それじゃしようかお買い物


 支払を終えると何事もなかったように再び移動。無論爪楊枝も強奪済みだ。車は再びダイエーに戻ってくる。 此処で買い出し部隊二分割。 Cisneさん ミラさん JIMさんの3人が野菜を買い込みJIMさんの車で移動。 残りは私の車で焼き肉20人分を購入して移動と言うことになる。

「じゃ、野菜の調達、宜しくお願いします」

 まぁ妙齢(?)の女性、それも3人も居れば MICK さんを唸らすような品揃えをしてくれるであろう事は想像に難くないわけで、 私は安心してちえぞうさんの案内通りに元町へ行く。しかしちぇぞうさんもちゃんと道を覚えているわけではないので、 だいたいのイメージである。それでもなんとか目的地にはつくわけで、目指す神戸牛精肉店に到着。
 店内に並ぶのは幾種類もの神戸牛である。みてみて、このピンク色!まじっすか!?である。 ちえぞうさんの目はショーケースに釘付けだ。もしかしたら子供のように顔をくっつけてみるかもしれない。 よだれがたれそうなちえぞうさんの両肩がいきなりビクッと震える。言っておくがなにもしてないぞ。

「飛騨さん・・・・・・」

 震える彼女の肩を抱き・・・ではなく、肩越しに見た牛肉の値段は、100グラム2000円。

 ・・・2000円!? ヒトケタおかしくないですか!?マヂデスカ!? つーかかえるかこんなもん!

 ちえぞうさんや こうしゃく とともに店を出る。とても残念そうなこうしゃくが印象的だ。店を探して練り歩く。
 そこに電話がかかってきた。 ミラ さんからだ。

「ビールも私たちが買うんですか?」

 へ?ビールはリカーショップでブロイさんが買ってくるってきいてたけど・・・?

「でも MICK さんが買ってこいって、今さっき電話してきましたけど?」

 話が違うやん(涙) なんか ミラ さんの口調は普通なんだけど、声色が僅かに怒気を含んでいるのね。さらに背後のJIMさんや Cisne さんの声は言うに及ばずなのね。そりゃ女性にそこまで重いモノを買わせるのはちょっとねぇ?

「で、買うんですか?」

 ミラ さんの声は完全にやばかった。なんで私に文句を?私はうそっこの予定をおしえられた哀れな人間ぞ?(涙)
 取り敢えず半泣きになりながらお願いする。 下条 さんとちえぞうさんが哀れなモノを見るような目で見ていた。
 完全にやられた感じで商店街を進むが、精肉店なんかない。てかこんなおしゃれちっくな街並みに 精肉店を求めるのは酷というモノであろう。誰だ、三宮で仕入なんざ考えやがった野郎わ! 幹事根性に火がつく。しかし ミラ さんの声を想い出すと一瞬にして萎えた。だってこわかったんだもん。
 必至になって店を探すが見つからない。さすがにかなりうんざりした気分になってきた頃、 突然 こうしゃく が元気になった。

「飛騨っち、ケーキ屋だよ、けーき、けーき、けーーきーー!!」

 基本的欲求にとても忠実な人だと感心したが、肉屋ではないので何の根本的解決もみられないことが悲しい。 取り敢えずうるさいのを黙らせるためにも店内にはいって買ってあげる。ついでに別行動のお姉様方の分もかってあげる。 これで怒りが静まって、私が山中に埋められずに済むことを思えば安いもんである。
 元気な子がケーキを選んでいる間に、店員のおねーさんから情報収集を行う。どうやらイカリスーパーとダイエーぐらいらしい。 ケーキ入手後、イカリスーパーに移動する。
 イカリを探し求めるときに妙に親切なおばちゃんがいたことで、私の神戸近親感がぐぐっとアップしたのはいいとして、 いざ肉の買い出しとなったとき、お腹一杯になってまどろみだした こうしゃく は車で寝ているという。なんというか・・・本能しかなさそうな人である。まぁ可愛いというか、何というか、 正月に挨拶によくきた家族の子供達を想い出す。確か2つか3つ位の頃に酷似しているような。
 取り敢えず 下条 さんとちえぞうさんにくっついて買い出しに出かけるも、なんとも品揃えが悪い店であった。 しかもなんか色が悪い。そのくせ黒和牛とか書いてるだけに、値段だけはしっかりとりやがる。 これは絶対に買ってられん、そう思った私は 下条 さんとちえぞうさんにダイエーに戻ることを提案。

「確かにここでこんなの買うぐらいなら、もう少し出して神戸牛をさっきの店で買う方がいいな」

 下条 さんの見立てはほぼ狂っていないと思う。

 かなり時間をロスしたので、 ミラ さんらに肉の値段とかも見て貰おうとして電話を掛ける。それが失敗だった。

「まだ買ってないの?」

 うんざりするような声が携帯から流れてきたときに、如何に ミラさん、 Cisneさん、 JIMさんが、悲惨な量の買い物をしたか分かるわけで。人間のできたオネーサマ方で良かったと内心ほっとする。 出来ていない人間なら、多分罵声が飛んできたであろうから。もっともあとでちくちくいじめられるのは要覚悟(涙)
 半分土下座しながら電話を切ると、急ぎダイエーに戻る。直接顔を会わすのが恐いチキンな私は、 下条 さんとちえぞうさんにケーキを渡してJIMさんの車に届けて貰う。
 私は車を転がして駐車場を求めるが・・・なかなか空いていない。寝不足でむずがる こうしゃく をなだめながら、駐車場に車を止めてダイエーへ。ダイエーで一気に大量の肉を買い込む。 下条 さんとちえぞうさんが先行して選定してくれた肉はイカリよりも安く、そして新鮮な色をしていた。
 ダイエーを後にした私たちは、車を一路三木に向ける。きっと MICK さんらは「遅い!」とかいっておかんむりだろう。 JIMさんの車に遅れること30分ほど、我々の車も目的地へ一直線に向かう。

「飛騨さん、この道でいきましょう」

 眼鏡の奥であやしく光るその目の主、 下条 さんは地図を私にみせ、熱弁を振るう。

「このルートを辿れば、恐らく最短だと思うんですよ。皆の予想をひっくりがえした速度でつけます!」

 もしかしてかつて幼女誘拐に使ったのでは? そんな疑念すら湧いてしまうほどの熱弁を信じ、 アクセルベタ踏みでかっとばす。正体不明のトンネルで時速140キロはマズイのだろうが、 私の気分はアイルトン・セナなのである。
 既にこの道を教えたことを後悔しつつある 下条 さんをも省みず、車は暴走の極致で三木に爆走するのである。 同乗者は皆青ざめて自分の人生を呪ったに違いない。 唯一、幸せそうに眠る こうしゃく をのぞいて。



こうしゃくからの一言:

@すげーうまそうな肉だったーーーー!!
 あんな肉はじめてみたもんーーーーー!!
 でも、あの肉を次の日逃していたとしたらあたしゃ生きていけないから
 まあ、よしとするーーー!!!

Aケーキ買ってもらったーー!!ちえぞうさんが やさしい笑顔で
 「おいしいですよ」って言ってくれるんだもん、そりゃ買うってのーー!!
 買ってもらったんだけどさ・・・
 実は チーズケーキも買ってー!って言いたかったけどやめたの
 大人でしょ?

B実は車の中の前にケーキやで半分ねむってたんだよね
 だって、飛騨っちってばお店のおねえさんに声かけてて
 全然うごかないんだもん〜〜〜〜〜

Cまゆちゃんからの電話があったんだよね
 飛騨っちは記憶力がいいようで
 「こうしゃくの電話はでんちが切れるから・・・」
 って本人すらすっかり忘れてたことを言い出して感心したよーー!!
 まゆちゃんは 仕事中だったようだが、大丈夫だったのかー?!(笑)

D駐車場にいれる前に さくっと迷ったジャン・・・
 あたしゃ おぼえてるでー

Eあたし、三木に移動するとき寝てたっけ???

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