Wall of Houndのクリスマス・イシューの第三回目をお届けします。クリスマス・プレゼントは決まったでしょうか。ぼくは、何をいただいてもうれしいですが、プレゼントする側として喜ばれるものをと考えるのは、ホントにたいへんです。このクリスマス・イシューは、はたして喜んでいただけてるのでしょうか。

vol. 3









WIZZARD
I Wish It Could Be Christmas Everyday
(Harvest 5079)

毎日がクリスマスだったら
I Wish It Could Be Christmas Everyday /ウィザード

 全英4位を記録した1973年のクリスマス・ヒット。ひとりスペクターといわれたロイ・ウッドが率いるWIZZARDの4作目のシングルです。彼のペンになる「毎日がクリスマスだったらいいね」という能天気なほど楽しいオリジナル・ソングですが、ほんとに毎日がクリスマスだったら、日本の若い男の子のほとんどが自己破産しちゃうだろうね。やっぱり年に1度で充分でしょう。
 バックにストックランド・グリーン・バイラテラル・スクール・ファースト・イヤー・コーラス隊も加わって、後半お約束ともいえる清純な合唱でいやがうえでも気分を盛り上げてくれてます。もちろん全編スペクター・サウンド全開です。ところで、ストックランド・グリーン・バイラテラル・スクール・ファースト・イヤー・コーラスって、何者なんでしょうか。たぶん、有名な学校のコーラス部なんでしょうけど。
 それはさておいて、ロイのスペクター・サウンドは、ホーン・セクションが派手で、本家とは違う色合いがいいですね。翌年74年の4月にも「Rock 'N' Roll Winter」という続編ともいえる曲を発表、これも6位に達するヒットとなりました。こちらも、スペクター・サウンド爆裂です。
 それにつけても、「ロイ・ウッドはオタク的ミュージシャンの先駆けである」と思うのですが、いかがでしょう。ムーヴ時代にも、「Don't Mess Me Up」という50年代のプレスリーを再現した作品があります。あらゆる楽器をこなすは、テープ速度を変えて自分の声を女性に見せかけてたり、わざとスクラッチ・ノイズを入れ、しかも音 のレンジを狭めて40年代風の作品を作ったり、いかにも英国的変人です。話は脱線しますが、「オタク」という言葉を最初に意識したのは、子供のころ夢中になって観ていたアメリカTVシリーズ「0011ナポレオン・ソロ」です。最近は、「スパイ大作戦」を「ミッション・インポッシブル」と言い、「宇宙家族ロビンソン」を「ロスト・イン・スペース」と原題に言い替えるご時世なので、言い換えましょう。「ザ・マン・フロム・アンクル」です。「ゆかいなブレディ一家」も、一部の音楽ファンの間では「ブラディ・バンチ」のほうが通じやすいようですしね。で、「ザ・マン・フロム・アンクル」なんですけど。ドラマの中で、ソロと相棒のイリヤ・クリアキンとがお互いに「お宅」と呼び


豪華見開きのピクチャー・スリーヴ

あっていたのでした。仲間でありながら、他人のような接し方がスパイ的で、それが「お宅」という呼び方と妙にマッチしていたんですねぇ。うまい吹き替えです。ぼくもスパイ気取りで、まねをしてたら親に叱られました。意味が違っていたのでしょうね、たぶん。
 付け加えますと、このTVシリーズ「ナポレオン・ソロ」は「007シリーズ」のパロディ的作品と思われがちですが、企画にはイアン・フレミングも参加しており、しかも「007シリーズ」より前に企画されていたものでした。ちょっとオタクでしたか?
 話は戻りますが、ナイアガラ・サウンドはスペクターより、こちらロイ・ウッドに近いとみましたが、どうでしょう。




DARLENE LOVE
Chrystmas Profile
(Chrysalis 109 638)





CHRYSTMAS PROFILES / Merry Chrystmas From Chrysalis

 クリスマスに恋人と過ごすというのは、ロマンチックでいいですねぇ。しかし、どうしてホテルの予約が必要なのでしょうか。教会でおごそかにミサをあげている人たちがいる一方で、ベッドを揺らす不届き者がいるのですよ。どうも日本のクリスマスは、エッチな空気が蔓延しているようでけしからん、と思いますが。これだから外国人に軽蔑されるのです。しかし、エッチな気分になるのは日本人だけではないようですねぇ。ここに、証拠物件Aとして取り上げたのが、ドイツ製の「CHRYSTMAS PROFILES」と書かれたシングルのピクチャー・スリーヴです。ブロンドのお姉ちゃんの背中に蝶の羽が付いております。
 「まさしく、浮気娘を表しているではありませんか」「裁判長。これは、クリサリス・レコードのマークです」「却下」「しかもです。開けてみると、あられもないスケスケのランジェリー姿です。それも、ノー・ブラ。あ、パンティーは履いているようです。しかし、男を誘う目線がイヤラシイとは思いませんか。こんな不謹慎なクリスマス・レコードのピクチャー・スリーヴがあってよいものでしょうか」「裁判長。内面をよく観てください。このとおり真っ白です。清廉潔白のステレオ盤です。歌っているのはダーリン・ラヴです。A面がホワイト・クリスマス、B面はウィンター・ワンダーランド。とても健康的ではありませんか。それに、これは1987年にプロモーション用に作られただけなのです。これは、冤罪です」
 「ご覧の陪審員のみなさん、表決を」
(注)その後、針を落として聴いてみたところモノラルでした!)


DARLENE LOVE
Christmas
(Baby Please Come Home)
(Warner-Spector K 19011)

クリスマス(ベイビー・プリーズ・カム・ホーム) / ダーリン・ラヴ

 カラー・レコードが出てきたところで、もう1枚紹介しましょう。こちらは、ごらんのように色鮮かなブルー・ワックスです。1974年に、イギリスのワーナー・スペクターからリリースされました。こちらはBack To Monoです。
 同時に、クリスマスとは関係ないのですが、クリスタルズの「ダ・ドゥ・ロン・ロン」と「キッスでダウン」のカップリングで、同様のブルー・ワックスのシングルもリリースされています。レコード番号は「K 19010」です。おや、1番前だ。変だなぁ。ブルーのプラスティックを多く用意しすぎちゃったので、ついでにカラーでプレスしたのかしら。だったら、クリスタルズだって、「赤鼻のトナカイ」や「サンタが町にやってくる」を歌ってるというのに。ちょっと、変ですね。しかも、レーベルにステレオの表示が印刷されています。もちろん、モノラルですよ。ますます変だ。
 まぁ、こんなレコードを集めている、ぼくが一番変なのでしょうけど。お後がよろしいようで。

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