「レイの1日」
Confession 後日談(another case)
●前書き
・なにぶん、レイ中心なので、アスカにんは、覚悟を決めるか、読まないよ
うにしてください。
・another case なので、本編の結果、こうなるというわけではありません。
・いつものように、お笑いにするはずが、そうはなりませんでした(汗)
☆私は、アスカ様のファンです。信じて下さい(^^;;;;
これは、仕方が無いんですぅぅ(T-T)
●書いてみた所感
・ううう・・・。
「レイの1日」
朝。
透明な、涼しい光が窓から射し込む。
その光が、私の目を覚ます。
私と同じベッド。
隣に、碇君が寝ている。
碇君は、まだ夢の中。
私は、そんな碇君を見つめる。これが、私の朝の日課。
やがて、碇君が目を覚ます。
「おはよう、綾波。」
「おはよう。」
裸の碇君。
碇君は、シーツで身体を覆い隠す。
裸の私。
私は、そのままの姿で、ベッドから降りてシャワーを浴びにいく。
そうしないと、碇君が服を着られない。
朝、碇君は、身体を見せてくれない。
まだ見せてくれない・・・。
私たちは、一緒に朝食を摂る。
碇君の作った食事。それを、一緒に食べる。
静かな朝。
静かな光。
静かな空気。
静かな朝食。
静かな会話。
静かな時間。
すべてを碇君と共有する。
私の満ち足りた『時』。
ふと、碇君がテーブルへ目を落として尋ねてきた。
「今日なんだけど。・・・・・・綾波も来る?」
今日は、碇君にとっては大切な日。
だけど、私には、そうでもない日。
私は、どうしようか考える。
正直、あまり行きたくない。でも、二人で行ったほうがいいような気がする。
いえ、碇君を一人で行かせたくない。
「うん。」
私は、碇君を見ながら短く返事をした。
「じゃあ、食べ終わったら、すぐに支度して行こうね。」
碇君は、目を上げて嬉しそうに言った。
私と一緒に行くのが嬉しいの?
それとも、ひとりで行かなくても済むから嬉しいの?
私と一緒に行くのが嬉しいのね。・・・きっと・・・。
朝食が終わり、私たちは出掛ける準備をする。
そして、一緒に玄関を出て行く。
その場所へと向かう、私たち。
その見慣れた、風景。
その見慣れた、街並み。
その見慣れた、人波。
その見慣れた、眩しく光るビルの白い壁。
その見慣れた、熱い空気に揺らぐ道路。
碇君は、それらを見ずに、その場所へと向かう。
碇君には、大切な場所だから・・・。
私は、それらを見ながら、その場所へと向かう。
私には、どうでもいい場所だから・・・。
私と碇君、二人の時間を感じていたいのに、碇君は急ぎ足でその場所へと歩
いている。
こんな碇君を見るくらいなら、ついてこなければよかった。
でも、一緒に行かないといけない。
不安だから。とても、不安だから。
私がいないと、碇君が無くなってしまいそうで怖いから。
やがて、私たちは、その場所に来た。
碇君の手には花束。紅い花。
碇君は、その花束を石柱の前に丁寧に置く。
そして、碇君は、その石柱に優しい眼差しを落とす。
私が滅多に見ることのない、その眼差しで・・・。
そんな碇君を見ていられなくて、私もその石柱に目をむける。
石柱に刻まれている文字が、目に入ってくる。
べつに・・・見たいと思っていないのに・・・。
その美しい光沢を放つ石柱に刻まれている文字。
『Asuka.L.Sohryu』
その石柱に、碇君は優しく語り掛ける・・・。
「久しぶりだね、アスカ。」
そう、『あの人』。
碇君を愛した人。
碇君の愛した人。
かつて、碇君と時を共にしていた人。
心までも。
そして、碇君の心を縛り続ける人。・・・今でも・・・。
今、碇君は、あの人を見ている。
あの人と話しをしている。
あの人は動けない。
ここから動けない。
ずっと動けない。
あの人はいないのよ。
でも、碇君は、あの人を見ている。
あの人と話しをしている。
でも、私は待つの。
時間が解決してくれる。時間が私の味方。
碇君のあの人を、碇君の思い出にしてくれる。・・・きっと・・・。
碇君は昨日を見る。私は明日を見る。
でも、いつかは、私と同じ方を見てくれる。・・・きっと・・・。
だから、私は待つの。
「こんにちは。」
後ろから、女の人の声がした。
私たちは振り返る。
その女の人も、手に花束を持っている。
「ユミちゃん、来てくれたんだね。」
「ええ。」
碇君とこの人は、そう言って微笑む。
碇君は、あの人がいなくなったとき、この人のところへ行った。
碇君は、この人を求めた。
あの人がいなくなったこと・・・その、突然の出来事。
耐えられなくて、寂しくて、慰めて欲しくて、ただ、誰でもいいから一緒に
いて欲しくて。
だけど、碇君は、この人のもとを離れて私のもとへ来た。
この人は、あの人に似ている。どこか・・・。
そう、どこか、あの人を感じさせる。
だから、碇君は耐えられなくなった。いつも、あの人を思い出すから。いつも、
あの人がいないという現実を見せられるから。
だから、碇君は、私のもとへ来た。
私は、あの人とは違う。この人とも違う。
私といれば、あの人を感じなくてもいい。辛い思いをしなくてもいい。
だから、碇君は、私のもとへ来た。
碇君が、私のもとに・・・。
私の望んでいたこと。望んで止まなかったこと。
でも、私のもとに来ただけ。
私を求めたわけじゃない。
碇君は、逃げてきただけ。
あの人が、いなくなった現実から逃げてきただけ。
この人が、いなくなるかもしれない現実から逃げてきただけ。
それでも、私は嬉しかった。
昼。
私たち3人は、街中のレストランで昼食を摂る。
「私、結婚するんですよ。」
「そうなの。おめでとう、ユミちゃん。」
この人は、新しいものを見つけた。
この人は、もう、碇君とは何の関係も無くなる。
私は安心した。
もう、碇君の行くべきところはない。
逃げ込むことが出来るところはない。
だから、もう、私から離れられない。
私から離れていくことはない。
碇君は、分かってる。
傷つくのが嫌で、辛い思いをするのが嫌で、苦しい思いをするのが嫌で。
・・・ただ、自分を守るために・・・そのためだけに、この人を傷つけた。
だけど、碇君は、傷ついた。辛い思いをした。苦しい思いをした。
そんな自分に気付いたから。
だから、碇君は、私にそんな思いをさせないようにしている。
また、自分が辛い思いをしないために・・・。
夜。
私たちは、少し遅めの夕食を摂る。
碇君の作った料理。
私は、一口食べて碇君に言う。
「味が、少し濃いわ。」
「あ、ごめん。気を付けるよ。」
私は、碇君に文句を言う。
碇君は、微笑みながら謝ってくれる。
違うの。
本当は、おいしいの。文句は無いの。
私の言っていることは嘘。
碇君は、私の料理に、ニンジンとピーマンは入れない。
私が、前に嫌いだって言ったから。
そのときも、碇君は微笑みながら謝った。
それは、あの人の嫌いだったもの。
私は、試してみたの。
あの人の真似をしてみたの。
そのときの、碇君の笑顔は輝いていた。
だから、私は嫌いなことにした。
違うの。
本当は、食べられるの。嫌いじゃないの。
私の言っていることは嘘。
でも、そう言うと、碇君は微笑んでくれる。心から微笑んでくれる。
喜んでくれるの。碇君が喜んでくれるから、私は嘘を言うの。
嘘を言うのは辛い。苦しい。嫌。嫌。嫌。
でも、碇君が喜んでくれるなら、それでもいい。
私は辛くてもいい。
そうすれば、碇君が喜んでくれるから・・・。
でも、嫌。そんなの。本当は嫌。
私も・・・嬉しくなりたいの。
夕食の後、私はシャワーを浴びる。
シャワーで、1日の汗を洗い流す。
シャワールームから出ると、生まれたままの姿で碇君の隣に座る。
そして、碇君は明かりを消して、優しく私の身体に触れる。
碇君は、私の身体を求める。
碇君の口づけ。
私の唇に、私の首筋に、私の胸に、私のお腹に、そして・・・
碇君は、私の耳元で優しく囁く。
「綾波、好きだよ。」
偽りの言葉。
私を抱くための言葉。
自分を欺くための言葉・・・。
でも、もうすぐ、その言葉が真実になってくれる。
私も辛くなくなる。
だって、碇君の瞳に私が映っているもの。
もうすぐ、その時がやってくる。
だから、私は言うの・・・
「嬉しい。」
・・・そして、私と碇君は、一つになる。
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後書き
作者:モノローグ調になってしまった。しかも、お笑いじゃないし。
レイ:やっと、書いてくれたわね。私が主人公の話。
作者:いや、まあ、レイの1日がないと、変に勘ぐってしまうっていう人が
いるもんだからね。
レイ:これで、弐号機パイロットのファンを敵に回したわね。
作者:い、いや、違うんだ。これは、レイの話しだから仕方がないんだよ。
これを書くのは、僕だって、すごく辛かったんだよ。
レイ:それより、私って、ぜんぜん幸せそうじゃない。
作者:これで、本当に幸せなのか?ってことかな。
レイ:せっかくの私の話なのに・・・。
作者:前の、「シンジの1日」だって、テーマはそれなんだよ。アスカ様は、
それで本当に幸せなのかってね。
レイ:そういうことなの。
作者:でも、徐々にレイに向かっているんだよ。だって、アスカ様のお墓参
りをしてるでしょ。それが出来るくらいになってきたってことなんだ
しね。
レイ:そうだったの。待っててよかった。
作者:はぁぁぁ・・・。下のコメントが・・・恐い。もしかしたら、アスカ
様は、登場しないかもしれないな。もし、もし、出てくるようなこと
があったら・・・・・・助けて・・・助けて、カヲル君。って、カヲ
ル君じゃ、アスカ様は止められないか・・・。ふう。
作者 「さて、第2本目は杉浦さんですね。いやぁ、いつもいつもありがとうございますです」
アスカ「カヲル、私が悪かったわ」
カヲル「・・・・どうしたんだい? いきなり・・・・いつもの君らしくない・・・・恐いよ・・・・」
アスカ「だって、自分がいなくなった世界での恋愛ほど、見ていてつらいもの」
作者 「それをみていると、もどかしいと?」
アスカ「自分がいればシンジをファーストなんかにむけさせないのに」
作者 「ま、カヲル君の場合は生きていてもシンジ君が振り向くとは限らないけどね」
カヲル「しくしくしく・・・・」
アスカ「とまあ、それは置いておいて、と・・・・(にっこにこ)」
作者 「ををうぅっ! 顔は笑って、目が座ってるぅ・・・・」
アスカ「どーして、アタシは死んでいるのかなぁ?」
作者 「・・・・杉浦さんに聞いて下さい」
アスカ「どーして、アタシが死んでいるのかなぁ?」
作者 「・・・・だから、杉浦さんに聞いて下さい」
アスカ「どーして、アタシが死んでいるのかなぁ?」
作者 「杉浦さんに聞いてくださいよぉ・・・・汗」
アスカ「・・・・まあ、いいわ。しっかし、シンジもなかなか殊勝な心がけよね。アタシがいなくなってもあたしのことをずっと忘れないでいてくれるなんて」
作者 「死してなおアスカ様の亡霊におびえる日々か・・・・かわいそうに」
カヲル「でも、それももうすぐ綾波レイが呪縛を解き放ってくれる、と。完全なる忘却の淵に沈むんだね、君は」
めきょっ!!
アスカ「アンタたちふたり、殺す! 誰がなんといおうと、殺す!!」
二人 「ひ、ひえええええっ!!」
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