地下2008mにあるターミナルドグマ。そこにある施設にゲンドウとリツコがいた。
ゲンドウは満足げな顔で目の前にある無数のパイプに繋がれたチューブを見ている。
チューブの中で、少女。綾波レイもゲンドウに微笑んでいた。普段の彼女からは想像できない表情である。
それを後ろからリツコが軽蔑するかの様な表情でゲンドウを睨んでいた。いや。見つめていた。
「ダミー計画の方はどうだ?」
ゲンドウはレイから目を離さずにリツコに話し掛ける。
「予定通りです。碇司令」
ゲンドウはリツコの返答を聞くと、感情のこもっていない声で「そうか。さがっていいぞ」と言った。
リツコは、本部へ昇っていくエレベーターの中で一人立っていた。
あの人は。何で私をみてくれないの!いつもいつもレイばかり。あの人に私の方を振り向かせる方法は・・・・レイを殺す・・・・駄目よ。それじゃああの人は私を憎んでしまう。そう。あの人を振り向かせるような実績を・・・・母さんの作ったMAGIじゃない。それ以上の何かを・・・・創ればいいのよ。何か・・・・・何か・・・何か・・・・・・ダミー・・・・システム。・・・・早速とりかかりましょう。
「先輩!これはどういう事ですか!?」
マヤの問いにリツコはさらりと答えた。
「見てのとおりよ。時間がないの。明日。やるわよ」
「レイならまだしも!これではなおさら納得できません!!!」
マヤの答えを聞いたリツコは眉間にしわを寄せると、彼女らしくない事に声を荒げてマヤに怒鳴った。
「いい!あなたは私の指示にしたがっていればいいのよ!!マヤ!!」
そのときマヤはリツコの瞳の奥に狂気の光を感じた。
しばらく後。葛城ミサトの個室に顔面を蒼白にした伊吹マヤが駆け込んできた。
「か・葛城三佐!先輩を!先輩を止めて下さい!!」
突然の訪問に驚いたミサトは、マヤにまず事情を話すように諭した。
マヤもしばらくは錯乱していて、言葉も要領をえてなかったが、しだいに落ち着きを取り戻した。
そして、マヤの話を聞きおわったミサトは、顔に困惑と怒りのようなものを浮かべて自分の個室から、駆け出て行った。
「リツコお!!」
ミサトの突然の訪問にも、リツコは表情を変えずに振り向いた。
「どうしたの?ミサト」
「伊吹二尉から聞いたわ!!アンタ本気なの!?」
ミサトの言葉に、少し動揺らしきものをうかべながらリツコは答えた。
「ええ。本気よ。」
「碇司令の許可があるの!!?」
「・・・・・・・・・・」
リツコの沈黙の意味を悟ったミサトは、「碇司令に報告するわ」と言って部屋を出ようとした。そのとき、リツコの右手が白衣から何かをい取り出した。それは、麻酔銃の様なものだった。リツコはためらいなく引き金を絞った。
小型の注射器の様な弾がミサトの首筋に命中して、ガス圧で内部の液体をミサトの体内に注入した。
かすかな痛みを感じたミサトは振り向くと、リツコの持っている銃と自分の首筋に刺さっている注射器の様なものを見ると、リツコに掴みかかった。
「アンタ何やったの!!?」
リツコは平然として説明した。
「アフリカ原産の伝染病。エボラ出血熱。そのウイルスを操作して潜伏期間ゼロ。毒性を数万倍にしたものよ」
ミサトは自分の身体から力がぬけていくのを感じた。
「どいて。私は感染するつもりはないわ」
というと、リツコはミサトをまるで生ごみでもあつかうかの様な仕草で部屋と繋がっている機密室に引きずっていって、自分が出ると、”閉”のスイッチを押した。
いつまでたってもミサトが戻らないのを心配したマヤは恐る恐るリツコの個室に入った。椅子に座っていたリツコは、マヤに「機密室をみてみなさい」と言った。
窓から中を覗き込んだマヤが見た物は。血の海にあおむけになってたおれているミサトだった。眼は充血して真っ赤になり、露出している部分だけみても、皮膚がそこかしこで裂けてどす黒い血がこびりついている。そして、ミサトの怒りと恐怖と苦悶が混じったまま固まっている表情。マヤはこらえきれず、窓から眼を放した。次に彼女の目が捉えたものは、真円を描く銃口だった。顔を上げると、リツコが冷たい目で彼女を見下ろしていた。
「あなたがよけいな事を言ったからこうなったのよ。マヤ」
「でも!いくらなんでも完全なダミーのためにシンジ君とアスカの生きた脳を使うなんて!ぜったい納得も理解もできません!!」
リツコは残念そうな表情をすると、言った。
「そう。じゃあ貴方もミサトみたいになるのね・・・・・」
「!!!・・・・・・・」
「マヤ。もう一度聞くわ。手伝うの?手伝わないの?」
「・・・・・・・・」
「そう・・・・・さよなら。マヤ」
とリツコが言って引き金を引こうとした瞬間。マヤがリツコの右手にしがみついて哀願する。
「先輩!!やめて下さい!!こんなのやめて下さい!!」
「うるさいっ!!」
リツコはマヤを弾き飛ばすと、改めて銃を構えようとした。しかし、へたりこんだまま、マヤが護身用の22口径をリツコの方に向けていた。
圧搾空気が抜ける音が先に鳴り、少し遅れて小さな銃声が鳴った。
しばらくたって、警備部員が以上を聞きつけて部屋に入ったときに目に入ったものは、首筋に開いた小さな穴から大量の血を吹き出したリツコと、倒れたリツコに重なるようにして倒れて息絶えているマヤの死体だけだった。
作者あとがき
ピンポンパンポーン。突然ですが、作者が謎の暴漢に襲われたため、犯人の特徴をお
伝えします。
1.年齢30才前後。金髪で白衣着用。
2.同じく30才前後。ビールの空缶を持っていたとの目撃証言
3.20代中盤。血のりのついたキーボードを持っていたという証言あり。
以上です。
お見かけの方は最寄りのゲンドウ教支部まで。
ゲンドウ教入信希望者及び12式臼砲さんへの感想はこ・ち・ら♪
犯行声明(爆)
リツコ「あらやだ、白衣に血が・・・・」
ミサト「あちゃーっ、せっかくのビールを一本無駄にしちゃったわ」
マヤ 「血の臭いのするキーボード・・・・不潔です」
作者 「百本記念投稿その2、12式臼砲さんです。しかしこの小説もあいかわらずすぷら・・・・」
リツコ「おもうに、彼の作品ではワタシは全て「マッドサイエンティスト」なのよね」
マヤ 「ワタシはいつも悲惨な死に方をするし」
ミサト「だいたいアタシはリツコに殺されている、と。あんた、アタシを恨んで裏で12式に手回してない?」
リツコ「・・・・ナニが言いたいの、ミサト」
ミサト「きまってんじゃない。分からないの?」
リツコ「アタシがアンタを殺させるようにし向けているって?」
ミサト「あらご賢明」
リツコ「・・・・・曲がった根性ね。そんなことだから、加持くんに愛想を尽かされるのよ」
ミサト「だ、だ、だれが加持に愛想尽かされるですって!!」
リツコ「あなた以外のだれかに言っているように聞こえて?」
ミサト「ぐぬぬぬぬぬぬっ・・・・」
リツコ「むむむむむっ・・・・」
マヤ 「この二人は・・・・・ホントに・・・・・」
作者 「ここでも血を見ないうちに、この辺で・・・・12式臼砲さん、ありがとうございました」