この日も作業の予定日でした。が、結局昨日まででやることを全てやってしまったいることと、状況監視は現場に行かなくてもできるので、とりあえず待機待機、ということで決定。Liさんとそういう話をしていたら、「どこか街にでかける気は?」と言われました。
できれば行きたい処なんですけど、なにせ済南になにがあってどういうところが名所なのかなんて下調べはなんにもしていません。またしていたとしてもそれをLiさんに伝えるのは一苦労ですし。
と、彼から「泰山、行ってみない?」というオファーが。ええと、ここ済南は山東省の省都ですが、同時に旧跡を周りに多く持っています。歴代中国皇帝が天を祭り自分の統治権の正当性を具現化する泰山封禅は、この泰山で行われるわけです。昨日食事をしながらちょっと歴史の話をしたのを覚えていてくれていたようです。ちなみに私は唐宋時代あたりが好きで、Liさんは春秋戦国だそうです。
ということで、泰山に行くことにしました。済南から泰山に行くのにはいくつかの方法があるようです。泰山そのものは泰安というところからほどちかいので、そこまで鉄道でいくか、バスで行くか、あるいは直接タクシーで行くかです。二人ともチリ不案内なところがあるので、まずはタクシーで行くことにしました。片道で200元(3600円)。こちらではいい値段です。泰山まではタクシーですっ飛ばして1時間半くらいでしょうか。運ちゃんが連れてきたのが、泰山に上る参道とはちょうど反対側に位置するロープウェイの方でしたが、そちらから上っていきます。タクシーでは中に入っていけないので、入山料とバス代含めて140元(2500円)を払います。ロープウェイそのものは日本のスキー場なんかによくあるゴンドラ型のもので、スイスの会社のものでしたからおそらく同じ物でしょう。一人45元(810円)払い、10分強乗って、降り口に到着。気温は19度ほど。太陽の日差しは強いですけど、風が気持ちいいので動いていないと肌寒いほどです。
少し歩いた先で西天門というところにつきますが、そのあたりにはおみやげややら食事をする処などがいろいろあります。写真は、鳥笛ですね。ぴーひょろろ〜といい音がなりますが、ならないものもあります(笑) 最初にためしたものはならないものでしたが、おねーちゃんがいい音でなるものを渡してくれました。値段は1元(18円)。おみやげに一つ買ってみました。しかし、ロープウェイだの入山料だのいい値段するのに、おみやげ1元ってどういう価格なんだよと思います。こっちの金銭感覚は、観光なんかのできる裕福な人たちには高い値段を、宋でない人には低い値段、というところが成立しているのでしょうかね。。。ミネラルウォーターは、空港で10元、ホテルのミニバーは(高いのが当たり前とはいえ)18元〜30元、一方フードコートや道ばたでは2〜3元です。
泰山は観光地としてはやはり有名なのでしょう。結構な人出です。バスの中では韓国人らしい人もいました。観光といういわゆる娯楽を楽しむことができるのはいいことです。ただ、Liさんも私も、喧噪かまびすしいところは正直あまり好きではありません。しかも私にとっては全く「音」にしか聞こえない中国語だとちょっときびしいです。ふとみると、なぜか向こうの方に人気のない丘が。おそらくなんの遺跡でも建物でもなく、休息所が一つ建てられているだけなのでそんな風になっているのでしょうけど、とりあえず行ってみようよといって行ってみました。ほんの少し上っただけなのに息が上がりかけているのは、体力が落ちている証拠なんだろうなぁ、と半ば危機感を抱きつつ登り終えて写真を撮ってみました。
空が明らかに霞んで見えるのは、どうも黄砂と大気汚染のせいのようです。空気が澄んでいればもっと遠くまで見通すことができる(山の場所によっては黄海が見える)らしいのですが、この状況ではそれを望むことはちょっと無理そうですね。
それを差し引いても景色はきれいです。というか、眼下に広大な都市が広がっていると「うわ、でかっ!」と思います。。。。。ああ、もちろん泰山の周りに全員いるとかそういうわけではないですが、山東省の人口は9000万人らしいです。国じゃなく省なのに、この数字はどうよ(^^;
一休みした後、山頂を目指します。といっても、私もLiさんもどこに行けば山頂なのかもよくわからないので、とりあえず高い方へ向かって歩いていくわけですが・・・(笑
階段を見つけて上っていくと、頂上ではなく孔子を祭った孔子廟でした。おしい(^^; ここまでで結構足下がふらふらになっているので、やっぱり体力の衰えは顕著かもしれません。というかデスクワークの弊害でしょうか。私より遙かに若いLiさんも、なんだかふーふー言っています。やはり定期的な運動はしておかないといけないんだよなぁ、とこんなところで実感させられるわけですが。。。。それはさておき。孔子廟の横を抜けて、さらに上っていくと、少し開けたところに出ました。ここから、頂上の玉皇頂にむかっていくわけです。どうやら先が見えてきました。
そして頂上到着。まあ、ロープウェイで途中かなり手抜きをしていますので、実質登山時間なんてたいした物ではありません。登山と言ってしまうのもおこがましいほどの時間ですし。それでも、振り仰ぐ山頂からの景色はなかなかおつなものです。いやぁ、今回泰山に来ることができたのはよかったですわ。
廟の中に入ってみると、なにやら山頂を示す石碑の周りに、たくさんの錠前がかけられています。これはいったいなんなんでしょうかね。よくわかりませんでした。そしてあたりは、焚かれているお香の煙でなんだかものすごいことに。私はそれほど気にしていなかったのですが、Liさんがかなり顔をしかめていると言うことはそんなにすごいんでしょうか。ちなみにLiさん。ここにくる途中も、「このあたりは空気が悪い」「なんか変なにおいがする」とさんざん言っていました。中天門で焚かれていたお香のところも、早く行こうと足早に過ぎていきましたし。私はそこまで顕著に感じたわけではなかったのですが、、、、もしかすると鈍感なんでしょうか。それとも鼻が悪い?(^^;;;;
さて、そんなこんなで先ほど遠景を撮ったのとは反対側に来てみました。さて、こちらの具合はどんなものかなーと思ってみてみますと・・・・やっぱり、ガスってますね。。。。これはもう、長い目で大気汚染が解消するのを待つしかないのでしょうね。。。。
頂上登り終えて、おなかがすいたのでご飯を食べることにしました。Liさんがさっきから気になって仕方がないのが「泰山名吃煎餅巻大葱」。小麦粉をクレープのように焼いて、そこにネギと味噌を挟んで食べる名物料理。食べたくて食べたくて仕方がないようです。なので、麺とそれを頼んでみました。麺をたべるのもそこそこ、出てきた煎餅巻大葱をほおばります。ほおばって……しばらくして一言。「葱のにおいがきつすぎる……」 ま、そりゃ細い生葱(しかも緑の部分が多い)が一本半入ってるわけですから。他には味噌の味しかしないわけですから。どういう味か考えてみるとそういうもんですよね。
で、私しゃ何となく味を予想していたのでそんなにがっかり感はなかった(というか、むしろ熱々じゃない方ががっかり)のですが、Liさんの落胆ぶりは著しく、なんというか「こんなもんなのかーマジっすか」という感じでぶっすーとした表情で食べてます。ってよく見ると葱1本引きずり出してるし(笑) そうですかそんなに気に入りませんでしたか(笑)
食後、帰りの方法について考えてみました。よくよく話を聞いてみると、Liさん、財布に現金があと50元以下しかないらしい。私の財布には300元弱くらい。ロープウェイで下におりるには二人で 90元必要です。そこからバスでさらに下っていくと50元くらい。200元を切る価格で済南まで戻ることになります。行きはタクシーで200元きっかりでした。若干不安の残る残高ですね。なのでタクシーではなくバスか鉄道で帰ろうと言うことにしました。まずはロープウェイとマイクロバスで麓までおります。そこでどうやって移動しようかというところに、「→済南 20元」と書いたライトバンが止まっています。いいじゃないの? と思って乗り込んでみましたが、一向に出発する気配がないのと、よくよく確認してみると個人タクシー的な物で、もっと客詰めてから発車するという物。しかも周りで客がタバコを吸い始める吸い始める。煙嫌いなLiさんは一気にイヤになったようで、駅まで出て鉄道で帰ろう、という提案をしてきます。まあ、私にどうこう反駁できるわけがありません。
ということで、泰安行きの路線バスに乗ってみました。泰山のマイクロバス乗り場から泰安駅までは20分くらい乗るんでしょうかね。料金は一律1元(18 円)。………1元ですか。ほんと、こっちの物価感覚が分からなくなります(^^;; そういや元の下には角と分という単位があるようですが、1度しかお目にかかったことがありません。どのへんで流通しているんでしょうか?(^^;
閑話休題。しばらくして発車したバスはずいぶん静かな騒音でゆっくりと走っていました。バスはゆっくりなんだし、こんなに静かだ何でハイブリッドでも使ってるのかなぁ、と思ってしばらく走っていました。すると、やおら「ぶろろろろっ」と甲高いエンジン音が。そしてそっからさきは別になんも変わらない普通のバスとして走っています。少し考えて、気づきました。そっか。さっきまでは坂道で、下り坂はエンジンをかけずに惰性で走っていたのね! うっわーえらい経済的と言えば経済的だ。そっかー惰性か。それは思いつかなかったなぁ。
いろんな意味で中国には驚きっぱなしです。
オドロキはまだまだ。泰安駅に着きます。泰安駅で鉄道の切符を買おうとおもって並んだLiさん。しばらくして憮然とした表情で戻ってきて、「やっぱりバスを探そう」と言います。「?」と思って聞いてみると、「次の電車は午後5時だって!(注:今は午後3時前です)」 と。うっわーここって一応泰安市の中央駅でしょ? それで電車が2時間こないの? 日本ではおよそ考えられないですよ。ええと、そりゃ無人駅だのホーム1本しかない駅だのならわかりますけど。 駅の規模でかいんですよ。およそ2時間済南方面への電車が来ないというのが信じられないです。済南は一応地方交通の要所なんだそうですけどね……。
まあ、結局高速バス的なもので泰安から済南まで帰りました。23元。距離にして200キロ。時間にして2時間強。中国の都市間交通における人の移動は鉄道ではなくバスなんですね。改めて実感。疲れたので途中の移動時には二人して爆睡していました。まあ、隣にLiさんが座っているからできる所行ですね。一人で爆睡はちょっと無理ですわまだまだ。
そして済南での最後の夕食です。いい加減探すのも面倒くさいので昨日のフードコートにまた行ってみました。今度は端っこの方にあったご飯を選びます。江南料理っぽい看板だったところ、Liさんが、「これは大丈夫だよ、大丈夫」といい始めます。よくよく聞いてみると江南からきているLiさん、「North Chinaの料理はぼくには合わないよ」と言い始めました。どうやら味が感覚として受け入れられないようです。「South Chinaとは全然違う」……そうなんですか。そこまで明確に違うんですか……。まあ、国土の大きさ考えればそんなもんでしょうね。北と南って北海道と沖縄以上ですし。
おかげさまで4日間、ご飯も食いっぱぐれず、移動にも問題なく過ごすことができました。一緒に回ってくれたLiさん、ありがとう!