Wall of Houndのクリスマス・イシューの第二回目をお届けします。早いもので、クリスマスまで3週間足らず。今回は、スペクター・ファミリーの登場です。
 ところで、「
貴方が決めるベストXmasソング」というホーム・ページがあるのですが、2位に大瀧詠一の「クリスマス音頭」が入っています。驚きですねぇ。残念ながら、スペクターは見当たりません。

vol. 2


EDDIE MONEY & RONNIE SPECTOR
Everybody Loves Christmas
(CMC Int. 06076 87241-2)

みんなクリスマスが大好き
Everybody Loves Christmas/エディー・マネー&ロニー・スペクター

 
エディー・マネーとロニー・スペクターの共演は1986年にリリースされた「テイク・ミー・ホーム・トゥナイト」に遡ります。日本盤のシングル・スリーヴには「孤独のロックン・ロール・ヒーロー、3年振りのカムバックを果たしたエディー・マネー、全米大ヒット・シングル」と書かれています。「孤独はいやだっ」というわけでロニーといっしょにレコーディングしたのでしょうか。しっかり、ビデオ・クリップにまで出演してましたね。まぁ、正直いって、ロニーが共演していなければ、ぼくは全然知らないままの歌手だったでしょう。
 そんな二人が、昨年こんなクリスマス・シングルをリリースしてたんですね。よく見るとエディーのアルバム「Shakin' With The Money Man」からのシングル・カットとなっています。このアルバム、店頭で見かけたことないのですが、ご存知の方ご一報をいただけないでしょうか。ほかにロニーが歌っていないか、ちょっぴり気になるもので。
 さて、曲のほうですが、「ダ・ドゥ・ロン・ロン」を彷彿させるホーン・セクションがゴキゲンなロックン・ロール・ナンバーです。が、肝心なロニーの声がなかなか現れません。後半ようやく登場しますが、ぼくにはちょっともの足りないですねぇ。そのせいか、ジャケットの写真はエディーが「アイム・ソーリー」といってるように見えます。ところで、ロニーのサンタ姿はきまってますね。なんか、袋の中は機関銃やダイナマイトが入っていそうです。
 プロデュースは「テイク・ミー・ホーム・トゥナイト」と同じく、リッチー・ジトー。


THE RONETTES,
THE CRYSTALS, DARLENE LOVE

Phil Spector's Cristmas Medley
(Pavillion AE7 1354)




THE RONETTES,
THE CRYSTALS, DARLENE LOVE

Phil Spector's Cristmas Mix
(Chrysalis CHS 3202)

フィル・スペクターのクリスマス・メドレー

 前回vol.1でザ・ジングルベルズのクリスマス・メドレーを紹介しましたが、今回は本家のクリスマス・メドレーを紹介しましょう。ご存知のようにスペクターの「クリスマス・ギフト」はフィレスの活動停止以後、様々なレーベルからジャケット・デザインを変え、タイトルを変えて再発されてきました。一番ポピュラーなのがアップル・レコードから72年にリリースされたサンタに扮したスペクターの写真を使ったデザインでしょうか。今売られているアブコ盤のCD「クリスマス・ギフト」でも見ることができるあの写真です。そして、文字の位置をちょこっと変えたのが、76年のワーナー・スペクター盤でした。
 ここで取り上げたシングルは、1981年にCBS系のパビリオンというレーベルからリリースされたものですが、どうやらアルバムのプロモーション用みたいです。テープ編集によるもので、今でいうリミックス・ヴァージョンというやつですね。クレジットにはEdited by John Luongoという名がありますが、どういう方かは存じません。ちなみに、アルバム・デザインはワーナー・スペクター盤を踏襲していました。
 ところで、1981年は、メドレー元年というべき年でした。オランダのスタジオ・ミュージシャンで構成されスターズ・オンが、ディスコ向きのダンス・ビートに乗せ、しかもソックリな声でビートルズ・ナンバーをメドレーで歌った「ショッキング・ビートルズ45」が全米1位の大ヒットを記録した年なのです。日本でもけっこう話題になりました。そして、ドジョウが二匹、三匹と続々登場したというわけです。「ビーチ・ボーイズ・メドレー」もその一匹で、81年の夏の大ヒット盤となっています。向こうがコピー・バンドなら、こっちはオリジナル音源でいってやろう、ってな感じで形で作られたのでしょう。ハードディスク・レコーディングがお茶の間のパソコンでできちゃう今と違って、文字どおりテープを切り貼りしていくわけですから、そりゃもう大変であったと想像できます。
 当然、クリスマス・シーズンとなれば、考えることはひとつです。クリスマス・メドレーですね。で、4分45秒の「Phil Spector's Christmas Medley」に収められた曲は、ロネッツの「そり滑り」、「フロスティ・ザ・スノーマン」、「ママがサンタにキッスした」、クリスタルズの「赤鼻のトナカイ」、「サンタが町にやってくる」、ダーリン・ラヴの「マシュマロの世界」、「ウィンター・ワンダー・ランド」、「クリスマス」、「ホワイト・クリスマス」の全9曲ステレオ版。なかなかどうして、うまくつないでいます。John Luongoさん、お疲れ様でした。ついでといってはなんですが、なんとか、CD化してもらいたいものですね。
 ついでにもう一つ紹介したいシングルは、クリサリス・レーベルからリリースされた「Christmas Mix」です。これは、1987年にリリースされたもので、非売品ではなさそうです。B面は、ダーリン・ラヴの「クリスマス」です。アルバムもLPとCDも同時に発売されていますが、パビリオン盤と同様ステレオ・ヴァージョンです。CDのステレオ・ヴァージョンは興味深いですね。でも迫力に欠けますねぇ。やっぱりBACK TO MONOでした。
 この「Christmas Mix」もステレオ・ヴァージョンですが、「そり滑り」、「ウィンター・ワンダー・ランド」、「ホワイト・クリスマス」のたった3曲です。ただ、エンディングに「マシュマロの世界」のエンディングをくっつけていて、ちょっぴり気が利いています。あっ、そうですね、正確には、「全4曲、うち歌なし1曲」でした。
(注)その後、クリサリスのCDはモノラルであるとの情報をいただきました!)


DARLENE LOVE
All Alone On Christmas
(Arista 74321-12476-2)

メホーム・アローン2 / ダーリン・ラヴ

 ご存知の大ヒット映画「ホーム・アローン2」の主題歌が、この「All Alone On Christmas」です。しかし、この映画を観た何人のひとが、歌っているダーリン・ラヴを知っていたでしょうか。映画の中身にくらべて主題歌のほうは、あまり話題になったという記憶がないし、特別ヒットしたという記憶もないので、たぶん、観た人もマコーレ・カルキン君の印象しか残らなかったと思います。ぼくは、主題歌を聴いただけでも満足でしたし、ついでに映画の方も面白かったので、気分は一粒で二度おいしいアーモンド・グリコ・モードだったのです。スペクター・ファンでよかった。
 で、写真は、少し珍しいシングル・レコードのスリーヴです。でも、お得度からいうと、カラオケ入りでCDシングルの勝ちーッ。サウンドは、お約束どおりスペクター・サウンドを狙ったものですが、映画にくらべてお金をケチッたかな、という印象です。どうせ大当たりするんだから、「いっそのこと、スペクター本人にやらせたら」と思うのは、ぼくだけでしょうか。
 ところで、ダーリン・ラヴは、大ヒット映画「リーサル・ウェポン」に出演しておりました。この映画を観た何人のひとが、リッグス刑事の相棒マータフ刑事の奥さん役がダーリン・ラヴだということを知っていたでしょうか。たぶん、観た人はメル・ギブソンの印象しか残らなかったと思います。地味な役でしたから。やはり、パワフルなボーカルを聴かせるシーンが、「無理やりでも欲しかった」と思うのは、ぼくだけでしょうね。そうしたら、彼女を知らない一般の人たちにも「この女優は誰?」と、印象に残ったはずです。

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