もう一つのエヴァンゲリオン  

 

注)これは機動戦艦ナデシコの最終話が元ネタです。従ってそれを見ていないとなにがなにやら

さっぱりという可能性があります。

 

ついに始まった人類補完計画。戦略自衛隊によるネルフ本部への攻撃。その最中、リツコは

なぜかターミナルドグマへと向かう。

 

シンジは初号機でそれを追っていた。レイもそれに続く。零号機はないがATフィールドがはれるレイに

とってはさしたる問題ではない。

シンジ「どこまで続くんだ?これ。」

それは答えを期待した問いではなかったが、答えが返ってきた。

レイ「話によると、全長は約2キロ。その間30mごとに隔壁があるそうよ。」

 

 

一方、発令所も大騒ぎになっていた。

日向「しかし、赤木博士はなにをするつもりなんでしょう。」

 

冬月「はっ、ユイくん!」

シンジ「そうか!」

マヤ「せんべい。」

ゲンドウ「そうか。」

マヤ「せんべい。」

ミサト「そうか!」

マヤ「そうかせんべい〜。」

かわいそうに、まともな神経の持ち主のマヤは事態に耐えられなかったらしい。

一瞬本部が静まり返った。

 

アスカ「なによなによなによー。なーにみんなでもりあがっちゃってー。ユイってなんなの」

 

ゲンドウ「説明しよう。赤木博士がいないので代理だ。」

 

突如話し始めるゲンドウ。いつものポーズでにやりと笑ったまま口調だけが教育番組のおにいさん、

おねえさん風なのが不気味だ。

ゲンドウ「ユイというのは私の妻だ。エヴァの初の起動実験でエヴァにとりこまれてしまったのだ。

わたしはこのことがトラウマの一つになっていた。

だがユイは死んではいなかった。その魂はエヴァの中で生き続けていたのだ・・・」

 

 

そのころリツコはサルベージされたばかりのユイと話をしていた。ユイはまだ記憶がはっきり

していないらしい。あるいはショックで一時的に幼児退行をひきおこしているのかもしれない。

もうすぐシンジがくるというリツコの話を疑いもせず、おとなしく座っている。

 

ユイ「シンちゃん、こないね」

リツコ「もう少しでくるから待って。(おそらく、ネルフ本部の隔壁がいくつもとおせんぼをしているから

苦労しているのね。)」

 

じっーとリツコを見つめるユイ。リツコは企みがばれたのかと内心冷や汗をかいたが、それを悟られない

ように微笑みながら問いかけた。

リツコ「どうしたの?」

ユイ「おばちゃんの匂い、知ってる・・・」

リツコ「おばちゃんは酷いわね。(くっ、あんたのが年上でしょうがぁ。

だれがおばちゃんですって、ふざけるんじゃないわよ。)」

やはり血なのだろうか、おもわずユイの首を絞めたくなるリツコ。確かにユイは38歳になるはずだが、

もともと若作りなのに加えて外見はエヴァに取り込まれた当時のまま(27歳)なのでどうみても

リツコより年上には見えない。

ユイ「赤木博士みたい。」

リツコ「え?

ユイの意外な台詞に驚くリツコ。確かユイと会うのは初めてなはずだが。

ユイ「赤木博士と同じ匂い。(きつい化粧の匂い)あのね、ナオコさんったら酷いのよ。わたしがいるのを

知りながらゲンちゃんにちょっかいかけてるの。」

ユイのぐちが続く。ユイの言う”赤木博士”が母親のことだと気づき一安心なリツコ。

赤木博士への文句を一通り言い終えて今度は取り込まれたころのことを話し出すユイ。

ユイ「それで体がぴかぴか光ってしんちゃんがどこかに行っちゃうような気がしてそれで・・・」

ユイの話はなおも続く。11年もエヴァのなかにいたせいだろうか、やたらといろいろ話してくるユイに

リツコの自制心は消滅寸前だ。

 

 

一方、発令所は新たな緊張に包まれていた。

青葉「上空より飛行物体。」

アスカ「な、なに?」

日向「ただいま確認中・・・ゼーレエヴァのようです。」

アスカ「エヴァシリーズ・・・完成していたの?」

 

それとほぼ同時刻。ターミナルドグマもまた、衝撃に襲われていた。おびえるユイ。もはや完全に

幼児と化している。

ユイ「おばちゃん!」

 

リツコ「大丈夫よ。発令所。」

青葉「赤木博士、大変っすよ。ゼーレの人たちが量産型エヴァで急に襲ってきて。」

リツコ「なるほどね。アダムの分身たるエヴァが近くにたくさん来てリリスが活発化してるのね。」

物珍しそうに通信をのぞくユイ。その姿を見て驚くシンジ。

シンジ「母さん?」

しかし、会話する暇もなく画像が乱れる。

青葉「赤木博士?赤木博士ー。」

青葉の呼びかけにも応じることはない。そして通信が回復するよりも早く敵の動きに変化が現れた。

いままではただ上空を旋回していただけだったがそれが攻撃に転じたのだ。

日向「敵量産型接近。」

 

ミサト「今は目の前の敵に集中するわ。アスカ!」

アスカ「わかっているわ。まかせといて。」

ミサト「迎撃用意。」

日向「了解。」

青葉「敵エヴァシリーズ、ATフィールドを張りつつ接近。」

 

 

そして、発令所が戦闘に追われている頃、ターミナルドグマでも変化が起きていた。

リリスが光り出したのだ。それに呼応するかのようにユイの体も光り始める。

ユイ「おばちゃん怖い!怖いよう。」

おびえてリツコにしがみつくユイ。

リツコ「シンジ君急いで。」

そのころシンジたちはユイたちまで後少しのところにいた。

レイ「これでラストよ・・・フィールド最大。」

シンジ「了解。母さん待ってて。」

二人がかりでたちまち隔壁が破壊される。

 

 

ユイはノイズだらけの画面に向かって必死に叫んでいた。

ユイ「シンちゃん、シンちゃん、シンちゃーん!・・・おばちゃん、やだよ。わたしまだシンちゃんに

あってないよ・・・まだ・・・」

リツコ「(ちっ・・・どうやら間に合いそうもないわね・・・・シンジ君の目の前でユイを殺して指令に

復讐する計画が・・・)ブザマね。」

 

ついにユイはリリスに取り込まれてしまった。ほとんど間をおかずに破壊音とともに初号機が姿を現す。

 

シンジ「母さーん。リツコさん、母さんは?」

リツコ「タッチの差。だから急いでっていったんだけど。ま、これでいいのかな。

(こうなったら初号機もレイもリリスもいることだしサードインパクトを起こしてやるわ・・・うふふ、

指令、あなたのシナリオ通りにはさせないわ。)」

不気味に微笑むリツコ。さすがに不自然さに気づくシンジ。しかし、リツコが隠し持っていた睡眠ガスが

シンジを襲うより早く、レイのATフィールドがリツコを押しつぶす。死んではいないようだがしばらく

動けないだろう。事態についていけないシンジにレイが唐突に説明を始める。

 

レイ「私の遺伝子はユイさんのものよ・・・・あの人は12年前エヴァにとりこまれたの。」

シンジ「えっ?」

レイ「いったん零号機に取り込まれてそれから初号機に。でもいまのさわぎでサルベージされて今度は

リリスの中に。以前初号機に取り込まれたときみたんでしょ、ユイさんの記憶。ユイさんの過去。」

シンジ「綾波・・・」

レイ「妻を失った碇指令はショックで一週間失踪した。帰ってきたときにはすでに新しい計画を

ゼーレに提唱していたわ。そうしてユイさんの遺伝子からつくられた少女はやがて・・・」

シンジ「もういいよ!分かってたよ。頭では分かってた。でもいえなかった。ごめん綾波、助けられなくて。」

レイ「・・・ようやく会えたわね。お兄ちゃん。」

ひしっと抱き合う二人。まあ、レイがユイの娘ということになるなら二人は兄妹ということに

なるのだろうが・・・・

 

しかし二人の時間はそんなに長く続かなかった。アスカが通信してきたのだ。

アスカ「分かった分かった分かったわよー。ようするにクローンでコピーなのよね。そうよね。

どうでもいいから援護しなさい。こっちばっか集中攻撃で大変なのよ。」

青葉「確かに。エヴァ弐号機たこ殴り状態です。」

 

 

キール「二兎を追うものは虻蜂とらず。ここは強敵初号機より与し易い弐号機から攻めるが上策。

やれ、ダミー。」

 

ダミーが何か言ったのかは不明だが、とにかくよってたかって弐号機を攻撃する。「フィールド出力50%

低下」とかいった報告に混じってミサトから通信が入ってくる。

 

ミサト「逃げて、アスカ。」

アスカ「でも・・・・」

ミサト「いいから逃げて。」

 

アスカが何かを言う暇もなく、量産型の一斉攻撃を浴びて爆発する弐号機。

 

日向「弐号機が!」

青葉「やられた?」

マヤ「惣流・アスカ・ラングレー、夢半ばでジオフロントに消ゆ・・・・」

アスカ「消えてないわよ!」

やられる寸前にエントリープラグを射出して助かっていたアスカ。だがマヤはそんなこと聞いちゃあいない。

マヤ「なーむー。ううっうううっ」

勝手にお悔やみを言っている。

アスカ「こら、泣くんじゃない。もうどうしてこうなっちゃうわけー?」

文句を言いつつ回収されるアスカ。派手に暴れたため戦自の連中はほとんど壊滅している。まあエヴァ

同士の戦いに巻きこまれたのだから当然ともいえるが。

そこで、とりあえず装甲隔壁を盾にして時間を稼ぐことにした。

 

ここは病室。激しい戦闘があった割には怪我人は少ない。なにしろ戦自の連中はかたっぱしからネルフの

職員を殺していったのでたいてい死んだか無傷かのどちらかなのだ。ジオフロント内に侵入した部隊は

量産型の攻撃に巻き込まれないよう撤退しつつある。おかげで本部の中には不気味な沈黙があった。

そんな中、ゲンドウ、ミサト、オペレーターの三人がレイのATフィールドでつぶされて大怪我を負った

リツコの寝ているベッドの周りに集まっていた。

 

ミサト「・・・・指令のせいですよ。」

ゲンドウ「ふっ、問題ない。」

ミサト「初めてあったとき、リツコはまだまともな科学者だったのよ。それなのに指令のせいで利用されて

苦労してこんなマッドサイエンティストなおばさんになっちゃったのよ。」

ミサトの剣幕にたじろぐゲンドウ。

ゲンドウ「だが、いまさら元に戻るわけもない。人は思い出を忘れることで生きていける。・・・・・・

シナリオ通りだ。」

この直後、ゲンドウはミサトを初めとする職員たちにたこなぐりにされたという・・・

 

一方、出番のない冬月は自室にこもっていた。が、突然立ち上がる。

冬月「みんながんばっているのに私一人だけ落ち込んではいられん。ユイくん、見ていてくれ。

わたしはユイくんの意志を継ぐぞ。」

 

こちらは国連軍の発令所。弐号機こそ倒したものの部隊は壊滅したため侵攻が停止していた。再度侵攻部隊を

第三新東京市に送るには時間がかかる。そこで懐柔策にでることにした。

「敵エヴァの様子はどうだ?」

「ジオフロント内部に沈降した後は依然沈黙したままです。」

「ネルフに通達。」

「はっ。」

「ジオフロントを放棄し即刻投降せよ。」

 

 

日向「投降せし場合は貴君らの安全は保障する。以上です。」

青葉「まさに絶体絶命。どうします?葛城三佐。」

ゲンドウがたこ殴りにされ、事実上ネルフの指令になったミサト。

ミサト「投降はしません。はなからリリスを渡す気はないし、どーんとやっちゃいましょう。」

今までのつきあいの経験からミサトの口調に何か不吉なものを感じるシンジだった。

 

そのころ医務室ではたこ殴りにされたゲンドウが寝込んでいた。

ゲンドウ「便利だな・・・取り込まれたりサルベージされたり・・・」

そのゲンドウをベッドのそばでじっと見つめる冬月。

冬月「じーっ。」

不気味な視線を感じ振り向くゲンドウ。

ゲンドウ「なんだ冬月か・・・」

冬月「いつまで落ち込んでいるんだ。大人の態度ではないぞ。」

ゲンドウは落ち込んでいると言うより激痛でうごけないのだが。

ゲンドウ「ふっ、いまはそれでいい。」

冬月「よくはない。私は・・・私はお前のお嫁さんになる!」

病室が不気味な静寂に包まれる。その後二人がどうなったのか知るものはいない・・・・

 

 

シンジ「えーっ。」

レイ「自爆・・・ですか?」

ミサト「そっ。初号機のコアを暴走・臨界を突破させてアダムをどっかーん。うん、これでばっちり。」

マヤ「ちょ、ちょっとみんなを道連れにする気ですか?」

ミサト「まさかー。もちろん残るのはパイロットのシンちゃんだけ。」

いきなり外道なことを言い出すミサト。

シンジ「ちょっと待ってくださいよ、ミサトさん。」

当然文句を付けるシンジだが既にミサトは聞いちゃあいない。

ミサト「シンジ君、あんた生きてるんでしょ。精一杯生きてそれから死になさい!」

そこにアスカがやってきた。

アスカ「ちょっと待ちなさいよ、ミサト。あんたシンジを殺す気?」

ミサト「大丈夫、死なないわよ。」

アスカ「あんた馬鹿ぁ?死ぬわよ!」

ミサト「死なないわ。死なないの。」

アスカ「死ぬったら死ぬのよ。あんた仮にも作戦部長なんでしょ。もっとましな作戦を考えなさいよ。」

ミサト「ほかに方法がないのよ。アダムさえいなくなれば人類補完計画だってなくなるのに・・・・」

日向「でも・・・・自爆して本当に殺せるんですか?」

ミサト「えっ?」

ミサトも自爆してもだめだったときのことは考えてなかったらしい。当事者のシンジはミサトとアスカの

言い争いのあまりの剣幕に口を挟めずにいる。

 

青葉「やはりここはひとつ国連を頼ったらどうでしょう。悪いようにはならないのでは?」

日向「そうですよ、葛城三佐。」

レイ「職員を虐殺されたくせになに言ってるんだか。」

みんな「おおーっ。」

レイ「いえ、クローンの言うことですからお構いなく。」

レイのきつい台詞に沈黙する青葉たち。確かにあれだけやっといて今更安全もなにもない。

沈黙したその場の雰囲気を変えるようにアスカが強い口調で言い切った。

アスカ「とにかく、自爆はだめよ!」

ミサト「なんでよ。」

アスカ「どうしても!」

ミサト「シンジ君、地球を救えるのよ。カヲルくんを殺したシンジ君が、だよ。」

アスカ「でも、シンジが死ぬわ。」

マヤ「いえ、そうとも限りません。」

アスカ「え?」

マヤ「赤木博士の説明によればリリスは一種の生命の大元です。初号機に取り込まれたときのシンジ君の

パーソナルデータは残っていますからリリスがいればユイさんの時のようにシンジ君の再生は可能です。

それにロンギヌスの槍がない以上、リリスによる人類補完計画は行えません。つまり初号機の

自爆でアダムを殲滅すれば人類補完計画はチャラ。なかったことになってしまいます。」

シンジ「ふーん・・・どこまでチャラになるのかなあ?」

アスカ「え?」

 

と、いきなり鼻歌が聞こえてきた。

「ふんふんふんふん ふんふんふんふん ふんふんふんふん ふんふふん」

そして現れたのは死んだはずのカヲルだった。リツコも一緒だ(ただし包帯まみれ。)

ミサト「あなたは・・・・・」

シンジ「カヲルくん!」

カヲル「やあ、シンジ君。」

日向「生きていたとは・・・・」

リツコ「発令所にくる途中であったの。」

ミサト「何で生きてるのよ?」

カヲル「シンジ君のために生き返ってきたのさ。」

アスカ「真面目に答えなさいよ。」

カヲル「(やれやれ、真面目に言ったんだけどね・・・)僕の体はレイ同様ダミーがたくさんあったからね。

魂さえあれば再生できるさ。弐号機とシンクロした時に宿った魂が弐号機の死で解放されたんだ。」

 

レイ「やめておきなさい。自爆なんて。」

ミサト「なぜなのレイ何でだめなの。」

レイ「だって自爆よ。ばかばかしいわ。」

ミサト「そんな・・・私は二人目のレイみたいにみんなを守るためにエヴァを・・・」

マギ「否決、否決、否決。」

いきなり鳴り響くマギの声。

カヲル「僕も反対だね。」

レイ「アダムを殺せば戦争は終わる。人類補完計画はチャラ。でも大切なものを壊してしまうもの。」

 

レイ「私の大切なもの・・・・このネルフでのシンジ君との生活。その思い出が私のすべてよ。

与えられた記憶でなく自分で勝ち取った記憶。それがすべて。チャラになんてできないわ。

葛城三佐・・・あなたにとって大切なものって一体なんなの?」

 

 

 

結局、リツコの提案で別の手段をとることになった。生き残った職員たちによって順調に作業が

進められていく。その様子をレイはカヲルとふたりで見下ろしていた。

 

 

カヲル「君は僕と同じだね、レイ。」

レイ「どういうこと?」

カヲル「シンジ君との思い出がすべてってことさ。ユイさんをリリスから再生したようにシンジ君を

再生できたとしても記憶を失ってしまうかもしれない。大切な思い出を失って欲しくないからね。」

レイ「・・・・・あなた、なぜここにいるの?」

カヲル「過酷な運命によって敵味方に引き裂かれた若い二人がその運命を乗り越えて再びともに戦う。

・・・・・世の王道だよ。」

レイ「なら、いれば。」

 

 

 

 

 

 

 

キール「30分の猶予だと。甘いぞ。」

軍人「しかし・・・敵は戦力微力ながらターミナルドグマに陣取り・・・・・」

キール「だからこそ急ぐのだ。」

 

ゼーレの命令で再び攻撃を開始する国連軍。初号機による反撃を予想して量産型を突撃させ、戦車やヘリの

部隊は巻き込まれないよう遠距離からの砲撃を仕掛けるべく展開する。

青葉「敵量産型9機接近!」

レイ「こっちは何とかするからそっちもよろしくね。」

リツコ「ええ。さて、始めましょう。」

シンジ「本当に僕たちが覚醒させることができるんですか?エヴァ初号機。」

リツコ「理論上はね。」

マヤ「この初号機はすべてリリスと同じ組成でできていますから。」

リツコ「マヤ、準備は良い?」

マヤ「はい、先輩。」

リツコ「ミサト、始めてちょうだい。」

ミサト「人類の補完より思い出か。結局みんな個人的事情って奴よね。すてきな自分勝手ってとこかしら。」

ミサトの合図によってエヴァの起動作業が始まる。同時に、シンジたちも光り始める。だがその光は

途中で消えてしまった。

マヤ「エヴァ初号機覚醒しません。」

リツコ「うーん・・・あなたたち、キスしなさい。」

アスカ・シンジ「えーーーーっ。」

リツコ「最初から覚醒している使徒と違って覚醒しないようにしているエヴァを覚醒させるには当然

それなりの刺激が必要ね。そのためにはもっとあなたたちも電気的接触というか粘膜同士の接触と

いうか・・・。(こうなったらシンジ君とアスカをくっつけてレイに復讐してやるわ。ふふふ・・・)」

シンジ「で、キスですか。」

リツコ「そう。」

マヤ「早くしないとレイたちがピンチです。」

 

その一言でシンジも決断したようだ。だが・・・・・

アスカ「いやっ。」

シンジ「アスカ。」

アスカ「いやったらいや。絶対に嫌!」

リツコ「そんなこと言ってる場合じゃないでしょ。」

シンジ「そうだよ。しょうがないじゃないか。早くしないとカヲルくんたちが・・・・」

アスカ「しょうがない?あんたなんかファーストとキスすりゃいいのよ!」

それだけいうとアスカは走り出した。慌ててそれを追うシンジ。

 

 

そのころレイとカヲルは攻撃を仕掛けてきた量産型と交戦していた。ATフィールドで重力を遮断し

高速で量産型に接近する。そして先頭の一体が繰り出す槍の攻撃を左右に散会してかわす。

レイ「相変わらずのろまね。」

そして敵の第2撃がくる前にATフィールドを中和するレイ。そこにカヲルがATフィールドをたたき込む。

よける間もなく直撃され、沈黙する量産型。別の一体が攻撃を仕掛けてきたがたやすくそれを回避する。

 

カヲル「おっと・・・・結局、シンクロの可能な人間は母親のいない人間だけだったんだっけ?

シンジ君、アスカちゃん。それにトウジくん。コアに組み込まれた母親がエヴァの遺伝子情報を

書き換えたんだろうね。シンクロに適した体になるように。」

レイ「そうでしょうね。」

カヲル「やれやれ。」

レイ「その適格者のうち一人が逃走、一人がそれを追跡中。」

カヲル「なんだい?それは・・・」

レイ「ほんと、おもしろいわ。あのふたり。」

 

そのころシンジはようやくアスカに追いついていた。みれば、アスカは整備員の制止を無視して

初号機に乗り込みつつある。そこにリツコから通信が入ってきた。

リツコ「追うのよ、シンジ君。」

シンジ「追うって言ったって・・・・」

リツコ「イメージして。エヴァ初号機のエントリープラグの中!」

シンジ「アスカ・・・・・・」

目を閉じて精神を集中させるシンジ。それが通じたのかエヴァ初号機がシンジをひょいっとつまみ上げ

エントリープラグに入れる。ほぼ同時に挿入されるエントリープラグ。

狭いエントリープラグの中に二人が入れば必然的に密着することになる。いやがってシンジを

押しのけるアスカ。

アスカ「いやー。」

シンジ「ぐええーこらー。」

アスカ「いやー。」

シンジ「やめてよアスカ。」

アスカ「あっちへいってー。」

シンジ「あっちってどっちだよ。」

アスカ「シンジの馬鹿ぁ。」

 

そのころ、レイとカヲルは苦戦していた。最初こそ奇襲であっさり一体をしとめたがそれでも2対8である。

さらにゼーレの要請を受けてやってきた国連軍からのミサイルやキャノン砲がうっとうしい。

目標が小さい上高速で移動しているので命中しにくいがフィールドを無展開の時に食らえば

ひとたまりもないだろう。おかげで戦いは膠着状態に陥りつつあった。

そこにまるで酔っぱらっているかのようにふらふらした動きで初号機がやってきた。

 

軍人1「なんだあれは。」

軍人2「通信から痴話喧嘩らしきものが聞こえたが。」

軍人1「はあっ?」

 

シンジ「どいてよ。」

アスカ「いやっ。」

シンジ「ほらっ。」

アスカ「やーだー。」

シンジ「アスカ、なに考えるんだ? なに意地張ってるんだよ。」

アスカ「だって シンジにはファーストが・・・ユイさんが。」

シンジ「な、なに言ってるんだよ、アスカ。」

アスカ「シンジは好きなんでしょ、レイのこと。だからあたし・・・・」

シンジ「馬鹿。」

そう言ってアスカの頬をたたくシンジ。

アスカ「ああーん。」

 

 

マヤ「ちなみに国連軍にも初号機の通信送っちゃってます。」

リツコ「まさに地球分け目の大喧嘩ってとこね。」

 

アスカ「ひどいよ、ぶつことないじゃない。」

シンジ「アスカ・・・・僕、TV版エヴァの最終回、観たよ。」

アスカ「え?」

シンジ「そりゃあもう酷い話だった。酷い話だった・・・・・・・・・酷い話だったけどぞくぞくした。

幼なじみのアスカと明るいレイが一緒になって僕を取り合うところ・・・・・」

アスカ「それってやっぱり好きだったこと?」

シンジ「僕の、エヴァンゲリオンを好きだった僕の気持ち。らぶこめを信じた僕の気持ちを信じたい。

だから・・・・・」

アスカ「だからシンジは私が好き。」

シンジ「ひ、人がせっかく壮大な話をしようとしてたのに・・・・・・そうだよ、悪いの?」

アスカ「ううん。」

シンジ「ア、アスカはどうなんだよ。」

アスカ「私?私は・・・・・私はシンジが大好き。」

シンジ「初めて女性から好きって言われた・・・・・・。」

アスカ「うそ。」

シンジ「本当だよ。」

アスカ「うそぉ。」

シンジ「ほんと。」

アスカ「うーそ。」

シンジ「ほんと。」

と、優しく言うと嘘と言いかけたアスカの唇を自分の唇で塞ぐ。最初はびっくりしていたアスカだが

すぐに目を閉じてシンジの背中に手を回す。しばらくそのままにしていた二人だったがやがてどちらから

か唇をはなす。そしてアスカがシンジに呟いた。

アスカ「シンジ・・・・・・大好き。」

同時に二人の体が光に包まれる。そしてその光は初号機を包み込む。そのあまりの眩しさに目がくらんだ。

ようやく発光が収まったとき人々が見たものは輝く12枚の翼を持つ光の巨人だった。

 

青葉「エヴァ初号機にこれまでにない強力なATフィールドが!」

日向「そんな生やさしいものじゃないぞ、これは!」

覚醒した初号機は雄叫びをあげると、翅を広げる。その一部はジオフロントにでていた。巻き込まれるのを

避けるため、撤退するレイとカヲル。それを追って突撃してくる量産型。そこに初号機が飛び上がってきた。

前列の二体を強力無比なATフィールドで引き裂くと、球状に展開したATフィールドの一部を放出する。

それは量産型二体を貫き、三体目のATフィールドで中和された時点でその中に詰め込まれていた莫大な

量の熱エネルギーを解放した。瞬時に焼き尽くされ、消滅する量産型。それでもなお余りあるエネルギーは

猛火に姿を変え背後にいた国連軍を焼き尽くす。その間に初号機は既に残りの量産型をすべて原形を

とどめないほどに破壊し尽くしていた。さらに追い打ちを掛け完膚無きまでに軍を壊滅させる。

それから翅を広げると静かに下を見据えた。まるで何かがでてくるのを待つかのように・・・・

 

日向「セントラルドグマに反応。パターン青。間違いありません、使徒です。」

ミサト「まさか・・・・アダム?」

リリスの腹を引き裂き、全身を血に染めつつ生まれたアダムは4枚の翅を羽ばたかせ、一気に飛び上がり

初号機と対峙する。生まれたばかりとはいえ南極大陸をも消し去ったアダムの力は絶大である。

まともにぶつかり合えばサードインパクトといえるだけの被害がでるだろう。そこで初号機は別の手段に

でることにした。ATフィールドでアダムを抱え込むとエントリープラグを射出してそのまま飛び立った。

 

 

シンジ「さよなら、エヴァ初号機。」

アスカと二人で飛び去っていく初号機を見つめるシンジ。

 

一方カヲルはセントラルドグマに向かっていた。到着して例の部屋に入る。

カヲル「これは・・・・・?」

怪訝そうな表情をするカヲル。そこにはリリスの死体はなく、ただ血塗れになった十字架だけが

残されていた・・・・・

 

ミサト「これから大変になるわよ、日向くん。国連や政府に説明して納得してもらわなくちゃね。

この戦争を終わらせるために。」

日向「はい。」

 

 

 

マヤ「それはそうとあの覚醒ってキスしなければできなかったのかなぁ?先輩には汚れたと感じたとき

わかるわ、とごまかされちゃいました。結局、大きな謎は残ったまま。ロンギヌスの槍とか第二使徒とか。

とりあえずアダムには初号機と一緒に遠くに飛んでいってもらっちゃいました。ネルフとゼーレの争いは

続くのでしょうがおかげでしばらくはにらみ合い。ま、そこのところはまたの機会と言うことで。」

 

 

おしまい

 

 

後書き・・・のようなもの

レイ「なんなの、これは・・・・・?」

K「なにって・・・・夏の劇場版を想像していたらどうも暗いものしか思いつかなかったんで

ナデシコのように終わったらどうかなあって。」

レイ「そんなことどうでもいいの。なぜ私と碇くんが兄妹なの?」

K「それは・・・・親子よりはましだろうと思って。」

カヲル「僕だって復活できたのは良いけどあまり活躍してないじゃないか。シンジ君との会話も

ほとんどないし。」

レイ「私もよ。それになぜ碇くんと弐号機パイロットがくっつくの?」

アスカ「それは当然ってものよ。ファースト。弐号機がやられたのは気にくわないけど、まあシンジと

結ばれて終わったから良しとするわ。」

K「はたしてそううまくいくかなあ・・・」

アスカ「どういう意味よ、それ。」

K「それは・・・またの機会と言うことで。じゃっ。」

アスカ「って逃げるなああ!」



Kさんへの感想はこ・ち・ら♪   


管理人(その他)のコメント

アスカ「ねえ、ナデシコって何?

カヲル「いらっしゃいKさん、この分譲住宅へようこそ・・・って、なんだ、そ知らないのかい、君は」

アスカ「悪かったわね。どーせあたしは学がないわよ」

カヲル「ふっ、いいかい。ナデシコというのは日本古来から伝わる、おしとやかな女性をさして「大和撫子」と書いている「撫子」が独立したもので、すなわちおしとやかな女性全般をさして言うことなのさ」

アスカ「ふーん、なんだ、それってアタシのことじゃない」

カヲル「・・・・おはよう、アスカ君」

アスカ「はあ?」

カヲル「いや、今君の頭、寝てただろ?」

 どかばきぐしゃっ!!

アスカ「あんた、ずいぶんとイヤミの鬼畜さが増したわね!!」

カヲル「あうう・・・・いたい」

ケンスケ「こらぁ!! ウソを教えるんじゃないっ!!」

アスカ「うをぉっ!!」

ケンスケ「いいかね。ナデシコとは、20世紀末に大ヒットを記録したアニメ「エヴァンゲリオン」とほぼ時を同じくして放映されたアニメである。詳細は」

アスカ「詳細は?」

ケンスケ「詳細は・・・・現在調査中とのこと」

 ばきっ!!

アスカ「だったら訳知り顔でしゃしゃり出てくるなぁ!!」

カヲル「はあ、所詮人の希望は悲しみにつづられている、ということか・・・・」

アスカ「・・・・訳わからんこじつけ発言を・・・・汗」



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