5月15日

創刊号

はじめに

 我々TBTS(東京バッハトランペット研究会)の活動も、長くなりました。いろいろと状況が変わってきて、来られなくなった人、来たくない人、来る必要のない人、来なくてもいいと思ってしまっている人と、ありますが、いずれにしろ生涯学習ですので、向上するよう学習してください。私も、去年一年でうまくなりました。マタマタ!と思う方もいらっしゃると思いますが、本当です。こんなに勉強になるのなら、ついでに記録に残したらということで、こんなことをはじめました。参加しなかった人にも、前回何をやったかわかるし、一石二鳥なわけです。

研究会のポイント

 良い音色を出すためのポイントとして、唇の両側をしっかり固定し、下顎を張りながら上唇中央はフリーにする。多くの良くないこととしては、まず唇の両側をキープできないことにある。そしてそうしようとすると唇中央部を内側に巻き込んでしまう。それを知らずに、自分は出来ていると思い込んでしまっている。(90%以上の人が出来ていないと考えたほうが良い。)

 基本的アンブシュアが、間違ったイメージで理解されている。・・・上唇が内側に巻き込まれることはない。しかしこのようなことを言うと今度は拡大解釈して必要以上にアパチュアを大きく取り過ぎてしまう。そしてある音程をキープするために結果的に締めてしまう。締める必要のないある決まったアパチュアを上唇中央部を緩めたまま唇の両側を固定して作ることが大切なのである。締めてしまう人にはアパチュアが大きすぎて出せないと思ってしまいがちであるが実は出せるのである。(プロ・・とくにスポーツ・・は楽にやっているように見える。最低限度の力を必要なだけ必要な部分に使っているのである。)

 

Aさん;

 発生に関して独自のものがある。つまり、吹く瞬間に変化してはいけないのであるが、自分なりの変化方法を持っている。それが震えの原因でもある。マウスピースの後側をくわえていきを吹き込むときは、何も変化させずに息を送り込むことが出来るのであるから、それを楽器でもする。そして、一番大切なことは、そのことに本人が問題意識を持ち、変えようと思うかである。(出だしがすぐ振動しないのはやはり上唇中央部がかたくなっているのである。しかもその状態で無理矢理振動させるのでそうなってしまう。もっと脱力してもアパチュアさえ決まっていれば出せるということを信じるべきである。)

Bさん;

 胸の圧力を高め、上唇に力を入れ、アパチュアを小さくセッティングし絞り出している。唇の両側を訓練して、中央部をリラックスしたアパチュアを作るようにする。(この点に関してはジャズやクラッシックも関係ない。むしろそういったことを理解している人はジャズ業界の方が、比率は高いはず。)

Cさん;

 前より音色感が出て来た。そのためアパチュアが大きくなりすぎて音色がぶら下がってしまっている。(音程が低めに聞こえてしまうということ)それを対処するために今度は唇を引いてしまうので音色がなくなってしまう。もう少し小さめでリラックスした上唇にジャストフィットするアパチュアを捜しその状態をキープして息を送り込むようにする。

Dさん;

 唇の両側をセッティングできない。自分勝手な吹き方である。トランペットを吹く以前に自分が今、何をしなければならないかを脳味噌を使って考え、まず人の言うことに耳を傾けることである。社会のお荷物になってはいけない。

Eさん;

 アパチュアが大きすぎる。それをプレスと力みで解決しようとしている。自分がどう言った音色を出したいかをもっと考えるべき。(もしかしたらそもそものイメージがずれているのか・・・?)トランペットはそんなに苦しいわけでもないと言うことを知ったほうが良い。(もしかしたら苦しく吹くのが好きなのかも知れない・・・?)それらを解決するために唇だとか舌だとかに気を取られて自分の音をまったく聴いていないのである。そこに一番の問題がある。我々のやっていることの目標は音楽なのである。ボディービルではない。すべて出てきた音で判断されなければならない。どこにどうあたっても良いのである。良い音であれば。

 国立音楽大学の先生の楽器によるタクトは彼ら独自のものである。現状我々が学ばなければならない奏法と位置エネルギーは、上下運動で捉えることが出来る。それをマスターしてから国立流をやれば良い。

Fさん;

 アンブッシュアには何も問題がない。もっとうまくなりたければ“ブラバンの星”を卒業することでしょう。現状、ブラバンで求められる音は、やはり自然な奏法から出て来た音ではありません。(それは、全国大会で金賞をとろうが、セミプロと称して見本演奏と豪語しているS学園ウインドオーケストラ、プロの寄せ集め吹奏楽団のT吹奏楽団もしかりなのです)色々な音楽にチャレンジすることをお勧めします。

Gさん;

 出だしがクリアーではない。出だしをクリアーにしようとすると今度は唇がかたくなり発生しなくなる。結局のところ上唇がかたく、アパチュアは小さく、唇の両側をキープしたと同時に上唇中央も内側に巻き込んでしまうのである。もう少しリラックスしてアパチュアを大きくしても吹けることを知る。自分は出来るということを信じて実行する。

Hさん;

 音色感は良い。しかしすべて小さいところでまとまってしまっている。すべてを拡大することを自分でそうしようと思うことである。すべてを拡大しリラックスしても必ず出るのである。

Iさん;

 アパチュアが大きすぎる。トランペットに対するイメージをもう少し変える必要がある。柔らかい音色もトランペットは得意であることを知る。大きい音の時になっているように感じているようであるが、それはみせかけの鳴りで、本来リラックスしている音は大きくてもうるさくないのである。そして、息の量を少なくすればすぐpになり音程はむしろ高くなるのである。pに(息の量を少なくする)したときに、音程が下がるという現象は、必要以上にアパチュアが大きいということと、腹の力と唇の周りの筋肉が連動してしまっているということである。腹は自在に変化が出来、唇の周りは一定に固定されなければならない。

Jさん;

 タンギングをしないで発生することは、唇の両側を固定して発生するための第一段階であることをまず知ること。Jさん以外、確かにタンギングをしないで発生しているが、それでは、みんな息を出す前とあとで唇を変化させていないかというそんな事はない。本当は出来ているわけではない。そうではなく、タンギングをせずに、唇の両脇を変化させずに発生させることが、より良い音色をだす必要十分条件であることを知り、それをめざさなければならないのである。(ただし、トロンボーン、テューバの場合はアパチュアが大きくなり過ぎるので多少むずかしいようである。トランペットの場合は必ずタンギングをしないほうがうまくいく。もしうまく行かない場合は適切なアパチュアではないということと、唇が変化してしまっているのである)

Kさん;

 アパチュアをもう少し大きく取れるはず。喉を締めて息を出すことは良くない。この時点で性別による体力は関係ない。ハイトーンにむかうにつれてマウスピースの角度を下げくちびるをしめあげる奏法はトランペットには向かない。限界がすぐ来てしまう(K さんはハイCまでだせるようであるが世間の人でGがあぶない人はそれが原因である)上唇が特に内側に入ってしまいアパチュアがなくなってしまうのである。どんなに高音域に上ってもアパチュアがなければならない。そのためにはハイトーンでマウスピースの角度が下向きになってはいけない。

 指揮法の先入とベルの位置と唇のセッティングについてであるが、アウフタクトが先入されたときベルの位置は下になければならない。そして、この時唇の両側はキープされる。(だからといって息が止まっているわけではない)そして次の一拍目で唇の状態変化なしで、息が出されるのである。

Lさん;

 音域とスライドの位置についてであるが、トロンボーンは概してスライドを抜くことによって音域は下がる。それと同時にスライドの位置も下がってしまう。それを、下がらないように意識するだけで音色は驚くほど良くなる。

 

*口の周りの筋肉の訓練

 マウスピースをはずしマウスパイプに直接当ててドシラシドーを吹く。(下の)この場合、鼻から息を吸って口の両側は緩めない。ドシラシドシラシドーで約5秒かかるため12回行えば約1分かかる。1分も行えば充分筋力トレーニングになる。そしてこの練習は口の両側は固定して、中央部は緩めないと発生できないため、音色作りの練習にもなり一石二鳥である。(ツインク奏法にもつながる)

 

第2号

今回のテーマは大きく二つあります。一つは石崎さんに端を発したプレスと振動部の弾性力のバランスの問題と中山冨士雄トランペット奏法の概略にあります。中山先生の方はとりあえず読めば、書いてあることは理解できると思います。もし分からなければ(本当の意味で分かるというのは非常に難しいことである)それに合わせた研究会を行いたいと思います。

 さて、プレスと振動部の弾性力のバランスについてですが、要するに中山先生に言わせれば、唇の周りはしっかり固定しておいて唇の真中のところはブヨブヨにしておくということと同じなのです。

 トランペットのオールドファンはノンプレス奏法とか、押し付けるとバテるといった、とても有り難い?教訓があるのも事実です。それが証拠に中山先生も自分の体験の中でノンプレスからノーマルプレスに変わったことを(6ページ)打ち明けています。

 しかしながら冷静に振動ということを考えてみて下さい。ある一定の音が(今は音色のことは考えない)発生するということは、その振動数に見合った張力が存在しなければなりません。唇の振動部に張力を生み出せることのできる要素はプレスと唇そのものが持っている筋肉の収縮による堅さ(弾性力)です。

 《ある一定の張力aをプレスpと唇自身の力qで合成することを考えれば反比例の関係になる。プレスをある程度強めにすれば唇自身の力は弱くて済むと考える。それでは、かぎりなくプレスを強くすれば唇自身の力を限り無く小さくして良いかというとそうではない。つまり、x 軸の0に寄ると音色はギラギラし、y軸に寄るとモワモワするのである。どこのポイント(バランス)で演奏するかが個人の感性であり最終的には自分で決めるものなのである。》

 島田の場合、通常は、これこれこうのバランス、曲によってはこのバランスと使い分けもします。ただ、いずれにせよ多くの場合、やってはいけない領域で演奏している場合が多いのです。y軸に寄りすぎればギラギラしすぎてうるさい音になるし、x軸に寄りすぎれば力の入りすぎた響きのない音になってします。

 一つの顕著な例を日本で継続的に活動を行っている某金管5重奏団の二人のトランペット奏者に見られます。二人の個性をグラフに当てはめ考え、自分はどちらに近いかをを考えれば、何となく傾向と対策が見えてくるのではないでしょうか。ちなみに私は次のようなグラフでイメージしています。

いずれにせよ吹く前と吹く直後に唇の変化があっては何もできません!!

 

Aさん;

 アパチュアが小さい。唇が空気の流れの障害を作っている。しかも唇に力が入っているため、鳴らそうと思う時にはアパチュアを多少大きくしているようではあるが、実は本当に音が出たときは、締めているのである。恐れずにもう少し大きいアパチュアにあたたかい息を吹き込み自然に唇が反応するのを見つけなければならない。

 初歩の段階で、息を入れてからしばらく鳴らさないで瞬間に音を立ち上げる練習はとても効果的であるが、いつまでもその練習をやっているのでは芸が無い。もう初歩の段階の段階ではないので必要ない。むしろ、それが弊害になっている。そのために不必要な力を使ってしまったのである。それが下からのしゃくり上げの原因でもある。プレスのバランスを考え唇の真ん中をブヨブヨにすることを、もっと考える。

 

Bさん;

 早急の意識改革が必要である。こういった研究会で究極の奏法を教えるわけにはいかないのである。ダブルハイB♭以上ならその(胸に圧力をためて押し出す)奏法も間違ってはいないかもしれない。しかし一つの仮定として、“島田俊雄ブランデンブルグ攻略法”のレッスンをしたとしても、結局のところ今やっていることと、同じことをするに違いない。西村浩二(スタジオプレーヤー)氏にしても結局のところ Donォt Bite(噛むな>島田流にいえば吹く前と後で唇を変えるな)ということなのである。自分で何ができていないことを冷静に受け止め、他人の良いところを認め、真似でもいいから自分の良くないところを取り除かなければならない。

 

Cさん;

 「プレスをし過ぎてはいけないのではないか」といったイメージを持っているということは、「自分の音を聴いていません」ということになってしまう。もし自分の中にこういった音楽がやりたくてこういった音を出したいと感じていたら、もしかしたらもう少しプレスを既にある程度加えて(現状より強く)演奏しているかもしれない。

 現状の、震えが入り多少鳴りが暗いといった状況は、唇の振動部に不必要な力が入っているからなのである。(プレスが弱めのため)しかし本当に大切なのは、不必要な力、プレス、云々ではなく、出したい音があって、それに見合った体のバランスがあるのである。

 

Dさん;

 とにかくバストランペットをさらってください。

 

Eさん;

 自分の好きな音、今ここで要求されている音を、しっかり聞き分けなければならない。太めの柔らかい音と、よく鳴っている音は違うのであって、太めという言葉の中にともすると暗い、鳴っていないというニュアンスがあることにもっと気づくべきである。モーツァルト等でオクターブが合わないのは鳴りの振幅の大きさにある。タゥーではなくてターにして振幅を大きくしなければ先行き仕事はナイ!

 

Fさん;

 向上心の無いものは去ったほうが良い。5万回言われて分からない奴も世間にいるが、6万回、10万回になると、堪忍袋の緒はもうとっくに無い。ちゃんとカウントしろ、四拍めで息をしろ、二分音符をしっかり時間内延ばせと、六年以上前から10万回言っているのにいっこうに変わらないというのは、オレをバカにしているとしか思えない。

 

Gさん;

 唇に関しては問題ない。ブラバンの星から、違う世界もあることをまず知ること。ノミ屋での、発言に注意!アマチュア(しかもブラバンの星)であることがバレバレである。あのノミ屋には我々以外にもプロのプレーヤーがウヨウヨしていることをお忘れなく。

 

Hさん;

 自分の音がどうなっているのか、他の人と比較してまず自分を知る。今、まだ何げに鳴ってしまっている音なのである。それを、しっかりと自分の意志でコントロールして本当のトランペットの音を鳴らすべきである。

 恥ずかしいという表現から自分を打破する方法が分かったと思う。音楽を演奏する場合、自分の事情というものはない。自分を見せれば客は引く。そのことをいつも思っていなければならない。

 

Iさん;

 出だしの瞬間の乾燥肌を克服しなければならない。おそらく乾燥しているのではなく、力んでいるのである。Aさんと状況は似ている。振動部に力が入っているため、少々の力では唇が反応しなくなってしまっているのである。(初歩の段階は卒業しているのである)ある程度息が入ってやっと唇が反応しだすため(しかも力の入った唇)そういった立ち上がりとなる。バランス(プレスと唇自身の力)をもう少し考え、出だしの瞬間に鳴りのある振幅が見えるようにする。

 

Jさん;

 自分がどういった音量を出しているのか、どの位の音量を出しているのかをまず知る。きっと恥ずかしくなるはずである。初歩の段階はアパチュアが大きくなりすぎることが多々あるが、いくら何でも大きすぎる。恐らくトロンボーンくらいのアパチュアになっているのではないだろうか。もっと楽をしていいのである。

 

Kさん;

 実はJさんと似ている。Kさんの方が三年前からやっているだけであって・・・時々小さい(比較の問題・・・普通の状態)アパチュアをセッティングできる時がある。しかしどうしても下顎の筋肉がキープできずに寄ってきてしまう。

下顎をキープする際にrがしっかりしていなければならないが、rが弱くsのみでアパチュアを構成しようとしているのである。rの力をもう少し考えるべきである。

 

Lさん;

 前より音色感がでてきた。なにかいいことでもあったのか?そんなことはないだろう!ただ現状で、マウスピースのなかに唇を丸め込み過ぎである。そのため、今の段階では、力まずうまくいっている。しかし、所詮トランペットというものは、力む楽器なのである。その時には、今の唇だとプレス等に負けてしまうのである。もう少し広くとったアパチュアがたまたま小さめにセッティングされているといった状態が望ましい。

 

Mさん;

 もうほんの少し、そのわずかな鳴りが大きな差なのである。きっとちょっとしたイメージの切り替えで最高の音色が出せる位置に自分がいることを知る。自分で考えている自分より他人が見ている本当の自分はもう少しうまいかもしれない。そういった人は世間が見ている、自分ではない自分に、本当の自分自身が近づけなければならない。自分が自分だけのものではないのである。そこが辛いところでもある。

 

第3号

 今回のテーマは唇を吹く前にセッティングをして、状態を変えずに息を送り込むということを具体的に行なうために、最初の一拍を息だけ出して、その息を音に変えるというところにあったと思われる。

 この練習の効能は明らかに音色を明るくするところにある。皆さん以外にできないので少々驚いたのですが、まず、息を送り込むことと 唇と、その周りの筋肉の状態をまさに吹く状態にすることを、わけて考えなければならない。だいたいの人が吹こうとする時にセッティングされ結局のところ閉まってしまい音色が暗くなってしまっている。

 草笛の原理を考えてみて下さい。葉っぱにはまさにその音が出る葉っぱ自身の堅さがあります。それが振動部が持つそもそもの弾性力なのです。そこまで唇も弾性力をあげなければならないのです。(息を送り込まなくても存在する弾性力)多くの方が息を徐々に入れだし、低い音程からずりあがってくるのは、まさにその最初の時点に弾性力が達していないのです。それをアパチュアの大きさでコントロールしているので、結局のところ振幅の小さい暗めの音になってしまうのです。うまく弾性力をコントロールできれば、もっと大きなアパチュアで、しかも音色も明るく出せるのです。信じて下さい。

 余談になりますが巨人の星で飛雄馬が大リーグボール1号を開発する際にお寺に座禅を組に行く場面があるのですが、そのとき和尚さんに「打たれまい打たれまいと思う心が精神の乱れとなる。うしろ打ってくれと思う心ができた瞬間に心の迷いはなくなる」といわれ、その言葉で、ひらめくのです。ラッパも同じです。吹こう吹こうと思う心が、汚い音色になるのです。むしろならなくてもいいやと思ってセッティングされた唇がとても良い状態の弾性力を生み出し、明るい音色へとつながるのです。

 

 

Aさん;

 マキシマムの息を入れたときに下のドより上めをつかみ、しかも振動させない方法をつかむ。息の量と唇の周りの筋肉の緊張が、比例関係になってしまっている。独立させるべきである。そうすれば唇の周りの筋肉も強化される。今回の練習は唇を開いた状態から音を発生させているのであるが、勿論閉じた状態からもできなくてはならない。どちらもできなくてはならないのである。

 タンギングの際、響きのないタンギングという物体が存在するのは、発生の際くちびるが、堅くなっているのである。上記のことができれば、きっと克服される。

 

Bさん;

 立ち上がりの瞬間変化をさせない。息にテヌートするつもりで、やってはいかがなものか。巨人の星のたとえをもう少し肝に銘じてみてはどうだろう。見栄を張ってならそうとしてしまっている。ならなくてもよいからもっと楽にx軸に音色を近づけなければならない。そうすれば震えも止まる。

 

Cさん;

 完璧に吹く前と後で別の唇になってしまっている。鏡を見てどちらかにしたほうが良い。どちらかで鳴るのを待つ。現状の吹くまえの状態ではすべてに力が入りすぎている。吹いている時は支えがなく震えにも、つながってしまう。中間をうまく見つけるべきである。

 

Dさん;

 私の思い過ごしであって欲しいが仕事のし過ぎで、もし鳴りのないノイズがはいるのだとすると二つの意味から危ない。まずアンブシュアが間違っている。早急の変革が必要である。もう一つは音色イメージに自分なりのものがない。いずれにしろ仕事でつぶれる人はみんな、だんだんアパチュアが無くなっていきムニャムニャの音色になり、ついには音がでなくなるというパターンである。これを克服するには上記のようにアパチュアを確保するしかない。

 

Eさん;

 息で唇が前に出るのである丸め込もうと確保してはいけない。そして、もっともっとすべての表現を大きくとる。大は小を兼ねるのである。金石幸夫曰く、大きい音しかでないラッパは下手ラッパ、小さい音しか出ないラッパはだめラッパ、要するに両方できなくてはならない。

 

Fさん;

 鼻にはんこがはいっている。立ち上がりの瞬間に響きがないから結果的にすべての音が詰った音色になってしまっている。

 

Gさん;

 上からのポイントを早くつかむ。自分のアパチュアがほんとうに小さくなっていることを本当の意味で知る。できていないことを音量と馬力で解決しないで、もっと優しく楽音で勝負する。確かに我々は体育会系かもしれないが、スポーツではない!

 

Hさん;

 立ち上がりの音色が、モワーッとしているときと、ビヤーッとしている時がある。へたくそなブラバンの某国産メーカーのスチューデントモデルの音がしている。もうすこし格調高い音色のイメージをする。

 

Iさん;

 もう少し頭を使って人の言うことを聞く。いま何を要求しているのかが判断できないでラッパがうまくなるはずがない。

 状況はAさんと似ている。適性弾性力を息を送る前に準備する。

Jさん;

 私の思い過ごしであって欲しいが練習不足。唇に皮が一枚かぶっている。しかも音色感が無くなっている。Iさんにもいえることであるが、おれにうまくしてもらおうなんてことを思っていたら大間違いである。自分でうまくなるのである。

 堅い唇を力で押し出している。しかもアパチュアは小さくかたまっている。もっとフリーにしなければならない。

 

Kさん;

 タンギングなしでもっと明るい音が力まずに出せることを知る。下顎が入りすぎていることも、一つの原因であろう。もっとアパチュアを大きくしても楽にでるのである。もっともっと楽をすることが、究極への近道なのである。

 

第4号

 今回、皆さんにもう少し考えていただきたいことは、音色感ということです。仮に上唇の状態がうまくいっていたとしても、変にギラギラし過ぎていては、第三者に自分の音を聴いてもらえないのです。いつも言っていますが、トランペットという楽器を吹いているからといって、正しいトランペットの音がしているというわけではないのです。人間だって、狼に育てられると狼になるのです。ちゃんと人間として育てられなければならないのです。同じように、ちゃんとトランペットの、しかも良い音のイメージをして演奏しなければなりません。

 あまり言いたくないことですが、この研究会をやったり、某学園で指導することは、私自身とても危険性をはらんでいるのです。というのは悪い例がいくらでもあるからなのです。耳がそういった音に慣れてしまうのです。またバロックとモダンの仕事を交互にやっても調子悪くなります。それは、モダンからバロックに移るときに、イメージが変えきれずに、バロックなのにモダン的な音を出そうと思ってしまったり、モダンなのにバロック的な音を無意識に、出そうとしてしまうのです。この行いが本当に調子を悪くさせるのです。意識の変化のできなさが結果的にそうさせるのです。皆さんの場合は普段よりは良い音?が目の前にあるのですから調子悪くなるはずありません。早く良い音のイメージを確立して下さい。

 それから、立ち上がりの唇の状態の変化(あってはならない)と音程と、立ち上がりの音色の関係ですが、まず、タンギングを打たない場合に、音程が下がる人は、アパチュアを大きめにセッティングしてしまっているのです。そして唇が締まって、その音程まで持ち上げるので、響きのない音色になってしまうのです。またうわずってしまう人は、絶対的に唇に力が入ってしまっているのです。またタンギングを打って、下からづり上がってしまう人は、絶対的にアパチュアが大きすぎるのです。もう少し小さいアパチュアをセッティングしなければなりません。また、響きのないタンギングという物体が存在してから、音が出る状況にある人は、タンギングを打とうとした瞬間に、唇が内側に巻き込まれてしまっているのであります。(勿論Po-で発生させることもありますが・・・)上唇の状態が、タンギングをしてもしなくても同じ状態になければなりません。(勿論例外は多々ある)

 

Aさん;

 立ち上がりのタンギングという物体の削除が必要である。下顎のセッティングができていないため、アパチュアが、吹く前は、いつも大きくセッティングされているのであろう。そして吹く瞬間に上唇がキュッと巻き込まれるのである。下顎のセッティングと息の流れによる鳴りを実感し、明るい音色の音の出し方を体で覚えなければならない。

 

Bさん;

 息を止めない。

 Bさんの直接的問題ではないが、アパチュアを先入拍で準備すると、ともすると胸に圧力が溜まりがちになってしまうが、そんなことはない。アパチュアが、セッティングされていても息は吸えるのである。

 一番悪いのは、息を止め、胸で圧力を貯め、しかもその瞬間に唇が締まってしまう。音色が明るくなるはずがない。

 

Cさん;

 出だしにノイズがあるのはなぜだろう。きっと空気の通り道が小さいのであろう。その状態から出た音は、鳴っているようにも思われがちであるが、唇が少々硬くなっていて、少々の息で反応しなくなっているので、音量が大きくなってしまっている。両方のバランス(反応しやすい唇と、はっきりした立ち上がりのする唇)ができるようにする。

 

Dさん; 

 もしかしたらセッティングしろといっている状態を、鳴らない状態にすることと勘違いしているのかもしれない。もうすこし唇の周りの緊張感をなくしたところで、セッティングしたほうが良いのかもしれない。いずれにせよ、口の近辺で行われていることと、おなか近辺で行われていることを独立させなければならない。

 

Eさん;

 一日目より二日目の方が明らかに普通に鳴るということは、明らかに練習不足である。ある程度の絶対音は必要である。442Yぴったりとは言わないが、それ近辺が分かっていたほうが良い。430Yぐらいを平気で出している。

 

Fさん;

 人に聴いてもらえる音色を出さなければならない。まだ中学校のブラバンの音がする。

 

Gさん;

 GさんにもFさんと同じことが言える。小学校の鼓笛隊の音色が時々よぎる。自分の出したい音のイメージを早急に変革させる。そしてそれにあった体の状態をつくる。

 バテルなどということは、今、まだ論じてはいけない。大きすぎるアパチュアを力で小さくすればバテル以前に振動部が存在しなくなる。

 

Hさん;

 良い兆しが見えてきた。今まで、あまり揺れに関して指摘されなかったのが原因であろう。今、せっかく良い音が出てきたのだから、それを、まっすぐ延ばすことを心がける。そして自分の意志でヴィヴラートをかけられれば、もっと余裕のある音になる。

Iさん;

 立ち上がりの一発目に響きがない。

 

Jさん;

 自分の出している音程が聞こえていない。しかもぶら下がった音になっている。

 

Kさん;

 ロートーンに関しては鳴るポイントまでピッチが上っていない。残念ながら、高めに取ったときは、づりあげてしまっているので唇に力が入ってしまった。そうなれば、高音域は高くなってしまうに決まっている。少なくともロートーンのつぼをづりあげずに、島田とあったほうが良い。

 

Lさん;

 楽にセッティングした状態で変化なく何回かできた。無理に硬直させたセッティングは必要ないのであろう。楽な状態でアパチュアを小さめにセッティングするポイントを体でメモリーする。

 

Mさん;

 鳴りをまず探す。

 

Nさん;

 首を絞めない。

 

Oさん;

 周りの人がやっているのを良く見て研究する。初めてなので無理はないが、立ち上がりの瞬間の練習方法が的を得ていない。まず、タンギングをしないで発生させることが、明るい音色の発見のための近道であることを知る。それから、アパチュアのキープを知り・・・そんなに慌てることはない。まだできてない人はたくさんいる。

 

P さん;

 判読不明。前前回から考えると、ロートーンの音色には問題ないが、リップスラーが難しそうにしていたのを考えると、あるポイントからアパチュアのコントロールができなくなり、無駄な力を使っていると推測される。その場合リップスラーをできるようにして無駄な力を入れないポイントを探しても良い。

 

Qさん;

 マウスピースが大きいため難しいのであろうが、タンギング無しの時にぶら下がる。下顎のポイントと音程の関係を研究する。

 

Rさん;

ノイズを取る

 

Sさん;

 指が遅い(みんなにもいえるが)

 

Tさん;

 もっと頑張る。

 

 

通算 第5号

 今回の研究会のいちばん大きなテーマはイメージと言ったことであろう。初めて参加した二名、久々に参加した人、本年度参加回数の少ない人に、それぞれ差があるところに興味が持たれる。

 この研究会に初めて参加する人は大きな衝撃を受けるであろう。というのも、とても簡単な譜面なのに要求通りのことが思うようにいかないからである。そういう人は今まで恐らく、音色という観点で演奏を捉えたことが無いのであろう。いつも言っている、狼に育てられた人間の話ではないが、人間が人間になるのは、人間が人として教育するからなのである。狼が育てれば人間も狼になれるのである!?トランペットもそうである。ただトランペットを吹いているからと言って本物のトランペットの音がするわけではないのである。吹き手が正しいトランペットの認識を持ったうえで演奏しなければトランペットの音は出ないのである。そんなことは分かっていると今思ったあなた!あなたはきっと分かっていない危険性をはらんでいる。なぜならば、音色というものは忘れてしまうのである。そして自分では前と同じことをしていると錯覚を起こすのである。これが厄介なのである。

 

初参加のAさん;

 今、上に述べた事以前に小学校、中学校の音楽の授業をもう一度復習する必要がある。音楽には音楽の約束事がある。それを守らない人は音楽を演奏する資格がない。ほかにも耳の痛い人がたくさんいるはずである。楽譜というものはとても良くできた、音楽的数値を表した図である。しかも答えが書いてあるのである。その答えが、まず答えの意味が解って答えられなければならない。また答えの本当の意味が解らなくても、その答えを声を出して読めなければならない。答えるべき平仮名が読めないのならまだしも、質問されていることが解らないのか、質問されている声が聞こえないのか。自分がどのレヴェルかを知る必要がある。恐らく質問されていることが解らないのではなかろうか。音楽には音楽の最低限度知らなければいけない知識がある。そこをまず改善しないと、きっと、我々のしゃべっている言葉が宇宙人語に聞こえてしまう。(グループの中に何人かの宇宙人はいるが・・・?)あまり知ったかぶりはしないほうが良い(人生の先輩に失礼な言い方だが)一応プロなので、その人がどう言った音楽経験をしてきたかは一発の音でもある程度分かってしまう。1からやり直すのではなく、0からやり直してもらいたい。皆さんそうしている。

(ちなみに、この文章を見ていないのに、しかも飲み会のときはものすごくやる気に満ちあふれ、はりきっていたのに、次の週の7月18日は、連絡もなくお休みになりました。単に仕事が忙しくたまたま来られなかったのならいいのであるが、少々、来週いらっしゃるかが心配である。取り越し苦労になってほしい)

 

初参加のBさん;

 初参加のBさんの場合は音色感がいままでの経験と全く違ったということに問題がある。結局違いが分かっても体が理解していないのでどうにもならないのである。しかし、残念なことにこちらからのアプローチは音程が高いか低いかしかないのである。実はそんな問題ではなく、本人が音色の違いを気がつかないかぎり変化は表れてこない。早期の意識改革を期待する。

 

しばらく来なかったA .Bさん;

 自分では分かっていて、「やはり違う」とまでも分かっていても良い音が出ない、しかし2回目として行うとでてしまう。これは明らかにイメージ喪失現象である。しかしながら過去の経験があるのですぐその場でもどせるのである。

 ヨーロッパでは声楽家はそれぞれヴォイストレーナーがついているそうであるがまさにその感覚である。やっているうちに分からなくなってくるのである。それを是正するのがヴォイストレーナーの仕事である。ならばトーントレーナーなる仕事が存在してもいいのではないか。そんなことはできない日本なのだから、学んだことは忘れてはいけない。というよりもなるべく足を運んでもらいたい。今年度一度も足を運んでいないJ医大のみんながどの位ボロボロになっているか正直なところ楽しみであり遭遇したくないところでもある。意に反してうまくなっているなどとは想像もできない。(意に反してうまくなっていてほしいがあり得ない)

プロプレーヤーのAさん;

 プロプレーヤーのAさんのなかにようやく、「しょうがないから島田の真似でもしてやろう」と言う感覚が芽生えてきた。明らかに音色が明るくなった。Aさんは体育系なのですべて体力で解決する傾向にある。明るい音色が発見でき、楽をすることを覚えればもっと大きい音も出せるということを早く体で分かって欲しい。

Bさん;

Bさんに最後行ったアプローチが実はとても難しいポイントでもある。つまり、下の基本となるドの音が、自然な唇で演奏でき、それをある程度音域を拡げられ(上下5度)5度上のソの音を、下のドと同じような自然な演奏ができるかという点である。どうしても、下のドと同じ唇で吹いてしまうため結果的には間違った唇になってしまう。良く世間で一通りの唇で演奏されなければならないとか、口は動いてはいけないとか良く言われている。確かにそうであるが、捉えるポイントの考え方をとり違ってしまっているパターンが多い。まず、物理的に考えても、音が違えば、その、振動帯の状態も違うことは理解できると思う。また動いてはいけないのは、唇の周りの筋肉の固定ポイントであって、振動部ではない。振動部も良い状態と言うことに変化があってはいけないが、結果的に妙に唇の状態を動かさないようにするあまり、唇内部振動部は、グチャグチャに良くない状態へ変化してしまっている。

 このソを演奏する際に初期の段階では音量は必要とされないであろう。メゾピアノぐらいで、タンギングをして八分音符(ソを基準にして4ページの練習をしても良い)の練習および11ページの1番を練習する。ピッチが下がってしまう人は、下のドの悪影響が残っているのである。必ず、マウスピースを口から離し、再度、挑戦しなければならない。また、妙にタンギングがきつく、しかも音色の線が細くピッチが高めの人は本当に悪い意味での別の口になってしまっている。恐らく演奏に際し息苦しさがあるはずである。その苦しさから開放されたところが、きっと良いポイントである。

 

 

問題点の整理

 ここでいくつかの問題になるポイントを整理してみたい。

 

音だしに関する問題点

・タンギングなしで高めになる人

 アパチュアが小さい、基本的な唇弾性力が高すぎる。もうすこし脱力をすることによってアパチュアを拡げ、豊かな音色を目指す。日ごろからこうなる人は意識改革の問題である。また練習不足、辛いものを食べた直後はよくこうなる。

・タンギングなしで低めになる人

 アパチュアが大きすぎる。それを是正するために、本来使ってはいけない力で、アパチュアを小さくしてしまっているので、音色に響きが無くなる。もう少し楽な、少々小さめなアパチュアサイズがあるはずである。

・タンギングをして高めになる人

 唇が内側に巻き込まれすぎた上、アパチュアが、小さくなっている。舌を離す速度が速すぎる。タンギングをしようと思ってセッティングする際に、すでにいらない力もセッティングしてしまっている。

・タンギングをして低めになる人

 下顎の筋肉の力がない。また、舌を後ろに引きすぎているがゆえにアパチュアが大きくなりすぎている。たとえば下のドを、ドゥオーと考えすぎていないか。ドゥーぐらいでもよいわけである。もちろんテュゥーでもティーでもよいのである。要は正しい音程と音色を出したときの舌の位置である。

 

上達段階とチェックポイント

・第一段階  下の基本のドを明るく楽に出せる  

・第二段階  下の基本のドの上下5度を同じような状態で出せる

・第三段階  下の基本のドの5度上のソをメゾピアノで柔らかく正しい音程で出せる

・第四段階  下の基本のドの5度上のソの上下5度を同じような状態で出せる

・第五段階  メゾピアノでセッティングしたソから下のドにフォルテで降りられる

・第六段階  下の基本のドのオクターブ上のドをピアノで柔らかく正しい音程で出せる

・第七段階  ソとラ♭に不連続面がない

・第八段階  ドミのリップスラーに不連続面がない

・第九段階  レ、ミ♭をしっかり高めにとれる

・第十段階  ファを低めにとれる

・第十一段階 ミ、ファ♯に不連続面がない(ファ♯を低めにとれる)

・第十二段階 ラ’を低めにとれる

・第十三段階 リップトリルができる

・第十四段階 ハイB♭(ド”)がだせる。

・第十五段階 ハイD(ミ”)に音のツボをつくることができる

・第十六段階 ハイE♭(ファ”)低めにピアノでだせる

・第十七段階 ハイFとハイGに不連続面がない

・第十八段階 ダブルハイB♭を不連続面をもってしてだせる

・第十九段階 ハイAをピアノで音のツボをつくることができる

・第二十段階 ハイAとダブルハイB♭を不連続面をなくしてだせる

 

島田式グレード

級なし 

10級 第一段階、第二段階

9級 第三段階、第四段階

8級 第五段階、第六段階

7級 第七段階、第八段階

6級 第九段階、第十段階

5級 第十一段階、第十二段階

4級 第十三段階、第十四段階

3級 第十五段階、第十六段階

2級 第十七段階、第十八段階

1級 第十九段階、第二十段階

特 級 

 

以上のようにそれぞれの音域にそれぞれのチェックポイントがある。これは絶対に飛び級ができないのである。先に進めないということは、どこかを飛ばしているのである。ほとんど9割9分9厘の人が第一段階にあったりする。だからトランペットは難しいのかもしれない。