退魔戦記 NERV

第一話 適格者たち


人は闇を恐れ闇を削り生きてきた。

しかし、陽(ひかり)あるところには常に陰(かげ)がつきまとう。

そう、常に陰陽は表裏一体なのだ。

それ故に陽が大きくなれば陰も大きくなる。

今、繁栄をする都、第三新東京市ここにも陰が生まれていることは疑う余地もない。

そして陰に生きる者、そして『モノ』。

魑魅魍魎が跳梁跋扈する闇に巣くう異形の生物そして狂気に支配された人々。

しかし、それらを討つべく戦う宿星を背負った者たちもこの街に集っていた。

そして今夜もその『陰』より生まれたモノどもが蠢く。

「はあ、はあ、あっ」

そこは人通りも少ない深夜の住宅地。
首都が移転されれば人通りも少なくなるだろうがいまの第三新東京市は工事現場もちらほら見られる開発中の都市にすぎなかった。
そんな、住宅地を一人の女性が足をもつれさせながら走っていた。
何かにおびえるような顔でただ走っていた。
その背後にはただ漆黒の闇のみ。
それでも、何かにおびえ、その何かから逃げているようだった。

「はあ、はあ、はあ、・・・・あっ」

ぐらっ

次の瞬間、なにかに足を取られたのか道路に倒れ込んでしまう。

「ひぃっ」

ストッキングは破れ、膝には血がにじんでいるがそんなことは気にもとめず恐怖に彩られた瞳で背後の闇をうかがうがやはりそこには何もなかった。
しかし、背後に迫る『何か』におびえ再び立ち上がり走り出す。

「ひい、ひい、ひい」

しかし、この女性にとってもこの住宅地は不案内な所だったらしくついに行き止まりに当たってしまう。
恐怖にかられた瞳でもときた道に戻ろうと振り向く。
その視界には誰もいなかったはずだった。

しかし、次の瞬間、

バシュ、バシュ、バシュ

くぐもった音が深夜の住宅地に響く。
女性は何が起きたのかわからないといった顔で鈍痛の走った自分の腹部に手をやる。

にゅるり

なま暖かい液体の感触を感じる。
のどの奥が焼けるように熱くなってきた。
ぼんやりとした頭で自分の手を見る。

赤、赤、赤、赤

その手はまさに紅に染めあげられていた。

「あ、あ、あ、あ、あ、・・・・・」

ごぼっ

次の瞬間、のどの奥からこみ上げてきた液体が口からほとばしる。
口紅を塗ったかのごとく血で染めあげられた唇。
腹部を押さえ呆然と恐怖を同居させた表情のまま膝から崩れる。
そのまま、膝を折り道路の上に仰向けに倒れる女性。

『彼女』が最後に見たのは袋小路の入り口に立つ少年と呼ぶのがふさわしい人物とその手に握られたサイレンサー付きの銃だった。

少年は無言のまま女性の命が燃え尽きるのを見ていた。
「・・・・・・・フォースよりコマンダー目標をイレイズ(消去)。」
「了解、死体の回収と同時に作戦を終了します。」

的確な会話で必要なことを伝えると少年は女性だったモノに近ずく。
「・・・・・・・・すまんなあ。」
開かれた口から出てきたのは人なつっこい関西弁に近い言葉だった。

「まあ、成仏して・・・・・」

しかし、その言葉をすべて言い終えることはなかった。

ニヤリ

笑ったのだ。
女性が。
死んだはずの女性が。

あわてて、後ずさる関西弁の少年。

ゆらり

まさに幽鬼と呼ぶべき姿で女性が、いや、女性だったモノが立ち上がる。
少年は怒りにあふれた表情で素早く半身の空手に似た構えをとる。

顔を伏せていた女性だったモノが顔を上げそして再び「ニヤリ」と笑った。

「・・・・・あかん、ここまで憑かれとったとはなあ。じゃがのう、ここで逃すわけにはいかんのや。」

「ぐおおおおおおおおおお」
もはや、女性だったモノは声すらケモノとなっていた。

ぎちぎちぎち・・・・・
爪が、犬歯が伸びる。
もはや、ヒトとは呼べない。
まさにケモノと化していた。
「・・・・・フォースよりコマンド。目標、再活動開始。これより交戦に入るで」

その言葉、と同時にまさに少年は『飛んだ』。
跳躍と呼ぶにはあまりにすさまざしい勢いでケモノに襲いかかる。

少年の右拳がぼんやりと光を放つ。
「掌底・発剄!!」
少年が繰り出した拳がひときわ鋭く輝くと次の瞬間、拳から『気』が放たれた。

がすっ

鈍い音と共にケモノの体は砕け散るはずだった。
しかし、魔人の技ともいうべき少年の攻撃をケモノはかわした。
年若き女性の姿からは到底信じられない方法で。
少年の突進を見て取るやいなやケモノも同じく『飛んだ』のである。
それも、近くの二階建て民家の屋根めがけて。
すでににヒトと呼ぶべきではないその跳躍力。
軽々と二階の屋根に飛び移り、少年の『気』を宙でかわしたのだった。

そのまま素早くケモノは次の跳躍に移る。
少年もすかさず追い打ちをかけようとするが『気』を練る前に発剄の射程外に逃げられてしまう。

少年は取り逃がしたことを悟ると舌打ちを一つして、インターフェースで連絡を取った。「フォースよりコマンダー。目標を取り逃しました。ターゲットは中央区へ向け逃走。」「了解、鈴原君は日向君と合流して、合流場所はその三ブロック先の交差点よ。」
「すんません、ミサトさん。」
「大丈夫よ。まだ手はあるわ。」

ケモノは満足していた。
いままで妖気を蓄えるために隠れていたヒトは死んでしまったがその肉体を利用してこの世界で実体を得ることができたのだ。
愉快でたまらない。
これで、肉を持つ者を引き裂きその者の恐怖に引きつる顔を楽しめる。
くくく、思わず笑いがこみ上げてくる。
ひ弱な人間どもを再び『狩る』
これに勝る楽しみはない。
ひとまず、人の多くいるところで『食事』にしようと考え、再び屋根から跳躍した。

「・・・・・・・・邪なるモノの動きを奪いたまえ、不動呪縛陣」
ケモノはいきなり自らの跳躍力が奪われたのを感じた。
そのまま、重力に抗うこともできず地面にたたきつけられる。
「ぐぎやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

馬鹿な、馬鹿な、馬鹿なああああああああ

いきなりの事で地面にたたきつけられたケモノ。
ヒトだったときには美しかった顔を醜くゆがめ怒りの咆哮をあげる。

そんな、ケモノを見つめる赤い瞳。
ケモノもそれに気がつき怒りに身を焦がす。
その瞳の持ち主は青い髪の少女だった。

「ぎぎぎぎぎぎぎぎ・・・・・・」
思わず口元がほころぶ。
少女は手に何も持っていない。
先ほどは飛び道具によって攻撃されたが何ももっていない、しかも女なら恐れる必要はない。
これならその肉を引き裂くこともたやすいだろう。
そう考えたケモノは次の瞬間、少女めがけて襲いかかった。

「・・・・すべての悪しきモノよりこの身を守れ、呪壁護法陣」

がきぃぃぃぃぃぃぃん

ケモノの爪は少女の手前で粉々に砕けた。
「ぐあああああああああああ」
ケモノは信じられなかった。
これだけ強力な防護術を瞬時に展開できるとは。
こいつも敵だ。
しかも、さっきの少年に勝るとも劣らない力を持つ敵
普通の戦い方ではこいつには勝てない。
そう思うや、ケモノは近くの電柱を叩き折った。
少女がその電柱から身を守ろうと再び術を発動させた。
そのすきにケモノは少女を飛び越え走り去ろうとした。
ケモノの動きならそのまま逃げ切れるはずだった。
少女をを飛び越え走り去ろうとしたとき目の前に少年が立っていたのに気がついた。

ケモノを悲しそうな瞳で見つめる少年。
しかし、逃げること以外余裕のないケモノにしてみればただの障害物でしかなかったに違いない。
すれ違いざまの爪の一閃でその命を奪える。
そう考え少年に向かって走り出した。
次の瞬間、少年は手に持っていた細長いモノを構えた。

それを見ても、ケモノは恐れる必要はないと考え少年に襲いかかった・・・・・
そう、ケモノの意識では間違いなく少年に襲いかかったはずだった。
しかし、実際は自らの体をすれ違いざまの居合いで真っ二つにされていた。
ゆがんだ笑いを浮かべたままその体は崩れ去った。
そして、体からは蛇のような一つ目の化け物が飛び出してくるがそれも真っ二つにされていた。

「・・・・・・・碇流念法、霊破斬妖剣、朧」

淡く光る木刀でケモノを切り捨てた構えのまま少年がつぶやくような声でしゃべったのを薄れゆく意識の中でケモノははっきりと耳にしていた。

少年は自分が切り捨てた女性の目に手を当て目を閉じさせた。
そんな少年の後ろでは少女がさっきの関西弁の少年と同じような形のインターフェースで連絡を取っていた。

そのうち連絡が終わったのだろう、少女は少年に歩み寄った。
「・・・・・碇君」
「・・・・・・・・・また、救えなかった。結局僕の『力』じゃ人一人救えない。」
「・・・それは違うわ。ここでやらなければもっと多くの人が犠牲になっていた。」
「・・・・・そうだね。今、僕にできることをしなきゃだめだよね。」
「・・・・・・・・・・・」
「帰ろう、綾波。僕たちはまだ戦わなきゃいけないけど今は帰ろう。」
「ええ、帰りましょう。私たちの守った街へ」

NAME:碇シンジ
年齢:14
所属:国連非公開組織 対妖魔機関 NERV(通称特務機関NERV)S級適格者認定第参号
経歴:念法と呼ばれる特殊な技を持って妖魔を倒す碇流刀術の継承者。
そのポテンシャルは今だ不明である。
愛刀の『阿修羅』とともに探索班のメンバーとして戦う。

NAME:綾波レイ
年齢:14
所属:特務機関NERV認定S級適格者認定第壱号
経歴:NERVによって初めて認定されたSクラス適格者。
その『力』は呪術関係に秀でており現時点においても赤木女史の作り上げた『破魔術』を誰よりも使いこなすことで証明されている。
ただ、過去においては不明な点が多いことはいなめない。

「ミサトさん、レイから連絡です、目標を倒したそうです。」
「そう、マヤちゃん、日向君にも伝えてちょうだい。本作戦は現時点を持って終了とするわ。」
「了解しました。」
「さあ、帰ったら一杯やるわよ!」
「・・・・ミサトさん(^^;」

NAME:葛城ミサト
所属:特務機関 NERV 日本本部、探索班班長 
階級:一尉
年齢:29
経歴:元戦略自衛隊、対テロ部隊ブラックベレー第一班班長
小隊規模の変則的な戦闘に天才的な冴えを見せる、その場に応じた柔軟な対応が可能な特殊部隊を指揮させれば並ぶモノなしと賞された。

「こちら日向、鈴原君を無事回収しました。このまま本部に向かいます。」
「了解しました。ご苦労様でした日向さん。」
「マヤちゃんこそご苦労様。」

NAME:日向マコト
所属:警視庁公安課 現在、特務機関NERVに警察側より出向
年齢:27
経歴:警視庁公安の若手No.1といわれる有能な警察官。NERVのメンバーとは浅からぬつきあいがあるため警視庁が監視役として送り込んできたが日向自身がNERVの必要性を理解しているため大変友好な関係を持っている。
彼の持つ警察関係の情報、人脈はNERVにおいても一目置かれている。
現在は探索班、班長補佐である。

NAME:伊吹マヤ
所属:特務機関NERV、技術部、補給課、課長
年齢:26
経歴:技術部部長、赤木リツコ女史の後輩に当たる優秀な技術者である。
ただ、その能力は開発よりも整備、改良(カスタム)に冴えを見せる。
NERVのあらゆる物資(もちろん武器も含む)を管理し、入荷する補給課の課長として遺憾なくその腕を振るっている。
もちろん、コンピュータを初めとする様々な機器に精通しておりNERVの誇る14式指揮装甲車(改)のオペレーター席は彼女の指定席であり、彼女お気に入りのかわいいクッションがおかれているのはNERVの常識である。

・第三新東京市、地下ジオフロント、特務機関NERV本部

「司令、無事に作戦終了との連絡が入りました。」
「そうか、被害の拡大を防げた事がせめてもの救いだな。」
「・・・・・・・・・・」
「司令?」
「どうした碇?」
「赤木君・・・・適格者は?」
「(クスッ)全員無事だそうです。」
「そうか、・・・・・冬月、あさってだったなヨーロッパからセカンド、フィフスが着くのは。」
「そうだ、迎えには葛城君をやることにしてある。」
「これでSクラス適格者のうち五名がここに集まることになります。」
「そうだな、これで少しは楽になればいいが・・・・・・」
「ああ、そうだな。」
「詳しくは明日の定例会議で説明します。」
「赤木君、ご苦労だった。」

NAME:赤木リツコ
所属:特務機関NERV 技術部、部長
年齢:29
経歴:若くしてハイテクと錬金術や呪術との融合の権威としてならした天才科学者。
神秘学の分野の権威でもある彼女は様々な術も開発している。
綾波レイが使う『破魔術』は赤木リツコが密教呪術や神道などを科学的に分析し洗練した物である。
このほかにも弾丸に呪的効果を付与する様々な技術をはじめ稀代の錬金術師とも賞された母親、赤木ナオコにも勝るとも劣らない技術力と名声を持つ。
彼女の研究室は別名『魔女の部屋』とも呼ばれているのは公然の秘密である。

NAME:冬月コウゾウ
所属:特務機関NERV 副司令
年齢:不詳
経歴:不明、ただその人当たりの良さから「NERVの良心」と賞される事もしばしばある。
どうも、NERV設立に多大な貢献を果たしただけでなく過去、碇ゲンドウの師であったらしく謎が多い人物であるがその神秘学に関する知識はすばらしいものがある。

NAME:碇ゲンドウ
所属:特務機関NERV
年齢:40代
経歴:この人物も20代以前の情報は全くない。その後の記録も不明な点が多い。
ただ、魔王星の存在とその影響によるヘブンズゲートの活性化などをいち早く察知しNERVを作り上げた手腕は見事な物である。
ただ、何故これほどヘブンズゲートなどに詳しいかは不明である。

「ああ、腹減ったなあ。なあ、日向はん、そこの吉野屋でもええからよらへんか?」
「いいのかい、彼女が待ってるんじゃないのかい(笑)」
「い、委員長とは何でもあらへんのですよ!」
「まあ、いいけどね。」

NAME:鈴原トウジ
所属:特務機関 NERV 探索班 S級探索員 Sクラス適格者認定第四号
年齢:14
経歴:NERV認定Sクラス適格者第四号
第三新東京市の第一中学校(略称、一中)の2−Aに在籍する中学生ながら古武術だけでなく『気』を操る技術を持つ格闘家である。
霊的能力は高くないがその非凡な格闘センスで探索班の切り込み隊長として活躍しており特殊装備の『特殊装甲服』の能力と合わさってショートレンジでの戦闘ではもっとも頼りになるメンバーである。
ただいつも着ている『特殊装甲服』がジャージそっくりなのはご愛敬である。

「赤木主任、そうしたんですか?」
「ええ、先ほど戦闘が終了して敵のサンプルが手に入ったから鑑識班の出番よ青葉君」
「またっすかあーー。ああ、せっかくのライブハウスの予約がああああ。」
「ふ、無様ね。」

NAME:青葉シゲル
所属:特務機関 NERV 技術部 鑑識班
年齢:27
経歴:元警視庁鑑識班
NERVの作戦において様々な代物を拾うことがある。
その拾った物から敵の死体まで何でも鑑定してしまうのが鑑識班である。
はっきり言ってかなり地味な職場であるがここの地道な情報収集が探索班や技術部のデータの支えとなっている。
ただ、上司が『あの』赤木リツコ女史である以上、労働基準法無視の仕事っぷりであることは疑う余地はない。
ある意味NERVでもっとも怪しい品々が集まるセクションとも言える。
メンバーもオカルト関連のみならず医学、考古学、科学、化学、など多種多様な人材が集まっているため技術部に組み込まれており、技術部と鑑識班を兼任する職員がほとんどである。(先に紹介した伊吹マヤ女史もその一人である。)
そのため鑑識班専属の職員は青葉班長のように総合的な鑑識技術(現場の検証など)を持つメンバーが中核となっている。
日向とは警察時代からのつきあいでもある。

「洞木さん、無事作戦終了したそうよ。」
「そうですか、それでみんなは?」
「全員無事、負傷者もなし。」
「よかったあ。」
「ふふふ、よかったわね。鈴原君が無事で。」
「あ、赤木博士!」

NAME:洞木ヒカリ
年齢:14
所属:NERV認定A級適格者 NERV医療班所属
経歴:本来は探索班に所属するであろう適格者でありながらその能力が治癒系のみの覚醒だったため前線には不的確と判断されNERVに登録されないはずだったがその強力な治癒術を生かして探索班のサポートを行っている。
トウジなどは彼女のことを委員長と呼ぶがそれは一中、2−Aの学級委員でもあるからである。

「・・・・ありがとう、無事に済んだんだな。わざわざ連絡ありがとう、りっちゃん。」

がちゃん

ホテルにかかってきた電話で作戦無事終了の知らせに微笑む無精ひげの男。
「やれやれ、ヨーロッパ土産は何にするかな。まあ、あの二人を連れて帰れば葛城も楽ができるだろうからな。」
そこまでは軽く笑っていたが次の言葉を口にする時には真剣な眼差しになっていた。
「・・・あの二人をここまで緊急に必要ってことはなんか近々あるって事ですか碇司令?」
そんな独り言と共に紫煙を天井に吹きかけた。
「すべてはこれからか・・・・・・」

NAME:加持リョウジ
年齢:30
所属:NERV 諜報部、部長
経歴:元内閣調査室の腕利きエージェント。
NERVの諜報組織はそのまま交戦状態になることも多くシールズクラスの戦闘能力を有する隊員で諜報部は編成されている。
そのため情報収集以外にも探索班だけでは手が足らないときなどは武器を所持して戦うことも多い。
考えようによってはもっとも危険な部署でありそこの部長である加持の腕もトップクラスである。


・イタリア
「シ、シスター、どうかあの子を助けてください。」
とある病院。
そこの一室で一人のシスターと一組の親子がいた。
ただ、その息子はベットの上で目を光らせ宙に浮いていたが。
『けけけ、無駄だ。このガキの体は俺がいただくことにするぞ。』
「主のみ名において命じます。悪魔よ今すぐこの子の体から立ち去りなさい。」
眼鏡をかけた黒髪で長髪のシスターは落ち着いた声ではっきりと言い放った。
『けっ、てめえの神の前でその陰気くさい面でもしてろってんだよ、このアマが。』
そのシスターはその台詞を聞いても動じなかったが次の一言で切れた。
『くそったれの神様もあてにならねーな、けけけ。」
「真実の書よ、この者に取り付きし邪なる者の名をマユミ・ヤマギシの名において欲する、今ここにその名を示せ。」
『ば、ばかな、し、真実の書だと!?』
次の瞬間シスターの掲げる十字架に見たこともない無い文字が浮かび上がる。
「あなたの名はこれです!!」
『ぐぐぐぎぃぎゃあああああああああ』
「この名において命じます、その子の体より立ち去り地獄に戻れ!」
『ぎぎぎぎ、きさまああああああ・・・』
「往生際が悪いですね。」
『貴様ごときにぃぃぃぃぃぃ』
「・・・・地獄に落ちなさい。」
『ぎぃゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!』
シスターは子供の体からエクトプラズムと化した悪霊をいとも簡単に引き剥がしたかと思うと地獄へ一瞬に送り返した。
「あ、ありがとうございます。」
「いえ、神の名において私はその務めを果たしただけですから。」
「本当にありがとうございます、シスター・マユミ」
「それでは、私はこれで」

そのシスター、山岸マユミはその病院を立ち去りバチカンへと戻った。
「シスター・山岸」
「はい、法王様。」
「時が来ました。」
「はい?」
「あなたを手放すのは惜しい。しかし、この世の運命をかけた戦いの地にあなたを送り出す必要が出てきたのです。」
「わたくしがですか?」
「そうです、あなたが真に共に戦うべき仲間の元へと向かうときが来たのです。」
「法王様、その場所とは?」
「・・・・日本、第三新東京市。」
「わかりました、すぐに向かいます。」
「汝に法王の名においてホーリーナイト(聖騎士)の位を授ける。直ちに日本のNERV本部に向かいなさい。主のご加護があらんことを」
「ありがとうございます、法王様。」
「行きなさい、あなたの故郷へ・・・・・」

NAME:山岸マユミ
所属:元バチカン法王直属エクソシスト部隊「テンプルナイト」所属 
   現在は特務機関 NERVに所属 Sクラス適格者認定第伍号
年齢:14
経歴:NERV認定Sクラス適格者第伍号
元は法王直属の秘密部隊であるエクソシスト(悪魔払い)部隊に所属していた。
神の力を借りた様々な術が得意技であり、あわせて法王より与えられた真実の書によって悪魔の名を知ることもでき悪魔払いについてはバチカン1の力を持つ。
(悪魔はその真実の名を知られるとよほど力の差がない限りその相手の命令に従わざるおえない。)   

同時刻、ドイツ
「あんた、ばかあ!このあたしから逃げられるとおもってんのお?」
『けけけ、生意気なことぬかすなガキが!』
一人の少女と中年の男が屋根の上でにらみ合っていた。
少女は真っ赤なタクティカルベストに身を包み、片手でショットガンクラスの銃を持っていた。
男の爪が伸び、まるで刃物のようなきらめきを持つ。
『くくく、我らが神より与えられし力を見せてくれるわ!』
「まったく、狂信者ってのはこういかれてるのかしら?まあ、いかれてるから狂信者っていうんだっけ。」
『けっ、それぐらいにしときなガキが!』
「ふん、あんたごときの相手をこのあたしがしてやるんだから感謝して地獄へ堕ちなさい!!」
『くそガキが!!』
次の瞬間、両者が宙へ飛んだ。

がきぃぃぃぃん

宙で交差をした瞬間、少女は腰に差していたショートソードを、男は伸びた爪を振り抜いた。
互いの鋭い一撃をかわし互いに跳躍した地点に着地した。
しかし、跳躍前との違いは男の爪が片方失われていたことだった。
互いに振り向く。
男の目には憎悪が、少女の目には勝利の輝きが。
次の瞬間、いつの間にか肩に掛けなおしていたショットガンをすばやく少女が構えた。
「GO TO HELL!!」
笑みを浮かべて少女は引き金を引いた。
持ち主の意志に従い銃弾は男に襲いかかる。
男も人外の動きでかわそうとするが左肩からごっそりとえぐり取られる。

ぐぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ

体を折り曲げ苦痛の叫びあげる男
『ば、ばかな。我が体は満月の出ている間は不死身のはずでわぁぁぁぁぁぁぁ』
「NERV特製の弾丸よ!あんたごとき三下の『力』で防げるわけ無いでしょ!!」
男はよろめきながらも再び少女に襲いかかる。
少女は素早くショットガンを回転させ銃身を握って棍棒の様に振り抜いた。
完璧なタイミングで男の頭部をとらえ、男はそのまま道路にたたき落とされる。
少女はそのままショットガンを投げ捨て、素早く腰に差していた銃で抜き打ちをした。
その銃から霊的エネルギーで強化された銃弾が打ち出され男の額を捕らえた。

そのまま崩れおちる男を屋根の上から少女が見下ろしていた。
「ふん、このセカンドチルドレン、惣流・アスカ・ラングレー様が直々に地獄に送ってやったんだから感謝しなさい!!」

NAME:惣流・アスカ・ラングレー
所属:特務機関 NERVドイツ支部に所属 Sクラス適格者認定第弐号
年齢:14
経歴:NERV認定Sクラス適格者第弐号
葛城ミサト直伝の指揮能力でドイツ支部の探索班をほぼ仕切ってきた腕利き指揮官でもあるが個人能力も呪術的な技術をのぞけば射撃、格闘、戦術判断など高レベルな技術を持つ。
なかでもほぼ完璧に自分の適格者としての霊的能力を覚醒させており、成長性には期待がもてないが現時点での適格者の中では完成度がもっとも高い。
   
現時点ではこれらのメンバーが宿星に導かれ第三新東京市へと集い戦う。
この世の運命をかけた戦いは続く。

(次回)
ヨーロッパより降り立った新たな二人の適格者
それに呼応するかのごとく現れるゼーレの刺客と共に現れたヘブンズゲート。
ヘブンズゲート封鎖のために出撃するチルドレンたち。
そこで現れた謎の少年?
そして、ゼーレのねらいは?

第二話:初出撃、ヨーロッパからの適格者


−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
《作者の部屋》
カヲル「ここの作者はまるで田○芳樹やアスカ君のようだね。」
アスカ「どうゆう事よ!!」
カヲル「大風呂敷を広げるが収拾がつけられない!」
アスカ「ふっ」

ざしゅっっっっ



カヲル「ぼ、僕が何をしたっていうんだい!!」
アスカ「ここのへぼ作者と一緒にするとはいい度胸じゃない!!」
カヲル「よけいな一言、命取り・・・・・(ガクッ)」
アスカ「ふん、ここの作者もエヴァWの第七話も書かずにこんなもの書いてるとはいい度胸ね。まあ、せめてもの救いはあの女が出てこない事ね。」
カヲル「あ、あの女って・・・・・」
アスカ「もちろん・・・」
マナ 「あら、誰のことですか私も聞きたいですね。」
カヲル「ひいぃぃぃぃぃぃ、でたあぁぁぁぁぁ」

どぱぱぱぱぱぱぱぱぱ



カヲル「ううう、ここでもこの運命か。(ばたっ)」
アスカ「い、いきなり蜂の巣とは・・・・・・あたしでもここまでしないわよ。しかもあんたはこの作品には出てないのに何様のつもりよ!!」
マナ 「あら、知らなかったんですか。私の出演は既に決定してるんですよ。」
アスカ「な、何ですって!!」
マナ 「早ければ二話から出演よ(はあと)」
アスカ「こ、この作者は(怒)」
マナ 「それに信濃ミズホちゃんの出演を交渉する計画までたててるのよ。」
アスカ「こ、このあたしを差し置いて(怒)」
マナ 「まあ、自衛隊の船、沈めたりしたのが悪印象になったんじゃないの(注:龍牙さんの『戦人たちの長い黄昏』の第八話より)」
アスカ「ここの作者は龍牙や島津の作品の大ファンだったわね。」
マナ 「同時にあたしのファンでもあるのよ。」
アスカ「ゆ、許すまじ、作者あああああああああ!!!!!!こ、このリピドーはどうやって解消すれば・・・・・・(ニヤリ)」
カヲル「(どきっ)」
アスカ「くくく」
カヲル「(ああ、助けてくれええええ)」
アスカ「天誅ぅぅぅぅぅぅぅぅぅ」
カヲル「僕がなにをしたああああああああああ」

どげっしぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ


《ここからしばらく放送禁止になります》

作者「さあ、次に備えて出演交渉に走るかな。」
???「ちょっとまてい」
作者「だ、だれだ!」
???「そうですう、私たちを呼んどきながらエヴァWをほったらかしたままにしてえ。」
作者「ひ、菱沼ユリエちゃんに、高橋リョウイチ君(ちょーじんさんのHP、ブルドックハウス内、綾波日記シリーズのオリジナルキャラ)ど、どうしてこの世界に(汗)」
ユリエ「ひどいですねえ、私たち呼んどいてほかの作品書いてるなんて。」
リョウイチ「まったくだ。」
作者 「だってプレステの『東京魔人学園剣風帖』に思いっきりはまってて・・・」
ユリエ「それでこんな作品を急に書きたくなったんですねえ。」
作者 「そうなんですよ、急に電波が来て書き始めちゃって。あはははははっ」

ジャキッ(スライドさせ銃に弾を送り込む音)
カチン(刀の鯉口を切る音)

作者「ゆ、ユリエちゃん。そ、その銃は?それにリ、リョウイチ君その刀は?(汗)」
ユリエ「もちろん・・・」
リョウイチ「当然・・・」
作者「あはははははは・・・・・・(大汗)」
ユリエ&リョウイチ「「天誅ううううう!!!!!!!!!!」
作者「うぎゃああああああああああ」

どげっしぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ、ずががががががががががががっ


《ここからまたしばらく放送禁止になります》

ユリエ&リョウイチ「「悪はほろびたぞ(わ)!!」」
作者「ううう、がくっ」

【ご連絡】
『うちのオリキャラを出してもいいよ』というあたたかいメール待ってます。
もちろん『あのオリキャラを出演させろ』といったリクエストもお待ちしております。
その際にはそのオリキャラについて詳しい情報も同時にお寄せいただけると助かります。
この作品はAsmik Ace社のPSゲーム「東京魔人学園剣風帖」、日本テレネット社のPCゲーム「妖撃隊ー邪心降魔録ー」などを参考資料としております。
                         By 京極堂テイシュウ
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−



京極堂テイシュウさんへの感想はこ・ち・ら♪   


管理人(その他)のコメント

カヲル「プレイステーションか」

アスカ「なにそれは?」

カヲル「なんだ知らないのかい? S○NYという会社が前世紀の末期に一世を風靡したゲーム本体でね」

アスカ「その伏せ字、伏せてる意味がないんだけど」

カヲル「おっとしまった。僕としたことが些細なミスをしたね。いや、まあその後はS○GAが満を持して投入した次世代ゲーム機に破れて市場からは完全に駆逐されてしまったんだけどね。アレは今でも鮮烈に覚えているよ。そう、「湯川の奇跡」ってね」

アスカ「なにその湯川ってのは」

カヲル「さあ、噂では新宿界隈で子供にいじめられているところを次世代ゲームに助けられたとか何とか」

アスカ「・・・・話に一貫性が見えないのはアタシの気のせいかしらね。・・・って、あんたなんで20世紀末期のことを脳裏に鮮烈に覚えているのよ!」

カヲル「ん? まあ、ほら、僕はいろいろ得体が知れないから(にっこり)」

アスカ「・・・アンタこそ退治されるべき妖魔ね!」

 どかっ!

カヲル「ううう、マナ君の脅威がなくなったと思ったら、やはりこれか・・・」

マナ 「呼びました?」

カヲル「あうう・・・まだ脅威消えず・・・しくしく」

アスカ「あらあら、なにかご用?(アンタの居場所はここにはないのよ! さっさと帰ったらどうなのよこの出しゃばりや!)

マナ 「いえ、日頃お世話になってる京極堂さんがまた新しい小説を始めると言うことで、挨拶がてらお顔を・・・(うるさいわね、まったくなまじ自分の方が人気があるからって。出しゃばりなのはいったいどっちよ! アンタこそさっさと荷物まとめてドイツに帰りなさいよ! もう!)

アスカ「あらまあ、それは結構な心がけですわね〜。でも、まあこちらは順調にいっていますし・・・(なにが日頃お世話よ。京極堂なぐってけたおして、それでお世話してると思ってるの? だとしたらアンタののーみそは腐って溶けかけてるんじゃない? ええい、邪魔だから帰れって言ってるのがわからないの? この鈍感!)

マナ 「あらそれはよかったですわね〜おほほ(順調にですって? あなたがいる時点ですでに順調でも何でもないのよ! うまくいく方法を教えて揚げましょうか? あなたが今すぐここからでていって、代わりに私が代行することよ!)

アスカ「ええ、まったくいいことだわ〜おっほっほ(あーうんざり。さっさとどっかいきなさいよ!)

カヲル「・・・・勘弁してほしいものだね。女同士の壮絶な争いは」

アスカ「なんですって!」

マナ 「何か言いました!」

カヲル「・・・いえ・・・何でもないでしゅ・・・汗」



続きを読む
前に戻る
ステーション入り口へ