こんな時刻になってもユイは決してシンジを起こしに行くことはない。
そもそもシンジを起こすのは彼女の役目ではない。
そんなコトをすれば越権行為になってしまう。
シンジを起こす権利はもう一人の『保護者(本人談)』のものだからだ。
そんなことを考えながえていると、自分の分を食べ終えてしまった。
親が子供より遅く起きてくる。そんなことでは子供に示しがつかない。
普段父親の威厳がどうだ、と主張しているのは一体誰?
すでに日課となっている思索にふけりながらユイは、
彼女が唯一起こすことを許された夫の元へと、
彼が惰眠をむさぼる2階にある夫婦の寝室へと向かった。
ゲンドウに幾ばくかでも父親としての威厳というモノが残っているとすれば、
それは全てユイの影の努力によるモノだった。
ガチャッ!!
少々乱暴にドアノブを捻る。
すかさず、
バンッ!!
こんなかわいいコトで敵が反応するハズがない。
充分知ってはいるのだが、もはや朝の儀式の一部と化した観がある。
埃一つ無い程掃除が行き届いた部屋。
ベッドは無論ダブルベッド。
目標はその端っこで今にも落ちそうな体勢で眠っている。
コレではシンジとどう違うのだろうと思っていると、
ゲンドウはもそもそっと動きだした。
目覚めた訳ではない。
寝返りを打ったつもりのようだが、
うつぶせのまま右足がベッドから落ちただけだった。
全ての状況を完璧に把握した碇ユイは、ゆっくりと大きく息を吸い込んだ。
「あなた!!」
ゲンドウはうっすらと目を開けた。
目に飛び込んできたのは、すっかり見慣れた寝室の天井。
転じてエプロン姿で腰に手を当てて立っているユイの姿。
「よぉうやく、お目覚めね。あなた。」
じぃ〜っとユイの顔を見ていたが、
それが最愛の妻であるのに気付くまで2呼吸の間があった。
「……ああ、ユイ……。」
だが、思考はさっぱり廻らない。
キチンと廻っているのなら、ここで飛び起きたはずだ。
ゲンドウはユイに逆らったコトなどない。
彼女と出逢った高校時代以来20年余、1度としてない。
それは男の余裕だと、かつてシンジに語ってみせたが、
一人息子がそれを信じたかどうか、それは定かでない。
「『ああ』だけなんですか?
こうして毎朝遅刻しないように起こしてさしあげてるのに、
それが愛する妻に捧げる感謝の言葉ですの?」
“いいかげんにしなさいよ”とばかりに右手を腰にあてているユイ。
だが、ゲンドウは反射的に半身を起こしたものの、目をこすりながら、
「ああ。感謝してる。だからもう少し寝かせてくれ……。」
再び布団に潜り込もうとする。
ついにしびれを切らしたユイは実力行使に出た。
両手でむんずと布団を掴み、
「何甘えてんですか!うんもぉ〜〜、さっさと起きなさい!」
と、力任せにひっぺがす。
しかしながら布団に絡まっていたゲンドウも一緒にひっくり返ってしまった。
ゲンドウは、寝室の床へ勢い良く大の字に放り出されたのだった。
ふと見ると彼のパジャマ・ズボンの一部は自己主張をしていた。
しかし、ユイは平然としたモノで、頬を朱に染めるでもなく、
「あら、あなた、結構お若いんですのね。」
本人はクスっと微笑んで見せたつもりだった。
しかし、ゲンドウにはニヤッと笑ったようにしか見えなかった。
「……よせ。」
1人ゲンドウは頬を赤らめていた。
新世紀エヴァンゲリオン
Welcome 外伝 |
『碇ゲンドウの華麗な一日』 |
───── 朝 ─────── |
ダイニングキッチンの壁にかけられた時計は午前7時50分を指していた。
この時計、正時にはカラクリが動き出す。
これがまた凶悪なモノだった。
日中は森の動物達が音楽に合わせて踊っているだけなのだが、
日が暮れた時分になると、何処からともなくお花畑が現れて、
王子様とお姫様がキスをするという代物だった。
それもムードたっぷりの音楽と共に、修飾過剰な程のライトアップの中で。
決してゲンドウの趣味ではない。
これは2人の結婚式に冬月教頭が『ユイへ』結婚祝いに贈ったモノだった。
ユイが王子様とお姫様のキスを見て小踊りして喜んだのは当然だろう。
何しろ、ロマンチック、いや乙女チックの粋を追求した冬月教授の研究成果なのだから。
これに辿り着くまで一体何件のファンシー・ショップやアンティーク・ショップを廻って、
女性客や店員に気味悪がられたことか・・・・。
一方、ゲンドウが心の中で、
(冬月め、余計なことをしおって)
そう呟いたのは言うまでもない。
ユイは出勤着の白いブラウスとクリーム色のタイトスカートに
そのままオレンジ色のエプロンを着けていた。
もちろんブラウスの袖は濡れないようにまくりあげている。
あらわになった腕はうなじのように白い。
ゲンドウそれをは新聞を読みながらも、チラチラと横目で見ていた。
ユイは既に朝食の後片付を始めていた。
これは夕食の準備をするゲンドウへの心配りだ。
夕飯はゲンドウの担当だった。
決して尻に敷かれているのではない(つもりだ)。
新婚の頃から、ゲンドウは夕食の準備を完璧に整えて、
仕事柄どうしても遅くなるユイの帰りを待つのが習慣なのだ。
高校生の頃から自炊で通し、昼食も手作り弁当を持参した。
弁当は毎日一つ余分に作っていた。
ゆえに彼は、一介の主婦を遙かに越えた料理の腕前を持っていた。
だが、そんなゲンドウも朝はぐうたらしている。
学生時分の反動なのか、それともユイに甘えているのか。
ゲンドウはこんな時刻になってもまだパジャマのまま。
テーブルに座ったまま新聞を広げている。
その姿を目にする度にユイは思わずタメ息が出てしまう。
そのとき、二階へつながる階段から乾いた音が響き渡った。
いつものことだ。2人とも振り返りもしない。
「もう、シンジったら、せっかくアスカちゃんが迎えに来てくれてるっていうのに、
しょうのない子ね。一体誰に似たのかしら?」
ユイは独り言を装い、飽くまでゲンドウに聞こえるようにそう言った。
“血は争えませんわね”とでも言いたげな視線をゲンドウに向けたが、
それと予想したゲンドウは目も合わせず、
「ああ」
とだけ答えた。
その態度にユイも少々むっとしたのか、ついに、
「あなた、いつまでも新聞読んでないで、さっさと支度して下さい。」
と切り込んだ。
実際、時間が無いのも事実だが。
「ああ。」
それをもさらりとかわし、のうのうと新聞を読んでいるゲンドウ。
手元は忙しげに働かせながら、ユイは呆れ果てた様に呟いた。
「ホントにもう、いい年して。シンジとちっとも変わんないんだから……。」
(これまでか?)
これ以上ユイを怒らせると新聞を取りあげられかねない。
それでもゲンドウは、
「君の支度はいいのか?」
と、話題のすり変えを謀る。
だが、
「とっくに。あなた、会議に遅れて冬月先生にお小言言われるのは私なんですよ。」
と、簡単に切り返された上、怒られてしまった。
確かに、いつも小言をいわれるのはユイだった。
ゲンドウ本人に言っても“問題ない”と言うばかりで、
まったく聞き入れないという事実を冬月教頭は知り尽くしている。
雲行きが妖しくなって来たのでゲンドウは、
「相変わらず君はモテるからな。」
と、茶化してはぐらかしにかかったが、
「バカ言ってないで、さっさと着替えて下さい。」
と、バッサリ切られてしまった。
「ああ、わかってるよ、ユイ。」
と、一応は返事をしておく。
するとタイミング・ピッタリ。
ようやくシンジ達が部屋から出てきた。
階段の方から大きな声がする。
ユイが注意がそちらの方に逸れたのを確認すると、
ゲンドウは今しばらく新聞に目を落とすことにした。
「ほぉら、さっさとしなさいよ!」
「わかってるよ。ホントうるさいんだから、アスカは。」
「なんですってぇ!」
そして派手な平手打ちの音が響く。
“そのうち愛想尽かされちゃうんじゃないかしら?”と、
なにげに聞き耳を立てていたユイは思った。
やがて両頬を真っ赤に腫らし、涙目のシンジがアスカに手を引かれて降りて来る。
アスカが階段を降りるときまで手を引くのでシンジはへっぴり腰で降りてくる。
ダイニングの横を通り過ぎる時、既に自分の朝食がラップに包まれ、
テーブルに置かれているのが目に入った。
“あぁ、また朝ご飯が食べられなかった”と、
シンジが悲しそな恨みがましそうな顔を浮かべた瞬間、
「そんなに朝ご飯が食べたきゃもっと早く起きなさいよ!」
アスカの鋭い突っ込みが入った。
“そうしたら(アスカが来る前に起きていたら)、もっと機嫌悪かったくせに”と、
シンジは、ノドまで出かかった言葉を慌ててのみ込んだ。
口の端に上らずとも、シンジの文句を逸早く察知したアスカがキッとにらむ。
シンジはうなだれたまま玄関まで引きずられて行くしかなかった。
「シンジ!、さっさと靴はいて。じゃあ、オバ様。いってきまぁす!」
「さっさと靴はいて」と「じゃあ、オバ様」の間にある激しい落差は何なんだろう・・・・
シンジが考えていると、ユイがダイニングの入り口からひょいと首だけ出して、
「はぁい、いってらっしゃい。
シンジ、転んだりしてアスカちゃんに迷惑かけちゃダメよ。」
と茶々を入れた。
「トホホ、いってきます。」
シンジはアスカに押し出されるように玄関を出た。
ユイがアスカにウィンクで“シンジのことよろしくねぇ”と合図すると
アスカは手をピラピラと振って“はぁい!”と合図を返した。
それを“何してんの?”と言う顔で見ていたシンジだったが、
アスカにいきなり頭をはたかれた。
「早く行きなさいよ!」
ドアが閉まって、やっと二人が学校へ向かった。
それを何気に盗み聞きしていたゲンドウ。
“シンジ、お前には失望した。その年で既に女に敷かれおって。”と
つぶやこうとしたが慌てて飲み込んだ。
ダイニングの中へ首を引っ込めたユイと目が合ったからだ。
だが、ついと目をそらした瞬間、
「ほらもう、あなた!いつまで読んでるんですか!いいかげんに支度してください!」
と、バッサリ切られた。
「ああ、わかってるよ、ユイ。」
さすがにこれ以上は無理だ。
ユイは間違いなく本気で怒り出すだろう。
ゲンドウはこれで朝のくつろぎのひとときを終えることにした。
しかし、“くつろぎのひととき”などと思っているのはゲンドウだけで、
ユイ自身は“朝から手のかかる子供が二人”としか思っていない。
とはいえ、シンジの方は専任の担当がいるので大助かりだったが。
第三新東京市への首都機能の移転はほぼ完了していた。
来年度上期には首都が第三新東京市へ遷都される。
しかし奇跡的にも一局集中するような馬鹿な真似は回避された。
東京都丸の内地区を中心とする国会、皇居を含める地域、
長野の松代、第二新東京市、そしてここ第三新東京市に首都機能は分散される。
それぞれの地域は、1日に100万人を輸送できる鉄道網、
1日に150万台の交通量を持つ道路網、
そして、1秒間に200テラビットの容量を持つデジタル回線で結ばれていた。
しかし、それでも市街奥深くでは通勤時間には決まって渋滞が発生した。
人類の英知を結集しても、この種の自然渋滞を解消するのは難しい。
ゲンドウとしては理事長と校長のコンビなのだから、
運転手付きのリムジンか何かで登校したいというのが本音だった。
しかし、この交通渋滞では無理な話だ。
「だからと言ってスクーター登校はないだろう」
「何を毎日おんなじコトいってるんですか?
大体あなたがもっと早く起きてくだされば自動車通勤もできるんですよ?
もう、先に行きますよ」
そう言ってユイはさっさとヘルメットを被ると先に発進してしまった。
ゲンドウもしかたなくヘルメットを被ると右手のスロットルを廻した。
二台の電動スクーターがわずかなモーター音を立てて走り出す。
渋滞の道路でさっぱり進まない車達を後目に、
さっそうと路側帯を駆け抜けて行く2台のスクーターは、
既に巷の噂に登っていた。
何しろパステル・ピンクに染め上げられた車体だから。
無論この色もゲンドウの趣味ではない。
ユイに牽かれて最寄りのショッピング・モールに足を運んだ時だった。
売場にパステル・ピンクの電動スクーターが二台並んでいるのを見た時、
ゲンドウはとてつもなくイヤな予感がした。
恐る恐るユイの方へ顔を向けると、
インスピレーションが走ったのよ!
彼女はそんな顔をしていた。
瞳はうるうると潤み、スクータ相手にすでに恋に落ちているのが、
ゲンドウにはイヤと言うほど解ってしまった。
それでも一応、ゲンドウは激しく抵抗したが、
「あら、夫婦でおそろいのスクーターで通勤なんて素敵じゃありませんか。
しかもこんなにかわいい色だし。」
と押し切られてしまった。
夫婦そろってパステル・ピンクのスクーターで始めて登校する朝、
休日出勤する二人を見送りに出たシンジは、
パステル・ピンクとゲンドウのギャップに懸命に口元を押さえていた。
買い物に付き合わせるためにシンジを起こしに来たアスカも、
その隣で肩をヒク付かせていた。
ゲンドウのしぶぅ〜〜い表情が無ければ、
2人とも痙攣を起こすくらい笑い転げたコトだろう。
「シンジ、何がそんなにおかしいの!」
「だって、父さんとそのピンクがぜんぜんあわないんだもん。しかもペアルック!」
「何を言ってるの。あなただってアスカちゃんとおそろいの
フリフリハンカチ持ってるでしょう?」
「!!」
「それは小学校低学年の時です!おば様!」
突然火の粉が自分にも振りかかってアスカは慌てた。
シンジにすれば、すでにそれはトラウマである。
思わず顔がひきつっている。
凶悪なほど過剰なレースのフリルが付いたハンカチを
『フリフリハンカチ』と言い表すことがユイは好きだった。
毎朝、幼いシンジに
「はぁい、フリフリハンカチ!」
と言ってそのハンカチを手渡すユイの瞳はキラキラと輝いていたが、
シンジはうなだれていた。
だが、毎朝ハンカチを受け取るのにアスカに監視されていては
受け取らないわけにも行かなかった。
それというのも、話は小学校2年生の6月に遡る。
そのハンカチは誕生日のプレゼントとしてアスカがシンジに贈ったモノだった。
初めて学校へ持っていった時、シンジは友人達に冷やかされ、
以来それを持つのを嫌がった。
しかし、アスカは許さなかった。
小学校も2年生になれば「男子」と「女子」の間には垣根ができ、
お互い妙に意識してしまい話もしなくなる。
しかし、なぜかシンジには「女子」を全く警戒させないところがあった。
母譲りの優しげで整った顔。
神経質なまでに他人に対する心配り。
男女の区別無く発揮される優しさ。
幼いながらも彼女らの母性本能をくすぐるひ弱なまでの繊細さ。
理由を挙げれば、まだまだあるだろう。
しかし、アスカにとってみれば、単に「お子様」なだけだった。
ゆえにアスカは自分とお揃いのハンカチというテリトリーマークを、
シンジに持たせたのだ。
むろん、当時のアスカがそんな論理立てて考えていた訳ではない。
無意識の内での行動であった。
そして、それはシンジが「女子」を意識するようになる4年生の始めまで、
延々と続けられたのだった。
そんな経緯を当然知っているだけに、
ゲンドウはシンジの思考過程を正確に類推していた。
それは、父親として、ではなく、経験者ゆえに可能な推測だった。
「シンジ、男とは辛いものだな」
「子供に向かってなに馬鹿言ってんですか!
もう行きますよ!
また冬月先生にお小言言われるのは私なんですからね!」
ゲンドウはスクーターを運転しながら、そんなコトを思い出していた。
程なくして『私立第三新東京市第壱学園』の文字が見えてきた。
門を潜って行く生徒達の歩調からすると、職員会議には間に合っているはずだ。
さらにはミサトの赤いルノーが見あたらない。
これなら大丈夫だと思った瞬間だった。
いきなり後ろからクラクションがけたたましく浴びせられた。
バックミラーを見ると真っ赤なルノーがものすごい速度で迫って来る。
慌ててユイとゲンドウは左右にそれて道を開けると、
当然と言わんばかりにルノーはその間をまっすぐ突っ切る。
スピンターンで車体を横滑りさせ、そのままきっちり駐車スペースに収まった。
悠然と黒のタイトスカートに赤いショートジャケットのミサトが降りて来た。
が、次の瞬間ゲンドウ達を振り返りもせず、脱兎の如く玄関へ向かって走り出した。
ユイはそんなミサトのそばをそのまま通り過ぎたが、
ゲンドウは走るミサトの少し前でスクーターを止め、振り向きざま、
「葛城君、後で校長室へ来るように。」
捨て台詞を残して走り去った。
愕然とするミサト。
思わず足が止まってしまった。
「間に合ったと思ったのにぃ〜〜〜!」
(間に合った、はず・・・・・・・・ぬかったか)
職員室には既に全教師がそろい、冬月教頭は最前部に立っていた。
本来なら校長であるゲンドウが立っているはずの場所だ。
ゲンドウが心の中で舌打ちをした。
またしても職員会議に遅刻した碇夫妻が冬月から小言をいわれている。
いや、小言をいわれているのはユイだけだ。
ゲンドウに小言など効きはしないことが解っている冬月は、
始めからゲンドウなど相手にしない。
理事長が教頭に向かってペコペコ頭を下げる様は、どう贔屓目に見ても
“無様ね”その一言に尽きる。
そんな感想は当然リツコのモノだが、そんなことはおくびにも出さない。
ただ、心の内で続けるだけだ。
(私だったら、こんなコトないのに)
そんな想いが彼女の視線をついとゲンドウの方へと走らせる。
その瞬間、ユイに睨まれた。
女は聡い。
惚れた女ならなおさらだ。
(はいはい解ってますよ)
決着のついた相手だけに、リツコは早々にこの戦から撤退した。
この間ゲンドウはいつものように机の上で手を組み、
親指であごを支えた姿勢で無言を通している。
お小言が一通り終わると、冬月はわざとらしく一つタメ息をつき、
「碇、少しはユイ君がかわいそうだとは思わんかね?」
と、搦め手からの奇襲に出た。
どうこう言っても惚れた相手だ。
鉄仮面と呼ばれるゲンドウも少しは動揺するかと思ったのだ。
しかし、ゲンドウは眉一つ動かさず、
「時間がない。早速議題に入ってくれ」
と、切り返す。
(この期におよんでまだ話をすり変えるか!)
冬月は腹が立ったが、時間がないのも事実。
「はぁ、・・・・・・・・さて、最初の議題だが、・・・・・・・・」
今日も職員会議がむなしく始まった。冬月にとって。
NEON GENESIS
EVANGELION"Welcome"
Extra Edition
"The Days of Wine and Roses for Daddy"
Episode 01 : Blight Morning
月刊オヤヂニスト
冬月「貴様・・・・全く遅刻を改める気配がないと思ったら、タダ単に寝坊していただけだと!? 一番最初に言ったはずではないか! いい加減寝坊する癖をやめろと!」」
ゲンドウ「問題ない。計画は所定の0.3%も遅れていない。委員会は何も言ってこない」」
冬月「計画の現在までの進行予定が0.3%だとしたら、それはゼロだゼロ! ゼロというのはだな、全く進んでいないのと同義語だぞ。分かっているのか! それに委員会が何も言ってこないのは、風紀委員会が校長に何を注意しろと言うのだ!」
ゲンドウ「人を小学生のように言うな。私とてゼロの意味くらいは分かっている」
冬月「分かっていてなおそれをやるというのか!」
ゲンドウ「春眠暁を覚えず、と言うではないか」
冬月「この世界は永遠に夏だ! 夏!」
ゲンドウ「ふっ。 ヂヂイは朝が早いからな」
冬月「ぬあんだとぉぉぉぉぉ! 貴様、人をヂヂイよわばりするか!」
ゲンドウ「ををう、すまんすまん。頭にクソをつけるのを忘れていた」
冬月「ふぬうううううううううううう!!」
ユイ「まあまあ冬月先生。あまりお怒りになるとお体に触りますよ。もう年なんですから」
冬月「おおう、ユイくん。すまんな、私の身体まできづかってもらって」
ユイ「いえいえ。年長者をいたわるのは当然のことですわ」
ゲンドウ「(ユイがヂヂイよわばりするのはOKなのか・・・・)」
ユイ「あなた(じろ)」
ゲンドウ「(ぎく)なななななんだ?」
ユイ「今度寝坊したら、どうするか私、言いましたわよね」
ゲンドウ「(ぎくぎくっ)な、なななんだったっけか?(はははは)」
ユイ「今度寝坊したら・・・・」
ゲンドウ「ぎくぎくぎく」
ユイ「夕食、1週間作るの禁止でしたわよね」
ゲンドウ「なんだと! ユイ! おまえは私の楽しみを奪うというのか! ささやかな夕食を作る小市民的楽しみすらも!」
ユイ「あら、約束したじゃないですか」
ゲンドウ「いつだいつ! 一体いつ約束した!」
ユイ「私が昨日朝起こしに言ったときですよ。忘れたんですか?」
ゲンドウ「忘れたもなにも、起き抜けでボケボケな私の頭が、そんな約束を覚えているわけがなかろう! 一体何度言わせれば分かるのだ! この間も同じように約束したと言って怪しいペアルックのパジャマを買わせるわ、その前は・・・・」
ユイ「あなた、自業自得って言葉の意味、ご存じ?(にっこり)」
ゲンドウ「うぐ・・・・・」
冬月「しかし、貴様も不運よの。朝の生態まで赤裸々に公開されるとは」
ゲンドウ「人を希少生物か天然記念物のような言い方をするな!」
冬月「おや、違うというのか。じゃあ一体なんだというのだ?」
ゲンドウ「有名人の苦労といえ苦労と。ふっ。売れっ子はつらいものだ。どこかのオイボレと違って、私の全てを知りたいという日本国内推定約1億のオヤヂニストファンの要望なのだから」
冬月「ぬあんだとおぉぉぉ!! 人をオイボレ扱いするか!」
ゲンドウ「おや、違いましたか。これは失礼。オイボレヂヂイの間違いでしたな」
冬月「ふんぬーーーーーーーーーーーーー!!(怒)」
ユイ「まあまあ冬月先生。あまりお怒りになるとお体に触りますよ。もう年なんですから」
冬月「おおう、ユイくん。すまんな、私の身体まできづかってもらって」
ユイ「いえいえ。年長者をいたわるのは当然のことですわ」
ゲンドウ「・・・・もしかしてエンドレスか? ここの会話は(汗)」