どこまでも厚くたちこめる雲。
寒い。
冷たい風が吹きすさぶ、そんな荒野に引かれた一本だけの道。
黒塗りの車が一台、ゆっくりとした速度で走っている。
『……昼過ぎから降り出す雪も、夜が更ける頃には止み、夜半頃には星空を見ることもできるでしょう』
ラジオから軽快な音楽と共に流れ出すのは、今日と今夜の天気予報。
運転手にしてたった一人の乗客である青年は、なんの感慨も抱くことなく淡々と運転を続ける。やがて行く道の向こう側に見え始めたのは無粋なフェンス。
外界と内を分ける檻、たった二人の虜囚。
「…………」
やがてゲートが近づく、警備の者に身分証の提示を求められた青年は、提示し来訪の目的を告げ、許可書を提示する。
敬礼、解放されるゲート。
たった一人の乗客を乗せた車がゆっくりとゲートをくぐる。
『……次のリクエスト曲は「Merry Christmas Mr.Lawrence」…セカンドインパクト前の映画の曲です……』
ゆっくりと車内に流れ出す音楽……
時にAD2027.12.24。
世界は季節を取り戻し、何事も無かったかのように平和である。
……世界中の人々はあの戦いの日々を知らず……または忘れ去っていた……
車外ではゆっくりと雪が降り始めていた。
NEON GENESIS
Evangelion
Childhood’s End
「……、こんなもんでいいかな?」
目の前に用意している料理を前にして少女は一人ごちる。
「ま、あいつにロマンチックとかそういうのを期待はできないけど……今日くらいは、ね」
呟きながらも着々と料理の用意は出来ていく。ターキー、シャンパン、……質よりはどちらかというと量の方が勝ってる感はあるが、いた仕方あるまい。
さっき昼食を済ませて、それからすぐに昨夜の内に下拵えしておいた物の調理にかかったのだから、この時間でこの出来映えは誉められたものだろう。
「……フン、フフン、フン♪」
鼻歌混じりに続けられる料理。
クリスマスソングだろうか?
手元のシチューをかき混ぜながら、鼻歌は続く。
料理の邪魔にならないように結い上げられた豪奢な金色の髪。背は決して高い訳でもなく、全体的に幼い感じすらするその顔立ち。ゲルマン系の血を引いているであろう鼻筋の通った少女……
「……あ」
ふと窓の外を見ると雪がちらつき始めている。
「……どおりで寒いわけね」
勢いとしては別に強い訳でもないのだが、ちょっと心配事を思い出す。
「あいつ……寒く無いのかな?」
ふと、同居人が先程出ていった事を思い出し、不安になる。
風が出ている訳ではない、それなりの防寒着で出かけた様にも見える……でもやっぱり心配だ。
「……コートでも持っていってやろっかな…」
料理をする手をふと止めてそんなことを考えてしまう。
「…それがいいわね」
気持ちに区切りをつけ、コンロの火を最小にして纏っていたエプロンを脱ぎ捨てる。
そばのイスにエプロンを掛けて、同居人のコートを探しに二階にあがろうとした時に……車のそばにやってくる音がした。
「?」
今日、訪問してくるはずの客はいなかった筈だ。
家の前で車の止まる音。
暫くして呼び鈴の音が一回だけ響く。
すぐそばの端末を覗くと、黒服の男が一人だけいる。
どうやらコートを取りに行く前に用事が出来たようだ。
階段を昇ろうとした足を止め、玄関の扉を彼女は開く。
雑踏の中を一人の青年が歩く。
雪の降る街を、ただ独り……革のコートを羽織って、集団の中の孤独を楽しむように、ゆらり、ゆらりと歩き続ける。
ふと目に留まった書店。
何気なしにその中へ入っていく。
車から降りると、目の前にはロッジ風の一軒家があった。
「……」
一見するとただの家だが、その周りにしかれた警備体制は並ではない。
そこかしこに張られている警戒網、無数の監視カメラ、なによりこの場所と外界を隔絶する巨大な壁。さらにその壁のそこかしこに作られてる監視塔、ゲートの警備所には常時十数人の警備兵が常駐し、すぐ隣に設置された基地により対空の守りも万全に配備されている。
正に閉鎖区としか言いようのない。
その中に居るのはたった二人の人間…たった二人の人間を護る為、たった二人の人間を外界に出さない為……ここの警備その為だけに存在している。
大袈裟だろうか?
それだけこの二人に価値が、隠さなければいけない理由があるのだ。
目の前に設置された呼び鈴を押す。
おそらく監視カメラからその様子も総て写されているのだろう。
「誰?」
勢いよく開かれた扉の中からの開口一番の少女の声……?
「惣流……アスカ・ラングレーさんですね?」
少し信じられないような感覚。少女? 少女なのだ、彼女は。
報告書には目を通したが、それでもなお驚きを禁じ得ないほどのものがそこにはあった。
確実に成長はしている、だが……
「そうに決まってるでしょ? それよかあたしの質問に答えてないんだけど? ……って、愚問か。軍の関係者でしょ?」
声、口調とも紛れもなく記憶の底にある彼女のものと一致する。
「………UNの者です」
やっと絞り出せたのはその言葉だけ。
「見れば分かるわよ、何の用?」
素っ気ない言葉、あの頃が一瞬甦ったような錯覚にみまわれる。
動悸が激しい、呼吸が苦しい。
一瞬だったのかもしれない。一呼吸してなんとか話せるように自分を奮い立たせる……OK、大丈夫だ。
「………お届け物にあがりました」
「は?」
それだけを言うと、サングラスの下に子供っぽい笑いを作り、身分証明書を提示する。
「へ? …………えっ!?」
驚いた風な顔、これを見るだけでもここへ来た価値があるというものだ。
「相田?!」
UN軍情報部の二尉、それが今の自分…相田ケンスケの肩書きだった。
「よっ、久しぶり♪」
サングラスをはずして顔を覗かせる、面影を微かに残しながらも精悍になった顔立ちがその下から現れ、さらにアスカを驚かせた。
雪が降ってきた。
湖畔の草原に座り込みながら、ちょっと空を見上げる。
「………寒いな」
防寒はきっちりしている、それでも雪が舞う事による視覚的部分を含む寒さというのはやっぱり存在するのだ。
雪の…冬の妖精達が空を舞う。
「……これはこれで……」
「風情があるね」
言葉を継いだのは聞き覚えのある声。
「よぉ」
「久しぶり…なのかな?」
座り込んだ彼の背後から、いや斜め後ろに立つその人物から問われる言葉。奇妙な感慨がある。
「あれから……12年くらいだな……」
「そうか、それだけの年月が流れたんだね……君にとっては」
「……あぁ」
少し強くなっただろうか?
目の前の湖が白く舞う雪の中に消える。
「……お前にとっては…どれくらいだ?」
「さぁ? ……時の流れる速度なんて忘れてしまったよ」
「そうか?」
呆れた風に少し顔を傾けて彼の方を見る。
銀色の髪は相変わらずだ、紅色の瞳も相変わらずだ。
記憶の底にある彼の姿と寸分も違わない…12年前に彼を握りつぶしたあの時と……
「………永遠を厭っても、それからのがれる術は結局ないってことさ」
そう言って彼…渚カヲルは、けぶるように微笑んだ。
「しっかし、あんたがねぇ」
応接間に招き、紅茶などを出しながらしばし談笑する。
「おかしいかな?」
「少なくとも軍人って柄じゃないでしょ?」
知らない人間が見たら、20代後半の男性と10代後半の少女の会話……
「ま、俺の探し求めた物の結果がコレ、ってことだよ」
二人ともまるで旧友のように…違いはしないが…話を続ける。
流れた時の長さと重さがそれぞれ違っても、生きた時間は同じなのに……何故こんな風になってしまったのだろうか?
人が人であることを決めて……自然の一部であることを捨てたときに人は人間になった。
その程度の違いなのだろうか?
「ふぅん」
彼の言葉に興味なさそうに頷き、ふと思い出したような顔になる。
「そういや、届け物がどうこう言ってなかったっけ?」
「お、すっかり忘れてた」
少しおどけた風にそう言って、懐に手を入れる。
中から出てきたのは一通の封書、それと葉書。
「片山……じゃなかった。洞木…委員長からのだよ」
「ヒカリ?」
差し出された手紙を反射的に受け取るアスカ。
一枚は封書。裏の署名は「片山ヒカリ」…葉書の方は写真付き。結婚を報告するものである。「私たち結婚しました」という陳腐な文章と共に、新郎新婦の写真が載っている。見知らぬ男の隣で幸せそうに微笑む、かつての友人の姿がそこにある。
相手は片山敏治、彼女や自分より二つ年上の男だ。三年前に挙式している。
「同じ会社の先輩だとよ」
「ふぅん」
時の流れが無情に過ぎ去っていく。
彼女は人の世を生きている…自分は……私はどうなのだろうか?
「………そういや、あいつは?」
私が沈黙したのを考えてか話題を変える。
「報告、受けてるんでしょ? いつもの所に出かけてるわよ」
「……あそこか……」
何気なく外を見やると、雪が少しだけ強くなってるような気がした。
「……青葉室長から聞いてるんだが……時々ロストするらしいな」
一瞬…言っている意味が分からない。
「どんな監視にも引っかからなくなる、か……」
「……どういう意味?」
わからない、こいつが何を言いたいのか。
昔とはどこか異質な感じがする。
なぜだろう?
探るような視線が過ぎ去る……ふと表情を和らげる。
「文字通りの意味さ、知っての通り四方八方からの監視がここにはある。それから完全に消え去るってことだよ」
「……嘘」
「本当さ、ただ……」
そこで一度言葉を切る。
「ただ…外に出ている、って訳でも無いんだけどね。ただ居場所が特定は出来ても分からなくなるってことらしい」
「何それ?」
「……」
無言で返すが、「さぁ?」と言うかのようなジェスチャーは帰ってくる。
「ま、この目で確かめるのが一番だとおもうけどな、それもあって来たんだ」
「………そぅ」
「じゃ、ちょっと行って来る」
少し暗くなった雰囲気がいやなのか、明るく言って立ち上がる。
「手紙、返事を欲しがっていたから、……2時間くらいでいいかな?」
「……うん」
手の中のヒカリからの手紙、ロストするあいつ……とにかく今はコレを読もう。
「じゃ、また」
「……夕食、食べていく?」
不意にそんな言葉が漏れる。
「………いや、お邪魔になるだろうから、いいや」
それだけをいうと、相田は出ていく。
一人、残された。沈黙としんしんと降る雪の音だけがその世界の総てを支配する。実際には暖房の音や、台所から鍋の煮える音が聞こえるのだが……ふと手元の封書に目を落とす。葉書を裏返す、幸せそうに微笑む女性、違う時の流れ。
ゆっくりと開封される手紙。
簡素な便せんにしっかりした字でかかれた文章。
それにゆっくりと目を通しはじめる。
外に出るともう夕方だった。
適当に見つけた喫茶店に入り、ウエイトレスにハムサンドと紅茶を注文する。
先程本屋で買ってきたのは、セカンドインパクト前の、古い一冊の本。
「愛と幻想のファシズム」
上下巻からなるその本をゆっくりと1ページずつ、1行ずつ、一文字ずつ読んでいく。
閉塞感を持った社会、何かに枯渇して求めながらも目の前に出されたそれを信じられず、価値観を持たないからそれが分からず拒絶し……生物であることを否定しながら人間は生きている。
注文したハムサンドが届く、たった一枚のハムが挟まれただけのそれに、何か悲しい感じがする。
快楽とは何だろう?
どうして人間は……
次いで持ってこられた紅茶もただの色の付いたお湯だった。
味はした、でもコレは紅茶の味じゃ無い、漠然とそんな風に思った。
『拝啓 惣流・アスカ・ラングレー様
お元気でしょうか?
最後に会ったのは一体いつのことだったのでしょうか。
世の中は平和です。貴女達の守ってくれた世界は平和です。
そして、私は幸せです。
私にとっては、これは貴女達から与えて貰った幸せだし、貴女の事を友人として誇らしく思います。
もしも叶うなら、もう一度で良いから貴女に会いたいです。
過ぎ去った時間を埋める事は出来なくても、新しく築くことはまた可能だと思います。
貴女が今どんな生活を送っておられるのかは分かりませんが、それでも貴女が貴女であることは変わっていないと信じています。
気高く、誇りをもって生きていた貴女が、私は羨ましかった。
あの頃と同じ瞳の貴女に会えることを、再会出来ることを信じてます。
その時には、今はお腹の中のこの子を貴女にお見せ出来ると思います。
それでは、再会の日を信じて。
かしこ
あなたの友、洞木ヒカリ』
短い手紙だった。
書かれた文字に懐かしさを覚えた。
不意に、涙が溢れてきた。
会いたかった。無性に会いたかった。
ふと目に留まった封書、分かりにくいが一度開けられ、もう一度封を直したあと。
無性に切なくなった。
誇り高く生きた結果がこれだ。
監視され、閉じこめられ…自由はない。
ぐっ、と手紙を抱きしめる。
少し皺が寄り、折れてしまってもかまわなかった。そうしていたかった。
彼女に抱かれたかった、抱きしめたいと思った。あの頃が懐かしかった、還りたかった。でも、それが不可能なことも同時に知っていた。
涙が膝に落ちる。
少し、冷たい感じがした。
「この世界は綺麗だね」
「……ん、そうか?」
小雪舞い散る空。
草原に座り込んだ青年と、その背後に立つ少年は言葉少なに語り合う。
「ここに来るまで、いくつもの可能性を見てきたけど……どこよりもここは綺麗だ」
「荒涼とした、何もないところでもか?」
「だから、だよ」
言葉を切る。
青年には振り向かなくても少年が微笑んでいることがわかる。
……彼の微笑んでいる以外の表情はあまり見ていないな。そんなことを不意に思った。
「計算され尽くして、作られた世界よりも…徒然なるままに出来た世界の方が美しいよ…そこには確かに彼女の手によるものであっても、因果の流れに身を任せただけの造形美があるからね」
「NN弾頭で開けられた場所でも…」
「それは年月を経て、自然の物に還る」
人の手が幾ら加えられようとも、いつか総ては還っていく。
人の身も、命も…やがて還ってゆくのだろうか?
「だから、美しい。か」
「そうさ」
一種晴れがましさすら感じる声。
世界がそこにある…人が自然と隔離して生きる…それでもいつか自然の中へと還る。
それが理。
「あいつは?」
「元気でやってるようだよ」
余人が聞けば誰を指すかを分からない問い。それでも二人には簡単に通じる。
「『この世の果て』で、待ってるってさ」
「そっか」
ふと、空を見上げる。
厚く立ちこめる雲。蒼穹を遮る雪雲…その向こう側に「彼女」は居る。
「お前も、行くのか?」
「君も、居るんだよ」
「…………」
「それが…因果の果てる所、だからね」
「居合わせるのは…仕組まれた子供達か?」
「滅びを知らない人類は…再び彼女を創り出すだろう…だから…僕らが居る。君が…彼が…彼女たちが…人類が居て、世界があり…総ての世界がある……因果律は狂っているのかもしれない。でも…神なんて本当にいやしないんだからさ」
「……神は居ない」
「文学的表現の創造神なら居るかもよ」
少しだけ悪戯っぽい口調。
「なぜなら、彼女が産まれることによって世界が産まれる「原因」が起こるんだからね」
「ややこしいな」
「まったくだね…でも究極に言うなら…ただ一瞬の出来事なのかもしれないよ……この世界総ても…ね」
「総ては泡沫の夢………」
「人の命も、何もかも…波間に浮かぶ泡沫みたいなものさ」
「夢…か」
最近は夢も見なくなったな。
「だからさ、今は彼女を大事にしてあげなよ」
「……分かってる」
「本当かな?」
一歩前に踏み出し、顔をのぞき込んでくる。
総てを見透かすような…神秘的な紅色の瞳。ふと……一人の少女の事を思い出す。
「ま、いいや」
のぞき込むのを止めて、背筋を正す少年。
「じゃ、また会おうね」
「行くのか?」
「お客さんが来てるからね」
少し悪戯っぽい顔、時間も何もかも超越した存在であっても、彼は飽きるということを、全くと言っていいほど知らない。
或いはすでに総てに飽きているのか……どちらだろう?
「それじゃぁね」
「…今度はいつ来る?」
「さぁね…でも、分かると思うよ……じゃ、また」
それだけを言うと、気配が消えた。
心なしか少し寒さが増したような気がした。
………暫しして、草を踏みしめるような音が近づいてくる。
「………トウジ」
「………ケンスケか?」
振り向いた先に居た黒服。
聞き間違える筈のないこの声…
「久しぶり、やな」
「……誰が居たんだ?」
おどけて返した言葉に、表情を険しくして問いかけてくる。
少し、可笑しかった。「何が?」と問われると答えられないのだが…なんだか可笑しかった。笑いはこみ上げてこなかったが。
「客人」
それだけを短く答えた。
「あら?」
ふと、見知った顔を見たような気がして足を止める。
「? 母さん、どうしたの?」
一緒に買い物に来ていた娘が怪訝な顔で聞いてくる。
「えと…いえ、気のせいね」
「? 変なの」
娘はさも可笑しそうにきゃらきゃらと笑うと、すぐに他の事に興味の対象を写した。
「ね、母さんあれ買って!」
「あれ? …昨日も同じようなの買ったでしょ?」
「いいじゃん! ね、買ってよ」
「もぉ、しょうのない子ね」
そういいながら、娘に引っ張られるに任せて歩を進める。
そんな青葉マヤを、青年は目の端で見送った。
「寒いな……」
そんな言葉と共に、近くのラーメン屋に入る。
「元気そうやな」
にこやかに応じる彼の目には、懐かしい光があった。
「しかしまぁ、よぉこんなとこまで来たな」
笑って語りかける彼の言葉に少し……既視感を覚える。
あれはいつのことだったのだろう?
忘れてしまった時の果ての出来事。
「軍人になったんか?」
「あ・あぁ」
あまりに素な彼の受け答えに多少呆気にとられながらも何とか答える。
同時に、追求することが不可能であると悟る、追求することの無意味さをも悟る。聞くことには何の意味も持たないのだ、たとえ答えが返ってこようとも。
「よぉここにいるって分かったな」
「惣流が教えてくれたんだよ」
「そこいらじゅうに監視の目もあるしね」言外の言葉は届かない。彼も気付かない振りをするから。
「で、本日の御用は?」
戯けた顔の彼、少し懐かしい気がする。
あの日、山の中の診療所で別れたっきりの彼……あの頃と比べても、変わっては居なかった。
いや、アスカとは違い年相応に成長してはいたが、自分に対する態度は何ら変わってはいなかった、それが少しだけ嬉しかった。
「…洞木から惣流への手紙を届けに、ね」
「んなもんいつもと同じでえぇやろ?」
ここ閉鎖地区では、有線で本部に買い物を依頼し、それを地下の無人線にて輸送されている。ここの性質上、総てがオートメーション化されている。
「返事を必ず貰ってくるように、との依頼を受けてるんでね。ま、上司も許可してくれたことだし、いいんでない?」
ふと気付いた。
14歳のあの頃の話し方に何故か戻っている。意識していなかったことだが…
「そっ、か」
「忘れると怖いんだ、これがまた」
「成る程な」
苦笑しながら一人で納得している。
あの頃を思い出しても居るんだろう、俺が、トウジが、惣流が、片山……洞木が、綾波が…シンジが居たあの頃を。
下らないことでも一緒にやるとなんだか楽しかった。
あの後は洞木以外とは相対的に、物理的に会えなくなった。
トウジと惣流は閉鎖地区に、シンジは行方不明に…一度は拘禁されたらしいのだが…ロストしたらしい…綾波は……室長は「還った」のだと言った。意味は分からなかったが、解ったような気もした…彼女はなんだかこの世界とは違う所から来たような気もしたから…。
「……惣流とは喧嘩せずにやってるか?」
「あ? ……まぁぼちぼちな」
何気なく聞いたその一言…複雑な面持ちで返ってくる。
「そうか? 今の惣流見た感じじゃ、結構いい感じだと思うけど?」
「………まだ、怖いらしい」
「へ?」
「……人間が怖い、大人になることが怖い…そう言うとる」
ふと、少女のままの彼女の姿を思い出す。
成長することを止めてしまったのだろうか?
「夜もうなされる事が多いし……」
あの家の構造は知っている、寝室は二人で一つだ。
下世話な想像もなされていたのだが、今の言葉はそれらを完全に消した。
「ま、別にえぇとも思うが……」
雪が不意に止んだ。日が大分傾いてきたようだ。
「帰るか?」
「………あぁ」
それだけが辛うじて言葉に出来た。
『片山ヒカリ様
季節が戻ってからどれだけの季節が巡ったのでしょうか。今自室で貴女からの手紙を読んでいてふと、何か懐かしいものを思い出したようなきがしました。
あの頃は、何でも自分の手で出来る、全部一人で出来る、そう信じていました。
結局あのあと自分の力のなさを世界中から教えられてしまった、そんな気がします。
でも、貴女が幸せで居てくれて、嬉しかった。
それだけでも、私は戦った価値がある。そう信じる事が出来ます。
彼は、私達の級友であり、あの時貴女が優しいと言った彼も、元気で生きています。
今だったらあの時貴女の言った彼の優しさが分かるような、そんな気がします。
一緒に暮らしていればいやでも、良い部分と悪い部分をさらけ出すことになります。だから、それまで見えなかった彼の優しさが、分かります。
あの頃は彼の方は見ていなかった、だから貴女の言うことは分からなかったけど、こうして彼を見つめてきた今なら、朧気ながらに分かります。
一緒に居て、正直息の詰まる事もあります、厭になることもあります、それでも彼の優しさが心地良いから、嬉しいから今の私も幸せなのかもしれません。
貴女の姓が代わり、今生でもう私と会うことが無くなろうとも、いつまでも貴女の事を友人だと思っても宜しいでしょうか。
貴女が、私がこの世界から居なくなろうとも、変わらぬ友達だと思わせて下さい。
それでは、これにて失礼致します。
あなたの永遠の友 惣流・Asuka・Langlay』
「……ふぅ」
筆を置き、ため息をつく。
取り出した封筒に折った便せんを入れ、封をする。
たったそれだけの作業が、妙に苦しかった。
鳴り響くチャイムの音。
同居人が帰ってきたようだ。
出迎える為に腰を上げ、封筒を片手に彼女は駆け出した。
「おかえり!」
開けようとした手を手持ちぶさたにしながらトウジが、後ろにいたケンスケの顔が凍った。
「お、おう」
「………」
目一杯に見開かれた二人の目。
信じられない光景がそこにある、目を疑うような光景がそこにある。
「? どしたの?」
二人の表情を怪訝に思い、思わず訪ねてしまうその女性。
そう、女性なのだ。
解かれた豪奢な金髪、服の上からでも分かるグラマラスな体つき。
先程、外に出かける前に見送ってくれたのは、少女だった。
先程、手紙を渡したのは少女だった。
その少女と同一人物である、目の前の女性。
引き込まれそうな蒼い色をした瞳は確かに彼女のものだ、その豪奢な金色の髪の確かに彼女のものだ、その声も言葉も、確かに彼女のものである。
「何? 二人して変な顔して」
「いや……その……なぁ」
「なぁ?」
問いかけに答える為に出る言葉は、意味をなさない言葉ばかり。
ふと、ケンスケの脳裏に、報告書に書かれていたある言葉が思い出された。
曰く「肉体と精神を切り離して考えてはならない。何故ならその二つは共にあるからこそ、初めて存在足り得るものだからである」そして「通常時であっても、精神的に幼い人間はそれに伴い子供っぽく見えるものだ、精神が育たぬ者に肉体の、醸し出す雰囲気の成長や成熟などあり得ない。それが彼女の姿に顕著に現れていると思われる。彼女は成長することを否定しているのではなかろうか。大人になることを否定しているのではなかろうか。EVAという特殊な存在により、確かに彼女の人生は返られてしまった、EVAというのはキリスト教聖典における「最初の創られし母」、である。彼女は母の胎内で戦うことを、母の庇護の元で戦うことを選んだ、だから成長は彼女にとっての「死」でもあるという風にも考えられる。あれに関わった中で、調査が十分に行えたのは五人中二人のみ、その二人のいずれもが体を造り替えられていた。言うなれば「使徒」に近いのだろうが、その変化が肉体と精神の距離を近づけた、そう言う風にも考えられる。だから、彼女は大人になることが出来ないのだ、とも」そう締めくくられていた。
彼女が成長できなかった理由は、先程のトウジとの会話で明らかになったとも言える。
でも、目の前の彼女はそれを乗り越えている。
きっかけは多分あの手紙だとは想像はつく、でも……ここまでとは……
「あ、そだ。はい」
彼女から差し出される一通の手紙、簡素な封筒に入れられたそれを反射的に受け取る。
「ちゃんとヒカリに渡してね」
笑顔に引き込まれそうになる、それだけ彼女は生きる喜びに溢れていた。
「りょ、了解」
かろうじてそれだけを返すと、手紙を懐に入れて……
「じゃ、お邪魔になるとあれだから、俺は帰るわ」
「は? 飯くらい食ってけや」
「そうそ、時間はあるんでしょ?」
「お邪魔、だろ?」
不敵に笑い、そのままサングラスをかけ直し
「Merry Christmass!!」
晴れはじめた夜空に向かい、一声あげる。
ほぼ完全な発音でなされたそれは、佇む二人の友人の間を抜け、やがて空へと消えてゆく。
「それじゃお二人さん、仲良くやれよ♪」
二人が少し唖然とした風体で見送るなか、それだけを言って車に乗り込む。
Keyを差し、エンジンをかける。
そして、走り出す。
バックミラーに段々と遠くなる二人が、家が写ってる。
振り返らなかった。
そして、そのまま見えなくなった。
あれから、二人になって……食事を摂った。
少しほったらかしにしていたせいもあって、ちょっと失敗していた料理もあったけど、あいつは旨そうに食べていた。
一つ食べる毎に「旨い、旨い」って……少し大袈裟すぎる感じがしたけど…嬉しかった。いつもは食べる物がなんだか平べったいような…一枚の薄い膜を通したような感じに見まわれていたのに、今日はそんなことはなかった。久しぶりに美味しい食事をしたような、そんな気がふとした。
外の連中が気を利かして送ってくれたワインも美味しかった。
ローストチキンも、スープも、ケーキも……何もかもが美味しかった。
なんだか、嬉しかった。
こんな気持ちになったのは初めてかも知れない。
………うぅん、違う。
前にもあった。
いつだかは思い出せないけど、あの頃にはこんな気持ちがあったんだ。
………幸せ、なのかもしれないね。
夜。
月が世界を僅かに照らし出す。
人は己の創り出した灯りでその夜の帳を引き裂く。
月はただ、太陽からの光を反射して夜の空に照らし出される。
月はその腕の中に一人の少女を抱いている。
その少女は決して死ぬことは無く、成長することすらない。
ただ眠り続け、夢を見続けるだけ。
……世界を紡ぐ夢を……
もう深夜にもなろうかという時間だ。
冷たいベッドをさっきから一人で暖めている。
騒ぎすぎたから、だろうか? 後かたづけにあれほど時間を食ったというのに、不思議と目が醒えている。
隣のベッドにはまだ彼女は居ない。
まだ、湯船の中に居るのだろう。
「………この世の果て、か」
何とはなしに口にしてみる。奇妙な言葉だと思う、何を基準にしてどこからどこまでが「この世」なのだろう? 「世界の始まりと終わり」そう奴は説明した。
「世界」とは何なのだろう? 人間とは何なのだろう? 使徒とは何だったのだろう? 綾波は、シンジはどこへ行くのだろう?
人は何処から来て、何処へ行くのだろう?
悠久とも思える時の流れの最中の瞬きの一つの間に生じた、ノイズなのだろうか?
数千年もの人族の歴史……それは一体、何のためのものだろう?
最近妙な想いが増える、疑問が多くなる、投げかける対象は何故だか自分自身の内側の奥深いところにある、誰とも何とも知れない存在。それが居るのかもわからない、確かな存在の確証すらないのに、何故か問いかけてしまう。
何故だろう?
ここに来てから、初めの頃は何もする事が無くて、ひたすら本を読み漁っていた。流行の本、小説、数々の専門書…たしか、その中にその何かを指すのに都合の良い言葉があったと思う………なんだっただろう?
……………そう、たしか…あれは……
「集合的無意識」
それだ。そう呼称されるべき存在に自分は問いかけているような気がする。
彼女に…………………綾波、レイに。
「何考え込んでるの?」
不意に間近からかけられた言葉にちょっと驚いて顔を上げる。
「………アスカ?」
薄明かりに照らし出され、その色に染められた髪に不覚にもドキッとする。
「……どしたの?」
「いや……何でもない、が……?」
ふと、奇妙な事に気付く。
彼女が何でこんなに近くに……彼女のベッドは隣に……
「何で枕をもって……」
「…………駄目?」
不意にすがるような表情で言葉を遮られる。
少し潤んだ瞳に、心を完全に奪われて、機械的に受け入れる言葉を吐く。
「へへっ♪」
少し悪戯っぽく微笑むと、そのまま枕を並べて布団の中に潜り込んできて、寄り添うように寝ころぶ。
「……暖かいね」
「おぅ」
力無くそう答えるのが精一杯だった。
微かに伝わってくるぬくもりが…嬉しくて、そして……。
「ね、」
「……あん?」
「一緒に寝よ?」
「……………オイ」
少しだけ怒ったようにそう答える。
「………いいよ」
「……何が?」
「だから、………いいよ」
ぎゅっ、と抱きつきながら視線を逸らし、最後は小さな声でそれだけを呟く。
「………お前な」
少し呆れたように呟き、体を起こして彼女の顔をのぞき込む。
「………どうした?」
「何が?」
「ちょっと変やぞ、お前」
「…どこが?」
「…何があった?」
「………」
一瞬沈黙だけが世界を支配する。
「何があった?」
「………寂しいな、って思った」
「……寂しい?」
「なんでだかわからないけどね、ふとそう思ったの。でもね、同時に幸せなのかもしれない、そういう風にも思ったの。これも何でだか分からないけど」
顔を伏せたまま、淡々と語る言葉。
そこには一片の偽りもない、自分の心の中の暗い部分をさらけ出すような、そんなものに似た感覚だけがある。
「ヒカリに返事を書いていた時、かな? ヒカリからの手紙を読んでいた時かな? ふと、なんでだかわからないけど、目の前に何かが見えたような気がした、道標が消えたようなそんな錯覚に陥った。同行者が居なくなったのが見えたの」
「……………」
「みんな、歩き出してもうそこには居なくて、立ち止まってるのは私だけで……でもね、みんなが歩きながら手招きしていてくれているのに気付いたの。一寸先は闇の中に沈んでいて、なにがあるのかまるっきり分からない、ずっと同じ道を歩めないのは分かっている…でも、近い道を歩いて何度と無く道は交差して、そして何度も出会って分かれて……そうしていける未来が見えた……だから、寂しいのかな?」
「何度も会えるんやろ? 何が寂しい?」
「うん……ずっと、ずっとあの日常が、過ごしていた日々が続くと思ってた…でもね…それは「絶対」じゃない、いつかはその箱庭の中から出て行かなきゃならない…そう気付いた瞬間のあの感覚って…」
「口では表せんやろな」
言葉を絞り出すように語る彼女を、その言葉を軽い調子で横取りしてみる。
「うん、でも一番私が近いって思ったのは「寂しい」って感情なの。今までの世界から追い出される「恐ろしさ」よりも、寂しさの方が大きかった。何故だか分からない得体の知れない寂しさが大きいの」
「でも、それは「成長」と同じとちゃうか?」
「……「成長」?」
「いくつもの世界の殻を抜け出して、いくつもの出会いと別れを繰り返して、人間は生きてく。いくつもの選択がある、生きることも死ぬことも自分で決める。その世界に留まり続けようとすることも、新しい世界を創ろうとすることも、決めるのは自分自身やろ? それは元の世界との決別なのかもしれん、でもその世界を壊す必要はない。自分自身が世界を必要としなくても、新しくその世界を必要とする物が現れる…そして世界は人を巡って変わり続けていく」
「……あたし、成長したのかな?」
「……お前は…EVAとの別れは無理矢理みたいなもんやったからな、あそこで心が留まろうとしたのかもしれん…」
「………」
「精神が止まってしもたから、肉体的な成長も出来なくなっていた…やろ? 洞木の手紙がEVAとの別れの代わりになったみたいやな」
「………」
「親から離れることはな、「殺す」事とは別や、そこに親が居て自分が親とは別の世界でも生きていける事を、その別の世界に立ち向かうことを自覚することが大切やと思う。お前は…実の親はしらんけど、EVAとは引き離されたからな、そこで立ち止まってもうたんやろ……スマンな」
「なんで、謝るの?」
いつの間にか、さっきみたく寝ころんで天井を睨みながら話していたトウジの胸板の上にその身体を預けながら聞く。
「引きはがしてしもたかな、とか思うてな」
「別に…いいわよ」
鼓動の音を聞きながら、アスカは少し嬉しそうに言った。
あれから実に12年…彼女の笑顔はともすれば白痴のそれだったのかもしれない、でも今彼を見上げて微笑むその笑顔は……限りなく生気に満ちて…そして…美しい。
「どのみち自分で決別しなきゃいけないのを渋ってたのはあたしだしね」
そういって、不意に息がかかる距離まで近づいてくる。
「人は何度も出会って、別れて生きて行くんでしょ?」
「………」
「今の世界はこうやって生きてるあたし達のものだし」
暖かいぬくもりの中、囁くように聞こえる彼女の声、何故こんな風な感覚に陥るのだろう?
「今はあんたとこうしていたい、そう思ってるだけ」
ゆっくりと、言い方は悪いがのし掛かるように彼の上に乗る。
「ね、今現在の、これからの同行者さん」
悪戯っぽい微笑みと共に、重ね合わされる唇と唇。
甘い香りする。
ゆっくりと首の後ろに抱きつくように回された手、暖かい…重ね合わせた肌と肌から混ざり合う暖かさが心地良い。
そして、彼もそれに応えた。
いつの間にか夜空は晴れわたり、空には満点の星と天空に輝く月が見える。
月齢は欠け続けているため、その輝きは弧を描く物ではないが、思わずその美しさにため息を漏らしてしまう。
「………寒いな」
師走のこの寒空だ、当然の事を呟きながら、青年は杯を傾ける。
米より作り出されたその至宝の水が、喉の乾きを潤し、身体を暖めてゆく。
ふと見下ろした街角、僅かにつもる雪がふと己の心に投げかけるもの、雪のように真っ白で、雪のように儚く消えてしまいそうなその幻のような少女。
「…………綾波」
月で微笑む少女。
その笑顔をふと、思い出す。
思い出す度、なんだか可笑しくなる。
何故だか分からないけど、可笑しい、そんな感覚に見まわれてしまう。
…日々の糧を得て、人と人の間に生きて…何のために? 再び彼女と会うために。
それだけの為に? さぁ?
正直、分からないのかもしれない。この世の果てに何があるのか。
それでも……
「約束、だからね」
旧約聖書、古き日の神との約束を記した書。新約聖書、2000年以上前の今日この日に産まれたとされる神の子と人との約束を示した書。そしてこの約束は、彼女と自分のたった二人の為だけの永遠の約束。
たった一人の人間と、神と呼ぶべきかも知れない少女との、稚拙な…余人には介入することのできないささやかな約束。
「この世の果てで再び…」
ただもう一度出会う、それだけの約束。
きっと迎えに行く、それだけの約束。
この聖なる夜に、ただそれだけの約束を自分の中で彼女に語りかける。
ゆっくりと立ち上がり、手元にあった酒を片付けて部屋の中に向かう、眠る為に…ひとたび彼女に会うために。
ふと、立ち止まり振り返る。
「おやすみ、綾波」
月に向かって囁くようにそう呟くと、彼……碇シンジは自分の寝床に消えていった。
後には月の照らし出す街があるばかり……
Good Night!
管理人(その他)のコメント
レイ 「・・・・時期はずれ」
カヲル「ざくっ、とひどいこと言うね」
レイ 「命令だもの」
カヲル「また真実をそうしれっという・・・・汗」
レイ 「わたしにはこれしかないから・・・・」
カヲル「まあまあ、そういうことはいわずに・・・・」
アスカ「ちょっとアンタ」
カヲル「ほえ? なにかな?」
アスカ「なに人の見えないところでちまちまと語ってるのよ」
カヲル「う・・・ぎく」
アスカ「コメントの場所に戻るか、じゃないわよ!!」
カヲル「わからない人はソースを見てね♪」
アスカ「そういう解説はいらないの!」
ばきどかぐしゃっ
カヲル「うぐ・・・・しかし・・・・ねえ、綾波レイ」
レイ 「ほんと」
アスカ「ん??」
カヲル「君が彼とくっつくとは・・・・」
レイ 「碇君はもういいのね」
アスカ「そ、そ、そ、それは・・・・仕方ないでしょ! 監禁された上に二人で一つの寝室だとか、いろいろあるじゃないの! それにそもそもそれぞれの作者が描くそれぞれの姿ってやつがあって・・・」
カヲル「まあ、どうこういっても、ここの彼女は幸せなんだからいいじゃないか」
レイ 「私は碇君さえいればいいから・・・・」
アスカ「・・・・ま、まあいいわ。BLEADも少しは改心しているようだし」
カヲル「照れちゃってまぁ、かわいいもんだ」