副題:
構想概念:
ヘボレイ小説なので、レイはヘボ、アスカはへっぽこ、シンジは優柔不断
パート概要:
#01 PROLOGUE: 「レイの挨拶」
#02 本体
シーン概要:
シーン内容:
#01-01
こんにちは、ヘボレイこと綾波レイです。
なんと、このあたしにも運命の転機って言うのが来ました。
それで、シンちゃんとアスカちゃんとお別れしなきゃいけないんです。ぐすっぐすっ。
さようなら、しんちゃん、さようなら、アスカちゃん。
寂しいけど、あたし寂しいけど、我慢します。あたしの事忘れないでね。うるうるうる。
あたしのアクセスストーリーを聞いて下さい。
「サクセスでしょ?勝手に言ってなさいよ!!」
あうあう、アスカちゃん・・・うるうるうる・・・・。
「シンジ、アタシ、クラシックなんて聴かないわよ」
「いや、声楽だけどクラシックじゃないよ、行こうよアスカ、ね?」
「その、声楽・・・だっけ?嫌いなのよ。」
「なんで?なんで嫌いなの?アスカ」
「嫌いなものは嫌い。特にヘンデルのメサイアの44番なんか40秒も聴いたら気絶するわ」
「そ、そうなんだ。いい事聞いた、メモメモ・・・」
「アンタ、アタシにそれを聴かせて気絶させるつもりでしょ!アタシをどうするつもりなの?」
「そ、そんな!そんな深い意味ないよ!!ただ、アスカの耳に入れない様に気をつけようと・・」
「怪しい、どうだかね。・・・まあ、いいわ、どうせアンタ一人でも行くんでしょ?」
「う、うん。そうだけど、やっぱり僕はアスカと一緒に行きたいんだ。」
「そう、・・・わかった。行ってあげる。で、なんて曲なの?」
「世俗カンタータ『カルミナ・ブラーナ』。アスカの曲だよ」
「へ?どういう意味?」
「それは、聞いてからのお楽しみだよ、アスカ」
「もう!気になるわね」
「駄目だよ、事前に調べたら。楽しみが減っちゃうよ」
「結構意地悪ね、シンジって」
街の中心近くのホールでは、数年ぶりの声楽コンサートとあって多数のクラシックファンを集めている。
普段はロックやポップス中心の為に若い人たちが多いのだが、この日の年齢層にには幅がある。
コンサートが終わり、シンフォニーホールから沢山の人たちが出て来て感想を述べ合っているようだ。
そんな人たちの中にシンジとアスカがいる。
「どうだった?アスカ」
「うん、感動した。アタシ、なんか誤解してたみたいね」
「それはよかった。結構難しい曲なんで、どうかな?って思ったんだけど」
「シンジの言う通りアタシの曲ね『全世界の支配者なる運命の女神』だもんね」
「気に入った?」
「うん、本当に良かった」
「あれ?向こうに居るのは綾波じゃないのかな?ケンスケと一緒にいるよ。呼ぼうか?」
「シンジ!止めなさいって、二人のデートの邪魔しちゃ駄目よ」
・・・それに、アタシたちもデート中なのよ、鈍いわね!!!
「あ、そうか、へー、いつのまにそんな仲になったんだろう」
「さあ、アタシ達も行きましょうよ・・・」
「そうだね」
「あややー、くるくるー、あややー、くるくるー、あややー、くるくるー」
「綾波!綾波!!止めてくれよ、恥ずかしいよ」
「あうあう、この感動を表すには踊るしかないの」
「あややー、くるくるー、あややー、くるくるー、あややー、くるくるー」
「あうあう、目が、目が回る・・・きゅー」
「綾波!綾波!!大丈夫か?」
レイはバッタリとその場にへたり込み、目を回している。
そんな様子を30才前後の長髪で、夜なのにサングラスをして見るからに怪しい男が声を掛けた。
「ねえ、一寸いいかな?」
「はい?俺達の事ですか?」
「この娘、君の彼女かい?」
「彼女・・とは言えないですけど・・・何でしょう?」
「音楽に興味が有るようだね、いい話しがあるんだけど」
「英会話カセットやら旅行が安くなるとか開運印鑑とか消火器とか坪とか土地とか株とか宝石とか時計とかそう言った類の代物はお断りです」
「いやいや、ちがうよ、俺は芸能プロダクションのスカウトなんだ」
「へ?どういう事ですか?」
「だから、この娘にアイドルにならないか?って。そう言う話しさ」
「あ、綾波をですか?」
「綾波?、そうか、綾波って言うのかこの娘は・・・」
「あうあう、眼鏡君、このひと誰?」
「あ、気がついた?綾波」
「始めまして、俺はこう言う者なんだけど、ちょっといいかな?」
「あうあう、名刺さんですか。あたしはレイちゃんです」
「ここでは何だから、あそこの○トールでいいかな?」
「え?ド○ールですか。ケチですね」
「ほっといてくれ、経費節約だよ」
レイは8個目のミラノサンドを口に入れている。
「もぐもぐ・・・」
「・・・と言う事だけど判って貰えたかな?」
「あうあう、1つ聞いていい?」
「なんだい?」
「ミラノサンド・・・もう一つ駄目?」
「・・・はあ、いいよ・・・ふう、ミラノサンドA追加ね」
「あうあう、嬉しい、くるくるー」
「綾波、ほら、店に迷惑だよ」
「Nexusのケーキバイキングの方が安くつきましたね。」
「ああ、そうだね。」
「お待たせしました。ミラノサンドです」
「あうあう、ぱくぱく・・・・もぐもぐ・・・」
「俺は綾波がアイドルになるのは嫌なんですけど」
「なんとなく、わかるさ」
「あうあう、おやすみ。」
「寝るな!!寝るんじゃない!!綾波!!!」
「はうう、良い子は早寝早起き」
「店で寝るな」
「あうう・・・・」
「本当にこんなんで大丈夫だと思いますか?」
「ちょっと、へぼいかなとは思ったけど、ここまでとは・・・」
「そうでしょ、スティルならともかく、歌や喋りは無理だと思いますね」
「黙って座っていれば、完璧なんだがな・・・」
「仕方ないですよ。」
二人はため息交じりにレイを見る。
そして、その場の空気を変えようと男が口を開いた。
「今日は惜しいな、実は別の娘にも断られたんだよ。そう、頭に赤い飾りをしたロングヘアーの娘にね。
そしたら『アンタばかぁ?い・や・よ!お断り!!』って。その娘も可愛いんだけどね」
「惣流?」
「でも、やる気になってくれればなんとでもするさ、それが俺の仕事さ」
「大変ですね」
「じゃあ、俺、行くから。彼女がやる気を見せたら連絡してくれ」
「はい、判りました」
「じゃあ、レイちゃん。是非、考えてくれよ。」
それから、数週間が過ぎた。
街のあちこちにレイのポスターを見かけるようになった。
TVーCMやポスターだけの存在がかえってレイの人気に拍車を掛けたようだ。
決して喋らない、憂いを秘めた瞳で何を語ろうとしているのか、わずかに開いた口。
真紅の瞳が人々の心を掴んだようである。
「なんか、最近、綾波の姿を見かけないと思ったら、こんな事になってたんだ」
「レイの話しなんか止めてよね。悔しいったりゃありゃしないわ!!」
「え?なんで?」
「だって、レイより先にアタシに声を掛けてたのよ、あのスカウトは」
「でも、アスカが無下に断ったんじゃないか」
「そうよ!!!、だから悔しいのよ!!!」
「それは、アスカが悪いんじゃないの?」
「そんなのわかってるの!!!だから腹がたつのよ!!!キー!!!」
ばき!!!べき!!!どご!!
手辺り次第に八つ当たりをするアスカ。ぬいぐるみや枕の破片が散乱する。
「お、落ちついて、落ちついてよ、アスカ」
「はー、はー、はー、こうなったら、道はひとつね」
「え?なにするの?」
「アタシも出るのよ!!!」
「へ?」
「何よ!!、アタシじゃ駄目だって言うの?」
「そ、そんな事ないよ、たぶん・・」
「多分?何がたぶんよ!!!え?言ってみなさいよ!!!」
「あ、いや、アスカなら絶対大丈夫だって。」
「よし!!!、それでいいのよ!!」
アスカが事務所に連絡をつけてから2週間が経った。
その間にレイの人気は一気に爆発し、レイを知らぬ者は居ない程になった。
しかし、相変わらずTVーCMとポスターでしか出演しない。
誰もがこの不思議な少女の正体を知りたがったが、謎に包まれたままだ。
そして、ついに首相までレイのファンあると公言していたのだ。
レイの人気に目をつけた首相がこの所の政治不信を打開しようと意気込んでいるのである。
首相は無理を言って、自分の出る政治討論番組にレイを引っ張りだした。
無論、レイには政治討論など出来るはずも無いので、レイには全て平仮名で書かれた台本に、
裏で声優が声を当てる、リアルタイムアテレコとゆう前代未聞の番組となる。
しかし、ゴールデンタイムの生で行われるこの番組をレイの初出演と言う事で異常に関心が高かった。
アスカはレイのマネージャーと一緒にレイのTV初出演の現場に来ていた。
「本日はご苦労さまです。ご足労願いまして。」
「いいのよ、ふっ、話しは簡単。今直ぐレイを降ろしてアタシを出せばいいのよ」
「はぁ?」
「ヘボレイなんかとは比べ物に成らないわよ、このアタシは」
「は?はぁ・・・(なんだこの子は)」
「さあ、どうなの?出すの?出さないの?」
「そ、そうだね、急には何だから先ず見学しててよ。ね?その方がいいよ」
「仕方ないわね。」
ふん!!超国民的アイドルはこのアタシなんだから。判ってないわね。
いつまでもヘボレイに頼るようじゃおしまいよ。
・・・まあ、いいわ。アタシはそんな小さな事をグチャグチャ言わないから。
どうせ、レイにまともな話しなんか出来ないんだから、これでお終いね。
「今日はレイちゃん初めてのTV出演だから、緊張してると思うんだ。レイちゃんを励ましてやってね」
「ん、もう仕方ないわね。・・・こら!レイ!このアタシが来てやってるんだから、アタシに恥をかかすんじゃ
ないのよ!!!!」
「あうあう、アスカちゃん。・・・・・こあいよー」
「しゃきっとしなさいよ!!!しゃきっと!!!」
「あうあう・・・」
ふん、これでいいわ。まあ、せいぜい頑張るのね。
「はい、本番はいります」
「じゃあ、レイちゃん、ポスターの時と一緒だよ、ね、僕の合図を良く見てね」
「はうう・・・」
番組が始まった。
デヴューして以来レイは殆ど不眠不休で働かされていた。まだギャラも貰ってない。
レイは疲れ切って焦点のない目をマネージャーに向けている。マネージャーはカメラの側で待機している。
そして、大光量のクセノンライトをピントを絞ってレイの顔に当てている。
普通の人なら目をつぶっても突き抜ける光量だが疲れ切ったレイにはもはや目を閉じる事も出来ない。
レイの瞳孔は縮みきり、それに反射した光はレイの目をまるでレイが固い意思を持っている様に写し出す。
そして、強い光はレイの白い肌を突き抜け、透明感を一段と強くする。
「うわ、こんなんやったんや・・・えげつなー」
アスカはつい、最近トウジから教えて貰った大阪弁で呟いた。
「・・・それでは、レイさん。国民の皆さんが政治不信に陥ってますが、どう思われますか?」
マネージャーは大きく<レイのごはん>と書かれた籠からおにぎりを取り出すと食べ始めた。
・・・あうあう、あたしのおにぎり・・・うるうる・・・
レイの表情は一気に暗くなり視線はおにぎりに釘付けとなる。
何か言いたそうに、口をぱくぱくさせている。
「そうですね。先ず国民一人一人が政治に関心を・・・」
「え?なに?レイの声とは違うわよ!!!」
アスカが慌ててモニターを見ると暗い表情のレイが喋っている。
「・・・では、最近子供の数も殖えて未来への展望が明るくなってきましたが・・・」
今度は籠におにぎりや食べ物を入れていく。
・・・あうあう、あたしのおにぎり、おにぎり
レイの表情が明るくなり、嬉しそうに口をぱくぱくさせている
「ええ、そのことは私の将来も含めてですが・・・・」
・・・あ、そうか、こうやってレイを操っていたんだ・・・まんま人形じゃない。いい気味ね。
・・・でも、これって、・・・・いくらレイがへぼでもこれは酷い、見てらんないわ。
よし、アタシが助けてあげる。・・・と言っても乗り込む訳にはいかないわね。
そうだ、あれね。ちょっと可哀相だけど、我慢するのよレイ!!
アスカはマネージャーからレイの籠を奪うと書き割りの端へ移動した。
そして次々と食料を棄て初めたのだ。その光景にレイが驚く。
「あううううう、いくらアスカちゃんでもひどいよぉー!!」
レイは急に立ち上がって叫んだ。
そのレイに立ちくらみが襲う、くるくると目を回してふらふらになる。
「あややーー、あうあう!!!あたしの、あたしの・・・あううう」
長時間のキャッチライトと立ちくらみで足元がおぼつかない。
「アスカちゃん・・・ひどいよお、あたしの・・かえしてよお」
アスカの行動を止めようと走ろうとする。何かにぶつかった。
「あややー・・・」
左手に柔らかいものがひっかった。なにやら手にまとわりつく、その感触ははっきり言って不気味だった。
何かすえた凄まじい匂いがもれ出る、そのムッとする匂いに釣られてレイは吐いて仕舞った・・・
「あうあう、げろげろげろ・・・あやや−、げろげろげろ・・・はうう」
40分以内に食べた弁当や、お菓子などを余す事無く地に返す。
「あちゃあ、そこまでする事ないのに。やばいわね。逃げるのが一番よ」
アスカはこの事態のきっかけを作った事を後悔した。
「じゃあね。レイ、後は自分で何とかしなさいよ!!」
そして、凍りついているスタッフを尻目にスタジオから逃げ出した。
国営放送のカメラはゲロまみれでズラを取られた首相の姿を捕らえている。
そして、追い打ちをかけるように自分の汚物で滑ったレイがセットのテーブルごとひっくりかえる。
「あやや・・・・あうあう・・・きゅー、ばったり」
そうして、レイはこの日を最後に国民の前から姿を消した。
アスカちゃん、ひどい・・・・しくしく
なにがよ!
せっかくあいどるになれたおかげでごはん、お腹いっぱい食べられたのに・・・・うるうる
あ、あれは不可抗力よ! それにあんた!! あんなところでゲ○なんかして! このぺえじ、本当に消滅するわよ!
そ、それはこまるの〜ばらっくでも、あたしの家なんだから〜うるうる
それに考えてごらんなさいよ。アタシはあんたにとってイノチの恩人なのかも知れないだから
ほえほえ?
いい? アンタのことだから、いつかだれかにダマされて、アイドルと花ばかりの怪しい世界に引きずり込まれて、そのうち気づいたら香港で売られていたなんてことになりかねないわよ
あう・・・・香港・・・・香港はいやなの・・・・ぐしゅぐしゅ
そうなったかも知れないところを、アタシが救ってあげたんだから! 首相と日本政府ににらまれて国内を逃げ回ることなんか、それに比べりゃどうってことないじゃない!
あ、そうか、あすかちゃん、ありがとう〜くるくるくる
ほら、そこで踊ってると警察に見つかるから、さっさと逃げなさいって!
あやや〜そうだったわ〜それじゃ、あすかちゃん、またね〜ぱたぱたぱた
なんかあそこまでダマされてくれると、張り合いないわね〜