Wall of Houndのクリスマス・イシューの第5回目をお送りします。とうとうクリスマスです。さあ、カラ揚げ食って、カップうどん食って、呑んで騒ぎましょう。えっ、ムードないですか。そりゃそうですね。東京原宿の明治神宮の表参道ですら、クリスマス・イルミネーションで飾るくらいですからね。主宰が原宿シャンゼリゼ会というらしいんです。クリスマスだから、「日本であることを忘れよう」ということでしょうか。どっちみち12月は忘年会月間ですから、これでいいのでしょうね。 | |||
vol. 5 |
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ホワイト・クリスマス / ダーリン・ラヴ White Christmas / Darlene Love クリスマス・ソングの極め付けといえば、アーヴィング・バーリンの「ホワイト・クリスマス」ではないでしょうか。ビング・クロズビィ(スではなくズと濁るほうが発音に近いそうです)のロマンチックな歌声はたまりません。最初は、1942年の映画「Holiday Inn」の中で使われたそうです。とにかく、カヴァーも多く、みなさんそれぞれ好きなアーティストがいるんじゃないか、と思いますが、ぼくはこのダーリン・ラヴのヴァージョンがいちばん好きです。もうひとつ挙げるとすると、それはクライド・マクファター&ザ・ドリフターズの歌ですね。アトランティック・リズム&ブルース・シリーズのVol.2(左に紹介したレコード番号は旧譜です。現在は番号が変わっています)にも収録されていますので、興味のある方はどうぞ。ドリフターズのコーラス・アレンジはとにかくユニークで、すばらしいドゥー・ワップ作品のひとつでもあります。1954年、55年、56年とクリスマス・シーズンのスタンダードとしてチャートに登場したのもうなずけます。このコーラス・アレンジのアイデアを拝借したのが、大瀧詠一師匠の「お正月」ですね。ベース・パートのビル・ピンクニーにはフランク永井を、リード・テナーのクライド・マクファターには坂本九をイメージして置き換え、歌っているという、これまた芸の細かい師匠らしい逸品でした。 さて、ダーリン・ラヴの「ホワイト・クリスマス」で、間奏部分に入る語りの部分が気になる方もいるんじゃないかと思います。「お日さまは輝き、草は緑。オレンジやヤシの木も揺れている。こんな天気はビバリィ・ヒルズでも珍しいくらいだわ。でも、今日は12月24日。だから北国にいたいのよぉ」てなことをいってます。雪とは縁遠いロスで録音したから、こんな文句をスペクターくんが勝手に入れた、と思ってたら大間違い。これ、原曲にちゃんと書かれているんですね。実際には、ヴァースと呼ばれる部分の詞なんですが。ヴァースとは俗に前歌と呼ばれていて、そのあとにコーラス(本歌)がつづくんです。スタンダード・ナンバーの型ですね。 雪の降らないロスにいる人たちは、「白いクリスマス」を夢見るのでしょう、きっと。「えっ。ちょっと、ロマンチックじゃないなぁ」なんて思った人は、「日焼けした短パン姿のオッサンが、バドワイザー飲みながらふてくされて歌っている図」を思い浮かべてしまったんでしょう。だから、ビング・クロズビィもヴァースをカットしたと思いますね、アーヴィング・バーリンには悪いけど。実際、ヴァースまで歌っているレコードを探すほうがたいへんなはずです。 ダーリン・ラヴの「ホワイト・クリスマス」は、そういう意味でも、歌う順序は違っていますが、数少ない正調「ホワイト・クリスマス」といえると思います。 ここ東京も雪は降りそうにないですね。では、カップうどん食べながらダーリン・ラヴの歌でも聴こっと。 A Very Marry Christmas and A Happy New Year! |
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