まあ仕事なんですが、仕事のためにはまずオフィスに行かなければいけませんよね。その行き方がなかなか問題なんです。
北京に移動するに当たって、朝9:00にここに来てくれ、というメールと共にオフィスの住所が送られてきました。地図はまあついていません。タクシーに見せれば行けるから、という言い方をしているのですが、地図の住所は英語で書かれています。念のために、あくまで念のために書きますけど、中国の母国語は中国語です。そして一般市民は英語がほとんど理解できない、という前提にたって行動しなければいけません。住所が英語で送られてきたのにはもちろんきちんとした理由があります。簡体中国語が表示できないと言うことを相手が理解しているからです。
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行けるわけねーじゃねーかよ!
内心で軽く突っ込みを入れておきます。これでこれると思っている現地の方の神経を瞬間的に疑いましたが、これに対して誰も突っ込みを入れないことにこそ疑問を感じました。いや、感じたのは自分だけなんだろうか。
そもそもオフィスまでホテルからタクシーで何分かかるかもわからないし、だとすると朝何時に出ればいいのかも分からないので、なんとかしないといけません。
到着した日曜の夜に、ホテルのコンシェルジュに聞いてみました。住所を見せて、「すんませんここまでタクシーで何分かかりますかね?」と。 住所を見て、しばし相手は首をひねります。少し考えます。そして「この住所の敷地には……普通なら20分くらいだろうけど……月曜日の朝ねぇ……1 時間くらいかな」
3倍変わるのか。
しかも、「でもこのビルの名前はぜんぜんわからないんだけどこれはなに?」ときたもんです。嫌そんなこと言われても僕に分かるわけがないじゃないですか。なにせ一度も言ったことないから聞いてるくらいなんですから。
しばしコンシェルジュと二人で考え込みます。そして出した結論が、「じゃあ、メールを出した本人に聞いてみるか」 ということで、その場で電話をしてみました。英語で説明しても根本的な解決策にならないため、コンシェルジュがまず中国語で事情を聞いて、住所を中国語でメモしてもらい、それをタクシードライバーに見せて移動するという方法です。なんとかおかげで住所をゲットすることができました。コンタクト先の王さん、「あーそういやそうだなぁ」と言って笑ってました。お願いしますよ、僕中国語ぜんぜんしゃべれないんですから!
ということを前日にやっておいたうえで、朝の8:00過ぎにホテルをでてタクシーに乗り、住所を見せました。ドライバー、少し考え込みます。そしてうんうんと行った後に走り出しました。走り出したのですがなんだかびみょーにずれた方向に走っていきます。走っていくんですが、車の流れのすくないからそっちを走っているのか、メーター稼ぐために走っているのか、それとも本当に分かってないのかという区別がつかないのと、そもそも区別がついても中国語を話せないので止められるわけもなく、とにかく任せるがまま。しばしののち、どうも首をひねりながら走っているので、やっぱり分かってないのではないかと思いながら走っていて、すこしうろうろしましたがまあなんとかたどり着きました。5元おまけしてくれて、「ごめんなまよっちゃって」という感じの身振りをしてくれたので、そんなに悪い印象ではなかったですけど。
しかし、タクシーの運ちゃんだけはそのときの運なのでえらべないですからねー。外れに当たらないことだけを願うしかありません。
仕事で出かけたオフィスには、中国人の他にも私と同じように韓国と台湾から来た人がいます。仕事が終わって帰るときに、韓国人と「このあと食事とか考えてる?」と聞かれました。彼らも私と同じく全く中国語を話せません。いんや、なんも考えてない、と言うと、「僕ら、今日北朝鮮料理を食べに行こうと思うんだけど一緒にどうよ」と言われました。韓国国内では食べられない北朝鮮料理。それを探して食べに行くというのです。一人じゃどうしようもないところだったので、OKして行くことにしました。店は探すんだよ。といっていましたので、すべてお任せします。
帰りもタクシーです。オフィスの前にはタクシーはいないので、鉄道の駅までシャトルバスに乗り、そこでタクシーを拾うといいよ、と言われました。バスで駅まで行き、ホテルの住所の書かれた紙をドライバーに見せます。見せたところ、なんだか早口の中国語でまくしたてながら、首を横に振ります。2台目、3台目、共に同じでした。韓国人たちも、同じように断られています。
どうも、ここから遠すぎるので行きたくない的なことを言っているようなのです。えー。交渉しようにも相手は英語が分からないし僕らは中国語が分からないし、どうしようもありません。しょうがないので、電車でホテルに近い駅までいき、そこでタクシーを拾うことにしました。
さて、ここで悩ましいところなんですが、駅の入り口には地下鉄である「地鉄」という記載はあるのですが、ここがどこの駅なのかの記載がありません。切符売り場では、どこまでの切符を買えばいいのか分かりません。路線図を前に悩んで、切符売り場に並んでいる女性の人に聞いてみたところ、幸いこの人は英語が理解できる人でした。駅の名前と、いくらの切符を買えばいいのかを聞けました。北京の地下鉄は基本的に、同じ路線は一律3元。Line1とLine2は同じく3元。Line13にまたがって乗る場合は5元払います。ここからホテルまではLine13に乗っているだけでいいようなので、3元買えばいいということがわかりました。よかった。
電車はまあ、別段危険なわけでもなく、きわめて普通。設備も新しくきれいなので、違和感がありません。日本と違うところはといえば、電車の中でもふつーにみんな携帯で電話しているところでしょうか。一度韓国人と別れ、ホテルに帰りました。こっちのホテルまで拾いに来てくれるそうです。拾いに来てもらって聞くところによると、一応北朝鮮料理の店を見つけたので行ってみようということに。タクシーにそのあたりの住所を告げて走っていくと、確かになにやらハングルの書かれた店にたどり着きます。韓国人狂喜です。韓国語がわかるなら最強みたいな勢いで店につっこんでいきます。
つっこんでいって、店員に嬉々として話しかけていました。話しかけていました。なにやら怪訝そうな表情をしています。いろいろ話しかけてみました。そしてしばしして。「この店に、韓国語の分かる人間はいない」しかもええと。料理は韓国料理しかないぽいらしいです。
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韓国人大ショックです。料理の名前と写真で内容は分かるのですが、中国に来て普通に母国料理を食うって言うのはどんな感じなんでしょうか。ちなみに私は日本料理をここに来てまで食べる気はしません。
そいて1時間後。
ものっそうれしそうにキムチをほおばってる姿を見て、ああやっぱりキムチは大好きなのね、という感想を持ちました。まあ、美味しくいただけたのでいいんですけど、私としては。