指輪
- Ring -









				− 朝 −




第3新東京市立第壱中学校2年A組の教室。今は生徒達もまだ登校しきっておら
ず、クラスの8割くらいの人数しかいない。朝のホームルームまでのわずかな時
間を使って昨夜のテレビの話題が飛び交っていた。そんな中、窓際の席で机に肘
をつき、何を見るでもなく外を眺めている少女 −綾波レイ。

今日もいつものどうりの1日が始まるはずだった。

レイからわずかに離れた席で、親友の洞木ヒカリを相手に夕べ見たドラマの話で
盛り上がる勝ち気な少女 −惣流アスカ・ラングレー。

「で、ヒカリはどうなのよ?」

「何が?」

「だっからぁ、あそこで指輪を出す男って何かクサいと思わない?」

「で、でも、あのシーンで指輪くらいないと。」

「ま、ドラマだからねぇ、実際、あんなキザな男がいたら、あたし吹いちゃうな。」

「・・・碇くんだったら?」

ヒカリはアスカの顔を覗きこみながら、口もとに意味ありげな笑いを浮かべて問
いかける。

「ば、な、何でシンジなのよ!だいたいシンジがあんな気のきいた事できるわけ
ないじゃない!!」

アスカは何故かあわてて大声になってしまった。その声は少し離れた席で鈴原ト
ウジ、相田ケンスケらと他愛もない話をしていた少年 −碇シンジの耳にとどいた。

「うん?アスカ、何?」

「な、何でもないわよ!」

何気なく聞いたシンジに真っ赤になったアスカがぶっきらぼうに答えた。

・・・何の話だろう?・・・

シンジは自分の名前が出たので気にはなったが、あまり深く考えることなく答えた。

「・・・ふうん。」

シンジがまたケンスケ、トウジとの話に戻ったのでアスカも落ち着きを取り戻し
てヒカリに向き直った。

「ちょっと、ヒカリ!」

「あははは、ゴメン、アスカ、で、でも、ふふふふ。」

ヒカリはしてやったりといった表情で笑いながらアスカに謝る。アスカはここで
騒いでも墓穴を掘るだけなので、機嫌の悪そうな顔でヒカリを睨んでいた。

「でもアスカ、あのドラマの中でさ、指輪のサイズいつわかったんだろうね?」

「そう言えばそうよね。まぁ、そこがテレビの都合のいいとこよ。」

「なんやイインチョー、シンジと指輪がどーしたんやー?」

「え?」

突然シンジ達と話していたはずのトウジが話に割り込んできた。ヒカリはトウジ
の声を聞いた途端、わずかに頬を赤らめる。

「なによ!あんたはカンケーないわよ!!」

アスカはさっきのうっぷんをぶつけるようにトウジに言った。

「おおう、惣流、何怒っとるんや?」

「怒ってなんかないわよ!そうだ、あんたちゃんとヒカリの指輪のサイズ聞いと
きなさいよ!!その時になって間違いましたじゃカッコ悪すぎよ!!」

「はぁ?ゆ、指輪が何やて?」

アスカの言葉に完全に真っ赤になってしまったヒカリは何も言えない状態だった。
そんなヒカリを見てアスカがニヤリと笑ったのは言うまでもない。そこにシンジ
が割り込むように声をかけた。

「ねぇ、アスカ、指輪のサイズって、何?」

「へ?」

「だから、指輪ってサイズとか、あるの?」

シンジの突然の乱入にアスカも一瞬我を失う。そんなアスカを見てニヤリ、とケ
ンスケ。ちなみに彼は話に加わらず、デジタルカメラのファインダーに神経を集
中させた。

「あんたばっかぁー?女の子に指輪プレゼントするのにサイズ知らないでどーす
んのよー!!」

「あぁ、そういうことか・・・指輪にもサイズがあるんだ・・・」

一人で納得するシンジ。

「これだから3バカはお子さまだっていうのよねー!!だいたいぃ、あんたたち
みたいな男は女の子に結婚申し込むことなんて一生ないからカンケーないのよ!!」

「結婚?」

「そうよ!指輪ったらやっぱり、恋人同志か結婚相手でしょうが!」

「へぇ、そういうものなんだ・・・」

また一人で納得するシンジ。何だか自分の世界でブツブツ言っている。

「もー!これだからあんたたちは・・・」

「そういえば、アスカの指輪のサイズって、何?」

「へ?」

シンジの発言に一瞬静まり返るケンスケ、ヒカリ、トウジ。
アスカは凍ったまま『へ?』の表情をしている。シンジはというと何でみんなが
固まったのかがわからず『?』な表情。しばしの沈黙の後、赤面しまくったアス
カが口を開いた。

「な、なな、なんであんたがあたしに、それ聞くのよ・・・」

「シ、シンジ、そういうことは2人っきりの時に聞くもんだよ。」

ケンスケが我に帰るとシンジに言った。
ケンスケのその言葉でシンジはようやく事態を把握した。

・・・こ、この場合女の子に指輪のサイズを聞くということは・・

シンジは一気に赤面しながら弁解する。

「ぼ、僕は、ただ、ゆ、指輪のサイズってセンチとか、ミリとか、えっと、ど、
どんな単位かな、って思って、そ、それで・・・」

シンジとしては純粋に指輪のサイズがどんな単位なのかが知りたかっただけなの
だが、お子さまな彼は周囲の状況が掴めていなかった。

「あ、あたりまえじゃない!だいたい、な、なんであんたに教えるのよ!」

アスカも何故かしどろもどろになってしまった。シンジはいつものビンタが飛ん
でくるものと覚悟していたが、いつもと違うアスカの反応に戸惑っていた。

「碇くん、ゆ、指輪のサイズって、た、たしか号だと思うけど・」

ヒカリが場を取り持つようにシンジに教えた。シンジも赤面したまま答えた。

「そ、そうなんだ。ご、号ね。」

「なんだかなぁ・・・」とトウジ。

「なんでしょうねぇ・・・」とケンスケ。

そんな彼らを紅い瞳が静かに見つめていた。




				− 昼 −




「あら、アスカ、碇くんは?」

昼休み、教室で弁当をひろげようとしたアスカにヒカリが声をかけた。いつもな
らトウジ、ケンスケらと一緒に昼食をとるシンジの姿が見えず、トウジ達も2人
でパンを食べようとしている。

「シンジは午後早退してネルフへ行ったのよ。」

「そう、アスカはいいの?」

「ええ、あたしはいいの。」

「綾波さんは?」

「ファーストもシンジと一緒よ。」

「そう・・・・」

「ったく、あの2人はあたしと比べて下手くそだから、余計な訓練がいるのよ。
あたしもフォローが大変よ。」

「・・・そうなんだ。」

ヒカリはアスカを見つめながらつぶやいた。アスカは弁当を包んでいる赤い布巾
をほどいていた。

「なんや惣流、シンジは綾波とデートかいな?」

「うっさい!!」

アスカはトウジの方を一睨みするとヒカリの方に向き直って言った。

「さ、バカはほっといて食べましょ!」

「そうね、食べましょ!」

2人は明るく言うと弁当を開けた。


−そしてこちらは話題の2人。


シンジとレイは昼休みになると一緒に学校を出て、駅に向かっていた。さっきか
ら2人とも無言である。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・あーお腹空いたなぁ・・・・・・・
・・・綾波はお腹すかないのかなぁ・・・
・・・なんか喋った方がいいよなぁ・・・
・・・せっかく綾波と2人っきりになれたんだし・・・・
・・・って僕は何考えてんだ!・・・・・
・・・で、でもこんなチャンスめったにないし・・・
・・・だ、だから何がチャンスなんだ?・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

シンジはワケのわからないことを考えながら、それでもなんとか、
レイに声をかけた。

「あ、あの、綾波・・・」

「何?」

「あ、あの、お、お腹、すいたね・・・」

「・・・そうね。」

・・・あ、やっぱり綾波もお腹すいてるんだ!・・・
・・・これはチャンスじゃないか!・・・
・・・だから何がチャンスなんだよぉ!・・・
・・・だって綾波と2人で昼ご飯を食べられる・・・

と、シンジはそこまで考えると自分でも気付かぬうちに赤面していた。一方のレ
イは心持ちうつむき加減で、しかし他はいつもと変わらぬ様子でシンジの横を歩
いている。

「あ、綾波、あの・・・」

「何?」

「・・あの、本部についても、まだ、試験まで、時間、あるよね。」

「・・・ええ。」

「じゃ、じゃぁさ、本部の食堂、い、行かない?」

「・・・いいわ。」

「そ、そう、じゃ、一緒にお昼、食べよう。」

「・・・ええ。」

レイの頬が心持ち赤くなったが、シンジも赤面して前だけを見て話していたために
気づくことはなかった。

・・・碇くん、何故わたしを誘うの?・・・
・・・わからない・・・

レイもシンジもそれきり黙ったまま歩いた。しばらくして、駅の近くの公園の前を
通りかかった時、公園の中から子供の声が聞こえてきた。レイは何気なく声のする
方を見た。そこには母親らしき女性と、その子供と思われる4〜5歳の少女がブラ
ンコに乗っていた。母親らしき女性はブランコにのる少女の背中を優しく押してブ
ランコを揺らしていた。

何故かレイは立ち止まると、黙ってその2人を見つめていた。

「・・・・・・」

シンジはレイが立ち止まったのに気づいてレイの方を見た。

「綾波、どうしたの?」

「・・・なんでもないわ。」

レイは振り返ると、また歩き出した。シンジも後を追うように歩き出した。

・・・綾波、ブランコに乗りたいのかな?・・・

シンジはレイの横顔を横目で見ながらそんなことを考えていた。

・・・やっぱり綾波って、奇麗だよな・・・

シンジがボーっと考えているとレイがシンジに声をかけた。

「碇くん、電車、来るわ。」

「あ、あ、そうだね、急ごうか?」

「ええ。」

ホームに2人が着いた時は発車のベルが鳴り終わる寸前であったが、2人はなん
とか電車に乗り込んだ。一息つきながら見回すと電車はいつになく空いており、
シンジとレイの乗る車両には2人の他には誰も乗っていなかった。もっとも第3
新東京市に住んでいる人間は何らかの形でネルフに関係しているはずだが、ジオ
フロントに向かう電車には関係者以外、例えばシンジ達エヴァのパイロット以外
の学生などが乗っているはずもなかった。

2人は並んで座った。

・・・碇くんは、さっき・・・なぜわたしを見ていたの?・・・

レイはシンジが自分を見ていたことを思い出していた。シンジに聞いても良いこ
となのだろうか?と。シンジはレイと電車に乗るということが何故か嬉しく感じ
られてレイに話し掛けた。

「綾波と2人で電車に乗るのって、初めてだよね?」

「・・・2度目よ。」

「え、そうだっけ?」

「碇くんが、わたしの家に来た時、乗ったわ。」

「えぇ、あ、あ、あの時・・・」

シンジはリツコに頼まれてレイの家にIDカードを渡しに行った時のことを思い
出した。それと同時にレイの家で一糸纏わぬレイを押し倒したことも。
たしかにその後、本部に向かう時に今乗っているこの電車に乗ったのだった。
シンジは耳まで赤くなってしまった。

「あ、あの時は、ほ、本当にごめん。」

シンジは俯きながらあやまる。ふと見ると、レイも頬を染めて俯いている。

・・・あ、れ?あの時は、綾波、赤くなったりしなかったのに?・・・

・・・なに?この感じ・・顔が熱い・・・わたしきっと顔が赤い・・・

「・・・ご・・ごめん。」

シンジはレイが赤くなっているのを見て反射的にまた謝ってしまう。

「・・・・・・」

レイは何も言えずに俯くばかりだ。

・・・わたし・・・碇くんの方を見れない・・・

シンジはこの雰囲気を何とかしようと、話題を昼食の方へ持っていこうとしてレ
イに話しかける。

「あ、あのさ、お昼、何食べようか・・・」

「・・・・・・」

「ほ、本部の食堂は、け、結構おいしいから・・・」

・・・あー!!僕は何を言ってるんだー!!・・・

「・・・・・・」

「・・・あ・・あの・・・えっと・・」

「・・・サンドイッチ・・・」

「え!?」

「・・・ご飯・・・」

レイは俯いたまま小さな声で言った。シンジはやっとレイがしゃべってくれたと
いう事に安心して、レイが何を言ったのか一瞬理解できなかった。

「え、あ・・・そうだね、す、すぐに試験だから、軽いものの方がいいよね。」

レイは相変わらず俯いていたが、シンジの言葉にコクリと頷いた。

・・・どうして、顔が熱くなるのかしら?・・・

レイは俯いたまま、何かを確かめるように「パチパチ」と音がしそうな瞬きを2
回すると、無意識に瞳を左右にさまよわせていた。
シンジはというと、そんなレイを見て視線を外せなくなってしまった。

・・・あ、綾波・・・かわいい・・・

しばしの沈黙。沈黙。沈黙。

「・・・何?」

シンジが自分を見つめているのに気付いて小さな声でレイが聞いた。その時にな
ってようやく視線をシンジに向けるが、相変わらず頬が赤く染まっている。

「え!?」

シンジはレイに見とれて意識があっちの世界に飛んでいってしまっていたために
レイの問いかけに対応できなかった。

「・・・どうして、見つめているの?」

「え、いや、あの、ご、ごめん・・・」

反射的に謝るシンジ。

・・何て言えば・いや・・綾波が、かわいいからって・・・い、言えない・・・

レイは不思議そうにシンジを見つめ返す。

「・・・どうして謝るの?」

「いや、・・・そ、それは・・・」

またまた沈黙。

・・・どうして碇くんは私を見つめるの?・・・

しばらくレイは考えていたが答えが出ないのでそれ以上考えるのをやめてシンジ
から視線をはずすと前を向いた。

・・・ど、どうしよう・・綾波、怒ってるのかな?・・・

シンジも前を向いて正面の車窓に映った自分達の姿に目をむけた。なんだか不安
になったが、どうしようもなかったので黙っていた。すると、ふわぁっと甘い匂
いに包まれた。

・・・あ、綾波の匂いだ・・・
・・・零号機のエントリープラグでも同じ匂いがしたな・・・
・・・あぁ、なんだか落ち着くな・・・

シンジは自分のすぐ左横にレイが座っているのがなんだか信じられないような気
がした。自分の正面のガラス窓には自分と、そのすぐ側にレイが映っている。

・・・なんだか嬉しいな・・・
・・・綾波が近くにいるんだ・・・

シンジは目を閉じた。そのまま2人は黙っていた。


2人は本部に着くとそのまま食堂に向かった。そこは食堂というよりはレストラ
ンと言った方がぴったりくる感じの垢抜けた雰囲気だったが、なぜかネルフの職
員は食堂と呼んでいる。今日の予定は零号機、初号機の機体相互換試験。試験開
始まで、時間は1時間以上余裕があった。レイは野菜サンドとオレンジジュース、
シンジはシーフードピラフとアイスコーヒーを選んだ。

2人は空いている席に向かい合って座った。

「いただきます。」

シンジは食べ始めた。レイは少し不思議そうにシンジを見ていたが、無言でサン
ドイッチを手に取った。少ししてレイが声をかけた。

「・・・碇くん。」

「ん、何?」

シンジはレイの方を見た。レイはじっとシンジを見つめている。少し間を置いて
から続けた。

「・・・指輪、あげるの?」

「え?何のこと?」

「・・・あの人に、指輪、あげるの?」

シンジは何のことかわからなかった。しばらく考えているうちに今朝のアスカや
トウジとの会話を思い出した。

「もしかして、今朝の話?」

「・・・ええ。」

「いや、別にそんなことしないけど?」

「・・・そう、ならいいの。」

レイはわずかに安堵の表情をうかべて言ったが、シンジ、そしてレイ本人でさえ
もそれには気付かなかった。

・・・綾波、なんでそんなこと聞くのかな?・・・

シンジは心に浮かんだ疑問をそのまま口にした。

「・・・なんでそんなこと聞くの?」

レイはシンジの問いかけに思わずはっとして表情を変える。

・・・わたし、どうして聞いたんだろう・・・

レイは戸惑いながらも素直に答える。

「・・・わからない・・・」

「ふうん。」

・・・やっぱり女の子って指輪とかが好きなのかな・・・

シンジはレイが指輪などの装飾品に興味があるようには思えなかったが、一応聞
いてみることにした。

「綾波は指輪とかって、やっぱり興味ある?」

シンジの問いかけに「興味ない」と答えようとしてレイは考え直した。確かに今
までは全く興味を持っていなかった。では何故さっき自分はシンジに「アスカに
指輪をプレゼントするか?」という質問をしたのだろう。

・・・指輪、恋人にあげるもの・・・
・・・結婚相手にあげるもの・・・
・・・碇くんがあの人に指輪をあげるとしたら・・・
・・・恋人?結婚?・・・
・・・指輪?・・・

「・・・わからない。」

結局、そう答えるしかなかった。
シンジはレイが「興味ない」と答えるのではないかと思っていたので少し意外な
気がしたが、レイも女の子なのだ、と納得した。

「ふぅん。」

「・・・・・・」

「・・・綾波も指輪とか、欲しいと思う?」

シンジの問いかけにレイはまた考えてしまった。自分は指輪を欲しいのだろうか?
今まで欲しいと思ったことはない、が、今朝のシンジたちの会話に興味を持った
のもまた事実だ。

・・・指輪・・必要では・・・ない・・・
・・・誰かにもらうとしたら・・・
・・・誰に?・・・
・・・碇くん?・・・

「・・・わ、わからない。」

「そうかぁ。」

シンジは俯いたレイがわずかに頬を染めたのに気付いた。それがとても意外だっ
たが、すごく自然な感じがした。

・・・へぇ、女の子って、よくわからないや・・・綾波はかわいいけど・・・

それがシンジの素直な感想だった。




				− 夕方 −




「シンジ君、何か感じるかしら?」

ネルフ本部の試験場のモニタールームから機体相互換試験でも責任者を務めてい
る赤木リツコが零号機とシンクロしているシンジに声をかける。

『・・・なんか、初号機の時より、違和感っていうか、特に手を動かした時に・・・』

シンジの声がモニタールームに響く。零号機のエントリープラグとリツコがいる
モニタールームは双方向の通信回線で繋がっている。モニタールームにはリツコ
の他に、シンジの保護者兼上司である作戦部長の葛城ミサト、それにリツコの片
腕である伊吹マヤ、その他数人のオペレーター、そしてモニタールームのガラス
窓のすぐ近くでじっと零号機を見つめるレイの姿があった。

「フィードバックに誤差は?」

リツコがマヤに聞く。マヤはすばやくディスプレイを確認するとリツコに答えた。

「ほとんどありませんね、ただ、フィードバックのゲインがレイに合わせてある
のでシンジくんには少し設定値が低いのかもしれません。」

「そうね、じゃぁ、フィードバックをあと0.03だけ上げてみましょう。」

「はい。」

マヤがすばやくキーボードを操作する。

「シンジくん、今度はどうかしら?」

リツコの声に答えるようにシンジは左右の手をゆっくりと動かす。シンジの動き
に合わせて零号機の両手がゆっくりと動く。

『はい、さっきより自然な感じです。』

シンジが答える。リツコは手にしたボードにチェックマークを入れると言った。

「そう、じゃ、今日はこのぐらいにしましょう。マヤ、採取したデータはメルキ
オールに送っておいてね。」

「はい。」

マヤがすばやくキーボードを操作して零号機から採取したデータを処理する。

ミサトはマグカップにコーヒーを注ぐと、それを口に運びながらレイの方を振り
返り声をかける。

「レイ、準備はいい?」

その声にレイもミサトの方を見て肯く。その時レイの瞳にミサトの右手の薬指に
はめられた指輪が映った。

「・・・・・・」

レイは無言でそれを見詰める。

「ん、どしたのレイ?」

ミサトはレイがじっと自分の方を見つめているのに気づいて聞く。

「・・・・・・」

レイは何も言わず、不思議そうにミサトの右手の薬指を見つめている。ミサトも
レイが何を見ているのかに気づいて、苦笑いしながら言った。

「あ、こ、これね、ま、たまには指輪くらいしてみよっかなー、なんて・・・」

ミサトの言葉を聞くと忙しそうにディスプレイを見ていたリツコが顔をあげる。

「あら、ミサト、その指輪って・・・昔、加持くんが・・・」

加持の名前が出て、ミサトはなぜかうろたえる。

「い、いいじゃない、べ、別に、意味なんかないわよ!」

「だって、あなたが指輪するなんてめずらしいじゃない・・・さては、今夜・・」

「なによ、リツコ、早くデータ処理しちゃいなさいよ!」

「あなたも素直じゃないわね、左手の薬指にすればいいのに・・・加持くんだっ
てそのつもりだったんじゃないの?」

レイは2人のやり取りを黙って聞いていたが、そこで初めて口を開いた。

「・・・薬指?」

レイが声を発したのでリツコもミサトもレイの方を見た。レイは相変わらず何か
不思議なものをみるような表情でミサトの指輪を見ていた。レイの様子を見てリ
ツコが言った。

「レイ、左手の薬指の指輪には特別な意味があるの。」

「・・・意味?」

レイはリツコの方を見てつぶやいた。

「そう、将来を約束した人から送られた指輪であることが多いわね。」

「ちょっと、リツコ、あたしは別に・・・」

リツコの説明にミサトが年甲斐にもなく赤面する。レイはミサトの指輪に視線を
戻すとじっと見つめた。シルバーのリングに小さな紅い宝石。

・・・とても・・奇麗・・・
・・・葛城三佐が誰かからもらった指輪・・・
・・・葛城三佐・・・微笑んでいる・・・
・・・奇麗な指輪・・・

「レイ、そろそろ、準備いいかしら?」

リツコがレイに声をかけた。レイはリツコの方を向くと短く返事をした。

「・・・はい、ケージで待機します。」

レイはモニタールームを出て初号機のある第六ケージに向かった。

・・・左手の薬指・・・

レイはミサトの指にはめられた指輪を思い出していた。

−数分後

シンジは零号機のエントリープラグから出ると、モニタールームに向かった。

「あぁ、シンジ君、ご苦労様。」

リツコが声をかけた。ミサトも振り返って言う。

「おっつかれー、シンちゃん。」

「お疲れさまです。」

シンジが答えた。

「シンジ君はもう帰ってもいいわよ、おかげできっちりデータとれたわ、ありが
とう。」

リツコがディスプレイに視線を走らせながら言った。

「は、はい。」

「あ、シンちゃん、今日もちょっち遅くなりそうだから先にご飯食べちゃってて
いいわよ。」

ミサトが言う。ミサトはなぜかリツコの方を気にしながら作り笑いを浮かべてい
るようだ。少し顔が引き攣っている。

「はい、・・・あ、あの」

「何、シンちゃん?」

「あの、あ、綾波は・・・?」

「あら、シンちゃんレイがどうかした?」

ミサトがさも楽しそうに聞く。

「いや、あの、まだ試験終わらないですよね・・・」

下を向いて言うシンジを見てミサトがニヤっと笑う。そこに相変わらずディスプ
レイを見たままキーボードを操作しているリツコの声が入る。

「ええ、シンジ君の試験が終わって、ちょうどこれから初号機の方のデータ採取
をはじめるから、そうね、あと1時間くらいかしら。」

「・・・そうですよね。」

「シンちゃん、待っててあげれば?まだ時間も早いし。」

ミサトがニヤニヤしながら面白そうに言った。

「え、いや・・・」

「あらぁ・・・だって先に帰っちゃうなんて、冷たいんじゃない?・・・シンち
ゃんが待っててあげればレイだって喜ぶわよぉ。」

「は、いや、でも・・・」

「シンちゃん、こういうチャンスはのがしちゃダメよ。」

「え、何がチャンスなんですか、別に僕はそんな・・・」

「あっれー、さっき食堂でいい雰囲気醸し出しちゃってたくせにぃ・・・」

「え、いや、そんなんじゃないですよ!!もう、ミサトさん!!」

あっさりと赤面するシンジ。ミサトは完全に自分の思いどうりに反応するシンジ
を見て思いっきり楽しそうだ。そんな2人の会話を聞いていたリツコが面白そう
に乱入する。

「あら、そうだったのシンジ君?」

「そうそう、もうATフィールド全開って感じで誰も入れない2人の世界よ。」

ミサトがもの知り顔で言う。

「ちょっと、からかわないでくださいよ!ミサトさん!!」

「あははははは・・・」

リツコはシンジの方を見て優しい笑顔を浮かべると、猫のプリントの入ったマグ
カップを手に取り一口飲んで言った。

「まぁいいじゃない、初号機はシンジ君の機体なんだし、レイがシンクロしてど
んな様子かを見るのも専属パイロットとしていい勉強よ。」

「はぁ。」

「リツコの言うとおりかもよ、別に用事、ないんでしょ?」

「はい、じゃぁ。」

「ふふふふ。」

「な、なんですかミサトさん!!」

「べっつにー、そうそう、そういえばレイもシンちゃんが零号機乗ってる時には
心配そうに見てたわねぇ。」

「そ、そんなこと・・・」

「あらー、ホントよぉー。」

「ほらほら、そろそろ始めるわよ、2人とも。」

リツコのその声でようやくミサトはシンジを開放したのだった。

・・・シンジくんって、ホントにかわいい・・・

これがその場で黙って3人のやりとりを聞いていた伊吹マヤ二尉の素直な感想で
ある。

−1時間後

「・・・碇くん?」

「あ、着替えたんだ、じゃ、じゃぁ帰ろうか?」

「・・・ええ。」

レイが更衣室を出ると、ドアの外でシンジが待っていた。シンジはSDATを忘れて
きていたので何もすることがなく手持ちぶさただったが、思ったより早くレイが
着替え終わって出てきたので少しあわてた。

・・・アスカに比べると綾波は着替えるのが早いんだな・・・

・・・碇くん・・・わたしを待っていてくれたの?・・・

2人はネルフ本部を出ると、来た時と同じように電車に乗りジオフロントから地
上に出た。駅を出て歩き出すとあたりは夕日に紅く染まっていた。蜩の声が聞こ
える。

「あ、綾波。」

・・・どうして綾波を呼ぶ時どもっちゃうんだろう?・・・

「・・・何?」

「今日これから何か用ある?」

「・・・ないわ。」

「じゃ、あそこで少し、その、休もうか?」

レイがシンジの指差す方を見ると、来る時に親子連れを見かけた公園があった。

「・・・かまわないわ。」

・・・碇くんはどうしてわたしを誘ってくれるんだろう?・・・

レイは何度目かの疑問を心のなかでつぶやいた。


2人は公園に入っていった。それほど広い公園ではないが、滑り台、ブランコ、
ジャングルジム、砂場などがあった。シンジがとりあえず入り口の近くにあった
ベンチに腰掛けると、レイがその左側に座った。シンジがレイの方を見ると、ち
ょうど逆光になったレイの横顔はプラチナブルーの髪が夕日に透けてキラキラと
輝き、透き通るように白い肌と奇麗なあごのラインが例えようもなく美しかった。

・・・うわー・・・綾波・・・すごく奇麗だ・・・

シンジは思わず口に出してしまいそうになった。しかしレイはそんなシンジに気
づく様子もなくじっと視線をあるところに向けていた。シンジがレイの視線を追
うと、レイはブランコをじっと見つめていた。

・・・綾波、ブランコ?・・・

シンジもブランコの方を見た。何の変哲もない普通のブランコ。膝くらいの高さ
の柵が回りを長方形に囲んでいる。木製の板を鎖でつるしただけの簡単なつくり。

「綾波、ブランコにでも乗ろうか?」

シンジは立ち上がるとレイの方を向いて言った。

・・・あ、今、どもらないで呼べた・・・

「え?」

レイはキョトンとした目でシンジを見上げた。

「ブランコに、乗ろう。」

シンジが言うとレイは少しの間シンジを見つめていたがコクリと肯いて立ち上が
った。微かに微笑んだように見えた。

「綾波、僕が押してあげるから乗りなよ。」

シンジがそう言うとレイは肯いて鞄を柵のところに置き、ブランコに腰掛けた。
シンジも自分の鞄を柵のところに置くとレイの後ろに立った。

「綾波、押すよ。」

「・・・うん。」

シンジはレイの背中を両手でぎこちなく、しかし優しく押した。なぜか胸がドキ
ドキする。恥ずかしいような、変な気分だ。制服ごしにレイの背中の肩甲骨の形
がかすかに感じられた。ブルーの髪がかすかに揺れて白い首筋がシンジの目に焼
き付く。

・・・女の子の首って細いんだな・・・

突然、目の前のレイの身体がとても脆い、ガラス細工のような、まるでちょっと
でも力を加えたら壊れてしまうもののような気がして両手の力をさらに弱めた。
そして優しく、柔らかく、レイの背中を押し続けた。

・・・碇くんの手、優しくて、暖かい・・・
・・・不思議な気分、少しわくわくするような・・・
・・・景色がゆっくりと揺れている・・・
・・・いえ、揺れているのはブランコ・・・
・・・揺れているのは・・・わたし・・・
・・・揺らすのは・・・碇くん・・・

金属のきしむようなキィキィというかすかな音だけが聞こえた。

「・・・ありがとう・・・碇くん。」

「・・・え?」

「・・・もういいわ。」

「もういいの?」

「・・・うん。」

レイはこのままずっとこうしていたいような、でもそうすると何かが心の中では
じけてしまいそうな、そんな気がしてシンジに言った。
シンジはレイのとなりのブランコに自分も腰掛けるとレイの方を見ずに言った。

「あ、あの、た、たまには、こういうの、いいよね。」

「・・・はじめて・・・乗ったの。」

「・・・え。」

シンジがレイを見る。レイは俯いていた。

「・・・わたし・・・はじめて乗ったの・・・ブランコ。」

「・・・そうなんだ。」

「・・・碇くんは?」

レイがシンジの方を見る。シンジはレイから視線をはずし、遠くを見るような
目で言った。

「僕は、小さい時に何回も乗ったことがあるよ、父さんや・・・母さんと・・・」

「・・・・・・」

レイはじっとシンジを見ていたが、立ち上がるとシンジの後ろに立ち、言った。

「・・・押してあげる。」

「・・・え?」

レイはシンジがレイにしたように優しくシンジの背中を押した。ゆっくりと揺れ
るブランコ。

「・・・あ・・・ありがとう・・・」

シンジは何かが胸に広がっていくのを感じた。さっきはドキドキしていたはずだ
が、今はとても落ち着いた気分だった。とても気持ち良かった。

金属のきしむかすかな音・・・今日何度目かの沈黙、心地よい沈黙。

「あ、綾波、ありがとう、もういいよ。」

「・・・そう。」

レイはゆっくりとシンジの背中から離れると、となりのブランコに腰掛けた。

「・・・!!・・・」

レイがかすかに声をあげた。見ると左手の薬指の付け根から1cmほどのところ
に小さな木片が刺さっている。ブランコの木製の腰掛けの部分がささくれていた
らしく、手でそこを触ったときに刺さったらしい。

「あ、綾波、大丈夫?!」

シンジが立ち上がってレイの左手を覗き込むように見る。

「・・・・・・」

レイはしばらく無表情に左手を見ていたが右手で木片をつまむとそれを抜いた。
傷口から赤い血が滲む。

「あ、綾波、早く消毒しないと!」

「・・・平気。」

「だ、だめだよ!化膿したら大変だよ!!」

慌てて声が大きくなるシンジをレイは不思議そうに見つめた。

「ええっと・・・ちょっと待って・・・」

シンジは鞄からポケットティッシュを取り出すと1枚を小さく切り長方形に畳む。

「綾波、手を見せて。」

シンジはレイの左手の手首をつかむと傷口をじっと見て、小さく畳んだティッシ
ュをそっとあてた。

「えっと、これじゃすぐとれちゃうな、何かないかな・・・綾波ここ押さえて。」

レイはシンジを不思議そうに見ていたが、言われるままにティッシュを押さえる。
シンジは鞄の中をごそごそやった後、ポケットを探るとあっという表情で何かを
取り出した。それはピンク色のビニールで全体を覆った長さ5cmほどの細い針
金だった。ビニールは幅5mmくらいの板のような形で針金を包んでいた。
よく、パンなどの入ったビニール袋の口を縛ってあるアレである。シンジは葛城
家でいつも食事の準備をしていた。今朝は少々寝坊したためパン食だったのだが、
パンの袋を開けてそのまま制服のズボンのポケットに突っ込んだらしい。

「ちょっと変だけど、帰ったらちゃんと消毒してね。」

シンジはそう言うとレイの左手の薬指にあてたティッシュの上から優しくピンク
の針金を1周させて撚り合わせて止めた。

「綾波、痛くない?」

「・・・平気よ。」

「な、なんかちょっとカッコ悪いけど・・・ごめん・・・」

「・・・・・・」

確かにちょと不格好ではあった。だがレイの白い肌とさわやかなピンク色が不思
議と合って、なんとなく奇麗にも見えた。− 白く細い指にピンクの指輪。
レイは不思議そうに自分の左手の薬指をみていた。

・・・指輪・・・

「ご、ごめん、あの帰ったら、本当に、すぐはずして消毒して・・・」

シンジはおろおろしていたが、じっと自分の指を見つめるレイはなぜか嬉しそう
だった。

「・・・いい。」

「・・・でも・・・」

「・・・碇くん・・・ありがと。」

レイはシンジの方を向いて微笑んだ。シンジはそれに見とれてしばらくじっと紅
い瞳を見つめていたが、やがてシンジも笑顔になると言った。

「うん・・・そろそろ帰ろうか?」

「・・・うん。」




				− 夜 −




レイはベッドの上で膝を抱えて座っていた。窓から覗く満月が淡い光でレイを包
んでいる。レイは左手を大きく開くとそれを月にかざす。ティッシュは外されて
いたがピンクの針金 −指輪− は彼女の薬指を飾っていた。

・・・碇くんがくれた・・・指輪・・・
・・・指輪・・・
・・・恋人にあげるもの・・・
・・・結婚相手にあげるもの・・・
・・・わたしは碇くんの恋人?・・・
・・・わたしは碇くんの結婚相手?・・・
・・・きっと違う・・・
・・・碇くんにはあの人がいる・・・
・・・でもいい・・・
・・・碇くんがくれた・・・わたしの・・・
・・・大切な指輪・・・

レイは大切そうに左手の薬指を右手で包むと胸の前に抱いて目を閉じた。




				− 翌朝 −




第3新東京市立第壱中学校2年A組の教室。いつものようにホームルームまでの
わずかな時間を使って昨日別れてから起きた出来事を報告しあうクラスメート。
ざわめく教室で話に加わることもなく窓際の席でいつものように外を見ている少
女 −綾波レイ。

しかしいつもとは違い肘をついてはいなかった。そのかわり机の上に置いた左手
を右手で大切そうに包んでいる。

<・・・ガラガラガラ・・・>
<・・・おはよー、ねぇねぇ昨日のあれ、見たぁー?・・・>
<・・・見た見た!・・・>

続々と教室にクラスメートが入ってくる。そんな中、元気いっぱいに朝のあいさ
つをかわす、ひときわ目立つ美しい少女 −惣流アスカ・ラングレー。

<・・・おっはよー、ヒカリ!!・・・>

彼女の後ろから教室に入ってくる線の細い、優しそうな顔立ちの少年 −碇シンジ。

<・・・おはよう、トウジ、ケンスケ・・・>
<・・・おう、シンジおはよう・・・>

・・・碇くんの声・・・

窓際の席から外を見ていたレイがその声に思わず教室の中を振り返る。無意識に
右手が左手からはずれて机の上に置かれる。

「あ、綾波、おはよう。」

「・・・おはよう、碇くん。」

レイは答えた、微かに頬を染めて。だが、それに気づいたものはいなかった。
そこにアスカが元気よく割って入る。

「ちょっと、ファーストぉ、あんた、なにそれ!?なに指に巻いてんのよ!?」


レイは視線を左手の薬指に移すと、右手で大切そうに左手を包んだ。


「・・・・・・」


「・・・???・・・」



そしてそっと小さな声でつぶやいた。





「・・・指輪・・・」









Fin.


Special Thanks to Hiroyasu Nagata.




written by shin.(1997.5.22) shin@cinderella.co.jp.
NEON GENESIS EVANGELION copyright GAINAX/Project EVA. NAS.




shinさんへの感想はこ・ち・ら♪   


管理人(その他)のコメント

カヲル「いらっしゃい、Shinさん。ようこそこの分譲住宅へ。ぼくはまっていたよ」

アスカ「ぐぬぬぬぬ・・・・あの娘が主役の、主役の小説なんて・・・・・」

レイ 「あなたは今回は用なしなのよ。だから、そこをどいて」

アスカ「なんですって!!」

レイ 「なんでわたしが主役の小説に、あなたのコメントがいるわけ? あなた、用済みなのよ」

アスカ「む、む、むっきいいいいいい!!」

カヲル「まあまあ、二人してにらみ合うのはこの辺にして、一緒にコメントをすればいいじゃないか」

アスカ「・・・・あんた、いま「とばっちり喰らって殴られるのはゴメンだ」とか考えたでしょ」

カヲル「(ぎくううっ!!)」

レイ 「・・・・命令ならそうするわ」

アスカ「・・・・・ふう、しかたがないわね。じゃあ、何でアタシがシンジに指輪のサイズを聞かれて赤くなるわけ?」

カヲル「おや、赤くならないのかい?(にやり)」

レイ 「・・・・わたしはうれしいけど」

アスカ「・・・・う、うるさいわね!!」

カヲル「ふっ、自分に正直に生きないとね」

アスカ「つ、次! どうしてシンジがレイなんかを待っているのよ! アタシが家でシンジのごはんを待っているって言うのに!!」

レイ 「それは、碇君がわたしのことを大事に思ってくれるから・・・・」

カヲル「待っているのはごはん? それともシンジ君?(にやり)」

アスカ「・・・・・・(こ、こいつら・・・・)」

カヲル「はっはっは。やっぱりこういうコメントになったか。ま、此の二人が一緒じゃね・・・」


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