超極悪小説

 

終末世紀 エヴァンゲリオン

   


 「シンジ、シンジ・・・・」

 心地よいまどろみの中でシンジは、誰かが自分を呼ぶ声で泡が水面に浮かぶ
ように次第に現実へと戻っていく。

 「ん、誰・・・・?」

 シンジはゆっくりと目を開けながらそうつぶやく。
その声は一気に目が覚めるような怒鳴り声で答えられた。

 「なに言うてんねん!
何時やと思ってんねん、さっさと起きや!」

 シンジがゆっくりと起きあがると、そこには黒いジャージを着たスポーツ刈
りの少年が両手を腰に当てて立っていた。
寝ぼけた頭で幼なじみのトウジであることを思い出す。
トウジは大阪人と東京人のクォーターで、そのためか少し大阪弁がおかしかっ
た。

 「なんだ、トウジか・・・」

 「なんだとちゃうわ!
学校に遅刻するやろ!」

 「あ、そうだね」

 シンジはのんびりと答えてベッドから起きあがる。
そののんびりとしたところが、幼なじみのトウジとしてはじれったい。

 「はよ、着替えや、じれったいなー」

 トウジの言葉にもシンジはあまり心を動かした様子もなく、ゆっくりとパジ
ャマの上着のボタンをはずして脱いだ。
ほっそりとした身体が現れ、それを見たトウジは思わず赤面して目をそらした。

 (な、なにどぎまぎしてんねん。
わしは男やで、同じ男のシンジの身体を見てこんな事思うなんて変態や・・・)

 トウジは思わず両手で頭を抱える。
それを見たシンジは心配して声をかけた。

 「・・・どうしたの、トウジ?」

 「な、なんでもないわい!」

 やがてシンジは着替え終わると、カバンを持ってトウジと一緒に部屋を飛び
出してそのまま玄関に向かう。

 「行って来まーす!」

 「おじさん、行って来ますわー!」

 「うむ」

 シンジ達が元気に出ていくのをシンジの父ゲンドウは無表情に見送った。

 「ユイが亡くなって10年。
シンジも立派に育った。
しかし、ますますユイに似てくる・・・・」

 ゲンドウはサングラスの奥の目を光らせ、ニヤリと笑うと洗い物の片づけを
始めた。



 シンジとトウジは学校への道をひた走っていた。
走りながらトウジはシンジに話しかける。

 「そういえば、今日転校生が来るんやって」

 「ふーん、そうなんだ」

 シンジとトウジが通う第三東京学園中等部は男子校である。
そのため転校生が来ると言われても感動も薄い。
その事はすぐに話題から消え去り、別のことを話す2人だが、ちょうど曲がり
角に来たときシンジは誰かにぶつかり、その腕の中にすっぽりと受けとめられ
た。

 「あ、ご、ごめんなさい・・・」

 シンジがとっさにそう言って顔を上げると、きらめくような赤い瞳に出会っ
た。
雪のような白い肌に薄い色の髪。
そして少女と見まがうばかりの繊細な美しさ。
だが、体つきや服装から判断すると間違いなく男であるように思われた。

 「いいんだよ、ぼくの方も悪いんだからね」

 そう言ってその少年は微笑み、右手でシンジの顎をつかみくいっと上向かせ
た。

 「特に君のようなかわいい子なら大歓迎さ・・」

 「え・・・」

 思わず赤くなるシンジ。
それを見たトウジは眉をつり上げ、シンジの手を急いで引っ張った。

 「いつまで抱きついてんねん!
遅刻するやろ!」

 赤い瞳の少年はそのトウジを見て、ようやくシンジから手を離した。

 「それはすまなかったね。
ぼくもそういえば遅刻するところだったんだ。
でも、そのおかげで君に出会えてうれしかったよ」

 少年は最後に微笑みをシンジに向けると軽やかに走り去った。
その後ろ姿に見とれるシンジを見たトウジは、そばにいるシンジにも聞こえな
いほどの小さな声でつぶやいた。

 「あいつ・・・・気にいらへんわ」



 2人が第三東京学園に着いたのはいつもの時間より少し遅れていた。
時間ぎりぎりである。
教室に走り込んできた2人をメガネの少年が迎えた。

 「シンジ、トウジ、今日は遅かったな」

 「おはよう、ケンスケ」

 「おはようさん、ケンスケ。
今日はなんか変な奴に会ってもうてな、遅くなってもうたんや」

 そこまで言ったときに窓の外から派手にタイヤがアスファルトとこすれる音
がした。
何人かの生徒が歓声を上げながら手を振る。

 「加持先生ーーーっ!」

 「おはようございますーっ!」

 シンジ達の担任教師加持リョウジは一部の生徒に熱狂的な人気があった。

 「でも、なんで加持先生ってあんなに人気があるのかな。
確かに良い先生ではあるけど」

 ケンスケがぽつりと言う。
だが、2人の返事はなかった。
シンジは窓へ走りより加持に手を振っていたし、トウジはそんなシンジをにら
んで聞いていなかったのである。

 「はあーー」

 思わずため息をつくケンスケであった。


 「今日は転校生が来ている。
渚カヲル君、入って来るんだ」

 それから5分後にかけ込んできた加持は、入って来るなり一番にそう言った。
その言葉に教室の扉が開き、1人の少年が入ってくる。
それはシンジが通学路でぶつかった美少年だった。

 「ああーーーっ!」

 思わずシンジとトウジは驚きの声を上げてしまう。
その2人に気付いたカヲルは少し驚きながらもシンジに微笑みを返す。

 「制服から同じ学校だとは思ったけど、まさか同じクラスになれるとはね。

これには運命を感じるよ」

 「なにが運命や!
気持ち悪いことぬかすな!」

 カヲルはトウジにその赤い目を向ける。

 「どうしてそういうことを言うんだい?
もしかして君も彼のことが好きなのかな?」

 「なななな、なに言うてんねん!
そんなことあるわけないやろ!」

 思いっきりどもりつつ、赤くなってトウジは言い返す。

 「そうかい。なら関係ないだろう。これはぼくとシンジ君の問題だよ」

 「男と男でおかしな事ぬかすな」

 「ぼくにとって女は無価値なんだよ」

 「アホかーっ!」


 「先生、止めてやってくださいよ」

 言い争う2人に見かねたケンスケが加持に声をかける。

 加持は頷くと三人に近付いた。
そしていきなりシンジの頭を抱きしめる。

 「2人とも、シンジ君は俺が目を付けていたんだ。
他の誰にも渡さないぞ」

 「それはずるいですね、先生。
シンジ君は必ずぼくのものにするんですから」

 「先生、なに言ってんですかっ!」

 「アホなこと言うてんのとちゃうで!」

 クラスメイト達が唖然としている中で、シンジは1人赤くなったり青くなっ
たりしているのだった。

 終わり





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管理人(とその他)コメント

トウジ「どきどきどき・・・・・

シンジ「どうしたの、トウジ?」

トウジ「し、シンジ!! な、なんでもあらへんわぁ!!」

シンジ「そう・・・・でも、顔色悪いけど・・・・まじまじ」

トウジ「ななななななな何みとんのやぁ!! 何でもあらへんいうとるやろ!!」

カヲル「ふふふふふっ・・・・君も、シンジ君の魅力にめろめろなくちだね」

トウジ「なんや転校生!! 何抜かしとる!!」

カヲル「君は、僕と同じだね

トウジ「はぁ? 何抜かしとんのや」

カヲル「ああ、気にしないでいいよ。昨日、初カヲル君の高嶋さんが24話を見ただけだから」

トウジ「?????」

カヲル「ああ、遅くなって申し訳ない。ジオさん。分譲住宅への入居、ありがとう。僕は待っていたよ。この話、僕はぜひ続きを見たいね」

アスカ「却下、却下、却下よ!!」

カヲル「・・・・なぜだい?」

アスカ「わたしがでてこないこんなむさい小説、何が楽しくて・・・・・あら・・・・なんだか頭が・・・・むぐぅ」

カヲル「ふっ、さっき盛った眠り薬がようやく聞いたようだね。君の出番はここではないのだから。そこでお休みなさい」

アスカ「すぴーっ、すぴーっ」


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