1000年王国を築くもの




 「碇は飼い慣らせぬな・・・。ふふ、誰だ日本人は扱いやすいなどと言ったのは。」
くぐもった声が言う。反響する空間は暗闇につつまれ、生命の存在を軽視するものどもにとってはまことふさわしいと言えた。
 「日本人は確かに従順な民族だ。彼の国にとっては『流行こそ正義』なのだからな。しかし、だ、『嚢中の錐』という言葉がある。碇はそれだよ。」
 「さよう・・・碇ゲンドウ、やつが無能でないからこそ我々は『あれ』を委ねたのだ。」
今度は人間離れした声。まるでカエルだ。
 彼らの会話も異常である。立体映像ではなく、音声のみで話し合う。目に映るは”Sound Only”の2語のみ。
 「碇ゲンドウ、やつのことはひとまず置け。」威圧的な声だ。
 「我々の手にあるもの、それだけで十分可能なのだ。奴がなにを考えているかは解らぬ。だが、我々とはちがうシナリオをえがいているのは確かだ、が、じゃまはさせん・・・。」
 彼らはSEELE、と名乗る組織のメンバーである。陰謀史観の信奉者たちが涙を流して喜んでよい資金と、権力と、兵力と、そして自信を持っている。
 「米国のオールド・ガーズ、あれも扱いやすい・・・頭は固いが。しかし、キリスト者の家に生まれながら、成人して『神』を否定する者もいるのもあの国だ。」
 「イングランド、はどうかね。」カエルの声。
 「だめだな・・・小太りの色ボケが創った『聖公会』、あれをカトリック・普遍だと建て前にしても考えているようではな。」
 「やはり・・・一番扱いやすいのは日本人・・・か。」
 「いまさら、の結論だな。」
 沈黙が流れる。表情など浮かぶはずもない、おそらく思考に沈んでいるのだろう。
 「われらは・・・慈悲深い。『神』の袖にふれるに値せぬ者、それすら救おうとしている。我らはピサロでも、フランスの小男でも、ちょび髭伍長でもない。我らの価値観を否定する者どもも抹殺はしない・・・。」
 「人類補完計画」SEELEの究極の目的である。人類を人工進化されるプラン、乗り遅れることは許されない、行き先を考える事も許さない。それでも彼らは「慈悲深い」のだ・・・。
 「碇の息子、なんと言ったか・・・かれは我らの価値観を拒否することができるのではないかね?」
 「20億分の1、だぞ。ありえんことだ。所詮は日本人、水は低きに流れる。」
 「東洋人の理想、それは『紅衛兵』だ。日本人は当時、『あれこそが理想世界』と看たらしいぞ・・・今となっては嘲笑の対象だがな。」
 「ヨーロッパとて・・・」カエルの声だ「ちょび髭先生、彼も『英雄』だった、あの時代はな・・・」
 かれらは、ナポレオンも、ヒットラーも、毛沢東も為しえなかったことにチェック・王手をかけていた。彼らの価値観を拒否できる者は・・・いないはずであった。碇ゲンドウ、彼は抵抗の意思を見せている。なんのためか、解らぬ。彼の組織「ネルフ」は彼らからみれば蟷螂の斧にすぎぬ。
 救いがたい事に、彼らは自分たちの為そうとしていることが歴史上、誰も為しえなかったことを「知っていた」。自負が大きい、それだけに。自らを英雄視する12本の石柱の群・・・それがSEELEであった。
 彼らを知っている加持リョウジ、ならばこう言うであろう。
 「ゼーレのジジイどもが『英雄』という面かい。たしかにランペルールは小男だった、伍長は貧相は極まりない、毛沢東、色ボケとくらぁゼーレのシジイどもと大した違いはないかもしれんがね。彼らは『舌先三寸』にしろカリスマってやつがあった。シジイどもと来たら今じゃやることといや陰険漫才ぐらい・・・
 一流の人殺しは英雄だがね、寝業師はなれんよ、どうあがいてもね。
 凶器のテクノクラート、碇ゲンドウの旦那にしたってそうだよ。碇シンジ君、アスカ君なんかは有望だね、逆に。」

〜乾坤(世界)は一劇場、劇中更に劇あり〜

 役者どもが、なにを血迷うたかシナリオを書こうとしている。
 まもなく「人類補完計画」の幕は上がり20億の悲劇、喜劇が渦巻く・・・史書はなにを記録するか?

終わり
   



楊 威利さんへの感想はこ・ち・ら♪   
そして楊 威利さんのぺえじはこ・こ♪   


管理人(その他)のコメント

ミサト「いらっしゃ〜〜〜〜〜〜いい♪ あたらしい入居者、さぁ〜〜〜〜〜て歓迎会よ!!」

アスカ「いい加減にしなさいよね!! 全く毎日毎日飲んだくれて!!」

カヲル「ようこそ楊 威利さん、この分譲住宅へ。僕は待っていたよ」

アスカ「毎回毎回同じことを言わせるなぁ!!」

 めきょっ!!

カヲル「ふっ・・・・ばたんきゅー」

ミサト「今日もびーるがうまいわねぇ!!」

アスカ「こらああ!! ミサト!  アンタここの管理人なんでしょ!! もっとしっかり仕事しなさいよ!!」

ミサト「うーい・・・・ひっく・・・・まあ、あれね。碇司令はわけわからん、と。それで終わりかな?」

アスカ「こらあああああ!! その一言で終わりにするんじゃないわよ!!」

ミサト「だって、ホントにわからないんだもん」

アスカ「・・・・大学卒業してるの、アンタ」

ミサト「ま〜ね。だって日本の大学だもん」

アスカ「・・・・そんなんだから、加持さん愛想つかして逃げるのよ」

ミサト「ア〜ス〜カ〜!!」



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