅子牡丹なんかほってそうだし、かたや幼な弁天なんかほってそうだ。 兎に角一般人には厳しい場所である。いきなり小指が無くなるのか?

「わしや、わしが MICK や。遠い所、よぉきたのぉ」

 なんだとぅ!? あのギターもって白黒写真でうつってた兄ちゃんのなれの果てか!?(めっちゃ失礼すぎ) どうみてもあの優しげな視線で見つめられるだけで、女は「じゅんとしてきちゃうんです・・・」ってかんじの色男と、 見つめられるだけっつーか、睨み付けられるだけでおしっこちびって土下座してしまいそうなコワモテのおっさんが同一人物とは思えない。
 だがそのおっさんは私に近寄ってきた。一歩ずつ、だが確実に近寄ってくる。少々猫背気味に前屈みに。 もしかするとあの右手にはヤッパ(刃物)があるかもしれない。身体ごとぶつかってきて、いきなり抉られるかも知れない。
 予想外にも男は双手を広げ、抱こうとしてきた。
 おぉ、コレが同志を迎える挨拶であったのか。アミーゴの挨拶は抱擁なのか!!!少々感激しながら両手を広げた瞬間である。

「もにゅっ」

 ・・・おっさんは私のヨコチチをプッシュしていた。
 言葉をなくした私に

「さすが飛騨やな、えぇ感触やわ」

 と、らしい言葉を投げかける。ようやく私はこのおっさんこそが尊敬してい「た」 MICK さんであると認識した。きっとこの調子で RON さんもほられちまったに違いない。
 MICK さんに続いて 嬢の挨拶をうける。スカートの裾をもち、多少腰を屈めてみせるところが丁寧であるが、 ひざのかさぶたが間抜けにうつったのは内緒の話である。
 その後は後ろ向きのまま頭を下げる うねうね さんや、なんでかオフ会だというのにスーツ姿の つるん さん、URLでは「kenraku」と書いてあるくせに「けんおち」と読ませる RON さん、病院でナースを次々と食しておられる ひろし さんの紹介があるが、全員想像外であったのは言うまでもない。
  さんのお酌でビールをつがれるが、私は他のメンツの到着が遅れていることが気になって それどころではなく、コップを回転させては MICKさんに 「飛騨、お前ソレはワインとちゃうぞ」と指摘されている始末であった。

 私の心配をよそに、遅れてJIMさんの車が到着。私は心配になって思わず駆け寄った。 何か事故でもあったのか。体調でも崩したのか。ああ、ちゃんと私の車が先導してあげれば 異変にすぐに気付いたのに・・・。
 だが実際は単に道に迷っただけのようである。大の大人三人いても道に迷った事実は 彼女らのためにも忘れて上げるべきかも知れない。

 JIMさんらを迎えてさらにホテルのロビーで歓談する。気付けば他の客はだれもいなくなっている。 そしてホールにこだまする声。もの凄く恥ずかしいものがある。
 しかしそんなものをものともしない MICK さんはいきなり言い放った。

「よし、 ブロイ がきたら全員スタンディングオベーションで迎えるからな」

 あなたの場合、スタンディングションベンじゃないんですか?とつっこみそうになるが、 まだ小指を落としたくないので黙ってしまう。

 そこに一人のハゲオヤジがやってきた。みるからにエロそうなおやじ、まさしくエロサイトっぽい! 激しすぎる偏見をぶつけられるオヤジ。全員がたってオヤジをみつつ拍手を送る。
 怪しいもんでもみるかのような目つきでこちらをみつつ、おっさんは通り過ぎていった。

「誰だよ、あれが ブロイ さんなんて言った人は?」

 ある意味とても失礼で、ある意味納得してしまう結果であった。
 この変なおっさんに遅れることしばしで ブロイ さんが到着したときに、 ブロイ さんがいきなり さんに

「会社でみちゃってえらいことになっちゃったでしょー!」

 と、とばっちりの如く責められるシーンや、

「エロサイトのくせに爽やかすぎだ!ナマイキだぞ」

 などと正体不明の文句を言われているシーンなどが追加されたアタリで、 ようやく怪しい一行はコンドミニアムに向かうのである。




こうしゃくからの一言:

@そうそう、そんな予約はないって言われてさー
おいおい、MICKさんの本名なんてしらねえよ!!
ってマジで思ったんだよねーー みんなが!

Aホント あの団体だとは思わなかった。
だって 怪しすぎんだもんよーー!!
MICKさんに「おーこうしゃくかー」って言われたときの恐怖ったら!(笑)
大体、つるんさんとかも浮きまくりでさーー!!(爆)
ま、こっちも下条さんがういてたのかもしれないんだけどー
RONさんはパシリにつかわれまくりだし、雛さんはまさに情婦だし!!
つうか、みんな 酔っぱらってるし!!!!
いつになったら 鍋が始まるのか不安すぎて胃が痛くなったよー
出入り禁止になってもおかしくないよなあ〜(笑)

B雛さんは「あたし、女の子がすきなんですよー ホントに!!」
ってあんなにもくりくりとしたかわいらしい目で訴えてくるんだもんなー
おいおい、ちょっとまってくれよーー!!
いくらあたしがネカマだって言われていたからといえども
あんなにかわいい女の子を取って食うことはできませんって!!

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