がっしゃんこ。
「ううううっ」
あたしはさまよっていました。
がっしゃんこ。
学校の帰り道です。
「またみちわかんなくなっちゃった・・・・うううっ」
がっしゃんこ。
「今日はひさんな一日だった・・・・お昼ごはんは食べられたけど、赤木せんせえからのおこづかい(あやや、生活費だわ)はんがくにされちゃうし・・・・しくしく」
がっしゃんこ。
「このいっかげつ、あたしはどうやって生きていけばいいのかしら・・・・しくしくしく・・・・」
がっしゃんこ。
・・・・え? その「がっしゃんこ」ってなんの音かって?
それはきまってるぢゃないですか。
自動販売機のお金が返ってくるところに手を突っ込んでるの。
たまーにどこかのおまぬけさんがお金忘れていくから、あたしはそれをみつけて「らっき〜〜〜〜くるくるくるくる〜」ってよろこぶの。いつもは一日に50個くらいしか探さないんだけど、今日からはべつです。だって、だって、「おこづかいはんがく」なんだもの・・・・。
がっしゃんこ。
だから、もっともっといっぱいさがして、おまぬけさんが忘れていったおかねであたしは生きていくの。
「よ〜〜〜し、きょうからいちにち150個はさがすわよ〜〜〜〜」
・・・・・なんか自分で言っていてなさけなくなるのは・・・・なぜ?
しくしくしく・・・・。
でも、あたしはさがし続けました。そして、
がっしゃんこ。
♪ちゃり〜ん♪
ぴくぴくぴくっ!!
釣り銭口の中で聞こえた金属音を、あたしは聞き逃しませんでした。
もぞもぞもぞもぞもぞ・・・・。
なかをまさぐると、3枚くらいお金があるみたいです。
らららららっき〜〜〜〜♪
あたしは内心で歓喜の踊りをくるくるくる〜っと踊りながら。つかんだお金を取り出しました。
「さ〜〜〜〜〜っていっくらかな♪ 10円かな♪ 50円かな♪ 100円だったらうれしいけど、1円でもうっれしいな♪」
ぱっ。
手を開いてまじまじとのぞき込んで、次の瞬間、あたしは、
「の、のひええええええええええっ!!」
おもわず奇声をあげてじどーはんばいきから2、3歩あとずさってしまいました。
「5、5、5、500円玉〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜♪♪♪♪」
手の中には、500円玉と10円玉が2枚、ありました。
あうううう、14年間生きてきて、はじめててにした500円玉です。
自慢じゃないけどあたし、100円玉以上のお金って本でしか見たことないんです。いまの一万円さつって・・・・・しょーとくたいしって人だっけ?1000円さつがいとーなんとかさんってひとで、たしか100円さつが・・・・うーん、わすれちゃった。でも、100円さつってまだあったかしら・・・・。
「はっ、そ、そ、そんなことはどうでもいいわ! と、とにかく500円玉〜〜〜〜〜わーいわーい、くるくるくるくる〜♪」
わたしは歓喜のダンスをはいぱーばーぢょんで踊っていました。
500えんといえばチロルチョコが50個も変えます。一日1個以上食べられます。おもいっきりぜーたくして、伝説の食べ物、牛丼がたべられます。はうはうはう、こんな幸せが他にあるかしら? いいえ、ないわっ!!
思わず拳を握りしめてあたしは力説してしまいましたが、そんなあたしの背後で、ふいに怒声がわきおこりました。
「人の金銭になにてえつけとんのや、われぇ!!」
びくびくびくっ!
ドスのきいた関西弁におもわず「ヤクサざんかな、ぶるぶる」と震えながら振り返ると、そこにはあたしと同じくらいの年齢の男の子がたっていました。この暑いのに、なんでか知らないけど黒のジャージなんか着ています。・・・・あぅ、もしかして、あたしと同じで服買うお金がないのかしら?
「さっきジュース買って釣り取り忘れたんに気づいて返ってきて見れば・・・・それはワイの金銭や、さっさとかえさんかい!」
・・・・じゃあ、このひとがお釣りを取り忘れたおまぬけさんなのね。うぷぷっ。
あたしは内心で笑いながら、おまぬけさんにこう言い返しました。
「わすれるおまぬけさんがわるいんですよ〜これはあたしのもの〜くるくるくる〜」
「な、だれがおまぬけさんやて!!!!」
「あ・な・た♪」
びしっ。あたしはお金を持っていない方の手でおまぬけさんを指してあげました。
「こ、このアマぁああああ!!」
おまぬけさんは頭から湯気を吹いています。あれって夜中にあったらあったかそうだなぁ、とかあたしは考えていましたが、ふいにそのおまぬけさんはつかつかとあたしに近寄ってくると、あたしが大事に握りしめていた500円玉を奪い取ろうとしました。
「あやややっ、なにするんですかぁ!!」
「ええいうるさいわ! ワイの金銭をワイが取り戻して何が悪い!」
「このお金はあたしが見つけたからあたしのなんですぅ! これで、これでチロルチョコを50個買って一ヶ月食べ繋ぐんですからやめてください〜しくしく」
なんか情けない台詞ですが、それをきいて、おまぬけさんのちからがふっと弱まりました。
「はあ? 一月くいつなぐやてぇ? 自分、そんなびんぼーなのか?」
「うううっ、そうなんですしくしく。赤木せんせえにおこづかい半分にされちゃって、お金がないんです〜ぐしゅぐしゅ」
その言葉に、お間抜けさんはしばし考え込んでいます。そして、
「赤木せんせえって・・・ああ、よくよく見れば自分、今日の転校生やないか!!」
そういってぽんと手を叩きました。
「ほえ?」
あたしはよく意味が分からず、そんな声しか出ません。
「おのれやろ、いきなり惣流と喧嘩してあげくの果てに教壇でぶっ倒れおったのは!」
「はうはうはう?」
あたしはおまぬけさんの顔をまじまじと見つめました。そーいえば・・・・教室の隅っこの方にこんな顔があったような・・・・あうあうあう、あたしっておばかだから、よく覚えていません。
「あうあうあう、ごめんなさい、おぼえていません」
「・・・・ワイは鈴原トウジや」
「おまぬけさんじゃなくて?」
「だからだれがおまぬけさんやぁ!! とにかく! その金銭はワイのや! ネコババしよしてたんはだまっといたるから、さっさとかえさんか!!」
「でも、これがないと、あたし、生きていけないんです・・・・しくしくしく」
「人間気合入れたらなんとでもなる!」
「おまぬけさんも気合入れて我慢すればいいじゃないですか〜」
「ええかげんそのおまぬけさんはやめんかい! わいかて小遣いがないときびしいんや!
「・・・・おまぬけさんも生活苦しいんですか? ジャージなんか着てるし」
「ええい、おまぬけさんおまぬけさんおまぬけさんいうんやない! それにジャージはワイのポリシーや! びんぼやからとは違う!」
おまぬけさんはまたまた怒っています。あたしはそんなおまぬけさんから、一歩、二歩、じりじりと気づかれないように後ずさりを始めました。
「とにかくはよその500円をかえさんかい・・・って、なににげとんのやぁ〜〜〜!!」
「い、い、いやですううううっ!! せっかく見つけたお金です、許して下さい〜あうあうあう」
だっしゅで、あたしはそのばをにげだしました。ここでおまぬけさんにつかまったらおしまいです。必死に、逃げました。
「またんかいわれぇ!!」
「待てといって待つおばかさんはいません〜」
「どうしても待つ気はないんやな、いまならまだ間にあうで!」
「待たないったら待ちませんよ〜おまぬけさん〜」
「ほいたら仕方ない、待たせたるわ、うりゃああああ!!」
ひゅううううううううううっ。
「あややや?」
おまぬけさんの叫びと共に何かが近づいてくる気配を感じて、あたしは後ろを振り向きました。
・・・・視界いっぱいにスニーカーの靴底がみえたのは一瞬のことでした。
ばきいいいっ!!!!!
おまぬけさんのとびげりは、あたしの顔面にめり込んでいました。くりてぃかるひっと、っていうやつです・・・・がくっ。
「ふっ、逃げ出そうするからそうなるんや。しょーじきに500円玉返せば、のこりの10円くらいはやってもいいやろおもとったんやがな・・・・これでぱぁや」
「うううっ、い、痛い・・・・しくしくしく」
「女に手ぇあげるんはわいのポリシーやないから、今日のことはみんなにはだまっといたる。そんかわり、わいに蹴られたことを一言でも言うてみぃ。おのれが「釣り銭あさり魔」や言いふらしたるからな」
「はうううううう、いまでも「ぱんつ見せ魔」とか言われているのに・・・・しくしくしく・・・・」
あたしは地面に倒れたまま、悲しみの涙を流していました。
「おまぬけさんの。いぢわる・・・・」
「だからおまぬけさんはやめんかい!! ・・・あっ」
ごしゃっ。
おまぬけさんは一瞬われを忘れて、足を降ろしていました。
・・・・こーとーぶを踏まれたあたしは、そのまま気を失ってしまったのです・・・・。
しくしくしく・・・・。
くるくるくるくる〜わーいわーいわーい♪ ようやくまるやまさんがあたしの小説を書いてくれたわ〜♪
あんた、ほんとにのーてんきね。
だってだって、「くりすますいぶ」いらいくせつ二ヶ月。さむいしおなかすいたしでんきすいどうはとめられちゃうし・・・。やっとかいてくれてありがとうです、まるやまさん〜♪
んで、今回の内容もあいかわらずへぼいわね。「釣り銭あさり魔」? あっはっは。なかなかあのジャージ男もうまいこというじゃない。
あうあうあう。それって何かすごく悲しい・・・・しくしくしく。おまぬけさんのいぢわるぅ・・・・。
はっ、そんなことはどーでもいいのよ! とりあえず丸山! あんた出てきなさいよ!
・・・・どーしたの、アスカちゃん。あせあせ。
どーしたもこーしたもないわ!今回もあたしの出番が無いじゃない! いい加減にしないと、このページをあたしがぶちこわしておあげるわよ!
はうううう、そ、それはやめて・・・・アスカちゃん・・・・(;;)