Wall of Houndのクリスマス・イシューの第四回目をお届けします。クリスマス・プレゼントは何でもいいなんて、前回書きましたが、訂正します。火の付いたトマホークは結構です。いくら、ひとつ2億円以上するっていっても、ご遠慮申し上げます。アメリカも景気がいいからって、バグダッドに300個も送ったそうですが、受けとった側の迷惑も考えなきゃいけません。
 ところで、vol.3について、陪審員の
火山さんより「無罪」の評決をいただきました。ご協力ありがとうございます。まだ、「怒れる男(女)たち」は募集中ですので、よろしく。

vol. 4










Phil Spector's Christmas Album
(Apple 3400)


Phil Spector's Christmas Album /US stereo version
(Warner-Spector SP 9103)



Phil Spector's Christmas Album /UK mono version
(Warner-Spector K59010)


Phil Spector's Christmas Album /UK mono version
(Warner-Spector K59010)

クリスマス・ギフト・フォー・ユー
A CHRISTMAS GIFT FOR YOU
FROM PHILLES RECORDS

 クリスマス・アルバム史上燦然と輝く不朽の名盤といえば、スペクターの「クリスマス・ギフト・フォー・ユー・フロム・フィレス・レコーズ」でしょう。これ1作だけでもスペクターの名前はレコード史に残せたはずです。というのも、内容もさることながら、このアルバムが、ロック・レコードにおける最初のトータル・コンセプト・アルバムだからです。「クリスマス・アルバムなら全部そうじゃないか」とおっしゃる方もいるでしょうね。でも、ほとんどのクリスマス・アルバムは、人気歌手の季節商品なもんですから、売れることはわかっているんです。だから、「奇をてらう必要などなく、そつなく作ればよい」という考え方で正解なのでした。ところが、スペクターは違います。埃をかぶったクリスマスの定番ソングの数々を、ウォール・オブ・サウンドで包み直し、まったく新しい命として蘇らせようというコンセプトがここにあるのです。世間では、ビートルズの「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」が最初のトータル・コンセプト・アルバムと思っているようですが、誤りですねぇ。そもそも、この「サージェント・ペパーズ」という架空のバンドは、アルバム制作途中にポールが思いついたアイデアだった、とプロデューサーのジョージ・マーティンが語っています。早い話、後付けコンセプトなのでした。まぁ、終わりよければ、すべてよし、なんですけど。
 さて、「クリスマス・ギフト・フォー・ユー」は、1963年にフィレス・レコードからリリースされ、その後フィレスの営業停止する67年まで、毎年売られていたようです。ジャケット(トップ・ペー


スペクター・クリスマスLPイギリス盤に付いて
きたおまけのポスター。LPジャケットとは違う
ポーズでキメてます。サイズは約72x55cm。

ジは、ビルボード誌に掲載された広告です)は、ビニール・コーティングしたものと、してないものと2種類あります。また、レーベルはブルー・レーベルとイエロー・レーベルのふたつがあります。このクリスマス・アルバムでは確認していませんが、イエロー・レーベルにも二通りのものがあって、ひとつは「黄色地に赤のマーク、曲名などの文字はスミ」という3色仕様と「黄色地に赤のマーク、曲名などの文字も赤」という経費節減仕様が存在します。6通り、少なくても4通りの着せ替えが楽しめるわけですね。「すごいぞ、スペクターくん。この、コレクター泣かせ!」
 1972年にビートルズに係わった関係もあって、アップル・レコードより、デザインを一新し、タイトルも「Phil Spector's Christmas Album」と改められて登場しました。
 1974年には、ワーナー・ブラザーズと提携し、ワーナー・スペクター・レーベルを作り「Phil Spector's Christmas Album」をリリースしましたが、アメリカとイギリスではデザインが違います。アメリカ盤はアップル盤のデザインを少しアレンジしただけのものでした。また、写真の下に「Authentic Mono」と白抜きの文字が読めますが、中身はりっぱなステレオです。ステレオ盤としては、これが最初のリリースと思われます。
 一方、イギリス盤はイラストによる新しいデザインが使われていて、初回プレスは、きれいなブルー・ワックスでした。音のほうは、ジャケット・イラストに「Back To Mono」バッジが描かれているとおり、モノラルです。しかし、なぜか曲順を替えていて、A面1曲目にダーリン・ラヴの「クリスマス(ベイビー・プリーズ・カム・ホーム)」が登場します。「ホワイト・クリスマス」は、B面6曲目にちょうど入れ替わった形になっています。どういう理由でしょうか、よくわかりません。今売られているCDは、オリジナル同とじ曲順ですのでご安心ください。個人的には、やはり「ホワイト・クリスマス」から始まるほうが好きですが。また、おまけとして、ご覧のような豪華ポスターが封入されていました。「きまってるヨ、スペクターくん。この、お調子者!」
 しかし、考えてみれば、こんな目立ちたがり屋のプロデューサーも珍しいですよね。

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