エヴァ・インスピレーションズ

 

「告白」

 

 作者:踊りマンボウ

 

 たん、たん、たん。

 軽快なリズムで彼女が走る。金色の髪を左右に揺らしながら。

「ちょ、ちょっとまってよ。アスカ!」

 僕は息を切らせつつもそんな彼女に追いつこうと必死に走る。

「おそーい!そんなにとろとろしてると遅刻するからね」

 アスカは振り返り笑顔を見せると、またすぐに走り始めた。

「・・・・」

 言い返す力も無く、僕はひたすら足を動かす。

 もう学校はすぐそこだ。

 ようやく、この苦しみから解放される。

 そう思うと、足取りも心持ち軽くなる。

「・・アスカ?」

 坂を登った所で、僕を待ってだろう、アスカがこっちを向いて立っていた。

「ねえ・・シンジ」

 彼女は、僕を手で制して止めてから、やや落ち着かなげな口調で切り出した。

「学校・・さぼっちゃおうか?」

「はぁ?・・アスカ?」

 ここまで来て一体何言っているんだと呆れる僕に、だがアスカは引き下がろうとはしなかった。

「ね、シンジ。・・どっか遊びに行こう!」

 何処か、アスカらしくない感じ。

 彼女の青い瞳が、曇っているような気がする。

「アスカ?どうしたの・・いきなり・・」

「ほら、行こっ!」

 彼女の腕が僕の腕に絡む。

 ぐいっと強い力で引かれる。

「わっ・・何?シンジ、汗でベタベタじゃない・・」

 かと思うと急に腕を解いて、白い指先を絡めて手を引いてきた。

「もう、あれくらい走っただけでこんなに汗掻くなんて、アンタ運動不足よ!」

「わ・・ちょ、ちょっとアスカ・・」

 強引に、手を引っ張るアスカ。

「運動不足って・・陸上部のアスカと比べないでよ」

 僕は、仕方なくアスカに従いながら反論する。

「ええ、そうね。アンタは、おしとやかにチェロをお弾きになってるもんね」

 ちょっと怒った感じ。

 普段から、それにまつわってのからかいが多いだけに、その辺りの話題を口にするとたちまち不機嫌になる。

 これが、トウジだったら半殺しの目にでもあっているかもしれない。

 あ、トウジっていうのは、僕の親友でいつも学校にジャージを着て登校してくる変な奴だ。

 その格好のせいで、ついたあだ名がジャージメーン。

 何だか、本人も気に入っているらしいけど、ジャージマンって呼ぶと怒る。

 ほとんど変わらないと思うんだけど、それを言ったらトウジ、えらく怒ってたなぁ。

『なんや、碇にもわいのこだわりが、解らへんちゅうんやな!』

 激しくまくしたてられてしばらく口もきいてくれなかったけど・・。

 僕には、未だにそのこだわりは解っていない。

 ・・ま、それはいいとして、今朝のアスカは妙だ。

「そ、そんな・・」

「ほら、行くわよ」

 怒ってるかと思うと表情を変えてまた僕の手を引く。

 まるで、さっきのことがなかったかのように明るい調子で僕を誘う。

 僕は、それに逆らうことが出来ないまま、ずるずると引っ張られていった。

 

「さて、何しようか?」

 結局、僕はアスカにつられて学校をサボることになった。

 本当に強引で自分勝手なんだから、とか思いつつもそんな彼女についていく僕も僕だよねと思う。

「何って、アスカ何も考えてなかったの?」

「うーん、別にいいじゃない。シンジ、お金はあるんでしょう?」

 屈託の無い笑顔で、そう言い放つアスカ。

 何の考えも無しに学校をサボるなんて・・、アスカらしいと言えばらしいのだけど。

「・・まあ、ちょっとは・・」

 確かにアスカの指摘通り、結構、遊びに行く資金はある。

 何故かというと、母さんが今朝特別のお小遣いということで、いくらかお金を渡してくれたからだ。

「じゃあさ、映画行こ!」

 僕の財布を覗き込んでアスカはにこりと笑うと僕の手を引いてまた走り出した。

「今からだったら、二回目の上映に間に合うわ!」

 さっきは、何も考えていないと言ったのに、目的の映画があるみたいだ。

 アスカは、迷うことなく目的の映画館へと僕を引いて行く。

「・・わ、ま、待ってよアスカ!」

 慌てて僕も走り出す。

「・・」

 少し、周りの視線が気になる。

 元気な女の子に引っ張られる気弱な男の子とか見えているかもしれない。

 何となくだが、くすくすと笑い声が聞こえるようにも思える。

「あ、アスカ・・手・・離してよ」

 恥ずかしくなってきて、僕はアスカにそう言った。

「・・シンジ、アタシと手を繋いで歩くの嫌?」

 すると、急にアスカは立ち止まって俯いた。

「そうよね・・いつも迷惑ばっかりかけてるもんね・・。嫌われて当然よね」

 アスカにしては珍しく落ち込んだ感じ。

 しゅん、と悲しそうな表情になっているように思える。

「・・手、離すね・・」

 アスカが、僕の手を解放する。

「・・アスカ・・その・・」

 僕は躊躇いながら、その離した手を求めて彼女の白い指に僕の指を絡める。

「何てね!ほら、シンジ行くわよ!」

 俯いていた顔を上げるアスカ。

 その顔に暗い色は欠片も無い。

 ぎゅっと、僕の手を強く握って、また勢い良く駆け出していく。

「あ、・・アスカ」

 握られた手は、痛かったけれど、何処か暖かかった。

 

「で・・アスカ、本当にこれでいいの?」

 映画館の前、チケットを求める為に僕は窓口へと向かっている。

「何?・・何か文句ある訳?」

「ううん・・でも・・」

「デモも・・スト・・じゃなくて、何度も同じ事言わせないの!」

「・・解ったよ。・・えっと『満月の下に・・』中学生二枚、お願いします」

 僕は、映画のタイトルを告げて映画の券を購入した。

 中学生と言った時、ちらりと売り子のお姉さんが不審な目で僕を見た。

 朝早くから、映画を見に来るなんて、と思われたのかもしれない。

 だが、言葉には、まったく出すこともなく映画の券とお釣を出す。

 ま、見慣れているのかもしれない。

 結構、僕のクラスでも原因不明の欠席が多いようだし、みんなも来ているのだろう。

「ほら、アスカの分」

 券をアスカに渡す。

「うん・・ありがと、じゃ行こう!」

 僕から券を受け取るなりアスカは映画館の中に入っていった。

 

『・・ティーノ!待って・・ティーノ』

 映画館の中はかなり空いていた。

 がらがらといってもいい。

 平日の昼間という所為もあってか、僕達は好きな所に座ることが出来た。

『・・さようなら・・プラカーナ家のお嬢様・・』

 公開当初は、そこそこの動員があった映画なのだが・・。

 内容は、中世の港湾都市を舞台にした恋物語。

 主人公、ティーノ・クライエルは、もともとは貿易御三家と呼ばれていた貴族の息子なのだが、ある事件が元で今は盗賊として生きていた。

 その幼馴染みで、もと貿易御三家の一つアルクナーシャ家の娘リタ。

 彼女も事情があって、現在残り一家のプラカーナ家の養女として暮らしていた。

 運命の糸に導かれて、この二人が出会った時から物語は動き始める。

「・・」

 隣で息を呑んで映画を見ているアスカ。

 今は、ちょうど映画の中盤で盛り上がる所なのだ。

 主人公ティーノが、リタから想い出のペンダントを送られる所。

 盗賊という身に落ちてしまった自らの身を恥じて、それでも惹かれてリタの所へ来ていたティーノが、想いを断ち切らねばと別れを告げるシーン。

『待って下さい!・・どうしてです?』

 バルコニーに立つティーノ。

『私は・・盗賊ですよ?お嬢様・・』

『・・何か盗まなければいけないっていうなら・・そうだ・・このペンダントを貰って下さい!』

 ずっと前に・・幼い時、一緒に遊んでいた頃に誕生日プレゼントとして彼女に渡したペンダント。

 未だにそれを持っていること、そしてその大切な想い出の品を渡してまで自分を引き止めようとする彼女の想い。

『・・さようなら・・』

 一途にティーノを想ってくるリタに、目を背けてしまう彼。

『待って!ティーノ・・ティーノ!』

 呼び止める声も虚しく、去って行くティーノ。

「・・ぐす・・」

 彼を想うあまり、そしてその希望が打ち砕かれてしまったが故に、心を閉ざしたリタ。

 虚ろな瞳の彼女が、スクリーンに映し出された時、隣のアスカからかすかにこぼれる音。

「・・」

 横を見遣ると、ボケットからハンカチを出して涙を拭っていた。

 僕は、けれど声を掛けずにじっと映画に集中する。

『リタ・・ゴメン・・。でもきっと帰ってくるから・・』

 映画のラスト。

 幼馴染みのティーノと義賊のティーノが心の中で告白するリタ。

 けれど、ティーノは心の整理がつかないままでは駄目だと、旅に出ることを決意する。

 旅立つ彼を見送る彼女。

 そしてそのシーンに、スタッフロールが重なる。

 だが、その後の経緯が、ロールの向こう側でスライドしていく。

 そして、本当のラストシーンは、二人の結婚式。

「・・ふう・・」

「・・・・」

 映画が終わって、思わず息をつく。

 隣のアスカは、涙を拭っているのか俯いたまま顔を上げようとしない。

「・・アスカ」

 僕はしばらく彼女の様子を見て黙っていたが、頃合いを見て声を掛ける。

「・・シンジ・・ううん・・もうちょっと待って」

 涙声。

 まだ、涙を拭いきれてないのだろう。

「うん・・解った・・」

 僕は、短くそう答えて誰も居なくなった映画館で座っていた。

 

「さて、次は何処に行こうか?シンジ!」

 少し腫れた目を気にしながらも、明るくアスカが話す。

 鞄を持ってくるりと一回転する彼女。

 何処か悪戯げな動作。

 何だかとても楽しそうだ。

「・・うーん、どうしよう・・」

 だが、そんな彼女に僕は違和感を感じていた。

 無理にはしゃいでいる。

 幼馴染みだから何となく解ってる、という言い方は卑怯かもしれないが何処かいつものアスカと違う。

「もう、男なんだから、すぐに決めなさいよ!」

「・・そ、そんなこと言っても・・」

「そうだ!あそこにしましょ?」

 しばらく考えていたアスカが急に声を大きくした。

「あそこって?」

「あそこって言ったら決まってるじゃない。『バタホリ』よ!」

「・・ああ、なるほど・・」

 僕は納得して頷いた。

『バタホリ』っていうのは、僕達がちょくちょく立ち寄っている喫茶店なんだ。

 値段の割に、ボリュームのあるイチゴパフェとか、かなり評判は良い。

 時々、サービスをしてくれる所もポイントが高い。

 ただ、欠点というか・・なんというか、そのマスターの顔があれなのである。

 別にマスターが悪いという訳では無いのだが・・正直言って顔が恐い。

 丸坊主に近い頭(毎朝バリカンで手入れをしてるらしい)に、鋭い目つき、そして色眼鏡。

 初めて会った時は、どこかの組の人なんじゃないかと思ったほどだ。

 でも、通うようになってからは、慣れたのかそうでもなくなったんだけど。

「じゃ!行きましょ」

 また、アスカは僕の手を取って引っ張った。

「わわっ!ちょ、ちょっとアスカ!待ってよ」

 慌てて僕も走り出した。

 

「あれ?マスターは?」

 僕達がバタホリに入ると、バイトの中田さんが迎えてくれた。

「?ああ、君らか。マスターならちょっと出かけるって言ってたけどね」

「あのハゲ親父、何処に行ったのよ」

「さあ?・・マスターのことだから、きっと苺でも仕入れに行ったんじゃない?自家製のやつが不作だって言ってたから」

 かちゃかちゃとお皿を洗いながら、カウンター越しに中田さんが話す。

「ちょっと残念だね」

 適当に窓際の席に座り、アスカと向かい合う。

「そうね・・」

「まあ、まあそう言わないで・・ね」

 そこへすかさず中田さんが、お冷やを持ってくる。

「で、何にする?」

 注文書を片手に、訊ねてくる。

「・・えーっと・・」

 促されて、メニューを見る。

 そういえば、もうすぐお昼だしお腹へってきた。

「それじゃあ、ランチスペシャルのA」

「はいはい、ランチSAね・・。で、アスカちゃんは?」

「・・ん・・っと」

 メニューをしばらく見つめる。

 期待していたモノが注文できないので、少し不満のようだ。

「おーっ!これはこれは、どもどもぉー」

 かと思うと、聞き覚えのある声が玄関からしてきた。

「あ、マスター」

「おう、良い苺が入ったよ。これで何とかなりそうだ」

 両手で発泡スチロールの箱をしっかりと持ってマスターはカウンターへと入っていく。

「・・じゃあ、バタホリスペシャルイチゴパフェと、サンドイッチセット!」

 急にアスカは立ち上がり大きな声で注文した。

「おや、アスカちゃん。早速の注文ありがとうございます」

 マスターは笑顔で(またその顔がちょっと引いてしまうのだが)言ってから厨房へと入っていく。

「マスター!後、ランチSAもお願いします!」

「はい、はいー」

 いつもの調子で、マスターはにこやかに料理に取り掛る。

「・・さて・・」

 アスカを見る。

 マスターが帰ってきたことで彼女の機嫌は直ったのだが・・何処か今日の彼女は様子が変だ。

「・・・・」

 聞いた方が良いのだろうか。

 特に雑誌とかを手にしてない以上、このまま黙っているのも不自然だろうし、何より気になる。

「シンジ・・何かアタシの顔についてる?」

「えっ・・、あっ・・その・・」

「それとも、アタシの顔に見とれていたのかしら?」

 何か、妙に穏やか微笑むアスカ。

「あの・・アスカ・・」

「ん?何?」

「今日のアスカ・・変だよ」

「・・・・」

「その・・いつものアスカじゃないよ・・」

「・・・・」

 思い切って指摘すると、アスカは視線を僕から外してやや俯き加減になった。

 表情も、たちまち曇ってしまった。

 何かある。

 その辺りは解るのだが、思い当たる節がない。

「どうしたんだい?学校をサボろうと言ったりとか・・映画を見に行きたいとか・・」

「シンジ・・それは・・後で話すから・・今は、聞かないで・・」

 責めるつもりではなかったのだが、アスカは辛い表情で僕を見る。

 僕は、そんなアスカを見て言葉を続かせることが出来なかった。

「・・ちょっと、取り込み中だったかな?」

 そこへ、中田さんがサンドイッチを持って割り込んできた。

「どうぞ・・ごゆっくり」

 アスカの目の前に、すっとサンドイッチの皿を差し出してそそくさと立ち去って行く。

「・・先に食べるね」

 かと思うと、急にアスカは顔を上げてにっこりと笑って、おしぼりに手を伸ばした。

 さっきの暗い雰囲気がまるで嘘であったかのように明るい調子になっている。

「あ、うん・・」

 何処かぎこちないと思えるのは気のせいではないけれど、僕は何も言わなかった。

 その後、僕達は何事もなく、食事を終えて『バタホリ』を後にした。

 

 それから、アスカは僕をウインドショッピングに誘った。

 僕は、彼女に付き合って色々な店を見て回った。

 その最中も、彼女は何処か作為的な・・そう、わざとはしゃいでいる風に見せているようだったが、僕は何も言わないで彼女に合わせて彼女の服を見立てたりした。

 それが終わると、タイトー系列のゲームセンターに遊びに行った。

 ちょうど、入ったばかりの「エヴァンゲリオンでGO!」っていう人型決戦兵器を操縦するゲームを遊んだ。

 僕は初めてそれを遊んだのだが・・ビギナーズラックって言うのだろうか、結構上手く操縦出来た。

 それを見ていたアスカは驚きの声を上げつつも、その後すぐその僕の記録を抜いてくれたのだが・・。

「初めてにしては・・やるじゃない・・」

 そういいつつも、目は笑っていなかった。

 どうやら得意のゲームだったらしく(ロケテスト版から遊びこんでいたそうだ)すんなり高得点を出した僕が気に入らなかったようだ。

 何もそこまでむきにならなくても、と思ったのだがアスカらしいといえばらしいのだが。

「どう、この操縦を見たかしら。馬鹿なアンタとは大違いの優雅な動きを」

 そう得意げに話すアスカに、僕は苦笑いを返すことしか出来なかった。

 

 そのうち、授業を終えた生徒達が繁華街にもちらほら見えるようになってきた。

「ねえ・・シンジ、公園に行かない?・・何処か・・静かな公園に・・」

 すると、アスカはそんな人の目を避けるようにそう提案してきた。

 僕も、学校をサボってアスカに付き合っているので、人の目が気になることは彼女と変わらないので、頷いて繁華街から離れていった。

 トウジとかに会えば冷やかされるに決まってるし・・。

「やっほーお二人さん。こんち!」

 そう思った矢先、僕達は綾波レイとばったり会ってしまった。

「レイ・・」

「どう?アスカ・・もうあの事話したの?」

 だが、レイはまるで最初から知っていたかのように驚きもしないで話し掛けてきた。

 学校をサボったことを口にすることも無く、アスカに近付いていく。

「ううん・・まだ・・」

「・・今日逃すと・・辛いんじゃないの?・・だってもうすぐなんでしょ・・」

「うん・・」

 レイの言葉に、アスカは俯いて表情を暗くした。

 喫茶店で今日のアスカの様子について本人に訊ねた時と同じように何か含んでいる感じがする。

「これから・・ちょっと公園に・・行こうと思ってるんだけど・・」

「そう、ならしっかりね。アスカ!」

 ぱんっとアスカの背中を叩くレイ。

「早く言わないと・・アタシが言っちゃうぞ!」

 ウインクをアスカにしてみせながら、レイは元気良く去って行く。

「あ、・・れ、レイったら・・こらぁ!」

「じゃあね。碇クン!・・バイね!」

 眩しい笑顔を見せながらレイは人ごみの中に消えていった。

「あ・・バイバイ・・レイ・・」

 一陣の風のようにあっという間にレイはいなくなってしまった。

「・・レイ・・ありがとう」

 アスカは、そんなレイをしばらく見送っていた。

「アスカ・・」

「さあ、シンジ・・公園に行きましょう!」

 アスカが僕の手を引く。

「あ、アスカ!」

 ぎゅっと握られた手は、何故か不安を感じさせた。

 

「・・」

 噴水の音。

 心地良い水音が辺りに広がっている。

 日が少しづつ傾いてきた午後。

 僕とアスカは公園のベンチに並んで座っていた。

 そこは木陰で、涼風の吹くとても涼しい場所だった。

「ふう・・」

 色々な所を歩き回ったおかげで、僕は少し疲れていた。

 確かに、アスカの言う通り運動不足かもしれない。

 はぁーっと、大きく息をついて僕は体を伸ばした。

「・・・・」

 アスカはそんな僕の様子をちらちらと横目で伺いつつも何か考えているようだった。

「・・」

 草の香りが風に運ばれてくる。

 もう一度大きく息をしてその草の香りを楽しむ。

「アスカ・・」

 それから、ベンチに座ってから一言も話さない彼女に話し掛ける。

「・・」

 僕の呼びかけにアスカは一瞬、体をびくつかせて驚いた。

 それから、ぎこちなく僕の方へ顔を向けたのだが、どこか目がさ迷っていて落ち着いていなかった。

「どうしたの・・何かあるみたいだけど・・。あのさ・・今日のアスカ・・何か変だよ」

 僕の顔を見るだけで何も言わないアスカに、仕方なく切り出す。

 今日ずっと感じていた違和感。

 アスカらしいような、アスカらしくないような感じ。

「んっ・・あの・・さ・・シンジ、ごめんね。学校・・サボって・・色々な所付き合わせて・・」

 ぽつりぽつりと、俯いてアスカは言葉を続けた。

 言葉にはまったく元気がなく、しゅんとしている。

「・・」

「シンジは・・アタシみたいな・・強引な女の子は嫌いだよね・・」

「?・・アスカ突然どうしたんだよ・・」

 嫌いって言葉にどきりとする。

「ねえ、シンジ・・答えて・・嫌いよ・・ね・・」

「・・」

 返答に詰まり沈黙する。

「・・何も答えてくれないのね・・」

 僕から目を逸らして俯いたアスカの横顔は、淋しさに満ちていた。

「アスカ・・本当に・・どうしたの?」

「・・」

 今度はアスカが沈黙した。

「ねえ・・アスカ・・僕に言えないことなの・・幼馴染みの・・僕にも言えないことなの?」

「・・幼馴染みか・・そうよね・・」

 僕の言葉に、アスカが呟く。

 どこか自嘲気味の呟き。

「そう・・よね・・」

「アスカ?」

「あの・・さ。アタシ、近いうちに転校するの・・」

 小さな、本当に小さな声でアスカはそう言った。

「えっ?」

 僕は、耳を疑い声を上げた。

「アスカ・・今、なんて・・」

 転校するって聞こえたけど・・まさか、と思いつつ問い掛ける。

「転校するのよ・・アタシ・・」

 きっ、と急に目つきを鋭くして前を睨み付ける。

「・・良かったわね。うるさくて、強引で、いつも迷惑ばかり掛けている幼馴染みが居なくなって。せいせいするわよね。・・ほんと、明日から静かになるわよ」

「アスカ?」

「せいぜい、遅刻しないように気をつけるのね。・・アンタみたいな男を起こしに来るような物好きな女はそうは居ないでしょうからね・・」

「アスカ!」

「何よ!・・いつもいつも、迷惑してたんでしょ、バカシンジ!」

「そんなことないよ・・」

「慰めはいいわよ・・。そうやって心の中では笑ってるんでしょ・・。知ってるんだから、アンタのことは・・なんだって・・」

 だんだん、アスカの言葉が小さく消え入ってしまう。

「・・あの・・」

「触らないで!・・アンタなんか・・だいっきらい!」

 彼女の肩に手が触れた途端、彼女は激しい拒絶を見せた。

 かと思うと、立ち上がって走り出した。

「・・バカシンジの・・大馬鹿!」

「・・アスカ・・」

 あまりに突然のことに僕は呆然として動けなかった。

「・・チョップぅ!」

「うわ!」

「ほらほら、シンジ君。アスカを追いかけなさいってば。何やってんの?」

 ベンチの後ろから急にレイが現れた。

「え、・・あ、綾波?・・いつから居たの?」

「そんなことはどうでもいいから、早く追いかけなさいよ。アスカとこのまま別れてもいいの?」

「・・ううん・・嫌だよ・・」

「だったら、早く走る!走る!鞄はアタシが届けといてあげるから、ほら!」

 早口で捲し立てられ、背中を押され、僕は立ち上がって走り出した。

 ちょっと、引っかかる所はあるんだけど、とにかく今はアスカを追いかけなきゃと、急に気持ちが高ぶって僕は走り出した。

「アスカ!」

「・・ふう・・世話が焼けるわね。二人とも・・」

 レイは、アスカを追いかけて走り出したシンジを見送って息を吐いた。

「・・青春だな、母さん」

「ええ・・そうですわね、アナタ」

「・・・・?あれ、碇のおじさま・・いつからここへ?」

 いつの間にか、レイの横には碇ゲンドウ、ユイが立っており、はらはらと涙を流していた。

「シンジも立派になったものだ・・」

「ええ・・そうですわね、アナタ」

「・・聞いちゃいねえよ、こいつらは・・」

 自分達の世界に入り込んだ二人にレイは呆れて肩を竦めた。

 

「アスカ・・」

 シンジは見失ったアスカを捜していた。

 ただ彼女が行きそうな場所を闇雲に走って。

「・・居ない・・」

 繁華街を突き抜け、別の公園を走りまわり、途中であったクラスメイトにアスカを見なかったかと聞く。

「アスカ・・」

 流石に叫ぶことはしなかったが、額に汗した中学生が人の波の中駆け抜けていく姿に、何事かと視線が集まる。

 はあはあと荒い息を吐きだして、呼吸を整える。

 けれど、その休む間も惜しむようにまたすぐにシンジは走り出す。

 たんたんっとスニーカーの音を響かせて、彼はひたすら走った。

 幼馴染みの少女を捜して・・。

「・・何処にも居ない・・まさか、家に帰ったとか・・」

 ふと思って公衆電話から彼女の家に電話を掛けたが、まだ帰っていないという答えが返ってきた。

「・・ほんとうに・・何処に行ったの・・アスカ」

「おお、せんせぇー!」

「・・トウジ・・はぁ・・はぁ・・」

 荒い息を吐き、呼吸を整えるシンジ。

「今日はどうしたんや。えらい大胆やったけどなぁ。珍しいで、マジメなせんせぇが無断欠席やなんて・・しかも・・」

「トウジ・・アスカを見なかった?・・はぁ・・はぁ・・」

「え?・・ああ、あの女かいな・・。確かあっちの方で見かけたけど・・えらい元気無かったけど・・」

「ありがとう、トウジ。・・あっちだね・・」

 シンジは、お礼もそこそこにまた走り出した。

「・・おーい、せんせぇ・・。なんや、目が血走っとったし・・危ないんちゃうか・・?」

「・・どうしたんだい?トウジ?」

 呆然として、シンジを見送ったトウジに、ケンスケが話し掛けてきた。

「いやな・・せんせぇが、はぁはぁ言いながら惣流捜しとるみたいやったんやけど・・。どう見ても、ちょっと危ない奴にしか見えへんかったなぁって・・」

「ふうん・・シンジの奴がね。・・夏だからね・・。熱暴走してんじゃないの?」

 トウジの見ている方向を見遣ってケンスケは肩を竦めた。

「せやな・・。せんせぇも男やし・・たまにはそういうこともあるやろ・・」

「それよりトウジ。今日新しいカメラが入荷したから取りに行こうと思ってたんだけど、どうする?」

「おう・・付き合うで」

 トウジとケンスケは、人ごみへと消えていった。

 

「・・何処にも居ない・・アスカ・・」

 ずっと走りまわってアスカを捜したのだが、結局、シンジは彼女を見つけることが出来なかった。

 辺りは、朱の色に染まりつつあった。

「・・アスカ・・」

 もう捜す所なんてない、と思いつつシンジはそれでも歩いていた。

「・・!この辺は・・」

 ふと立ち止まり辺りを見回すシンジ。

 そこはとても見覚えのある風景だった。

 小学生の時に・・よくアスカと遊びに来ていた公園。

「・・まさか・・」

 シンジは上を向いて思い付いたその場所を探した。

「・・」

 かと思うと、また彼は走り始めた。

 

「・・はぁ・・はぁ・・アスカ・・」

 夕日が、辺りを赤く染めていた。

 その夕日が、とても良く見える場所。

 昔は、アスカに引っ張られて、来ていた。

「・・シンジ・・」

 街が良く見える高台。

 そこに、アスカは居た。

「・・ようやく・・見つけた・・」

 僕は、へとへとになりながらもアスカに笑顔を見せた。

「アスカが・・今度は鬼だからね・・」

「・・馬鹿・・」

 僕のふざけた言葉に、けれど涙ぐむアスカ。

「・・けほっ・・けほっ・・」

「ちょっと・・大丈夫、シンジ?」

「・・確かに、アスカの言う通り・・運動不足みたいだね・・」

 だらしなく草の上に座り込む僕。

 正直言って、立っているのも辛い。

「もう・・だらしが無いんだから・・」

 腰に手を当てて呆れるアスカ。

「でも・・必ず・・来てくれると思ってた・・」

「・・えっ?・・」

 僕の横に、僕と同じように草の上に座り微笑むアスカ。

「・・シンジなら・・思い出してくれると・・思ってた・・」

「・・アスカ・・」

 沈み行く夕日が二人を優しく包み込んでいた。

 前にも・・こんなことあったっけ・・。

 あの時は・・二人で、夕日を見ていてちょっと眠ってしまったんだっけ。

 気がついたら辺りはすっかり闇に包まれていて、不安になって泣き出したアスカの手を握って家へと必死に帰ったんだ。

 あのころから、ずっとアスカにやられっぱなしだったけど・・。

「あの時・・シンジが握ってくれた手の暖かさ・・今でも覚えてるよ・・」

「えっ?」

「泣き出したアタシを励まして・・手を引いて帰ろうって言ってくれて・・」

 アスカは目を細めて、あの時のことを思い出しているようだった。

「え、あっ・・僕も恐かったけど・・あの時は・・アスカのことで夢中になってたから・・」

「何度か・・道に迷いながらも・・しっかりとアタシを家へ送り届けてくれたんだよね。・・シンジって、普段はぼーっとして頼りないけど、いざっていう時には頼りになるんだなぁ・・ってその時、思っちゃった・・」

 笑みを浮かべるアスカ。

「・・アスカ・・あのさ・・」

「シンジ・・アタシ・・行きたくない。・・シンジと離れたくない・・」

「・・・・」

「だって・・あの時から・・ずっとシンジのこと・・」

「アスカ・・僕もそうだよ。・・あの時からずっと・・アスカのこと想ってた・・」

 アスカの言葉を制して、僕はずっと胸の奥にしまっていたことを吐き出した。

「あのさ・・さっきは驚いて・・その答えられなかったけど・・僕・・アスカのこと好きだよ・・」

「・・アンタ、馬鹿?僕も、ってアタシがいつアンタのこと好きって言ったのよ!」

 急に大きな声を上げるアスカ。

「え?え?・・」

 僕はそんな彼女についてゆけずに、ただただ驚く。

「ホント、馬鹿なんだから!」

「アスカ・・?」

 彼女の方を向く。

「あっ・・」

 彼女の顔がすぐ目の前に迫っていた。

「・・んっ・・」

 不意のキス。

「でも・・好きよ・・シンジ・・」

 ぺろっと舌を出して、照れ笑いを浮かべながら、アスカは僕に告白した。

 少し、汗でしょっぱいキスと共に。

「・・」

 僕もアスカに笑顔を見せる。

「・・それにしても、何だか、しょっぱいキスぅ・・もう・・」

「しょうがないよ・・走ってきたんだから・・」

「しょうがなくない!・・アタシの大切なファーストキスが汗臭い何処かの青春漫画みたいになっただなんて、大ショックよ!・・もう最低・・しかも、キスの相手が、その漫画のお約束ともいえる幼馴染みだなんて・・」

「・・ふふっ・・」

「何よ・・気持ち悪いわね。にやにやしちゃって・・」

「ううん・・やっぱりアスカは・・アスカだなって・・」

 少し意地っ張りで、素直じゃなくて・・でも、本当は淋しがりやのアスカ。

 僕にだけ見せてくれる心の素顔。

「・・さあ、帰ろう・・アスカ・・」

 心地良く吹いてくる風に、熱くなっていた体も冷えてきた。

 息も落ち着いてきたしそろそろ、夕日も落ちて暗くなってきた。

「・・うん・・」

 

「・・あのさ・・シンジ?」

 暗い夜道を歩く僕達。

「このまま・・何処かに・・行かない?」

 あの時と同じように、手を握りながら歩いている。

「え?」

「・・嘘よ・・。でも・・気持ちは解ってくれるよね・・。アタシ・・シンジと離れたくないの・・。仕方ないと解っていても・・」

「・・うん・・」

 僕は、彼女の言葉に頷くしかなかった。

「・・バカ・・バカシンジ・・」

 彼女が呟いた。

 その言葉は僕の耳に届いた。

 が、僕は言葉を掛けられずに黙って夜道を帰っていった。

 こんな肝心な時に・・僕は何も言えなかった。

 

「じゃ、おやすみ・・アスカ」

 あっという間に家に着いて僕は、アスカと別れた。

「ん・・おやすみ・・シンジ」

 互いに「さよなら」という言葉は使わずに・・言葉を交わして、アスカは家へと入り、僕は自分の家へと足を向けた。

 

「・・」

「こら!起きなさいよ・・起きろこのバカシンジ!」

 次の日の朝。

 僕はアスカに叩き起こされた。

「あれ?アスカ・・どうしたの?」

 確か準備とかで、もう今日から学校には来ないことになっていたはずだけど。

 わざわざ、僕を起こしに来てくれたのかな、と思って彼女を見ると、制服に鞄と学校に行く時の格好だった。

「どうしたもこうしたもないわよ。早く起きないと遅刻するわよ!」

「あ・・う、うん」

「もう、ホントにアタシが居ないとどうしようもないんだからバカシンジは」

「・・アスカ・・転校するんじゃなかったの?」

 のろくさと起き上がりながらアスカに訊ねる。

「・・昨日急に、取り止めになったのよ・・って、バカシンジ・・きゃあ、エッチ、スケベ、変態、信じらんない!」

 僕の方を向いたアスカは顔を真っ赤にして怒鳴ってきた。

 何の事か解らない僕は、彼女の視線を辿り・・。

「あっ・・」

『パンッ』

 軽快な音が部屋に響き渡った。

 

「おはようございます。碇のおじさま」

「うむ、アスカちゃん、おはよう」

 弾んだ明るい声で挨拶を交わす父とアスカ。

「・・行ってきます」

 母の焼いてくれたトーストを手に僕はその横を通っていく。

「・・あいかわらずだな、シンジ」

 僕の顔に浮かび上がる紅葉の痕を見て父はにやりと笑った。

「・・・・」

 僕は何も言葉を返すこと無く黙って玄関へと歩いて行く。

 言い返す気力は今の僕には無かった。

「ほらほら、急がないと遅刻でしょ、シンジ。ほら、アナタも急いで下さい?」

「・・ああ、解っているよ」

「本当ですか?もう、遅刻をして冬月先生にお小言いわれるのはワタシなんですからね・・もう・・」

「ああ、君はもてるからなぁ」

「・・もう冗談ばっかり」

「ああ、冗談だ・・」

「・・・・」

「・・・・」

 フライパンを片手に構える母。

 全身からオーラが立ち上っているように見えるのは、気のせいではないだろう。

「アスカ・・行こ・・」

 僕はその雰囲気を察して、アスカの手を引いて部屋を出た。

 その後のことは・・知らない。

 

 坂を登る。

「ほら、バカシンジ・・もっとしっかり走りなさいよ」

 けれど、前のようにアスカは先に行ったりしない。

 僕の横に並んで一緒に走っている。

「そんなにとろとろしてると、遅刻しちゃうわよ!」

 僕の手を握るアスカ。

「ほら、しっかり・・」

 彼女の転校騒ぎは・・少しだけ、僕と彼女の距離を縮めてくれた。

「うん・・ありがとう・・アスカ」

 僕達は、仲良く学校へと急いだ。

 

 

 ・・で終われば、良かったんだけど・・。

 

 

「ふふーん、昨日は無断欠席、今日は仲良く遅刻ねぇ・・。いい度胸してるわねぇ。碇シンジ、惣流・アスカ・ラングレー!」

 僕達は、仲良く・・遅刻してしまった。

「二人とも、古典的だけどバケツ持って廊下に立ってなさい!」

 学校では、担任の葛城先生が、鬼の表情で待っていた。

「はぁい・・」

 がっくりと肩を落として僕とアスカは廊下に立った。

「ひゅう、ひゅう。お熱いね。お二人さん」

 クラスの皆の冷やかしを背に受けながら。

「・・とほほ・・」

「・・バカシンジの所為だからね!」

 そして、僕は散々アスカに廊下に立っている間、文句を言われ続けた。

 

・・終わり。

 

 

すちゃらか裏話出張版

 

作者 「どうも!皆様、お久し振りです。腐れ外道作者の踊りマンボウです」

ナギサ「皆様、いかがおすごしでしたでしょうか。アシスタントの雪風ナギサです」

二人 「まずは、丸山さん。13万ヒットおめでとうございます!」

アスカ「ふふーん、やってるわね。お二人さん」

ナギサ「あ、アスカさん。こんにちわ」

アスカ「ええ、こんにちわ、ナギサ」

作者 「・・?やけにご機嫌だね、アスカ」

アスカ「アンタにしては珍しくまともだからよ・・ふふ〜」

作者 「・・確かに、そりゃまあ・・一応、レイ派ですけどね。別にアスカが主役の物語を書かない訳じゃないから・・」

アスカ「そうよねぇ・・レイ派なんだよね、ひかりん」

作者 「・・・・・・・・・・・・えっ?」

アスカ「アンタ、ある所で、好き勝手に書いてるそうじゃない・・」

ナギサ「?どうかされたのですか、マンボウさん?まあまあ、こんなに汗を掻いて・・」

 額に冷や汗を浮かべている作者。

 それを手にしたハンカチで拭うナギサ。

アスカ「ま、今日は・・ナギサもいるし機嫌もいいからこのくらいで勘弁しといたげるわ」

☆げしっ☆

 アスカのパンチが見事に炸裂。

作者 「・・・・アスカ・・みぞおちに・・げほ・・入ってる・・ううっ・・」

ナギサ「あらあら・・マンボウさん。どうかされたのですか、顔色がよろしくございませんが・・」

アスカ「・・じゃあね。ひかりん!」

作者 「・・目は、本気だったぞ・・」

ナギサ「ほよ?・・マンボウさん?ひかりんって誰のことですの?この場には、わたくしとマンボウさんしかおりませんのに・・」

作者 「え、あ・・さ、さあ・・」

ナギサ「おかしいですわね」

作者 「あ、う、うん・・そうだね。きっと暑さにやられたんだよ。うん、そうだ。だから・・かき氷でも食べに行こうよ、ナギサちゃん」

ナギサ「はい・・でも、お仕事の方は?」

作者 「あ・・もう終わったから・・ね」

ナギサ「はい、でしたらよろしいのですけれども・・」

作者 「じゃ、行こう」

ナギサ「・・では、皆様。またお会いするまで、ごきげんよろしゅう、失礼致します」

作者 「ほらほら、ナギサちゃん!」

ナギサ「あ、待って下さいまし、マンボウさん」

 二人、退場していく。

碇司令「・・むう、出番があると思って待機していたのだが・・今回も出番無しか」

冬月 「碇・・こんなこと、私のシナリオには無いぞ・・」

碇司令「・・まずいかもしれんな・・」

冬月 「修正はきくのか?」

碇司令「それも、解らん」

冬月 「・・まずいな」

碇司令「ああ・・」

冬月 「所詮は、使い捨てのゲストということか・・」

 舞台の袖で、出番の無かった二人の親父は寂しそうに俯いていた。

 





分譲住宅裏コメント(汗)(^^;

カヲル「さて、投稿6本目は踊りマンボウさんですね。おお、しかしいつもながららぶらぶ・・・・」

アスカ「今回は許す! あんたがどこかで鬼畜小説を書く「ひかりん」だったとしても、今回だけは許す!」

カヲル「そんなこといってると、今度は別のところでどう書かれるかわからないよ。なにしろ、ひかりんはあの青柳さんと・・・・」

作者 「しかし、マンボウさんの見所はらぶらぶもそうなんですけど、随所のギャグなんですよね。裏話も面白いですし」

ゲンドウ「冗談ではない」

アスカ「あら、おじ様」

ゲンドウ「わたしはユイに「ああ、冗談だ」などというつもりはこれっぽっちもなかったのだぞ。それがあんな発言をしたせいでこのざまだ」

カヲル「おお、包帯オヤヂ・・・・レイとおそろいだね」

ゲンドウ「なに・・・・そうか・・・・レイとそろいか・・・・にやり」

作者 「・・・・とことん鬼畜なオヤヂだな・・・・汗」

レイ 「でもねぇ、おじ様とおば様、ときどき二人の世界にいっちゃうからね〜」

アスカ「うんうん」

ゲンドウ「それではまるでわれわれ二人が変態みたいな言い方ではないか」

レイ 「そう思われるのも、やっぱりマンボウさんのせいだと?」

ゲンドウ「当然だ」

レイ 「絶対に? そう言い切れる?」

ゲンドウ「・・・・・・・・」

レイ 「ま、そうでしょうね(汗)」

カヲル「だってオヤヂだし」

ゲンドウ「さっきからオヤヂオヤヂというなぁああ!!」



上のぺえじへ