2006.1.1
スパイラルノベルズ
『スパイラル・ソードマスターの犯罪』〔エニックスノベルズ〕は、歩が剣の達人と完全犯罪を巡って推理と剣で対決する表題作「ソードマスターの犯罪」がミステリらしくお薦めの作品。道場の跡継ぎを巡って争っていた一方の人物が殺害され、死体は車ごと燃やされる。当然のことながら容疑はライバルの人物にかかるが、彼には鉄壁のアリバイが存在していた。被害者の妹から依頼された歩は、容疑者の剣の達人を心理面で崩すべく、剣で対決することとなる。
『スパイラル2・鋼鉄番長の密室』〔エニックスノベルズ〕は、夜中にバレエを踊る少女から番長時代の英雄、鋼鉄番長のバッチを手に入れる。そして彼女の依頼から45年前の鋼鉄番長時代の密室の謎を解くこととなる。番長の時代を熱く語るひよのと冷静に対処する歩との差が好対照であるが、事件の背景の面白さに気を取られていると事件の伏線を見逃してしまう。
『スパイラル3・エイリアス・ザウエルの人喰いピアノ』〔エニックスノベルズ〕は、かつてピアノ教室で一緒だった柚森史緒から、歩は、エイリアス・ザウエルの人喰いピアノと呼ばれる古いグランドピアノにまつわる謎を解くことになる。今回は今までと比べると短いためか、事件の裏が比較的読みやすくなっていると思われる。相撲四十八手の飲み物では相変わらず、笑わせてくれる。
『スパイラル4・幸福の終わり、終わりの幸福』〔エニックスノベルズ〕は、元ホテル王の殺害事件の容疑者三人には、鉄壁のアリバイがあり、そのアリバイには折り紙と競馬が関わっていた。このアリバイトリックを崩すべく、小日向くるみの手伝いを清隆から歩は命じられる。いままでの外伝小説とのリンクが計られる小説版の最終作。ガンガンネットで連載していた名探偵・鳴海清隆とお嬢様探偵・小日向くるみの対決を描く「近況報告」「くだんを殺せ」の2編も収録。