(1/3) キリンが目の前で産まれました。キリンは立ったままで 出産するので、2メートル近い高さからボトリと落ちます。 キリンの妊娠に気がついたのは、やはり飼育担当者でし た。どうもキリンが妊娠したようだと7月に聞かされたと きは、毎日見ている私にも信じられず、半信半疑でした。 もしかして単に太っただけなんじゃないか、などと冗談を 言っていました。8月になると担当者から時々胎動がある と、報告がありました。それでも、毎日キリン舎に通って いる私が観ているときには全然動いてくれませんでした。 9月になって、私が観察している最中に、お腹から肢のよ うな形が突然飛び出しました。担当者からは、いまさら何 を喜んでいるのと笑われてしまいましたが、日頃の担当者 の観察に脱帽しました。 いよいよお腹が膨らみ、いつ出産してもいいように、放 飼場に出さないで1日中室内収容するようになりました。 尾を持ち上げるような、ちょっとしたしぐさでも、もしや 出産するんじゃないかと、担当者は休む暇もありませんで した。そんな毎日が2ヶ月も続いたある日、出産の兆候は 突然やってきました。朝はなにも変化がなかったので、ま だまだと思っていたところ、お昼前に破水したとの連絡が 入りました。飛んでいくと、お尻から前肢が少し出ていま した。前肢が出ているということは、逆子でないというこ となのでまずは一安心、さっそくビデオと写真を撮り始め ました。
破水直後、お尻から前肢が飛び出していました。