へぼへぼ学園 第1話:転校、そして

  

 みなさん初めまして。綾波レイです。

 このたび、訳あってこの第3新東京市に夜逃げ・・・・あやや、引っ越して参りました。

 いご、よろしくお願いします。ふかぶか。

「・・・・なんて、やってる場合じゃないのに〜!」

 ・・・ワタシは、走っていました。朝の晴れた空の下、ちからいっぱい走っていました。

 今日は転校先の第3新東京市立第一中学校に始めていく日なんです。

 なのに・・・・思いっきりおねぼうしてしまったの。

 目がさめたらぎりぎりの時間だったので、今ワタシは走っています。

「初日から遅刻なんかしちゃったら、ううう、またクラスのみんなにいぢめられる・・・・あの暗い過去だけは、もういや・・・・・しくしく」

 ワタシの過去・・・・ううっ、お願いだから聞かないで・・・・。人には知らなくていいことがある、ってある人も言ってましたから。

 家を出たのは学校が始まる1時間前だったんです。え? 何でそれで遅刻ぎりぎりなのかって? それは・・・。

 ううう、はじを忍んで言いますと、ワタシ、バカの上に超がつくほど方向おんちなの。1ブロック先の(およそ50メートル)ゆうびん局に行くのに20分もかかるくらいなんです・・・・しくしく。

 今日も、丘の上に見えている学校に行くのに、街中をさまよってしまいました。ひいひい。

 しかし、ようやく学校に続く一本道に出会えました。

 あそこを曲がればやっと学校にたどり着ける・・・・。

 しぜんと走る足に力が入ってしまい、うかつにもワタシは周りへの注意をおこたってしまいました。

 ごち〜〜〜〜〜ん!!

「あややややぁぁぁぁっ!」

 曲がり角で、向こうから飛び出してきた何かにぶつかってしまい、わたしはすって〜ん! と転がってしまったの。あやぁ〜〜。

「あいたたたたた・・・・」

 わたしはぷくぅ〜っと膨れたたんこぶをなでていましたが、ふと、脇のそれに気づきました。

 ・・・・食パンを、小鳥がついばんでいました。

「あ、あ、あ・・・・」

 それは、ワタシのあさごはんでした。一月ぶりにパンの耳じゃない食パンを食べることができたので、うれしくて口にくわえたまま走り回っていたの。それなのに、それなのに、うううっ。

 あまりのことに絶句していて、わたしはぶつかった相手のことを全く考えていませんでした。

「あ・・・きみ、大丈夫?」

 ごはんのことでぼうぜん自失としていたワタシを、ぶつかったショックでぼんやりしてるとでも思ったのでしょう。その相手が、心配そうに声をかけてきました。

「・・・・・・」

 相手は、線の細そうな男の子でした。ぶつかった頭を押さえながら、それでもワタシのことを気づかってくれるなんて・・・・。うううっ、人にしんせつにされたことのないワタシは、その一言で天にも登らんばかりのうれしさでした。るるるる〜っ

「ちょっとあんた! いつまでシンジにパンツ見せてんのよ!」

 ・・・・ほえ?

 うれしさの中、ふと気がつけば男の子の後ろで、女の子が両手を腰に当てて仁王立ちしています。その視線がどこに向けられているかに気づき、ワタシはあわててすかーとを直しました。男の子も、顔をまっかにしています。

「あんた、いきなり飛び出してきてぶつかるなんて、何考えてんのよ!!」

 ワタシはその女の子のテキイにみちた視線に、おびえてしまいました。ごそごそと女の子がかばんをさぐり、その中からきらりと光るマサカリを取り出したのを見て、おびえはきょうふへと変わりました。そして、

「あうううう、その、ワタシ、急いでいたんですぅ・・・・うううっ、ご、ごめんなさいぃ」

 恐ろしさのあまり、わたしはそれだけを言ってその場から走り去っていきました。貴重なあさごはんのことなんか、その時は考えてもいませんでした。あとで、拾っておけばよかったとものすごく後悔しました。うううっ。

 ・・・・でも、あの男の子・・・・シンジ、っていうのね・・・・。

 どきどき。

   

「あなたが転校生の綾波レイさんね」

 シンジ、って男の子から(せーかくにはアスカって女の子から)逃げ出してまた街をさまよってしまい、学校に着いたのは授業が始まる直前でした。ワタシのクラスの担任という葛城ミサトせんせいは、あきれたようにワタシを見ます。

「・・・・教室に行く前に、その枝や葉っぱをなんとかしておいてね」

 ・・・・ううう、さまよっている間に林や野原を走ってしまい、ワタシは泥まみれになっていたのです。なんてどじなの、ワタシ・・・・しくしく。

「まあ、とりあえずクラスのみんなに紹介するから、行きましょうか」

「は、はい・・・・」

「あら、レイ。遅かったじゃない」

 教室に向かおうとしたワタシたちを呼び止めたのは、白衣に身を包んだびぢんの人でした。

「あらリツコ、この子知ってるの?」

「ええ、だって、レイの保護者、ワタシだもの」

「!?」

 ミサトせんせえはびっくりしたようにリツコさん・・・・赤木せんせえを見つめました。

「この子、アンタが保護者なの?」

「ええ、ちょっとわけありでね。ワタシが、身元を引き受けることになったのよ」

 きらり、と視線を光らせて、赤木せんせえはワタシを見ます。ううう、お願いだから、ワタシの過去をばらさないでぇ・・・・。

「でもリツコ。住所、アンタの所と違うわよ」

「当然でしょ。身元は引き受けても、あとは別よ。それに私の家、この子が住めるほど広くないから」

「・・・・まあ、あの魔窟に人は住めないわよね・・・・」

「何か言った?」

「あ、いえいえ。じゃあレイちゃん、授業、行くわよ」

 赤木せんせえの視線から逃げるように、ミサトせんせえはあたふたと教室を後にしました。

 ・・・・やっぱり、赤木せんせえ、みんなに苦手にされてるみたいね・・・・。

   

「喜べ男子ぃ!!」

 ミサトせんせえが、教室で大声をあげました。

 くらくらくら。

 朝ご飯を小鳥さんに食べられてしまい、おなかぺこぺこのアタシは、この声にもうへろへろです。ううう、でもここで倒れるわけには・・・・第一いんしょうが全てを決める、ってどこかの本に書いてあったし・・・・。

「あ、綾波レイです、よろしくぅ・・・・」

 精一杯の笑顔を作ってあたしはそうクラス中に言いました。やった、何とか成功ね・・・・。

「あ〜〜〜〜〜〜!!」

 うううううっ! 突然上がった大声に、ワタシは本当に倒れてしまいそうです。何だろうと思ってそっちを見ると・・・・。

 うひいいいっ! 今朝の男の子が、こっちを指さして立ち上がっています。ま、まさか、これがおひるのメロドラマで言う「運命の出会い」っていうやつかしら・・・・じゅるじゅる。

「アンタ、今朝のぱんつ見せ魔!!」

 ずるっ。

 喜びに踊りを踊りたかったけどおなか空いて踊れなかったアタシに、この怒声はこたえました。思わず腰がくだけ、教卓に寄りかかってしまいました。

 そう、あのアスカ、っていう女の子が、立ち上がって大声で叫んだのですぅ。

「ななな、なんであたしがぱんつ見せ魔なの・・・・へろへろ」

「すっころんでぼへらぁっとシンジにぱんつ見せる女を、ぱんつ見せ魔以外のなんて呼ぶのよ!」

「うううう、そんなぁ・・・・アタシは何も・・・・」

「あんた、シンジに気があるんじゃないの(ぎろり)」

「そそそそそんなことないわ、あたふたあたふた」

 あたしはてきめんにうろたえてしまいました。シンちゃん(きゃっ、言っちゃった)にもう一回あえた喜びと、あのこわ〜いアスカちゃんがここにいるという恐怖の両方が、アタシの心をがたがたとゆざぶります。ううう、空腹にこれはこたえるわ・・・・。

「ちょっと授業中よ、静かにして下さい!」

 がたっと立ち上がったのは、おさげの髪の女の子。しかし教室中は叫び声や笑い声に満ちていて、収まる様子はありません。

「いいからいいから、ワタシも興味あるし」

 ミサトせんせえまで、そんなこと言って火に油を注ぎますぼおぼお。

「「あはははははっ!」」

 教室中を大爆笑が満たしました。そしてそれが、空腹で意識もーろーだったアタシの脳天にトドメをさしました。

 くらくらくらっ。

「・・・・はうっ」

 視界が真っ黒になり、アタシはぶったおれてしまったのです。

「ちょっとレイちゃん、何寝てんの、ちょっと!!」

 ミサトせんせえの声が、最後に聞こえた声でした。

<つづく>    


 ううう、あたし、出張してまでいぢめられるの・・・・せっかく月観本店でのかこを振り切って夜逃げしてきたのに・・・・しくしく。

 何よアンタ! 聞かれたくない過去って、あっちのページの話だったの?

 う、うん・・・・だって、赤木博士のいぢめやアスカちゃんの恐怖は・・・・あやややや。

 アタシの恐怖がなんだって? レイ、その辺りを詳しく聞こうじゃない。

 あやややや、そ、それはともかく、ここのことについて、五階を招かないように説明しないと。

 五階じゃなくて誤解でしょ。

 だ、だって、洞木さんが五階も六階もないわ、って・・・・。

 (アンタ、筋金入りのバカね・・・・)まあいいわ。じゃあ少し説明しましょ。まず、この語尾のコメントは、本田さんの真似をして丸山が勝手に書いてるだけ。本田さんはこれには一切タッチしてないから、文句があるなら丸山まで言うのよ! あっちに迷惑かけたら、アタシのセカンドアイテム青竜刀でぐさっと・・・・。

 あああアスカちゃん、そんな物まで持ってきてるの!(おどおど)

 安心なさい。あんたがへましない限り、これを使うことはないから・・・・ふっふっふ。

 ・・・・何か、こわい・・・・。と、とりあえず、そう言うことなので、みなさまよろしくお願いします。ふかぶか。

 それから、ここだけ見て月観・・・はどうでもいいけど、肉感を見ない不届き者は絶対に許さないからね!そんな奴には青竜刀だけじゃなくこのマサカリを・・・・あれ、ごそごそ・・・・ないわね。

 こそこそこそ・・・・。

 ちょっとレイ! あんた何アタシのマサカリを持って逃げようとしてるのよ!

 だって、あたしの出張所を見てくれるお客さまが、アスカちゃんのえぢきになるのを見過ごすわけには・・・・。

 ふっふっふ、じゃあ、第一の餌食はあんたね! とおりゃああああ!!

 あ、あややややあああっ!!

(逃げ去るレイ、レイを追いかけ、アスカ、走っていく)

 ・・・・ということで、続きはワタクシ丸山がやらせていただきます。

 本田さんには感謝しています。ご無理を聞いていただいて、本当にありがとうございます。迷惑をかけるわけにはいきませんから、アッチのレイちゃん面白いよ、というメールはともかく、あんなコメント書きやがって、とか、そう言う類のメールを本田さんに送らないで下さい。このとおりです。よろしくお願いします。

 そして、こんなくされ小説ですが、どうかお見捨てなくおつきあい下さい。感想メール、待っております。

 ちょっと丸山! レイ見なかった!

 あ、アスカちゃん。いえいえ、見ませんでしたが。

 ぬううう、このやり場のない怒りをどうすれば・・・・・じろり(丸山を見る)・・・・ふっふっふ。そう言えばアンタがいたわね。

 ちょちょちょっとあすかちゃん(汗)

 よくも香港旅行ではアタシをひどい目に会わせてくれたわね・・・・天誅!!

 ひ、ひええええっ!!

 ごすっ!!

(ブラックアウト。幕・・・・)

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